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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y24
管理番号 1181128 
審判番号 取消2006-31210 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-09-26 
確定日 2008-07-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4706725号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4706725号商標の指定商品中「ふきん」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4706725号商標(以下「本件商標」という。)は、「マイクロクロス」の文字を標準文字で書してなり、平成14年10月30日に登録出願、第24類「織物(畳べり地を除く。),畳べり地,メリヤス生地,フェルト及び不織布,タオルその他の布製身の回り品,ふきん,かや,敷き布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,布製ラベル」を指定商品として、平成15年9月5日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「ふきん」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用権者について
ア 本件審判の請求の登録(平成18年10月18日)前3年以内において、本件商標に係る商標権(以下「本件商標権」という。)についての専用使用権の登録の事実は存在しないから、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、専用使用権者が本件請求に係る指定商品について、本件商標を使用したとは認められない。
イ 被請求人である株式会社ワンズハート(以下「ワンズハート」という。)は、平成15年11月14日付け商標使用契約書(乙第1号証)を提出し、本件商標の使用を株式会社マイクロクロス社(以下「マイクロクロス社」という。)に一任し、本件商標の専使用契約をした旨主張する。
しかし、専用使用権者が存在しなかったことは前述のとおりである。また、本件審判の請求の登録前3年以内において、本件商標権についての通常使用権の登録の事実も存在しない。
さらに、乙第1号証は、ワンズハートとマイクロクロス社との契約であるが、平成15年11月14日当時、本件商標権は、ワンズハートと桑田雅高の共有に係るものであったにもかかわらず、ワンズハートは、他の共有者である桑田雅高の同意を得ないで、本件商標権について他人に通常使用権を許諾したことになり、マイクロクロス社に対する(通常)商標使用権を許諾する前記契約は、有効に成立していたと認めることはできない(商標法第35条で準用する特許法第73条2項(審決注:「特許法第73条3項」の誤記と認める。))。
したがって、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品について、本件商標を使用したと認めることはできない。
(2)取引書類について
乙第3号証、乙第6号証、乙第8号証の1及び2は、マイクロクロス社に対する「商品手配のお願い」の文書であり、乙第8号証の3及び4は、マイクロクロス社に対する「マイクロクロス注文のお願い」の文書であるが、いずれも作成者が明示されていない。また、乙第7号証及び乙第9号証の1ないし4は、マイクロクロス社の納品書であるが、いずれも納品先が明示されていない。したがって、これらは、証拠価値を欠く。
請求人は、その内容を調査することもできず、審判又は裁判において、作成者又は納品先に対し証人尋問を行うこともできない。
また、乙第3号証、乙第6号証及び乙第8号証の1?4は、マイクロクロス社が本件商標を使用したことを示すものではないし、乙第3号証、乙第6号証ないし乙第9号証の1?4には、本件請求に係る指定商品についての記載がない。
したがって、乙第3号証、乙第6号証ないし乙第9号証の1?4は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品について本件商標を使用したことを示すものではない。
(3)使用商標について
被請求人は、本件使用に係る商品(以下「使用商品」という。)について、商品の包装袋(以下「本件包装袋」という、乙第4号証の1ないし3)及び商品の写真(乙第5号証の1ないし3)を提出している。
しかしながら、本件包装袋に表示されている商標は、「MICRO CLOTH」(以下「使用商標」という。)であって、本件商標は使用されていない。すなわち、本件商標は、「マイクロクロス」の称呼を生じると共に、「マイクロ」から「微小な」又は「超小型の」という観念が生じ、「クロス」からは「交差」、「布」、「接近した」等の観念が生じるのに対し、使用商標は、「微」等を意味する「MICRO」と「布」等を意味する「CLOTH」の文字からなり、「ミクロクロース」、「マイクロクロース」、「ミクロクロス」又は「マイクロクロス」の称呼を生ずるものである。なお、本件包装袋の裏面に「マイクロクロス」の文字が用いられているが、これらは、その字体、字の大きさ及び字の色からみても、商品内容説明文中での使用にすぎないので、商標として使用されているものではない。
また、同様に、商品に付されたタグにも「MICRO CLOTH」が表示され、本件商標は使用されていない。
(4)使用商品について
被請求人は、本件包装袋には、商品の用途として、「ふきん」の文字が表示されている旨主張するが、その主張は、以下の理由により認められない。
ア 乙第4号証の1及び2によれば、本件包装袋の表面に、縁部に着色剤の脱落等の切り抜き時の乱れが認められる赤地楕円片が貼り付けれられ、その赤地楕円片に「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」という文字が記載され、そのうち「食器類のふきん」が特に目立つ態様の文字で表されている。
ところが、本件包装袋には、「ふきん」に関する記載は一切なく、むしろ、本件包装袋の表面の上部に表示された「Make it clean」、並びに、本件包装袋の裏面における上部の「Make it clean」、「洗剤いらず水でサッと拭くだけ/・・お家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り除きます。/・・あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」、「ご使用用途」欄における「キッチンまわりの油汚れ/鏡・窓ガラスのくもり/たたみ・家具類等のほこり/お風呂の湯あか/フローリング・網戸の汚れ」等の表示からみると、対象とする使用商品は、台所、窓ガラス、家具、浴室、床、網戸等の汚れを拭き取るための雑巾類であると認められる。
スーパー・ニッポニカ第1版「Professional for Windows」の「ふきん」の項目(甲第1号証)には、「食器をふいたり、食物を濾(こ)したり、あるいは蒸すときなどに用いる布。・・大きさは35センチ×45センチのものが一般的で・・湿っているふきんは細菌がつきやすく、増殖もしやすいので、石けんや台所用洗剤で汚れを落としてから、煮沸または台所用漂白剤などで消毒殺菌し、日光に当ててよく乾かすことがたいせつである。」と記載され、ふきんは、衛生面が極めて重視される。
したがって、台所、窓ガラス、家具、浴室、床、網戸等の汚れを拭き取るための雑巾類として用いられる商品について、食器類の「ふきん」にも最適であると表示して販売することは通常考えられず、本件包装袋の表面に貼り付けられた赤地楕円片にのみ、特に目立つ態様の文字で、「食器類のふきん」が記載されている点は、極めて不自然である。
イ 被請求人は、使用商品の色及びサイズについて、ブルーであり、21cm×35cmであると主張する。
しかしながら、汚れが目立ちにくい色であるブルーは、衛生面が極めて重視される「ふきん」の色として適切とは言い難く、また、その大きさにしても、一般的大きさである35センチ×45センチ(甲第1号証)の半分以下であるから、使用商品は、「ふきん」として最適であるとは言い難い。
ウ 被請求人は、使用商品について、消費者は「ふきん」として使用していると取引先から聞いていると主張する。
(ア)ここで、大和ハウス工業株式会社(以下「大和ハウス工業」という。)の業務に係るハウスキーピングセット(甲第2号証)について説明すると以下のとおりである。
(a)上記ハウスキーピングセットには、甲第3号証に示す布(以下「他社商品」という。)が含まれているところ、その包装袋(以下「他社包装袋」という。)は、本件包装袋に表示されている「MICRO CLOTH」の文字の箇所に「ROYAL CLOTH」の文字が表示されている点、本件包装袋の表面の下は、塗りつぶされているのに対し、他社包装袋の表面の下には、「Daiwa House Group」が表示され、また、同表面の上にも「Daiwa House/Group」及び図形が表示されている点、本件包装袋の裏面にある2箇所の「マイクロクロス」の文字が、他社包装袋の裏面においては「ロイヤルクロス」と記載されている点、本件包装袋の表面にある「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片が他社包装袋の表面にはない点及び本件包装袋の裏面右下部にある販売窓口が塗りつぶされているのに対し、他社包装袋の裏面右下部にある販売窓口が「ロイヤルホームセンター(株)特販課」と記載されている点において相違するが、それ以外は、本件包装袋とほぼ同一であり、また、他社商品の色及びサイズは、ブルーであり、21cm×35cmである。
(b)上記ハウスキーピングセットに同梱された説明書(甲第4号証)中の「ハウスキーピングセット明細」の「No.8」に、「商品名/MICRO CLOTH」、「用途/ハイテク繊維の力で水拭きだけで汚れを落とす便利なダスターです。カラ拭きでも使えます。洗って繰り返し使えます。」と記載され、「お問い合わせ先」として、「ロイヤルホームセンター(株)特販課 TEL06-6342-1684」と記載されている。
(c)電話聴取記録(甲第5号証)
上記ハウスキーピングセット、他社商品及び他社包装袋に関し、上記(b)の問い合わせ先に平成19年2月22日に電話で問い合わせたところ、甲第5号証のとおりの回答が得られた。その概要は、以下のとおりである。
ハウスキーピングセットに同梱の説明書中「ハウスキーピングセット明細」の「No.8」に記載の「MICRO CLOTH」に関しては、他社商品のタグ、他社包装袋の記載の一部を変更したにもかかわらず、ハウスキーピングセットに同梱の説明書は、以前のものを引き続き使用しているためである。すなわち、以前は、現在の他社商品のメーカーと同じメーカーであるマイクロクロス社が製造した商品のタグに、「ROYAL CLOTH」ではなく、「MICRO CLOTH」と記載されており、また、以前の他社包装袋は、表面上部及び裏面上部に「ROYAL CLOTH」ではなく、「MICRO CLOTH」と記載され、裏面の説明文における「ロイヤルクロス」は「マイクロクロス」と記載され、「Daiwa House Group」の表示はなかった。そして、他社商品の用途は、ふきんではなく、雑巾類である。
(d)以上のことから、現在の大和ハウス工業のハウスキーピングセットには、マイクロクロス社が製造した商品が含まれ、他社商品は、タグ以外は乙第5号証の1ないし3の商品と同じものであり、他社包装袋は、上記(a)で示した相違点を除き、本件包装袋とほぼ同一である。一方、以前の大和ハウス工業のハウスキーピングセットにも、マイクロクロス社が製造した商品が含まれていた。
以前の他社商品は、乙第5号証の1ないし3の商品と同等のものであり、また、以前の他社包装袋は、本件包装袋と同等のものであると認められ、ふきんの用途に関する記載、すなわち、本件包装袋の表面に貼り付けられた「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片は存在しなかったものと認められる。そして、現在及び以前の他社商品は、最終消費者がふきんの用途に用いたとは認められない。
(イ)したがって、本件包装袋には、「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片が貼り付けれられていたとは認められず、使用商品を最終消費者がふきんの用途に用いていたとも認められない。
また、本件包装袋を用いた商品が、本件審判の請求の登録前3年以内において何れかの者に譲渡されていたという事実は、乙第4号証の1ないし3並びに他の乙号証の何れにも示されていない。
(ウ)2007 Gift collectionカタログ(乙第11号証、乙第12号証の1及び2)に”おそうじセット”の構成物として記載されている”ROYAL CLOTH”の包装袋においても、甲第3号証に示される包装袋と同様に、「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と記載された赤地楕円片は貼り付けれられておらず、同カタログ中の説明文には”ROYAL CLOTH”について「水拭き・カラ拭き用クロス」と記載されており、「ふきん」(食器をふいたり、食物を濾したり、あるいは蒸すときなどに用いる布)としての用途についての記載はない。そもそも、”おそうじセット”に「ふきん」が含まれることは通常ありえない。
(5)むすび
よって、仮にマイクロクロス社が本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標権について通常使用権を有していたとしても、請求に係る指定商品について本件商標を使用していたとは認められないから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが「ふきん」について本件商標の使用をしていたことを証明したものとはとは認められず、また、使用していないことについての正当な理由も認められないので、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標権について
本件商標権は、被請求人であるワンズハートと桑田雅高両者の所有であった。
桑田雅高は、平成18年11月22日付け商標権移転登録申請書(乙第2号証)をもって、本件商標権をワンズハートに譲渡した。
2 使用権者について
マイクロクロス社は、平成15年6月24日に設立された会社であり、本件商標の使用を一任され、本件商標について、専使用契約をしている(乙第1号証)。
3 使用の事実
(1)マイクロクロス社は、取引先より、平成16年8月9日付け商品取引開始依頼書(乙第3号証)を受け、商品名を「マイクロクロス」とする商品(使用商品)の供給を行う約束をした。
(2)本件包装袋は、乙第4号証の1ないし3に示すとおりである。
本件包装袋の裏面の「ご使用用途」には、「ふきん」と記載してないが、本件包装袋の表面には商品名「マイクロクロス」、「ふきん」と表示してある。また、上記「ご使用用途」には、「キッチンまわりの油汚れ」等とのみ記載してあるが、消費者は、「ふきん」として使用をしていると、取引先から聞いている。
使用商品は、乙第5号証の1ないし3に示すとおりであり、そのサイズ・色は、21cm×35cmで、ブルーである。また、使用商品の裏面に付されたタグには、表面には、取引先の「ロゴ」が、裏面には「マイクロクロス」の商標が縫込んである。
(3)マイクロクロス社は、取引先より、平成16年9月8日付けの発注書(乙第6号証)を受けて、2004年10月6日付け納品書(乙第7号証)にて、商品名「マイクロクロス 21cm×35cm ブル-」の供給をした。
マイクロクロス社は、現在も継続して商品名「マイクロクロス」の発注(乙第8号証の1ないし4)を受け、商品の納入(乙第9号証の1ないし4)を行っている。
4 弁駁に対する答弁
(1)商標権共有者について
商標権共有者であった桑田雅高はワンズハートとマイクロクロス社の間で交わした、商標使用契約書に桑田雅高所有の権利範囲内全てを、ワンズハート同様に許諾同意している(平成19年2月10付け 同意追認書 乙第10号証)。
上記の様に桑田雅高の同意が有ることから、通常使用権者が存在していたこととなる。
(2)商品「マイクロクロス」について
ア 弁駁書3ページ8行目以降
乙3号証以下に述べているとおり、発注企業からマイクロクロス社宛の商品名「マイクロクロス」ブルーの注文であり、現実に商品を製造し納品していることの証明である。
イ 弁駁書4ページ2行目以降
本件包装袋に印刷している「MICRO CLOTH」の商標は、和文読みすれば常識的に「マイクロクロス」と読むものである。また、本件包装袋裏面2ヶ所にはカタカナで「マイクロクロス」と表記して有る。
ウ 弁駁書5ページ5行目以降
本件包装袋表面の赤地楕円形には明確に「キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適」と表記しているとおり、「ふきん」としての用途での商品を製造し納品したものである。
エ 一般的なふきん
被請求人が製造し販売している商品は、被請求人と発注企業の間に於いて考慮したうえで、商品サイズ及び製品色を決定したものである。「ふきん」が白色で無ければならないという、一般常識まかりとおっているわけでもなく、法律やJIS規格において「白色」以外の「ふきん」を販売することが禁止されている事実はない。
「ふきん」がブルーであれば、雑菌や細菌が繁殖する事を防ぐ事は不可能であり不衛生である等、請求人は述べているが、雑菌や細菌は肉眼では見えないものでる。
(3)請求人の主張する、「マイクロクロス」が雑巾類であるとするならば
ア 一般的に市場で販売している「タオル」は手又は顔などを拭く以外の使用を消費者はしていないこととなる、現実的にはそれ以外での使用の方が多く見かけられる。また「バスタオル」は入浴後に頭などを拭く以外の使用を消費者はしていないこととなるが、ガソリンスタンド等では洗車後バスタオルで水分を拭き取る様な行為を良く見かける。以上の様に、請求人の主張からすれば一般的に市場で販売されている「タオル」または「バスタオル」等の製品は、は雑巾類となってしまう。
イ 被請求人の製造販売している「マイクロクロス」の本件包装袋、乙第4号証の1(表面)上部には商品名 MICRO CLOTH と...Make it clean.及び発注企業様名の印刷であり、赤色楕円形(キッチンの油汚れや食器類のふきんに最適)シールを貼って有る。乙第4号証の3(裏面)上部には商品名 MICRO CLOTHと...Make it clean.の印刷の下部には、洗剤いらず水でサッと拭くだけ???、マイクロクロスが???、マイクロクロスは表面と裏面の???やご使用用途、ご使用上の注意等の印刷をしている本件包装袋で有るが請求人の主張している「マイクロクロス」はあたかも雑巾類で有り、食器類の「ふきん」には適していない等と、憶測で繰り返し主張しているが、被請求人の本件包装袋には《雑巾》なる言葉は一切印刷されてはいない。被請求人の製品を入手した消費者がどのように使用するかは、本件包装袋裏面に印刷してある《ご使用用途》を参考に消費者個人の選択において使用するものであり、請求人が自分勝手に妄想や憶測で判断することではない。マイクロクロス社は「マイクロクロス』ブルーを「ふきん」として製造し納品しているのであり、《雑巾類》として納品しているわけではない。
(4)請求人弁駁書6ページ(a)以降、大和ハウス工業のハウスキーピングセット以降明記されていることについて
大和ハウス工業の子会社であるロイヤルホームセンター株式会社営業本部特版事業部担当者宮本の回答と記されている件で、被請求人は、特販事業部事業本部長と担当者宮本氏と被請求人3者にて面談を行った。被請求人は、事業本部長と宮本氏に対して、請求人からの弁駁書に書かれていることについて質問をした。
宮本氏は、ア『以前、山崎産業株式会社、光永よりロイヤルホームセンター株式会社に電話があり、電話応対に出た者に対して、Gift collectionのカタログ内に記載してあることについての質問の電話が有ったことから、担当である私、宮本が電話の応対に出た』イ『山崎産業株式会社にはロイヤルホームセンター株式会社が、Gift collectionのカタログ内に記載してある【おそうじセット】の詰め込み作業依頼をしている業者であることから、山崎産業株式会社、光永からの電話での問い合わせに応対した』。
その電話の内容については『2007 Gift collectionのカタログ(乙第11号証)内に記載してある【おそうじセット】についての質問の電話で有った』。
電話での問い合わせ内容は以下で有る。
『甲第4号証 2枚目右下に記載のNo7 No8のことについてである』『甲第4号証 2枚目右下に記載のNo7 No8の右側に記載の用途部分には、くハイテク繊維の力で水拭きだけで汚れを落とす便利なダスターです。カラ拭きでも使えます。洗って繰り返し使えます〉』と表記してあるが、『2007 Gift collectionのカタログ内P31では(乙第12号証の1)【おそうじセット】右上部に記載してある【1?9の説明書】の7、8の右側には〈水拭き・カラ拭き用クロス〉(乙第12号証の2)と表記されているのだが、【おそうじセット】に同梱するパンフレット(甲第4号証)と2007 Gift collectionのカタログ(乙第12号証の1)内P31の表記との違いについて』『No7 No8は同じではないがそれでも良いのか?』とパンフレットとカタログの説明書の違いについての問い合わせを、山崎産業株式会社、光永という人物から受けたと記憶していると、宮本氏は答えた。『また、山崎産業株式会社、光永からの問い合わせはパンフレットとカタログの説明書の違いについてであり、甲第5号証のような問い合わせではなかった。甲第5号証のような問い合わせには電話での受け答えではなく、普通は面談にてお答えしている内容であり、電話の件で山崎産業株式会社 光永にはお会いして面談でお話をした覚えは無い』。
『甲第2号証のバケツに記載している、ダイワハウスのロゴ入りバケツは現在販売していない商品であり、現在はダイワハウスとブルーのロゴ入りで記載したバケツを販売している』。
(5)宮本氏は甲第5号証について
ア『甲第5号証 1.2.は記載のとおり答えたが覚えが有る、しかし、3.4.のようには答えていない。特に4.に記載してある「マイクロクロスを「ふきん」の用途には使用しないでほしい等ということは言っていない』イ『山崎産業株式会社、光永からの電話での問い合わせの目的は、【おそうじセット】に同梱するパンフレット(甲第4号証)と2007 Gift collectionのカタログ(乙第12号証の1)内P31の表記との違いについて』パンフレットとカタログの説明書の違いについての問い合わせであり、商品「マイクロクロス」に対する質問ではなかったことから、甲第5号証 3.4.のようには、一切答えてはいない』と宮本氏は回答した。
5 むすび
したがって、本件商標の登録は、指定商品中の「ふきん」について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

第4 当審の判断
1 使用権者について
(1)本件商標の商標登録原簿によれば、本件商標権は、その権利者を広島県福山市西深津町2-12-7に所在の桑田雅高及び大阪府大阪市北区西天満4丁目12-11 プラザ梅新別館601号に所在のワンズハート(被請求人)の共有に係るものとして、平成15年9月5日に設定登録され、その後、特定承継による商標権の持分移転により、桑田雅高の持分がワンズハートに移転され、その登録が平成19年2月6日にされたことが認められる。
(2)商標使用契約書(乙第1号証)によれば、その前文に「株式会社ワンズハート(甲)の取得している下記記載の商標の使用を株式会社マイクロクロス社(乙)と専属的に契約を結び、全ての権利を株式会社マイクロクロス社に一任します。」と記載され、その下に、本件商標の登録番号、商品区分などとともに、契約の締結日である「平成15年11月14日」が記載されている。さらに、「(甲)」として、ワンズハート及びその代表取締役である大村隆秀、ワンズハートの住所、並びに「(乙)」として、マイクロクロス社及びその代表取締役である大村隆秀、マイクロクロス社の住所が記載されている。
(3)同意追認書(乙第10号証)によれば、ワンズハートの住所並びにワンズハート及びその代表取締役である大村隆秀、本件の登録番号などが記載され、その下に、上記両商標権は平成15年11月当時、貴社と私との共有であったところ、貴社が平成15年11月14日付けの商標使用契約書に基づいてマイクロクロス社に範囲を全部とする独占的使用権を許諾したことに関し、同許諾に同意していたことに相違なく、ここに追認いたします。平成19年2月10日、住所及び氏名、桑田雅高が記載されている。
(4)前記(1)ないし(3)を総合すれば、ワンズハートとマイクロクロス社との間で締結した商標使用契約書(乙第1号証)については、共有者であった桑田雅高が同意追認書(乙第10号証)において許諾同意していることから、マイクロクロス社は、本件商標の通常使用権者であるといい得るものである。
2 次に、使用商品が本件請求に係る指定商品に該当するものであるか否かについて検討する。
(1)乙第4号証の1ないし乙第5号証の3によれば、以下の事実が認められる。
ア 本件包装袋の表面には、上段に大きな文字で「MICRO CLOTH」と表示され、その下に、小さな文字で「...Make it clean.」と書され、さらに、これらの文字の左下に、赤地の横長楕円図形内に、「キッチンの」、「油汚れや食器類の」、「ふきんに最適」の各文字を三段に横書きした標章が配されているところ、上記「食器類」と「ふきん」の文字部分は、いずれも黄色で縁取りされ、看者の注意を強く引く態様で表されている(乙第4号証の1及び2)。
また、本件包装袋の裏面には、表面と同様に、上段に大きな文字で「MICRO CLOTH」と表示され、その下に、小さな文字で「...Make it clean.」と書されている。これらの文字の下の「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」の箇所には、「髪の毛の100分の1の超極細繊維マイクロクロスがお家の中のさまざまな場所の汚れを簡単に取り除きます。/マイクロクロスは表面と裏面の毛足の長さを変える事により、あらゆる場所の汚れに対応出来ます。」などと記載され、また、中段の「ご使用用途」には、「キッチンまわりの油汚れ/鏡・窓ガラスのくもり/たたみ・家具類等のほこり/お風呂の湯あか/フローリング・網戸の汚れ」と記載され、その下の「ご使用上の注意」には、「漆製品等にはご使用にならないで下さい。表面にキズが付く場合があります。拭き取り面を傷付けないために、砂やほこり等は払ってからご使用下さい。無理にこすると表面に傷が付くおそれがあります」などと記載されている。さらに、最下段に「材質/ポリエステル70% ナイロン30%」と記載されている(乙第4号証の3)。
イ 使用商品は、青色であり、「MICRO CLOTH」の文字が表示されたタグが縫いつけられている(乙第5号証の1ないし3)。
(2)甲第1号証によれば、ふきんは、「食器をふいたり、食物を濾(こ)したり、あるいは蒸すときなどに用いる布。普通食卓や調理台をふく台ぶきんとは区別している。」ものであり、「大きさは35センチ×45センチのものが一般的で、材質には木綿のほかに麻、混紡(綿と麻、綿とレーヨン、綿とポリージック)、不織布、使い捨てのペーパータオルなどもある。吸水性があってけば立たず、手や器によくなじむしなやかさのあるもの、また乾きやすくてじょうぶなものが使いやすく」と記載されている。
(3)前記(1)及び(2)で認定した事実によれば、使用商品に関し、本件包装袋の表面には、看者の注意を強く引く態様で、「食器類のふきんに最適」などと記載されているにもかかわらず、本件包装袋の裏面の「ご使用用途」には、「食器類のふきん」の文字が全く記載されていない。一般的に、商品の用途として最適であるものについては、当該商品の用途として、何はさておいても最初に掲げるべきであるところ、本件包装袋の裏面の「ご使用用途」にふきんについての記載がないということは、本件包装袋の表面に表示された上記「食器類のふきんに最適」などの文字を含む赤地の横長楕円図形の表示は、きわめて不自然なものといわざるを得ない。
また、本件包装袋の裏面に「洗剤いらず水でサッと拭くだけ」と記載されているが、一般的に、ふきんは、洗剤も水もつけず、乾いた状態で食器類を拭くものであるし、食器類の汚れを落とすものではない。さらに、ふきんの材質は、前記(2)のとおり、吸水性があり、手や器になじむしなやかさのあるものが使いやすさの点から求められるところ、使用商品の材質は、ポリエステル70% ナイロン30%であり、決して吸水性があり、手や器になじむしなやかさのある材質とは言い難い。そして、本件包装袋の裏面に書されたその他の文言からみても、使用商品がふきんに最適であるとは到底認めることができない。
したがって、本件包装袋の表面に「ふきん」の文字が表示されているとしても、これのみをもってしては、使用商品が本件請求に係る指定商品に該当するということはできない。
また、乙第4号証の1ないし3には、発行年月日の記載もなく不明である。さらに、乙第3号証、乙第6号証、乙第8号証の1及び2は、マイクロクロス社に対する「商品手配のお願い」の依頼書及び発注書であり、又、乙第8号証の3及び4は、マイクロクロス社に対する「マイクロクロス注文のお願い」の発注書であるが、これらの乙各号証には、いずれも作成者が明示されていない。
また、乙第7号証及び乙第9号証の1ないし4は、マイクロクロス社の納品書であるが、いずれも納品先が明示されていない。しかも、乙第3号証、乙第6号証ないし乙第9号証の1ないし4には、本件請求に係る指定商品についての記載が一切ない。
3 むすび
以上のとおり提出に係る証拠によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「ふきん」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-09-21 
結審通知日 2007-09-28 
審決日 2007-10-15 
出願番号 商願2002-92094(T2002-92094) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y24)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石井 千里 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 鈴木 新五
寺光 幸子
登録日 2003-09-05 
登録番号 商標登録第4706725号(T4706725) 
商標の称呼 マイクロクロス、マイクロ 

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