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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1179441 
異議申立番号 異議2007-900450 
総通号数 103 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-09-18 
確定日 2008-05-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5054746号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5054746号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5054746号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年1月15日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年5月29日に登録査定、同年6月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の(a)及び(b)の登録商標を引用している。
(a)登録第1592525号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和46年2月24日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和58年5月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらに、指定商品については、平成16年9月8日に第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」を指定商品とする書換登録がなされたものである。
(b)登録第2205094号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和55年9月30日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標1との類似性について
本件商標は、5角形の幾何図形を描き、上下間の中央に、五角形を横断するように、2本の点線で描かれた弓形の図形を、5角形の縦の中央を中心として左右対称に2つ横に並べて配し、右2つの弓形が中央部で結合する部分に点線で描かれた短い横線を配してなるものである。
引用商標1は、本件商標と同様の5角形の図形を、そのほぼ外形線上に実線で、またその内側に点線で書し、小さな縦長の長方形の図形を上下中央部のやや上部の左外側に付し、かつ、上下間中央に、本件商標と同様に左右に並んだ2本の弓形の点線によって描かれた図形を描いてなるものである。
本件商標と引用商標1は、その外周を構成する5角形である点、及び5角形の縦横の比率、両側の傾斜の角度及び底部の突出の角度が同じである。両商標の基本的構成にこのようなほぼ同一と評価し得る図形が使用されていることにより、本件商標と引用商標1との間には非常に強い共通性が認められる。
なお、本件商標と引用商標1における5角形の図形には、様々なバリエーションが考えられるものであるから、商標の比較においても当該部分の共通性は両商標の類似性を強める方向に作用することは明らかである。
このように考えれば、本件商標と引用商標1がほぼ同一の形状の5角形の外周を有している点は、両者の類似性を強く印象付けるものであることが明らかである。
さらに、本件商標に描かれた横に並んだ2つ弓形の図形は、ともに、平行に走る2本の点線で描かれており、また5角形の縦の中央を中心とする左右対称の2つ弓形の図形を中央で結合させた図形という点で、酷似するものである。したがって、この部分が類似していることは明らかである。
このように、5角形の図形がほぼ同一である点と、2つ並んだ、平行に走る2本の点線で描かれた左右対称の弓形の図形、そして、その中央にある、2つの弓形の図形をつなぐ横線の存在という強い共通性に照らすならば、本件商標が引用商標1に類似していることは明らかというべきである。
もっとも、本件商標は、(a)引用商標1においては外周を構成する実線で描かれた5角形の内部に、点線で描かれた5角形がさらに存在するのに対し、本件商標においては外周に存在するのは実線で描かれ5角形のみである点、(b)本件商標においては、2つの弓形が、中央から両端に向かうにしたがって一旦は上方向に向かい、また下方向に下がって山型を形成し、さらに外周を構成する5角形に接触する前に上方向に沿っているという、という点で相違する。
しかし、(a)の点については、引用商標1の内部に描かれた5角形は点線であることに加え、外周の実線の5角形と相似の図形であるため、5角形である点が強調され、したがって、本件商標との類似性を強く印象付ける効果はあるとしても、引用商標1との類似性を否定する要素となるものではない。
また、(b)の点については、商願平6-3467に対する登録異議の申立についての平成10年3月19日付け決定(甲第118号証)が参考になる。
右決定において問題となった商標においては、本件商標と同じく、2つの弓形が、中央からに両端に向かうにしたがって一旦は上方向に向かい、また下方向に下がって山型を形成し、さらに外周を構成する5角形に接触する前に上方向に沿っているという特徴を有していた。
このほか、商願平6-3466に対する登録異議の申立についての平成10年3月5日付け決定(甲第116号証)、商願平6-3469に対する登録異議の申立についての平成10年2月12日付け決定(甲第117号証)及び商願平6-3468に対する登録異議の申立についての平成10年3月19日付け決定(甲第115号証)においても、同様に、2つの弓形を構成する点線の湾曲の度合いに些細な相違点がある商標出願について、全体として観た場合の外観上の紛らわしさを認定し、混同のおそれがあると明確に述べている。
イ 引用商標2との類似性
引用商標2は、二つの弓形の図形と、その中央にある「ダイヤモンドポイント」と呼ばれる菱形の図からなる。
上述のとおり、本件商標の中央部に描かれた、平行に走る点線で描かれる、左右対称の、横に並んだ2つ弓形の図形が、引用商標2に描かれた、平行に走る点線で描かれる、左右対称の、横に並んだ2つ弓形の図形と強く類似していることは明らかである。このため、外周を構成する5角形の要素がないとしても、この強い共通点に照らして、引用商標2はなお本件商標に類似していると判断されるものである。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号違反
本件商標は、申立人所有の引用商標1及び引用商標2の周知著名性により、また、商品の特性及び取引の実状により、具体的な商品において使用された場合には、申立人の商品と混同を生じ、又は申立人ないしは申立人と関係のある営業主の業務に係る商品等であると混同誤認されるおそれがあるものであって、商標法第4条第1項第10号ないしは同第15号に違反して登録されたものである。
ア 申立人の商標の周知著名性
申立人は、引用商標1及び引用商標2を、100年以上も前から、申立人を表示する商標として、申立人商品であるジーンズパンツに使用しており、引用商標1及び引用商標2は、本件商標の指定商品の需要者において、申立人の商品を表すものとして広く認識されており、その周知著名性の程度は高いものである。引用商標1及び引用商標2を用いた商品は、少なくとも、昭和40年代より現在に至るまでの長年にわたって、男性誌、女性誌を問わず、各種雑誌記事等に記載され、テレビにおいてコマーシャルフィルムが放送され、膨大な量の商品が購入されており、申立人が用いた宣伝広告費も高額に上り、その中でも、申立人は引用商標1及び引用商標2を強調した宣伝広告を続けていたものである。そして、遅くとも本件商標の登録出願日である平成19年1月15日(平成18年6月26日は誤記と認める。)までには、申立人の取り扱うジーンズパンツに限らず、スカート、シャツ、ジャケット等、申立人が取扱うあらゆる商品を表示するものとして周知著名になっていたものである。
著名な申立人商標である「LEVI’S」と並んで、以下に述べる各種雑誌記事等においては、引用商標1のうち、その外周五角形形状とその内部の二つのアーチ形状が、これらの雑誌記事等の視聴者に大きく印象が残るものであり、当該部分のみで申立人の商品を表示するものとして認知される識別力が高い部分となり、需要者に周知著名となっているものであることが容易に推認される。
引用商標1及び引用商標2が表示された新聞雑誌記事には甲第6号証ないし甲第113号証のようなものがある。
また、申立人のジーンズパンツの日本における売上は、平成7年(前年12月1日から同年11月31日までの会計年度における売上高、以下同じ。)から平成11年は、250億円を超え、平成12年から平成15年までも、平成13年を除き年間売上高が200億円を超えており、平成13年の年間売上高も200億円近くある。平成7年から平成15年までの期間に限っても、申立人のジーンズパンツの売上総数は5千万本を超えている。
申立人のジーンズパンツ売上のうち、大半のジーンズパンツには、引用商標1及び引用商標2が使用されており、このような莫大な売上高からは、引用商標1及び引用商標2を使用した申立人のジーンズパンツが、大多数のジーンズパンツ取引者・需要者が目に触れたことが容易に推認可能である。
その他の宣伝広告等として、申立人は、平成11年7月から同12年5月までの間、全国3箇所において、「リーバイス ヒストリー展」を開催した(甲第114号証)。
当該展覧会のポスター、チラシ及び入場券は、申立人の登録商標たる「LEVI’S」との欧文字と、引用商標1及び引用商標2が使用された申立人のジーンズパンツのバックポケットを16個並べた写真が用いられており、これらのポスター、チラシ及び入場券を目にした需要者に、引用商標1及び引用商標2が申立人の商品であることを表示する商標であることを強烈に印象づけるものとなっている。なお、当該展覧会の延べ入場者数は35,766名であった。
申立人は、各種宣伝広告を行ってきており、その宣伝広告費は、以下のとおり、過去10年間において毎年約15億円から29億円という膨大な金額に上る。申立人の主力商品であるジーンズパンツのほぼ全てに引用商標1及び引用商標2が用いられていたことは上記に述べたとおりであり、かかる広告宣伝によって、引用商標1及び引用商標2が需要者に広く認知されたものであることを推認し得る。
宣伝広告費
平成6年 2,025百万円
平成7年 2,151百万円
平成8年 2,299百万円
平成9年 1,972百万円
平成10年 2,441百万円
平成11年 2,916百万円
平成12年 2,348百万円
平成13年 1,470百万円
平成14年 1,534百万円
平成15年 1,850百万円
平成16年 1,837百万円
平成17年 1,968百万円
平成18年 1,972百万円
さらに、申立人による宣伝広告に加えて、申立人の宣伝広告によらず、雑誌等の特集によって、引用商標1及び引用商標2が用いられた申立人の商品が掲載されることも多々あり、これらの媒体での引用商標1及び引用商標2の宣伝効果も大きい。
さらには、平成12年6月28日、東京地方裁判所において申立人が提起した商標権侵害差止等請求訴訟において、申立人の商標が申立人の商品又は営業表示として需要者に広く認識され、周知となっていることが認められ、標章の使用の差止が認められた(甲第4号証)。右事件は控訴されたが、平成13年12月26日、東京高裁も東京地裁の右判決を維持し(甲第5号証)、右判決は確定した。
上述から、申立人の引用商標の周知著名性は明らかである。
イ 引用商標1及び引用商標2の独創性
引用商標1の内部の二つのアーチ形状からなる二重破線及び引用商標2は、被告が100年以上も前から、競業者の商品と区別するため、そのジーンズパンツのバックポケットに採用したものであるが、当該二重破線の形状は、ジーンズパンツの形状やバックポケットの用途等から-般的に生まれるものではなく、極めて独創性が高いものである。この二つのアーチ形状からなる二重破線は、外周部をなす五角形部分の形状と相まって、その特徴的なバックポケットのステッチ様の商標を構成するのであり、引用商標1もまた独創的なものといえる。引用商標1及び引用商標2は、その高い独創性とその周知著名性とが相まって、強い出所表示機能を有するものである。
ウ 申立人の商品及びこれに使用される商標の特性
申立人は、1853年にアメリカにおいて設立された会社であり、19世紀後半に、耐久性のあるデニム地を使い、ポケットを金属のリベットで補強した「ジーンズ」を世界で初めて製造・販売した会社である。その後100年以上にわたって、申立人は、引用商標1及び引用商標2を含む多くの商標を付したジーンズを販売してきたものである。
引用商標1及び引用商標2は、ジーンズの後ろポケットの形状及びその内部に糸で描かれるステッチ、または内部のステッチのみの形状を現したものであるが、これらのステッチは縫製の過程で微妙にずれることがある。
また、上記のように100年以上のジーンズ製造販売の歴史があるゆえに、ポケットの形状またはステッチの形状が微妙に異なるモデルが販売されていることがある(甲第81号証の1ないし4参照)。
しかし、申立人の商品には、共通して、不変的に、2つの弓形の図形からなる商標が使用されている。この形状は「アーキュエットステッチ」と呼ばれ、ジーンズを購入する需要者にとってジーンズのブランドを判断する重要な要素となっている。
このように、申立人の商品に使用されている「アーキュエットステッチ」の商標は、その形状にある程度の幅を有しつつ、全体的には、2つの弓形の図形として需要者に認識されているものである。
エ 申立人の商品との混同を生ずるおそれ
上記のような申立人の商標の著名性及び商品の特性を考慮すれば、本件商標が実際に商品に使用された場合には、申立人の商品との混同を生じることが明らかである。
申立人のアーキュエットステッチが非常に有名になった結果、2つの弓形の図形からなる後ろポケットのステッチは申立人を示すものであるということは需要者にとって常識となっている。これは、甲第17号証の、各社から販売されているジーンズの後ろポケットの比較記事において、2つの横に並んだ弓形の図形を採用しているのが申立人だけであることからも明らかである。このように「2つの弓形の図形=申立人のジーンズ」ということを知っている需要者が、本件商標が付された商品を見た場合、申立人の商品のバリエーションの一つであるか、少なくとも申立人と被申立人との間に何らかの経済的な関係があるものと誤認混同するおそれがあることは明らかである。
なお、商品の特性上、ポケットの形状及びその内部のステッチの形状にはばらつきがあることが当然のこととして需要者には受け入れられており、商標の細かな差異は混同のおそれを否定する理由にならない。例えば、確かに仔細に検討すれば、ポケットの外周のうち、左右各辺に沿う2本の線の上方の間隔は、本件商標の方が、引用商標1及び引用商標2より大きい。しかし、申立人の実際の商品の中には、本件商標と同様に、上方の間隔の広がりの程度が大きいものも存在するのであり(甲第81号証の1ないし4参照)、これらの商品については、上記差異の存在は当てはまらない。なにより、需要者は、実際の商品を目にするに当たっては、かかるミリ単位の相違を重要な要素として認識するものではない。
また、この点について、申立人が株式会社エドウィンの登録した同様の形状のジーンズポケットのステッチに関する商標に対して行った無効審判(無効2003-35035、甲第119号証参照)においても、申立人の商標と株式会社エドウィンの商標の2つの弓形のステッチが「ともに二重の破線をもって、五角形の外周部左右両辺からバックポケットの中央部に向かって形成され、これが中央部で下向きに形成されており、両ステッチ部分の形状をおおまかに観察すれば、互いに近似する形状であり、この点において、両者は構成の軌を一にするといえるものである」として、混同のおそれを認定している。また、右無効審判に対しては審決取消訴訟が東京高等裁判所に対し提起されたが、高裁においても右判断は維持された(東京高裁平成平成16年10月20日判決、平16年(ケ)第85号審決取消請求事件、甲第120号証)。
本件商標も、2つの弓形のステッチが二重の破線をもって、五角形の外周部左右両辺からバックポケットの中央部に向かって形成され、これが中央部で下向きに形成されているものであり、おおまかに観察すれば、申立人の商標と互いに近似する形状であることは明らかである。
これに、申立人の商標が周知著名であることを考慮すれば、本件商標は、需要者において、商品の出所について混同を生じるおそれがあるものである。
以上のように、本件商標は商標法第4条第1項第10号ないしは第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号違反
上記のとおり、2つの弓形の図形からなる後ろポケットのステッチは申立人を示すものであるということは需要者にとって常識ないしは周知著名となっており、無数にある後ろポケットのステッチの態様から、あえて周知著名である申立人所有のステッチを採択しており、本件登録が、かかる申立人の周知著名性を利用して自己の商品に消費者を誘導し、販売することによって不当に利益を上げる目的を有していることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に反してなされたものである。
3 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2及び同法43条の3の規定により取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1との類否
本件商標の構成は、別掲(1)のとおり、左右対称の横広の野球のホームベース状で、底辺部分を鈍角な五角形の実線で描き、該五角形図形の中央部に、滑らかな波のような二重の破線を中央部で落ち込むように重ね合わせた破線図形を配してなるものであって、全体として、横広の安定感のあるシンプルな図形といえるものである。
これに対して、引用商標1の構成は、別掲(2)のとおり、左右対称の野球のホームベース状の五角形を実線で描き、その各辺の内側に沿って二重の破線を配し、この五角形図形を上下に二分するように二重の破線をもって、左右二つの緩やかなアーチ形状の図形を描いてなり、この五角形図形の左辺の左外側部分に、縦長の四角形を配し、該図形内に縦書きで「LEVI’S」の欧文字を書してなるものである。
本件商標及び引用商標1はともに、ジーンズパンツにおける後ポケット(以下「バックポケット」という。)の形状を表してなるとみられるところ、申立人が提出した甲各証の内、特に甲第12号証、甲第13号証及び甲第17号証に申立人以外の各社それぞれが採用している多数のバックポケットが掲載されており、ジーンズパンツを取扱う業界においては、バックポケットの外周部の該五角形の形状そのものは、ありふれて使用されているといえるものである。
しかしながら、 各社それぞれが採用している多数のバックポケットが掲載されていること自体、各社製品がバックポケットの内部に現されたステッチ(縫目)(以下単に「ステッチ模様」という。)の形状が自他商品を識別する際の重要な要素になるというのが相当である。
そこで、本件商標のステッチ模様と引用商標1のステッチ模様とを対比するに、上記のとおり、本件商標のそれは、左右対称の横広の野球のホームベース状で、底辺部分が鈍角な五角形を実線で描き、該五角形図形の中央部に、滑らかな波のような二重の破線を中央部で落ち込むように重ね合わせた破線図形を配してなるものであって、全体として、横広の安定感のあるシンプルな図形といえるものであるのに対し、引用商標1のそれは、左右二つの緩やかなアーチ形状がバックポケットの中央部分で交差し、全体として、すっきりした感のあるステッチ模様といえるものであるから、両者は印象が異なり、時と所を異にして観察しても、互いに紛れるおそれのない外観上類似しないというべきである。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観上類似しないものであり、かつ、両商標からは、特定の称呼、観念を生ずるとはいえないものであるから、本件商標と引用商標2とは、称呼及び観念については比較することができないものである。
(2)本件商標と引用商標2との類否について
別掲(1)及び(3)の本件商標と引用商標2の構成についての対比は、前記(1)で示したステッチ模様の対比のとおり、ステッチ模様部分において明らかに非類似の商標である。さらに、本件商標と引用商標2とは、この相違点に加えて、本件商標はバックポケットの外周部に五角形の形状を有しているのに対し、引用商標2はバックポケットそのものでもないという顕著な差を有し、明らかに別異の商標というべきである。
したがって、本件商標は引用商標2とは外観上類似しないものであり、かつ、本件商標からは、特定の称呼、観念を生ずるとはいえないものであるから、本件商標と引用商標2とは、称呼及び観念については比較することができないものである。
(3)以上のとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものでない。
2 商標法第4条第1項第10号、同第15号について
引用商標1が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「ジーンズパンツ」を表示する商標として、取引者・需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標と引用商標1とは、上記1のとおり、商標において明らかに区別し得る別異の商標というべきであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標1を連想又は想起させるものとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないといわざるを得ない。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、引用商標1と類似しない別異の商標であり、引用商標等の出所表示機能を希釈化させたり、又は、その名声を毀損させるなど不正の利益を得る目的をもって登録出願されたものとはいえないものである。
4 むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


異議決定日 2008-05-09 
出願番号 商願2007-2120(T2007-2120) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
T 1 651・ 26- Y (X25)
T 1 651・ 222- Y (X25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 2007-06-15 
登録番号 商標登録第5054746号(T5054746) 
権利者 有限会社志村
代理人 中山 健一 
代理人 正林 真之 
代理人 谷口 登 
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