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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y1820
管理番号 1179455 
異議申立番号 異議2007-900190 
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-04-18 
確定日 2008-04-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5020504号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5020504号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5020504号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成18年4月12日に登録出願、第18類「犬の被服類」及び第20類「愛玩動物用キャリーバック」を指定商品として、同年9月8日に登録査定、同19年1月26日に設定登録され、その後、同年6月14日に、商標権の抹消登録がされているものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標についての取消理由に引用する登録第1838770号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和55年7月31日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年2月28日に設定登録され、平成19年6月27日に「第25類 被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
同じく、登録第1893736号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和55年7月31日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、平成19年4月4日に「第18類 かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」とする指定商品の書換登録がされたたものである。
同じく、登録第4376377号商標は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成10年6月26日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4376378号商標は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成10年6月26日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4378318号商標は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成10年6月26日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年4月21日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4025668号商標は、別掲(4)のとおりの構成からなり、平成2年11月8日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年7月11日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4180654号商標は、別掲(4)のとおりの構成からなり、平成2年11月8日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年8月21日に設定登録されたものである(以下、まとめて「引用商標」という。)。
また、申立人は、その外にも、登録第1758217号商標(第25類及び第28類)、登録第1750077号商標(第25類及び第28類)、登録第4037240号商標(第25類)、登録第2199878号商標(第21類)、登録第1301257号商標(第24類)、登録第1307516号商標(第22類)、登録第1607161号商標(第25類及び第28類)、登録第1625748号商標(第25類)、登録第1704897号商標(第18類)、登録第2014447号商標(第21類)、登録第2034360号商標(第22類)、登録第2278012号商標(第25類)、登録第3242921号商標(第25類)、登録第4058829号商標(第25類)、登録第4121015号商標(第25類)、登録第4286977号商標(第25類)及び登録第4514854号商標(第25類)を引用している。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、「adidog」の文字と仮想水平線に対し、左方向にやや傾けた黒塗りの細長の台形様図形を互いに平行になるように等間隔で3本並べ、そのうちの左端に位置するものを最も短くし、右方向に向かって順次長くしていき、右端に位置するものを最も長くした図形において、各細長台形様図形の上端が二枚葉状もしくはハート型状であり、そのうち右端に位置するものの下端右半身が一枚葉状であるものから構成されるものである。
一方、「adidas」(引用商標1及び2)、3本線を基調とする商標(引用商標3ないし5)、並びに「adidas」と3本線を基調とする図柄を結合させたロゴマーク(引用商標6及び7)は、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において、取引者、需要者の間で広く認識されていたものである(甲第2ないし第134号証)。
本件商標の文字部分「adidog」は、引用商標中の「adidas」が採択する丸みを帯びた独特のレタリングとほぼ同一のレタリングで表示され、かつ、その構成文字6文字中、看者の注意を強く惹きつける冒頭の4文字「a」、「d」、「i」、「d」が引用商標の構成文字の冒頭の4文字とその配列も含めて一致することから、引用商標「adidas」と誤認混同する程度に外観印象が酷似する。
また、本件商標の図形部分は、「3本線を基調とする商標」として認識理解され、「3本線」の観念を想起させるものであるから、申立人の3本線を基調とする商標と構成の軌跡を一にする類似のものである。
申立人は、「adidas」と3本線を基調とする商標を単独で使用するのみならず、これらを結合した様々なデザインのロゴマークも長期にわたり継続的に使用している。このようなロゴマークのうち、引用商標6及び7、甲第106ないし第108号証に示すデザインは、遅くとも1991年から使用が開始され(甲第111号証、甲第58ないし第61号証)、1996年から現在に至るまでは、甲第109号証及び甲第110号証に示すデザインがアディダス社の社章としても使用されるようになり(甲第112号証、甲第49ないし第53号証、甲第83ないし第87号証、甲第114ないし第125号証)、さらに近年では、アディダス社の3つの主要商品カテゴリーのうちの「スポーツパフォーマンス」と呼ばれるブランド部門を象徴するロゴマークとしても使用され(甲第113号証)、取引者、需要者に広く認識されている。
本件商標が使用される指定商品は、申立人の主要取り扱い商品であり、また、引用商標が使用されている「被服」及び「かばん類」と製造部門、販売場所、需要者の範囲等を共通にする類似の商品であって、互いに極めて関連性の強い商品である。被服、かばん類等を取り扱う世界の有名ファッションブランド会社が、通常の被服、バッグ類、身飾品等に加えて、ペット(犬)用キャリーバッグ、ペット(犬)用の首輪・引き紐、ペット(犬)用の食器類等を製造し、販売していることは一般消費者にもよく知られている(甲第135号証)。
また、本件商標の指定商品は、デパート、スーパー、ペット用品店、インターネットの通信販売等で販売される比較的安価な日用品であり、また、ペットへの使用による汚れ・損傷・破損、あるいは洗濯・洗浄による劣化等が容易に予測されるものであることから、比較的短期間で買い替える消耗品ということができる。その主たる需要者は、一般家庭の消費者であることが明らかであるから、本件商標の指定商品の選択・購入において払われる通常の需要者の注意力は高いものとはいえない。
したがって、以上の観点に照らし、本件商標に接した需要者は、引用商標と同一のレタリングで表示した「adidog」の文字、とりわけ冒頭の「adi」の文字部分と、3本線を基調とする図形部分に注目し、本件商標を申立人が所有する「adi」ファミリー商標の一つと誤信するおそれが高いことは明らかである。
以上より、本件商標がその指定商品に使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
さらに、フリーライド、ダイリューションの未然防止による著名商標の保護という観点に照らしても、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標における「adidog」の文字部分と3本線の図形部分の各構成態様、並びにこれらの配置方法は、引用商標及び「adidas」と3本線を結合した申立人のロゴマークと無関係に採択されたとは到底想像できない程度にこれらに酷似しており、申立人の著名商標のブランド力、名声、申立人会社の信用力にフリーライドする不正目的で採択されたものといわざるを得ない。本件商標の使用により、申立人の著名な商品の出所表示機能が毀損、希釈化され、かかるダイリューションによって、申立人が多大な損害を被ることが予見される。
したがって、本件商標の登録及び使用が社会一般の道徳観念、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神、さらには国際信義に反することは明白であるから、本件商標は、公の秩序を害するおそれがある。
(4)よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要旨
(1)申立人の提出に係る証拠(甲第2ないし第134号証[枝番を含む。])によれば、別掲(2)ないし(4)のとおりの構成からなる引用商標は、いずれも、申立人がスポーツシューズをはじめスポーツウェア等のスポーツ関連用品について使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、既に、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
(2)本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標は、別掲(1)のとおり、文字と図形の組合せからなるところ、その文字部分は、引用商標中の文字部分に施されたレタリングとほぼ同一のレタリングで表され、しかも、看者の注意を強く惹きつける冒頭部分の「a」、「d」、「i」及び「d」の4文字が引用商標の文字部分の冒頭部分4文字と配列も含めて一致していることから、引用商標の文字部分と近似した印象を与えるものである。また、本件商標の図形部分のうち、中央部に顕著に表された黒塗りの3本の斜線(上端が双葉又はハート状になっている。)は、引用商標の図形部分の3本線と同様に、仮想水平線に対し左方向にやや傾け、右端のものを最も長くし、左方向に順次短くしていくように表されているものであって、引用商標の図形と構成の軌を一にするものといえる。
そして、これらの文字と図形を組み合わせてなる本件商標は、引用商標、特に別掲(4)の引用商標と、子細にみれば相違するとしても、全体的に近似した印象を与えるものである。
(3)さらに、本件商標の指定商品は、いわゆるペット用品といえるものであるところ、昨今のペットブームとも相俟って、被服、かばん類、身飾品等の有名ファッションブランドを取り扱う業者がペット(犬・猫)用の首輪・引き紐(リード)、ペット(犬・猫)用被服、ペット(犬・猫)用キャリーバッグ等の製造販売も行っている事実(甲第135及び第136号証)があることからすると、引用商標が使用されている上記(1)の商品とも少なからぬ関係を有するものというべきである。そして、本件商標の指定商品を含むこれらの商品の主たる需要者は、一般家庭の消費者であり、本件商標の指定商品の選択・購入に際して払われる注意力は格別高いものとはいえない。(4)以上を総合勘案すると、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、3の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断
審判長は、平成19年12月10日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)
本件商標


別掲(2)
登録第1838770号商標及び同第1893736号商標

別掲(3)
登録第4376377号商標、同第4376378号商標及び同第4378318号商標

別掲(4)
登録第4025668号商標及び同第4180654号商標



異議決定日 2008-03-05 
出願番号 商願2006-37758(T2006-37758) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y1820)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大橋 信彦 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 鈴木 新五
寺光 幸子
登録日 2007-01-26 
登録番号 商標登録第5020504号(T5020504) 
権利者 株式会社ネオ・ブロス
商標の称呼 アディドッグ、アディ、エイデイアイ 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 

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