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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y11
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y11
管理番号 1180998 
審判番号 不服2006-27957 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-12-12 
確定日 2008-06-18 
事件の表示 商願2005-122646拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「マルチインバーターチラー」の文字を標準文字で書してなり、第11類に属する「冷凍機械器具,暖冷房装置」を指定商品として、平成17年12月28日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、『多数の、種々の』に通ずる『マルチ(multi)』と、『変換器、ルームクーラーなどで使われる周波数制御装置』に通ずる『インバーター(inverter)』と、『冷却装置』等の意を有する『チラー(chiller)』とを結合した『マルチインバーターチラー』の文字を標準文字で書してなるところ、インバーターを搭載してモーターの回転数を制御することにより、節電、省エネルギー効果を有する冷却装置を『インバーターチラー』と称し、取引されている実情が見受けられることからすれば、本願商標は、全体として『種々のインバーター機能を有する冷却装置』程度の意味合いを容易に理解させ、特別別異の意味合いを理解させるものとは認められない。そうとすると、これを、指定商品中、上記文字に相応する商品に使用しても、商品の品質(機能)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記に示すとおり、本願商標を構成する「マルチ」、「インバーター」、「チラー」等の語が商品の品質(構造)表示として使用されている事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。

第1 本願商標は、「マルチインバーターチラー」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、本願商標を構成する「マルチ」「インバーター」「チラー」の文字に関して行った証拠調べによれば、以下の事実が認められる(下線は、当審判合議体によるもの)。
1.Yahoo!JAPAN辞書によれば、以下の記載事実が認められる。
(1)マルチ【multi】
[形動]数量や種類の多いさま。いくつかの要素が合わさっているさま。多く、他の語の上に付いて複合語をつくる。「?な機能をもつ電話機」「?カラー」「?人間」
(2)マルチウインドー【multiwindow】
コンピューターのディスプレー画面に複数の小画面を出し、小画面ごとに別々の情報を表示する方式。
(3)インバーター【inverter】
(ア)直流電力を交流電力に変換する装置。逆変換装置。→コンバーター
(イ)コンピューターの論理回路の一。入力情報を論理的に否定する操作を行う電子回路。
(4)Chiller【チラー】
冷たくする人[物], 寒けを起こさせる人[物];冷却装置;冷却室係.
2.Yahoo!JAPAN家電ナビにれば、以下の記載事実が認められる。
(1)マルチタスク (multitasking)
別名multi-process(マルチプロセス)、multi-programming(マルチプログラミング)
1台のコンピュータで同時に複数の処理を並行して行なうOSの機能。CPUの処理時間を非常に短い単位に分割し、複数のアプリケーションソフトに順番に割り当てることによって、複数の処理を同時に行っているようにみせているため、多くのアプリケーションソフトを同時に起動すれば、その分だけ個々のアプリケーションソフトの動作は遅くなる。MS-DOSなどのように同時に1つのアプリケーションソフトしか起動できないOSはシングルタスクOSと呼ばれる。 UNIXやWindows、Mac OSなどはマルチタスクOSである。CPUの実行権限をすべてOSが管理し、強制的に処理の切り替えを行なう方式をプリエンプティブマルチタスクと呼び、処理の切り替えが個々のアプリケーションソフトに任されている方式をノンプリエンプティブマルチタスクという。
(2)マルチプラットフォーム (multi-platform)
別名クロスプラットフォーム、cross platform
アプリケーションソフトが複数のOSに対応していること。また、OSが複数のハードウェアに対応していること。例えばMicrosoft社のWindows NTは、Intel社のx86系プロセッサを搭載したコンピュータだけでなく、Compaq社のAlphaプロセッサを搭載したコンピュータでも動作するため、マルチプラットフォーム対応である。ネットワークについてマルチプラットフォームであると言う場合は、WindowsとMacintoshなど、異なる種類のコンピュータを1つのネットワークの中に混在させることができることを言う。
(3)マルチスレッド (multi-thread)
1つのアプリケーションソフトがスレッドと呼ばれる処理単位を複数生成し、並行して複数の処理を行なうこと。いわばアプリケーションソフト内でのマルチタスク処理。マルチタスクと同じように、CPUの処理時間を非常に短い単位に分割し、複数のスレッドに順番に割り当てることによって、複数の処理を同時に行っているようにみせている。
3.インターネット情報によれば、以下の記載事実が認められる。
(1)「一定速とインバータの違い」(http://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/history/tech_02.html)
エアコンの能力を決めるのは冷媒の循環量。圧縮機モーターの回転数を高めればハイパワーが発揮でき、低速回転にすれば省エネになります。しかし初期のエアコンは、圧縮機モーターの回転数が一定。高速回転も低速回転もできないため、パワーは低く、電気代は高くなっていました。そこで生まれたのが、圧縮機モーターの回転数を自由に変えられるインバーター。スタート時は高速回転で素早く設定温度に、設定温度に達したら低速回転で温度をキープし、快適性と省エネを大幅に向上させました。
インバーターというのは、周波数変換装置のことです。エアコンはコンプレッサー(圧縮機)の周波数を変えて冷暖房の能力を調節しています。このインバーターによって自動的にパワーコントロールが可能になり無駄な運転を抑えたため、省エネとなりました。日立では、他メーカーがインバーターに交流方式を採用していたのに対し、いち早く直流方式を採用。
今ではほとんどのメーカーが直流方式になっています。
(2)「高性能半密閉インバータスクリュー圧縮機」(http://www.kobelco.co.jp/p109/hem/hem17.htm)
(ア)圧縮機性能を極限まで高めました。
(イ)圧縮機をインバータモータ駆動とし、全負荷性能及び部分負荷性能の大幅な向上を図りました。
(ウ)圧縮機軸受部にスラスト転がり軸受を配置、さらにバランスピストン設置によりスラスト力を低減、標準オーバーホールインターバルの長寿命化を達成しました。
(エ)モータを内蔵した半密閉タイプの為、冷媒漏れのない構造です。
(3)「空冷式スクロール」(インバーター)(http://www.hitachi-ap.co.jp/products/business/ac/chiller/air/inverter/index.html)
新たに採用したインバーター制御、R410A冷媒に適した新型DCスクロール圧縮機とDCファンモーターの高効率運転により大幅なCOPの向上を実現。 業界トップ*の冷却COP3.0(5馬力)を達成しました。これにより、システム全体として年間消費電力を約30%削減することができます。
(4)「既設スクロール冷凍機用インバーター制御ユニット」(http://www.hitachi-ap.co.jp/products/business/low/scroll/inverter/index.html)
おすすめポイント
(ア)省エネルギー:年間で約20%の省エネルギーユニット
(イ)高鮮度管理:インバーター制御で安定した温度管理
(ウ)簡単工事:現地でインバーター制御ユニットを取り付けるだけの簡単工事(機器取付、配線工事)
(5)空冷一体形パッケージエアコン「シングルエース」インバータータイプの発売について(http://www.toshiba-carrier.co.jp/press/2005/05_12_21.htm)
-業界最大80kW(30馬力相当)の大容量機種をラインアップ-
2005年12月21日
東芝キヤリア空調システムズ株式会社
新製品の主な特長
(ア)トップクラスの省エネ性
冷媒には、オゾン層破壊係数ゼロで、高い冷凍能力を持つ新冷媒R410Aを採用し、最新のインバーター制御との組合せにより高効率運転を実現するダブルDCツインロータリーコンプレッサーを搭載することにより、設備用パッケージエアコンとしてはトップクラスのCOP 3.57*1を達成しました。また、全ての能力ランクにおいて改正省エネ法で定められたエネルギー消費効率の基準値をクリアしています。*1:40.0kWクラス(冷暖平均COP 50Hz)の場合。
(イ)快適性
デュアルインバーターシステムは、2台のインバーターコンプレッサーを1台のように同時運転し、能力可変範囲が広く、きめ細かな温度制御とパワフルな暖房を実現しています。
(6)DCU-Vファーストインバータチラーキング(http://www.firstline.jp/product/dcuv.html)
インバーター冷凍機採用 地球環境・省エネ貢献
用途
◆製麺 ・製品冷却・練り込み水冷却・冷凍前の予冷
◆漬物 ・惣菜・野菜洗浄水冷却・調味液冷却・パック製品冷却
◆醸造 ・仕込水冷却・醗酵温度管理・製品の冷却、低温貯蔵
◆豆腐 ・製品冷却・大豆浸漬水冷却
◆飲料 ・原料水の冷却
◆乳業 ・乳製品・原料液冷却・パック製品冷却
◆製菓 ・製パン・練り込み水冷却
(7)省エネDCインバータチラー/RKEシリーズ(空冷式・水冷式)(http://www.labinox.co.jp/item_orion_02.html)
o 独自開発の専用インバータドライバ&新開発専用コントローラ
o 独自冷凍サイクル最適化制御運転を実現
o 従来機100%負荷時と比較し30%、最大65%の省エネが可能(同社従来機)
o 高精度制御±0.1℃を実現(負荷・周囲温度安定時)
o 液温制御範囲は+5?35℃とワイド
o 超コンパクト設計&ハイスペックデザイン
o 水槽を上側に配置しており水槽内の清掃が簡単
o PC通信でチラーの運転・監視が可能
(8)インバーターチラーユニット(http://www.hitachi-ap.co.jp/products/business/ac/chiller/pi-100.html#gl)
インバーター制御、新型DCスクロール圧縮機などの先進技術の搭載とオゾン破壊係数ゼロの新冷媒R410Aの採用で、産業用冷却の分野における「快適な作業環境づくり」「トータルコストの削減」「環境にやさしい設備の導入」の3つの課題をクリア。
(9)ビル空調用高性能インバーターマルチエアコンを投入
業界最高水準のコンパクト設計(http://www.mhi.co.jp/news/story/200709044624.html)
三菱重工業は、業界最高水準のコンパクト化を実現した新型ビル空調用インバーターエアコン「ハイパーマルチLX(Hyper Multi LX)」シリーズを12月より順次発売します。当社独自の3Dスクロールコンプレッサーの搭載(12馬力)や、マルチ業界初の横吹き仕様(8?12馬力)の採用などにより、8?12馬力で据付け面積を半減(当社従来機比)するなど、コンパクト設計にトコトンこだわった新シリーズです。当社は大規模ビルから中小ビルまで幅広く拡販していく考えで、従来シリーズ比10%アップの売上げを見込んでいます。
ビル空調用インバーターエアコン「ハイパーマルチLX(Hyper Multi LX)」室外ユニット新規投入の4馬力回投入するハイパーマルチLXは、P112(4馬力)?P1360(48馬力)の計23機種です。従来シリーズにはなかった4馬力を新たにラインナップするとともに、5?12馬力をフルモデルチェンジ。また、全機種に新たな制御方式(SUPERLINK II)を導入して、スーパーリンク1系統あたりの接続台数の大幅アップと通信距離・速度の飛躍的な延長と向上をはかっています。
省エネ性に優れたDCインバーターマルチエアコンのラインアップ強化
(10)6馬力8室、2馬力2室インバーターマルチエアコンを新発売(http://www.fujitsu-general.com/jp/news/2004/03/03-N10-38/index.html)
「6馬力8室インバーターマルチエアコン」は、DCインバーター制御とスクロールコンプレッサーの採用により、冷房・暖房時ともに業界トップレベルの省エネ運転を実現しました。また、室外機サイズは業界トップレベルのコンパクト化・省スペース化を実現し、ビル、住宅への設置性を大幅に向上しております。さらに、当社独自の配管分流方式と渡り配線方式により、配管、配線工事の大幅な効率化を実現しております。室内機は、天井カセットタイプ、ダクトタイプ、壁掛けタイプの各種タイプを最大8台まで接続可能です。
「2馬力2室インバーターマルチエアコン」は、PAM制御、DCツインロータリーコンプレッサーの採用により、欧州エネルギーラベル表示で最高のAランク基準値を達成しました。また、室外機は、集合住宅、戸建て住宅などへの設置性に優れたコンパクト設計としました。室内機は、今回の壁掛けタイプに加え、今後、天井カセットタイプ、ダクトタイプ、床置きタイプ等のラインアップを順次発売いたします。
(11)「高効率ビル用マルチエアコン」(http://www.toshiba.co.jp/tech/review/2004/05/59_05pdf/f05.pdf)
R410A冷媒の採用
R410A冷媒は,従来のビル用マルチエアコンに採用しているR407C 冷媒に比べ,その冷媒特性から,運転の高効率化,機器のコンパクト化などが図れるというメリットがある(表1)。しかし,R22冷媒に比べ動作圧力が約1.6倍と高く,機器の高耐圧設計が必要になるため,能力が大きいビル用マルチエアコンでは各社ともR407C冷媒を使用してきた。特に,主となる10馬力クラスのコンプレッサは,5馬力クラスより効率が低いうえ,R410A冷媒対応の耐圧設計によりコストアップとなる。そこで,これらの問題を解決するため,当社の5馬力クラス高効率DC(直流)ツインロータリコンプレッサを2台組み合わせることで低コスト化を実現した。
新DCツインロータリコンプレッサ
コンプレッサの効率を向上させるため,モータへの分割マグネットロータ(希土類磁石)採用による渦電流損の低減,圧縮機機構部の部品精度の向上による圧縮ガス漏れ低減などを折り込んだ。この結果,定格能力において従来のツインロータリコンプレッサに対しコンプレッサ総合効率が3%向上,従来モデル搭載のスクロールコンプレッサに対しては20%と大幅に向上した。
AIデュアルインバータシステム
ビル用マルチエアコンは複数台の室外機を組み合わせて大能力システムにする。一般的には,先頭の親機1台にインバータと一定速コンプレッサを搭載し,その他の子機には一定速コンプレッサ2個を搭載する。このシステムでは,空負荷の増減時に一定速コンプレッサの起動・停止によるロスの発生があり,性能悪化要因になっていた。これを,すべての室外機に2個のインバータコンプレッサを搭載するAIデュアルインバータシステムを採用することで解消し,空調負荷増減時のCOP向上を図った。
3.新聞記事情報によれば、以下の記載事実が認められる。
(1)「三菱電機、水冷式ビル用マルチエアコン発売。室内機ごと冷暖房選択」(1992.03.07 日刊工業新聞 6頁)
三菱電機(社長志岐守哉氏)は水冷式スプリット型インバーター二管式冷暖同時マルチエアコン「シティマルチインバータWR2シリーズ」を八月から発売する。同シリーズは二管式の冷媒配管で室内機ごとに自由に冷暖房が選択可能なビル用マルチエアコン「インバータR2シリーズ」の水冷機種。価格は八馬力システムで四百一万円、十馬力システムで四百七十三万五千円。システムは一台の水冷式熱源機に一冷媒回路で最高十台までの室内機が分流コントローラーを経由して接続が可能。また、水配管も冷媒配管も、通常のシステムと同様の二管式で室内機ごとに冷・暖房運転が自由に選択できる。このためロング配管を必要とする超高層ビルや大規模ビル、パワフルな暖房能力を必要とする寒冷地ビルへのシステム導入が可能となる。そのほか(ア)ダブル熱回収システムという独自技術で省エネ性を向上(イ)シンプルなオール二管式で省工事、省スペース化を実現-などの特徴がある。
(2)「東芝キヤリア空調システムズ、消費電力43%削減のエアコン発売」 (2002.02.04 日刊工業新聞 14頁)
東芝キヤリア空調システムズ(東京都品川区大崎1の11の1、豊田洋社長、03・5740・6251)は、従来機に比べ年間エネルギー消費量を43%削減した店舗・オフィス用エアコン「スーパーパワーエコBIG=写真」を発売した。室外機は最大定格冷房能力22・4キロワットと28・0キロワットの2機種で、このクラスで初めてオゾン層破壊係数ゼロの新冷媒R410Aを採用。エネルギー消費効率(COP)も3・60-3・90と業界最高を実現した。
価格は4方向吹き出し天井カセットタイプの室内ユニット2台との組み合わせで室外機22・4キロワットが229万6000円、同28・0キロワットが271万8000円。シリーズ55機種で初年度5000システムの販売を目指す。
二つのコンプレッサーそれぞれにインバーターを搭載した「デュアルインバーターシステム」を採用。コンプレッサー間の油量も自動調節でき、出入りが多く負荷の変化しやすい大店舗でのスムーズな運転制御を可能にした。電気代も日本冷凍空調工業会の試算基準では従来機に比べ、年間7万4000円節約できる。 同社は業務用エアコンへの新冷媒R410Aの採用を進めており、大型クラスの投入で店舗・オフィス用はほぼ出そろった。
(3)「オリオン機械、省エネ・小型の循環式液体冷却装置を発売」
(2005.11.15 日刊工業新聞 9頁)
オリオン機械(長野県須坂市、太田哲郎社長、026・245・1230)は、直流(DC)ツインピストンロータリー圧縮機を搭載した循環式液体冷却装置「DCインバータチラーRKE1500A-V=写真」を、小型戦略機種として12月1日に市場投入する。最大65%の省エネ性、超コンパクト設計が特徴。価格は81万6900円。産業プロセス用チラーとして精密レーザー加工機向けなど年間5000台の販売を見込む。
同機は負荷100%時で30%以上、低負荷時ではホットガスバイバス(HB)制御との比較で最大65%の省エネを達成。本体も体積で同社従来機比58%に小型化した。新冷媒R-410Aを使用。使用液温度範囲は5-35度C、同周囲温度範囲は5-43度Cで、プラスマイナス0・1度Cの液温制御精度を実現した。
同社は3馬力以上の送水設備一体型で、冷凍圧縮機のインバーター制御をシリーズ化。アンロード機構付き圧縮機を搭載したデジタル制御式チラーも発売している。しかし、2馬力以下のチラーはACインバーター制御ではイニシャルコストに見合う省エネ効果が得られないため、同社はDCツインピストンロータリー圧縮機を採用した。
(4)「ダイキンアプライド、インバーターチラーの運転効率を12%向上」(2005.04.20 日刊工業新聞 7頁)
ダイキンアプライドシステムズ(東京都港区、川崎博昭社長、03・6414・5756)は、インバーター空冷ウオーターチリングユニットをモデルチェンジし、6月に発売する。DCモーター化や部品の見直しで運転効率を従来比12%向上。設置面積を約40%削減した。価格は229万9000(5馬力)-1070万円(30馬力)。初年度約1000台の販売を目指す。
空冷チラーは各種生産ラインなどに使用する産業用プロセス冷却機器。特に新製品は小型化や省エネニーズに対応。熱ロスの少ないスクロール圧縮機を高効率なDCモーターで駆動。さらに翼端に発生する渦を抑制する「エアロスパイラルファン」で効率をアップした。新形状の熱交換器の採用で小型化も実現している。
一方、運転効率の指標であるCOPは、競合メーカーとほぼ同じ数値の2・5(8馬力)から2・8(同)に向上。この数値は業界トップになるという。
(5)「富士通ゼネラル、海外市場向けマルチエアコン2タイプ発売」
(2004.03.16 日刊工業新聞 11頁)
【川崎】富士通ゼネラルは海外向けエアコンにDCインバーターマルチエアコンの6馬力8室と2馬力2室の2タイプを近く発売する。現行の3馬力4室タイプと合わせ個人宅から店舗・オフィスまで顧客ニーズへの対応が可能になる。価格は6馬力8室タイプで8000ドル-9000ドル。販売は欧州から取り組みアジア、豪州、中東へと順次拡大していく。
6馬力8室タイプは高級住宅、店舗・オフィスをターゲットに販売。DCインバーター制御とスクロールコンプレッサーの採用でエネルギー消費効率(COP)は冷暖房時3・2、暖房時3・4とともに業界トップクラスを実現した。
冷媒はR410Aを採用。室外機は圧縮機の小型化、熱交換機の高密度化、ファンの改良などで小型化を図った。
04年度に5000台、05年度1万台、06年度2万台の販売を見込む。
一方、2馬力2室タイプはPAM制御、DCツインローターリーコンプレッサーの採用で欧州エネルギーラベル表示で最高のAランク基準を達成。最大能力は冷房7・8キロワット、暖房9・0キロワットを実現したのが特徴。
04年度に1万5000台、05年度2万台、06年度4万台の販売を見込む。
(6)「前川製作所、単機2段スクリュー冷凍機を開発 CO2を大幅削減」 (2007.12.28 日本食糧新聞)
(株)前川製作所(東京都江東区、03・3642・8181)はこのほど、 新型の単機2段スクリュー冷凍機「NewTon3000」を開発した。冷媒にアンモニア(NH3)を使用するとともに、NH3冷媒専用に設計した半密閉型コンプレッサーと自社開発の高効率IPMモーターを採用したもので、地球温暖化防止と省エネに有効なシステム。来年3月完成予定の日水物流(株)の新冷蔵倉庫に第1号機3機を納入するとともに6月から販売を開始する。
使用するNH3は圧縮機と蒸発器を循環する1次冷媒にだけ使用、冷蔵倉庫の庫内や食品工場内のクーラーを循環する2次冷媒には蒸発器で熱交換した低粘度CO2を使用する間接冷却の冷凍システム。NH3の使用量を抑えただけではなく、万一、冷媒が漏洩した場合の安全性も確保した。これまでにも間接冷却の冷凍システムはあったが、フロン直膨式と比較してエネルギーコストが高いという欠点があった。
また、新圧縮機のスクリューロータープロファイルをNH3専用に見直して効率を高くした。IPMモーターに永久磁石を使用してエネルギー効率を上げたほかインバーターも付けて始動時や低速回転時の電力消費を抑えた。さらに、冷媒の予備冷却装置「エコノマイザー」を2基使用してさらなる効率アップも図った。
現在、わが国の産業用冷蔵倉庫のR22冷却設備で使用されている冷凍機は約1万3000台(庫腹計算)で、そのうち約7割が冷媒にフロンを使用しているといわれる。使用年数は平均28年で、今後の規制強化の影響でスクラップされるものがでる一方で、リニューアルも進む見込み。同社では「リニューアルのうちスケールメリットを出せる約3割にターゲットを絞り込み営業展開したい」としている。参考までに、仮にR22冷却設備で使用されている冷凍機をすべて新型機に更新すれば、計算では、CO2排出量を年間約43万t削減できることになる。
当面の出荷目標は、新型機が量産型でないことから200セットを目指す。
(7)「三洋電機、消費電力が約半分のショーケースを開発」
(2007.02.16 日刊工業新聞 6頁)
三洋電機は食品や飲料を陳列、保冷するショーケースの消費電力を最大46%削減できる「スーパーショーケース冷凍機システム=写真」5機種を開発し、6月1日から受注する。導入価格はショーケースと冷凍機、工事費込みで1店舗あたり5000万円から1億円。価格は従来機器より約10%高いが、電気代が従来の約半分で済むため、初期費用の値差は1年半運用すれば回収できるという。総合スーパー向けに売り込み、初年度10億円の売り上げを見込む。
ショーケース、冷凍機のほか店内の空調や照明も制御するコントローラ機器と組み合わせて提供する。新開発の冷凍機は運転時に最適な運転を促すDCインバーター対応コンプレッサーを採用し、消費電力を大幅に抑えた。
第2 以上の事実よりすれば、本願商標構成中の「マルチ」の語は、「多数の、複数の、多方面の」等の意味を有し、接頭語として用いられること、そして、IT分野において、他の語と組み合わされて「マルチウインドー、マルチタスク、マルチプラットフォーム、マルチスレッド」等のように使用され、また、本願の指定商品の属する分野では「マルチエアコン」、「マルチインバーター」のように「複数のエアコン」、「複数のインバーター」の意味を表す語として使用されていることが認められる。例えば、前者の「マルチエアコン」は、「1つ(ユニット)の室外機(冷却機)により各部屋の冷暖房を行うエアコン」の意を指称しており、後者の「マルチインバーター」は、「室外機を構成する複数のコンプレッサーに複数のインバーターを搭載したもの」等の意を認識させる語として一般に使用されている。
なお、2個のインバーターコンプレッサーを搭載したものを「デュアルインバーター」とも称している。
同じく、その構成中の「インバーターチラー」の文字部分は、「inverter」「chiller」の文字の表音の片仮名表示であって、「インバーター制御の冷凍機、インバーターコンプレッサー搭載の冷凍機」等を表示するものとして一般に使用されていることが認められる。
そして、室外に置かれたコンプレッサーとファンモーター等からなる室外機が複数組み合わさってユニットを構成するインバーター冷凍機が実際に取引されていることが認められる。
さらに、本願の指定商品の属する分野では「インバーターマルチエアコン」「インバーターマルチ冷凍機」と称して「インバーター制御によるコンプレッサーとファンモーターが複数台が組み合わさった室外機(ユニット)及び室内にある複数のエアコン・冷凍機」を一般に称していることが認められる。
そうとすれば、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして「複数のコンプレッサー、ファンモーターから構成される室外機(ユニット)を複数のインバーターで制御する冷凍機」程の意味合いを容易に認識されるものであるから、単に商品の品質、構造等を表示したものと認識させるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと認められる。
したがって、請求人が、これをその指定商品中、前記文字に照応する商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示するにすぎないものと認識し、把握するに止まり、自他商品の識別標識としては認識しないというのが相当であって、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

第4 証拠調べ通知に対する意見の要旨
(1)「マルチインバーターチラー」の語の使用例の不存在
証拠調べ通知において、「マルチインバーターチラー」の語が一連一体に使用されている例を全く挙げていない。言い換えれば、「マルチインバーターチラー」の語がいかなる産業分野においても使用されていなことが明らかとなった。
したがって、本願商標がユニークであり、識別力を有することの証左であると言わざるを得ない。
(2)証拠調べの結果より導き出されるべき結論
以下の登録例は、「マルチ」等の個々の構成要素が記述的であるにもかかわらず、これを一連一体に把握すれば、ユニークな造語であり、識別力を有するから、登録が認められたものである。
そうとすれば、職権調査の結果と相俟って、「本願商標は指定商品との関係において、暗示的な意味合いを示すに止まる。」という結論が導かれるべきである。
登録第4660811号「MULTI FLOW FREEZE\マルチフローフリーズ」
登録第4666953号「マルチラック」
登録第4688873号「マルチケース」
登録第4688874号「マルチパレット」
登録第4735520号「マルチアングル」
登録第4780105号「マルチレイアウト」
登録第4893410号「マルチサイクロン」
登録第4907764号「マルチプルパーフォーマンスサイレンサー」
登録第4949353号「マルチパワーステーション」
登録第1999788号「デマンドインバ-タ-」
登録第4291698号「インバータースリム」
登録第4397860号「Mechanical Inverter/メカニカル インバーター」
登録第4698507号「リプレースインバーター」
登録第2404376号「アイシ-チラ-」
登録第2599800号「Z チラ-」
登録第4452499号「スクリューチラー」
登録第4563165号「パックチラー」
登録第4623426号「ペルチェチラー/PELTIER CHILLER」
登録第4722426号「バリアチラー・フリーザー/Barrier Chiller Freezer」
登録第4722427号「バリアチラー/Barrier Chiller」(
登録第4761869号「フレックスモジュールチラー」
(3)結び
よって、本願商標についても、前記登録例と同様に、登録が認められるべきである。

第5 当審の判断
本願商標は、上記第1のとおり「マルチインバーターチラー」の文字を標準文字で表してなるところ、上記第3の職権証拠調べ通知に示した各事実に照らせば、本願商標はその構成全体として、これに接する取引者、需要者をして「複数のコンプレッサー、ファンモーターから構成される室外機(ユニット)を複数のインバーターで制御する冷凍機」程の意味合いを容易に認識されるものであるから、これをその指定商品中、上記意に照応する商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、商品の品質、構造を表示したにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識し得ないとみるのが相当である。また、本願商標を上記以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、上記第4において、本願商標が一連一体でその商品の分野において使用されていないから、自他商品の識別力を有する旨主張しているが、商標法第3条第1項第3号に該当する商標であるか否かについては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年9月4日判決 東京高裁平成12年(行ケ)第76号)と判示しているところであるから、請求人の主張を採用することはできない。
さらに、請求人は、過去の登録例をあげて、本願商標の登録の正当性を主張しているが、登録出願に係る商標が登録されるか否かの判断は、指定商品の取引の実情を考慮し、当該商標の全体構成に基づいて、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであって、その全体の構成を異にする請求人の登録例に拘束されるものではなく、本願商標が商標登録の要件を満たすか否かの判断を左右するものではないから、この点についての請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-04-09 
結審通知日 2008-04-14 
審決日 2008-05-01 
出願番号 商願2005-122646(T2005-122646) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y11)
T 1 8・ 13- Z (Y11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 茂木 祐輔山田 正樹 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 岩崎 安子
鈴木 修
商標の称呼 マルチインバーターチラー、マルチインバーター、インバーターチラー 
代理人 竹内 耕三 
代理人 森田 俊雄 
代理人 野田 久登 
代理人 深見 久郎 

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