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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X25 審判 全部申立て 登録を維持 X25 |
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管理番号 | 1181317 |
異議申立番号 | 異議2007-900529 |
総通号数 | 104 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2008-08-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-11-12 |
確定日 | 2008-07-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5077385号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5077385号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5077385号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年2月20日に登録出願、第25類「履物」を指定商品として、同年7月11日に登録査定、同年9月14日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由(要旨) 1 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(23)のとおりであり、いずれも、現に有効に存続しているものである。 (1)登録第2693722号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録され、その後、同16年3月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年9月14日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (2)登録第2671514号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録され、その後、同16年2月10日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年8月17日に指定商品を第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (3)登録第2708505号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成2年11月8日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年7月31日に設定登録され、その後、同17年3月1日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同18年1月4日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (4)登録第2593080号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成2年11月8日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年10月29日に設定登録され、その後、同15年5月27日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年5月26日に指定商品を第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (5)登録第4025668号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成2年11月8日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年7月11日に設定登録され、その後、同19年1月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (6)登録第4180654号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成2年11月8日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年8月21日に設定登録されたものである。 (7)登録第4376378号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成10年6月26日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。 (8)登録第4378318号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成10年6月26日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月21日に設定登録されたものである。 (9)登録第4376377号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成10年6月26日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。 (10)登録第4399811号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成11年4月1日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年7月14日に設定登録されたものである。 (11)登録第1587778号商標(以下「引用商標11」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、昭和49年12月26日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年5月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらに、平成16年9月22日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (12)登録第2609079号商標(以下「引用商標12」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、昭和49年12月26日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年12月24日に設定登録され、その後、同15年7月15日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年3月3日に指定商品を第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (13)登録第1423465号商標(以下「引用商標13」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、昭和49年12月26日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年6月27日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされたものである。 (14)登録第2693723号商標(以下「引用商標14」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録され、その後、同16年3月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年9月14日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (15)登録第2704525号商標(以下「引用商標15」という。)は、別掲(6)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年2月28日に設定登録され、その後、同16年9月28日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年6月29日に指定商品を第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (16)登録第2693724号商標(以下「引用商標16」という。)は、別掲(7)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録され、その後、同16年3月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年9月14日に指定商品を第9類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (17)登録第2671515号商標(以下「引用商標17」という。)は、別掲(7)のとおりの構成よりなり、昭和61年2月7日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年6月29日に設定登録され、その後、同16年2月10日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同17年8月17日に指定商品を第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (18)登録第2528490号商標(以下「引用商標18」という。)は、別掲(8)のとおりの構成よりなり、平成2年12月14日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年4月28日に設定登録され、その後、同14年11月12日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同16年12月15日に指定商品を第14類及び第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。 (19)登録第2160863号商標(以下「引用商標19」という。)は、「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字を横書きしてなり、昭和62年5月29日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年8月31日に設定登録され、その後、同11年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (20)登録第2190105号商標(以下「引用商標20」という。)は、「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字を横書きしてなり、昭和62年5月29日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年11月28日に設定登録され、その後、同11年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (21)登録第2147023号商標(以下「引用商標21」という。)は、「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字を横書きしてなり、昭和62年5月29日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年6月23日に設定登録され、その後、同11年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (22)登録第2199877号商標(以下「引用商標22」という。)は、「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字を横書きしてなり、昭和62年5月29日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年12月25日に設定登録され、その後、同11年8月3日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 (23)登録第4522864号商標(以下「引用商標23」という。)は、別掲(9)のとおりの構成よりなり、平成12年4月6日に立体商標として登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年11月16日に設定登録されたものである。 以上の(1)ないし(23)の登録商標を一括していうときは「引用各商標」という。 2 申立ての理由(要旨) (1)商標法第4条第1項第15号について ア 本件商標は、仮想垂直線に対し右方向に傾けた、黒塗りの細長の上端の形状がL字型の図形(以下、「L字型図形」という。)2本と、黒塗りの細長の台形様図形1本を、両端にL字型図形を、中央に台形様図形1本を配置して、ほぼ均等間隔で3本並べ、そのうちの右端に位置するものを最も短くし、左方向に向かつて順次長くしていき、左端に位置するものを最も長くした図形(以下、「本件商標の3本線の図形」という。)であって、第25類「履物」に使用するものである。 イ 引用商標1ないし引用商標17及び引用商標23の構成中の図形部分は、仮想垂直線に対し左方向に傾けた黒塗りの細長の台形様図形又は長方形を均等間隔で3本並べたもの(以下、「3本線」という。)を基調とする商標であり、本件商標の登録出願時及び登録査定時には申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されていたものである。 このうち、引用商標1、引用商標2、引用商標11ないし引用商標13、引用商標23の構成中の3本線の図形は、仮想垂直線に対し左方向にやや傾けた台形様図形を均等間隔で3本並べ、そのうちの左端に位置するものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端に位置するものを最も長くした図形(以下、「引用商標の3本線の図形」という。)から構成されるものである。 本件商標の3本線の図形と引用商標の3本線の図形は、L字型図形又は台形様図形を仮想垂直線に対して傾け、均等間隔で3本並べた点で一致し、L字型図形又は台形様図形が、本件商標では右方向に傾斜しているのに対して、引用商標では左方向に傾斜している点、L字型図形又は台形様図形の下端が、本件商標では仮想水平線に対して傾いて並んでいるのに対して、引用商標ではほぼ仮想水平線上に並んでいる点、また、本件商標の3本線の図形がL字型図形及び台形様図形から構成されているのに対して、引用商標の3本線の図形は台形様図形のみから構成されている点で相違するが、これらの相違点は、下記ウで後述するとおり、本件商標の指定商品が履物である点、並びに本件商標が実際に指定商品に使用されている態様を斟酌すれば、両商標の識別に影響を与えない程度の僅かな差異というべきである。 すなわち、本件商標の3本線の図形と引用商標の3本線の図形は、台形様図形等を、仮想垂直線に対して一方向に傾けて均等間隔で3本並べた点、これらのうち、一の端に位置するものを最も短くし、他の端に向かって順次長くしていき、他の端に位置するものを最も長くした図形である点、さらに、図形全体の外観が四角形の印象を与える点において一致し、構成の軌跡を一にするものである。 ウ 引用商標及び3本線は、申立人の取り扱う靴類に永年サイドラインとして使用されて周知著名なものである。本件商標の指定商品は「履物」であるところ、商標権者の取り扱う子供用運動靴の写真を示す甲第106号証から明らかなとおり、本件商標がその指定商品に使用されるときには、引用商標の3本線の図形との相違点に相当するL字型図形の上端の形状(つまりL字型の部分)の印象は極めて弱いものとなり、引用商標の3本線の図形と同じ外観印象を与える「3本線」の部分が、自他商品識別標識として需要者の注意を強く惹きつけることが明らかである。 エ 申立人の取り扱いに係る靴類には、大人向けの運動靴に止まらず、子供や幼児向けの運動靴も数多く含まれ、3本線がサイドラインとして使用されている。申立人と商標権者との商品は需要者層が重複するものであり、両者の商品が競合することが明白である。 オ 本件商標の指定商品の最終需要者は一般の消費者である。また、当該指定商品は、その用途、価格、使用環境や洗浄等による消耗・劣化等の可能性という観点からみて、長期間にわたり使用するものというよりは比較的短期間で買い替える可能性が高いものであるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。 カ 上記観点に照らせば、本件商標が指定商品に使用されたときには、本件商標は、「3本線」として認識理解され、「3本線」の観念を想起連想させるものであることが明らかであるから、申立人の業務に係る商品と誤信され、その出所について混同を生じるおそれがある。 キ 3本線を靴の側面に左右対称にサイドラインとして表示する態様は、申立人が運動靴等の履物や運動用特殊靴に長年継続使用し、申立人の商品表示として広く認識されているものである。「3本線」を容易に認識理解させる本件商標は、需要者に申立人の3本線シューズを想起連想させることを意図して採択されたものといわざるを得ず、申立人の3本線商標、3本線シューズの顧客吸引力にフリーライドするものである。また、このような3本線シューズの類似品の市場への流出が申立人の商品出所表示として著名な3本線商標、3本線シューズの出所表示力を希釈化することは明らかである。 3本線を構成中に含み、かつ、「履物」に使用される本件商標への登録許可は、こうしたフリーライド及びダイリューション行為を実質的に助長することになりかねず、販売店等の取引者及び一般消費者を混乱させ、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神に反するものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、フリーライド、ダイリューションの防止という観点からみても、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであることが明らかである。 (2)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、その登録出願時において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されていた引用商標1ないし引用商標18及び引用商標23又はこれらの構成中の3本線と同じ外観印象を与える。それのみならず、本件商標は、実際に「3本線」として容易に認識理解される表示態様で指定商品(運動靴)に使用されている(甲第106号証)。 本件商標は、申立人の長年の営業努力によって築かれた引用商標及び3本線の商標の信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。また、本件商標が指定商品に使用されたときには、世界的な著名な引用商標等の3本線の商標の出所表示機能が希釈化され、申立人が経済的及び精神的損害を被ることが必至である。 したがって、本件商標は、明らかに社会一般道徳及び国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号について (1)本件商標について 本件商標は、別掲(1)のとおり、右方向に傾けた細長い逆さまの二足のブーツ状の黒塗り図形の間に、細長い黒塗りの台形様図形を配した幾何図形からなり、その構成中の二足のブーツ状の黒塗り図形における靴底部分が、左側に配置されたものは左上方に、また、右側に配置されたものは右下方にそれぞれ向いた構成よりなるところ、これよりは特定の称呼及び観念を生ずるものではないというのが相当である。 (2)引用各商標について 引用商標1及び2は、別掲(2)のとおり、文字と図形の組み合わせからなるところ、その構成中の図形部分は、左方向に傾けた黒塗りの3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その台形様図形の長さは左から右に順次長く表されているものである。 引用商標3ないし6は、別掲(3)のとおり、文字と図形の組み合わせからなるところ、その構成中の図形部分は、左方向に傾けた黒塗りの3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その台形様図形の長さは左側が極端に短く表され、右に順次長く表されているものである。 引用商標7ないし10は、別掲(4)のとおり、上記引用商標3ないし6の図形部分と構成を同じくするものである。 引用商標11ないし13は、別掲(5)のとおり、左方向に僅かに傾けた波線の輪郭線からなる3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その台形様図形の長さは左から右に順次僅かに長く表されているものである。 引用商標14及び15は、別掲(6)のとおり、左方向に傾けた波形黒塗りの3本の長方形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その3本の長方形様図形の長さは、等しく表されている。 引用商標16及び17は、別掲(7)のとおり、上記引用商標14及び15と構成を同じくする図形と文字との組み合わせからなるものである。 引用商標18は、別掲(8)のとおり、右方向に傾けた横長太線の内側に細線を配した同じ太さの台形様図形を均等間隔で3本並べて仮想底辺に沿うように配置したものであって、その台形様図形の長さは左から右に順次短く表されているものである。 引用商標19ないし22は、前記第2のとおり、「THE BRAND WITH 3 STRIPES」の文字を書してなるものである。 引用商標23は、別掲(9)のとおり、靴の左右の側面につま先に向かって傾けた3本の台形様図形を配置した立体商標からなるものである。 (3)本件商標と引用各商標とについて ア 本件商標と引用商標1ないし18及び23について 本件商標は、上記(1)のとおり、細長い斜め逆さまの二足のブーツ状の黒塗り図形の間に、細長い黒塗りの台形様図形を配した幾何図形からなるものであり、特に、台形様図形の両側に配された二足のブーツ状の黒塗り図形の靴底部分がそれぞれ外側に向かっている点に特徴を有しているのに対し、引用商標1ないし18及び23の図形及びその構成中の図形部分は、外縁を直線又は波線とした3本の台形様図形又は3本の波形長方形様図形を基本とするものであるから、全体の構成において顕著な差異を有するものである。 そうすると、本件商標と引用商標1ないし18及び23は、それぞれの構成から明らかに異なった印象を受けるものであり、両商標は、時と所を異にして離隔的に観察した場合でも外観上相紛れるおそれはないものといわざるを得ない。 そして、本件商標は、何らの称呼及び観念を生じないものであるから、引用商標1ないし18及び23より「3本線」の観念を生ずる場合があるとしても、称呼及び観念においては比較することができない。 イ 本件商標と引用商標19ないし22について 本件商標は、上記(1)のとおり、特定の称呼及び観念を生じないものであるから、引用商標19ないし22とは比較することができないものであり、外観においては明らかな差異を有するものである。 ウ してみれば、本件商標は、引用各商標とは外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない別異の商標であって、他に両商標がその出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき格別の事情も見出し得ないから、引用各商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人の業務に係る商品に使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用各商標を連想又は想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。 なお、申立人は、本件商標の使用態様を斟酌すれば引用各商標との相違は僅かなものとなり、両商標の識別に影響を与えない旨主張するが、仮に、商標権者が故意に本件商標をその指定商品に使用した結果、申立人の業務に係る商品と混同を生じた場合には別途争う余地があるとしても、本件登録異議の申立てにおいては、願書に記載した商標に基づいて判断するのが相当であるから、申立人の主張は採用することができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 2 商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、上記1のとおり、引用各商標と類似しない別異のものであるばかりでなく、申立人の提出した証拠によっては、本件商標が引用各商標の信用力、顧客吸引力に便乗し、かつ、その出所表示機能を希釈化するものとは認めることができないものであり、他に、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益及び社会の一般的道徳観念に反するものとすべき事由もないから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれはないといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号のいずれにも違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別 掲 (1)本件商標 (2)引用商標1及び2 (3)引用商標3ないし6 (4)引用商標7ないし10 (5)引用商標11ないし13 (6)引用商標14及び15 (7)引用商標16及び17 (8)引用商標18 (9)引用商標23 |
異議決定日 | 2008-06-20 |
出願番号 | 商願2007-14118(T2007-14118) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(X25)
T 1 651・ 22- Y (X25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐藤 達夫 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 末武 久佳 |
登録日 | 2007-09-14 |
登録番号 | 商標登録第5077385号(T5077385) |
権利者 | 株式会社丸紅フットウェア |
代理人 | 中熊 眞由美 |
代理人 | 佐久間 剛 |
代理人 | 柳田 征史 |
代理人 | 溝上 満好 |
代理人 | 岩原 義則 |
代理人 | 溝上 哲也 |