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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2009300759 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1182662 
審判番号 取消2007-301148 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-09-07 
確定日 2008-07-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4783353号商標の登録取消審判事件について次のとおり審決する。 
結論 登録第4783353号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4783353号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成15年11月18日に登録出願、第9類「耳栓,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,ロケット,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、平成16年7月2日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「結論同旨の審決を求める」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、答弁書の「6.答弁の理由」において、本件商標は、乙第1号証ないし乙第5号証において、当社製品の特徴的技術の名称として日本国で請求人の審判の請求前3年以内で使用していると主張しているが、乙第1号証ないし乙第5号証のカタログによれば、本件商標の文字が、プリンターのインク滴制御に関する特徴的な技術若しくは機能を説明する文章中に記載されていることが確認できる。
他方、プリンター自体やカタログの表紙に、本件商標が直接貼付られたり、刻印されたり、といった事実を確認することができない。
(イ)本件商標がプリンターの特徴的な技術若しくは機能を説明する文章中に記載されていることから、被請求人が使用を証明しようとする指定商品は、「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「プリンター」(若しくは「コピー機能・ファクシミリ機能・スキャナー機能付きプリンター」)であると推認できる。
なお、被請求人は、登録商標をプリンター以外の指定商品に使用しているとの証明をしていないから、指定商品「プリンター」についての使用を証明できない場合には、全ての指定商品の取消を免れることはできない。
(ウ)条文上の商標の使用の定義は、商標法第2条第3項各号に限定列挙されている。これらの条文に該当すれば、形式的には商標を使用したことに該当する。
しかし、形式的に商標の使用に該当するとしても、いわゆる商標的使用態様に該当しない場合には、商標の使用に該当しないとする法理論が通説となっている。すなわち、商標法上の商標の本質的機能とは、商品の出所を明らかにすることにより、需要者に自己の商品と他の商品との品質等の違いを認識させること、つまり自他商品識別機能にあると解するのが相当であるところ、商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な使用方法や表示の態様からみて、それが出所を表示し自他商品を識別するために使用されていることが客観的に認められることが必要である(東京高裁判決平成13・1・22、東京地裁判決平成16・6・23、東京地裁判決昭和63・9・16、東京地裁判決昭和62・8・28、東京地裁判決昭和7・2・22、東京高等判決平成8・10・2等)。
なお、上記法理論は商標権侵害の場面ばかりでなく、商標法第50条に規定される不使用取消審判においても適用されるのが妥当と思料する。例えば、東京高裁判決平成2・3・27や東京高裁判決平成8・12・19は、1996年改正で廃止された更新時の使用チェックに係る審決取消訴訟であるが、商標の使用というには、自他商品を識別するための使用でなければならない旨を示しており、現行の不使用取消審判にも適用できる判旨であると思料する。
(エ)不使用取消審判において登録商標を使用しているというためには、まずは形式的な商標の使用、すなわち商標法第2条第3項各号に該当することが求められる。
乙第1号証ないし乙第5号証を確認すると、これらのカタログ若しくはパンフレットは指定商品「プリンター」に関するもので、本件商標が、商品に関する広告に付されているかどうかというと、いずれのカタログ若しくはパンフレットにおいても、「M‐Dot機能」、「M‐Dot搭載」という文字が、プリンターの特徴的な技術若しくは機能を説明する文章中に用いられていることが確認されるのみである。
これは、標章を貼付し、刻印し、焼付けし、というような用いられ方ではないことは明らかであり、商標法第2条3項8号に該当しないと思料する。
してみると、当該証拠方法を根拠として登録商標の使用をいう被請求人の主張は失当といえる。
(オ)一般的に、商標法第2条第3項8号の要件を満たしたうえで、自他商品識別力を有する商標の使用とは、例えば、乙第1号証ないし乙第5号証の表紙にある「IPSIO」や「RICOH」をいうものである。
ところが、本件商標については、プリンターの特徴的技術若しくは機能の説明として文章中に表示されているのみである。このような表示態様に接した需要者が、「M‐Dot」の文字を指標として「プリンター」を識別することにはならない。すなわち、自他商品の識別力を発揮する状態での商標の使用ということはできず、商標法上の使用といえないことは明らかである。
したがって、当該証拠方法を根拠として本件商標の使用をいう被請求人の主張は失当である。
(カ)被請求人は、「商標は単に商品の名称のみを指すものではなく、その商品の特徴的な技術、機能から商品を購入する側面を持つものでありますので、当然ながら商品の特徴的な技術名称や機能名称なども商標の使用であることには変わりはありません。」とも主張する。
しかし、商標法上の使用とは、自他商品識別力を発揮できる状態での商標の使用をいい、本審判事件においても、自他商品識別力を発揮する状態での登録商標の使用かどうかが争点であるところ、その争点が看過されている被請求人の主張は失当という他ない。
(キ)さらに、このような被請求人の主張が認められ、乙第1号証ないし乙第5号証にある本件商標の記載でさえ商標法上の使用と認定されるのであれば、商標の登録の目的ないし期待に反し使用されていない登録商標を整理することにより、商標制度の目的を発揮せんとする商標法第50条に規定される不使用取消審判の制度趣旨を没却し、ひいては商標の保護を通じて商標に化体されている商標権者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するという、商標法第1条にある商標法の目的を達成することはできないものとなる。
(ク)以上より、被請求人の答弁の理由は成り立たず、商標法第50条第2項に規定されている「使用をしていることを証明する」ものとはいえない。

3 被請求人の主張
被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)答弁の理由
(ア)本件商標「M‐Dot」は、乙第1号証ないし乙第5号証において当社製品の特徴的技術の名称として日本国で請求人の審判の請求の登録前3年以内で使用している。
(イ)商標は単に商品の名称のみを指すのではなく、その商品の特徴的な技術、機能から商品を購入する側面を持つものであるので、当然ながら商品の特徴的な技術名称や機能名称なども、商標の使用であることに変わりはない。
(2)弁駁に対する第2答弁
(ア)請求人は、「商標の使用」とは、「商品に直接貼付られたり、刻印されたり」といった見解を取っているが、現物に商標を貼付したり、刻印した標章のみが商標として機能していることになると、製造業の商品で商標と言えるのは、コーポレートブランドと直接商品に貼付或いは刻印されている標章のみが商標となる。
しかし、これは乱暴な見解であり、日本国における「商標の使用」を本弁駁書が定義しているかの如く、現状の「商標の使用」を現在の視点から考察しておらず、単なる旧態依然の一例であるにすぎない。
(イ)商品の特徴的な機能、技術などに独特の名称を付け、ある商品なり役務を特定するうえでの「キーワード」となる言葉も「特定の商品及び役務」を特定するので、当該キーワードになる標章が登録商標である場合には、該登録商標によって検索された商品或いは役務の商標と言えるのが現状の「商標の使用」の概念である。
(ウ)商標法第2条3項8号の規定は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と記載されているが、本条項は、商標の使用となりえる媒体を列挙したにすぎない。本条項は、具体的な範囲を明確に定め記載したものではない。
(エ)商標の使用の範囲は、個別具体的に考察されえるものであり、本件商標は、カタログ見出しに使用し、しかも[M」の文字も登録商標と同じく太字で表記しており、該使用が商標の使用に該当しないとする具体的理由並びに理論的理由はない。
(オ)請求人は、被請求人の提出したカタログにおいて、本件商標がプリンターの技術もしくは機能を説明する文章中に用いられているとしても、これらの使用は、商標法2条3項8号に該当しないとの主張であるが、本件商標の使用方法は、文章中では無く、カタログの見出し的な箇所に使用され、さらに太字或いは他の文字よりも大きく表示しており、あくまで特徴的機能(技術)の名称として、見出し語として使用していることも明らかである。
(カ)以上、前記(ア)ないし(オ)からも分かるように、本件商標を使用していることは明らかである。

4 当審の判断
(1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証を提出し、本件商標を、製品の特徴的技術の名称として、本件審判の請求に係る商品について使用していると答弁しているので、以下、乙第1号証ないし乙第5号証について検討する。
(ア)乙第1号証は、「IPSiO/イプシオ/GX3000SF/3000S」の表題のある被請求人会社の商品「プリンター」のカタログと認められるところ、該カタログ6頁左側上段部分に「…を実現するインク制御機能(M-Dot機能)も加わり」の記述、及び同中程部分に「M‐Dot機能/インク滴を制御する、M‐Dot(Modulated Dot Technology)機能により、…幅広いインク滴サイズを印刷内容に応じて自動選択。…」との記述、さらに,上記カタログの裏表紙の右下には,「・・・、2007年9月現在のものです。」の文字が記載されている。
(イ)乙第2号証は、「GELJET/ジェルジェットプリンター/IPSiO GX2500」の表題のある被請求人会社の商品「プリンター」のカタログと認められるところ、該カタログ5頁右下部分に「“M‐Dot”搭載/インク滴制御技術“M‐Dot(Modulated Dot Technology)”により、インク滴サイズを…」との記述、さらに,上記カタログの裏表紙の右下には,「・・・、2007年9月現在のものです。」の文字が記載されている。
(ウ)乙第3号証は、「IPSiO GX」の表題のある被請求人会社の商品「プリンター」のカタログと認められるところ、該カタログ5頁上部に「ヘッドから吐出されるインク滴を制御する、M‐Dot(Modulated Dot Technology)機能。」、「M‐Dotによる最適なインクサイズ制御での輪郭補正により、なめらかな文字を表現します。」及び「M-Dotによる最適なインク滴制御により・・・」との記述、さらに,上記カタログの裏表紙の右下には,「・・・、2007年6月現在のものです。」の文字が記載されている。
(エ)乙第4号証は、「GELJET/ジェルジェットプリンター/IPSiO GX7000」の表題のある被請求人会社の商品「プリンター」のカタログと認められるところ、該カタログ5頁右上部分に「“M‐dot”搭載/インク滴制御技術“M‐dot(Modulated Dot Technology)”により、インク滴サイズを…」との記述、さらに,上記カタログの裏表紙の右下には,「・・・、2007年9月現在のものです。」の文字が記載されている。
(オ)乙第5号証は、「IPSiO G」の表題のある被請求人会社の商品「プリンター」のカタログと認められるところ、該カタログ4頁左下部分に「…インクサイズの中から最適なサイズを選択するM‐Dot(Modulated Dot Technology)機能による高階調表現も実現。…」との記述、さらに,上記カタログの裏表紙の右下には,「・・・、2007年5月現在のものです。」の文字が記載されている。
(2)以上の認定事実によれば,被請求人が使用しているとする商品は、インク滴を制御する「M‐Dot(Modulated Dot Technology)機能」と呼ばれる制御技術が組み込まれた商品「プリンター」であり(以下「使用商品」という。)、また、「M‐Dot」がインク滴制御技術の名称(機能名)であることが認められる。
ところで、 商標法第50条の適用上、「商品」というためには、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならず、また、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、当該商品の識別表示として、同法第2条第3項、第4項所定の行為がされることを要するものというべきである(東京高裁 平成12(行ケ)117号判決 平成13年2月28日言渡)。
これを本件について見ると,上記「M-Dot」の文字は,単にインク滴制御技術の名称を表示したものと認識させるのみであって、たとえ、これが使用商品に組み込まれた構成部品の1つであるとしても、これが独立した商品として個別に取引されていることを示す証拠はなく、また、使用商品のいずれの場所にも、何ら「M‐Dot」の標章は付されていない。
また、前記各カタログ中には、「M‐Dot機能」の文字が認められるところ、文章中に他の文字と大差のない大きさの文字で表示されている形態からすれば、これも商標としての使用とは認められず、商標として使用された事実を立証する証拠とはなりえないものである。
そして、被請求人は、実際に本件商標「M‐Dot」を表示した部品(商品)を製造、販売していることを証する注文書、納品書、収支報告書等の具体的証拠も何ら提出していないものである。
(3)そうすると、乙第1号証ないし乙第5号証を総合しても、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の範囲に含まれる「プリンター」について使用されていたものとは認めることができない。
他に、商標権者ないし使用権者が、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において使用していたものと認め得る証拠は見当たらない。
(4)以上よりすると、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標の指定商品について、本件商標の使用をしていたということはできない。また、本件商標の使用をしていなかったことについて正当な理由があるものと認めることはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)本件商標




審理終結日 2008-05-28 
結審通知日 2008-06-02 
審決日 2008-06-18 
出願番号 商願2003-102345(T2003-102345) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立 
前審関与審査官 矢代 達雄 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 2004-07-02 
登録番号 商標登録第4783353号(T4783353) 
商標の称呼 エムドット、ドット、デイオオテイ 
代理人 清水 初志 
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