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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X0305
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0305
管理番号 1182563 
審判番号 不服2007-29960 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-02 
確定日 2008-07-16 
事件の表示 商願2007- 3118拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「おやすみ前にも一滴」の文字を標準文字で書してなり、第3類及び第5類に属する別掲のとおりの商品を指定商品として、平成19年1月18日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『おやすみ前にも一滴』の文字を標準文字で書してなるところ、本願指定商品との関係において、その構成中『おやすみ』の文字は、『寝ること』の尊敬語の意味を有する語であるから、本願商標全体としては、『寝る前にも一滴(さす)』程度の意味合いを極めて容易に認識させるものである。ところで、本願指定商品中『目薬』は、通常、点眼瓶から1滴ずつ出し、1回に1?数滴目にさして使用するものであること、また、近時『寝る前にも使用することができる目薬』が開発、販売されるようになってきていることからすれば、本願商標をその指定商品『薬剤』中『目薬』等の『眼科用剤』に使用しても、これに接する需要者は『寝る前にも使用することができる商品』であると認識するにとどまり、単に商品の品質、使用の時期、効能を表示するにすぎないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「おやすみ前にも一滴」の文字を標準文字でまとまりよく一体に書してなるところ、その構成中「おやすみ」の文字は、「休暇・休日・休業を丁寧にいう語。その人を敬って寝ることをいう語。(『お休みなさい』の略)寝るときの挨拶の言葉。」等の意味を、「前」の文字は、「顔や視線の向いている方向、または場所。(時間的に)現在またはある時点より以前。」等の意味を、「にも」の文字は「時・場所・対象・比較の基準など、格助詞『に』の意味に、添加や許容など、助詞『も』の意味が加えられる。」等の意味を、「一滴」の文字は、「ひとしずく」等(いずれも「大辞林」第二版新装版 株式会社三省堂発行)の意味を、それぞれ有する語であることから、本願商標の構成文字全体をもって、「休暇前にも一滴」又は「寝る前にも一滴」程の意味合いを看取させるものである。
ところで、本願指定商品中「薬剤」には、商品の使用時期や使用回数及び適正な使用量を定めている商品が含まれているところ、「目薬」を取り扱う業界においては、商品の使用時期や使用量等の情報を、商品のパッケージや外箱、使用説明書、加えて、自社のホームページ等においても、明確にうたっているものである。また、パソコンの使用や花粉症により、目をいたわる必要性が増したこともあり、「目薬」の使用時期や使用量等についての情報は、新聞においても紹介されているところである。
そして、本願指定商品中「目薬」との関係において、「寝る前」の文字、あるいは、「寝ること」の意味を有する「就寝」(「大辞林」第二版新装版 株式会社三省堂発行)の文字を用いた「就寝前」の文字が、商品の使用時期を表す語として普通に使用され、また、「一滴」の文字が、商品の使用量を表す語として普通に使用されていることは、原審で挙げるインターネット等の情報以外にも、例えば、以下の新聞記事及びインターネットの商品情報からも窺い知ることができるものである。
(1)「【働きざかりの健康講座】コンタクトレンズ(4)ケア心がけ、必ず定期検査を」の見出しのもと、「『コンタクトレンズの安全で快適な使い方』は決して難しいものではない。こう思いながらも、知らず知らずにケアを怠ってしまうケースは多い。(略)また、目薬を上手に使うことも大切。(略)防腐剤の入っていない目薬の使用が不可欠となるが、目が疲れたときやゴロゴロするときだけでなく、寝る前など一日に数回は『目薬タイム』を設けることも必要だ。」との記事(1995.12.28 産経新聞東京夕刊 5頁)。
(2)「目薬、目からうろこの使い方??まばたき禁物、涙で薬流れる。」の見出しのもと、「普段何気なく使っている目薬だが、使用法を誤ると効果は薄れてしまう。(略)正しい目薬の使い方を紹介しよう。(略)人間の目は一?二滴で十分で、何滴も点眼する必要はない。多くさしても目からあふれたり、涙小管という細い管を通って鼻からのどへ流れ出たりするだけだ。(略)昔は寝る前の点眼をさけるよう注意されることもあったが、今は就寝前に使用しても問題ない。」との記事(2006/12/17, 日本経済新聞朝刊, 10ページ)
(3)「目薬??しみる一滴、視界すっきり、有効成分に注目、「中高年向け」も(買物百科)」の見出しのもと、「コクミン新大阪駅店店長の淵上陽平氏『目を酷使する人に』『寝る前に』など、商品パッケージに機能性が一目見てわかる商品が二年ほど前から一気に増えた。メーカー側は長年培った製品ブランド名で売るのではなく、機能性や効能で選んでもらうよう訴え方を変えてきている。」との記事(2007/09/29, 日経プラスワン, 3ページ)。
(4)「大正製薬株式会社」のホームページにおいて、目薬「アイリスアレスト」の製品説明中「用法・用量 1回1?2滴 1日4回(朝・昼・夕・就寝前)点眼してください。」との記載(http://www.catalog-taisho.com/)。
(5)「小林製薬株式会社」のホームページにおいて、目薬「アイボントローリ目薬クール」の添付文書(説明書)PDFファイル中に「アイボンなどでの洗顔後や、寝る前の点眼をお勧めします。」「用法・用量 1日3?6回、1回1?3滴点眼する」との記載(http://www.kobayashi.co.jp/seihin/pdf/abn_tm_cl.pdf)。
(6)「参天製薬株式会社」のホームページにおいて、「FAQ(よくあるご質問)」の項のもと、「Q就寝前に目薬をさしてもいいのですか?」「A寝る直前に点眼しそのまま眠ってしまうのは避けてください、遅くとも寝る5?10分前までに点眼することをお勧めします。」との記載(http://hitomi-sukoyaka.com/06/0606-01.html)。
(7)「参天製薬株式会社」のホームページにおいて、目薬「サンテ抗菌新目薬」の製品説明中「用法・用量 1回1?2滴、1日3?5回点眼してください。」との記載(http://hitomi-sukoyaka.com/01/0123.html)。
(8)「千寿製薬株式会社 マイティアメイト」のウエブサイトにおいて、「目薬の知識」の項のもと、「1(1は○付)点眼薬の正しい使用方法」中「6.就寝前に点眼する場合は、寝る5分前までに点眼を済まされることをお勧めします。」との記載(http://www.mytear.jp/chisiki/1.html)。
(9)「千寿製薬株式会社」のホームページにおいて、目薬「マイテア アイテクト」の製品説明書PDFファイル中「用法・用量 1回1?2滴、1日4回点眼すること。」との記載(http://www.mytear.jp/newproduct/eyetect.html)。
そうとすると、前記の実情からして、「目薬」を取り扱う業界において、「おやすみ前」の文字は、「寝る(就寝)前」の意味合いを容易に理解させ、商品の使用時期を表したものと認識させるものであって、また、「一滴」の文字は、商品の使用量を表したものと容易に理解させることから、「おやすみ前にも一滴」の文字よりなる本願商標全体からは、「寝る(就寝)前にも一滴使用する」程の意味合いを容易に理解させ、商品の使用時期及び使用する量を表したものと認識させるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標を、その指定商品中「目薬」に使用するときは、これに接する、取引者、需要者は、「寝る(就寝)前にも一滴使用する商品」であることを表示したものと理解するに止まるというべきであって、単に商品の品質、使用時期、使用方法を表示してなるにすぎないものと把握、認識し、自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当である。
また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
ところで、請求人は「『おやすみ前』の語から、直ちに『寝る前』の意味合いだけが認識されることはなく、また『一滴』の語から、一義的に『目薬一滴』の意味合いを認識させるものでもなく、さらに、『一滴』の語の後に続く動詞には、一義的に『一滴(を)さす』の意味合いを認識させるものではないから、『おやすみ前にも一滴』の語からは、さまざな意味合いが生じ、特定の意味合いが一義的に認識されることはない。」旨、主張している。
しかしながら、「おやすみ前」の文字が、「寝る前」の意味合いを理解させること前記のとおりであって、また、指定商品中「目薬」に「寝る(就寝)前」の文字が、使用時期を表す語として使用されている実情にあることは、前記(1)ないし(6)及び(8)のとおりである。そして、「一滴」の文字が、一般に目薬の使用量を表す語として使用されている実情にあることは、前記(2)、(4)、(5)、(7)及び(9)のとおりである。さらに、通常、目薬の使用については、「少量の液体をある部分に注ぎ込む。『目薬を?』」(「大辞林」第二版新装版 株式会社三省堂発行)の意味を有する「さす」の語が用いられる場合があることは、(2)及び(6)からも明らかであるから、本願指定商品中「目薬」に、「おやすみ前にも一滴」の語が使用される場合には、「寝る(就寝)前にも一滴さす(使用する)」程の意味合いを容易に認識させるものというべきである。
また、請求人は「『おやすみ前にも一滴』の語は、請求人の商品に関するブログも含めて、請求人に関連する記事のみで、請求人以外に使用されていないものである。近時の記述的商標か否かの判断における、『商品の特性を暗示する程度のもので、商標の独占的使用を必ずしも排除すべきでないような表示は、その商品の取引界において、一般にその商品の特性を表示するものとして取引上使用されている証拠がなければ登録を認める。』との考え方に従うならば、本願商標は、商品の品質を暗示させる程度のものであり、ご指摘の意味合いでごく一般的に使用されている事実が見あたらないことから、本願商標は自他商品識別力を有する商標として登録されるのが相当である。」旨主張している。
されど、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)から、たとえ、「おやすみ前にも一滴」の語が、請求人以外の者による使用が見あたらないとしても、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の取引者、需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられていたかによって判断されなければならないところ、本願商標は、その指定商品中「目薬」を取り扱う取引者、需要者等において、その商品の品質を表示するものとして認識されることは、前記認定のとおりといい得るものである。
さらに、請求人は、他の登録例を引用して、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有する旨主張しているが、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様及び指定商品との関係に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、また、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであることから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、その認定は左右されないというべきである。
そうとすれば、請求人の前記いずれの主張も採用することはできない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別 掲
本願指定商品
第3類
家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛
第5類
薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液



審理終結日 2008-05-02 
結審通知日 2008-05-12 
審決日 2008-05-26 
出願番号 商願2007-3118(T2007-3118) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0305)
T 1 8・ 272- Z (X0305)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須田 亮一 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 岩崎 安子
小畑 恵一
商標の称呼 オヤスミマエニモイッテキ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

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