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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y093541
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y093541
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y093541
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y093541
管理番号 1177936 
審判番号 無効2007-890038 
総通号数 102 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-03-26 
確定日 2008-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4911423号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4911423号商標(以下「本件商標」という。)は、「RealMusic」の欧文字を標準文字で表してなり、平成17年1月14日に登録出願、第9類「録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク及びレコード,録画済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク及び光磁気ディスク,通信ネットワークを介してダウンロード可能な移動体電話のための音楽および画像」、第35類「商品の販売に関する情報の提供,商品の通信販売に関する情報の提供,商品の購入に関する情報の提供,広告及びこれに関する情報の提供,通信ネットワークによるアンケート調査及びこれに関する情報の提供」及び第41類「通信ネットワークを通じて行う電話端末及び電子計算機端末への音楽・画像の提供又はこれらに関する情報の提供,録音又は録画済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク及びレコードの制作に関する情報の提供,美術品の展示に関する情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供,演芸・演劇の上演又は音楽演奏に関する情報の提供,放送番組の制作に関する情報の提供」を指定商品として、同17年12月2日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第161号証を提出した。
〈理由〉
1 請求の利益について
商標登録無効審判を請求する利益に関して、「ある商標の登録の存在によって直接不利益を被る関係にある者は、それだけで利害関係人として当該商標の登録を無効にする審判を請求することにつき、利害関係を有する者に該当すると解するのが相当である。」と、審決で判断されている(甲第2号証)。そこで、請求人が、本件商標の登録の存在によって直接不利益を被る関係にあることを説明する。
(1)請求人について
ア 請求人「リアルネットワークス・インコーポレイテッド」は、1993年に、マイクロソフトの元重役ロブ・グレイザーが設立した米国法人である(設立当初の社名は、Progressive Networksであり、1997年に、現在の社名であるRealNetworks,Inc.に改称した)。
請求人は、インターネットでの音楽配信促進等を目的とし、1995年4月にストリーミングの音楽配信技術及びシステムである「RealAudio1.0」をリリースし、その後バージョンアップ版をリリースしている。
また、欧文字「Real」を含む「Real」製品の製造・販売、及び欧文字「Real」を含む商標を使用して役務を提供している(甲第3号証)。
そして、請求人は、日本国内で「(米)リアル」と紹介されている(甲第4号証、甲第55号証及び甲第80号証等)。
イ 請求人の日本法人リアルネットワークス株式会社は、1996年に設立され、業務活動を行っている。リアルネットワークス株式会社の事業内容は、請求人のインターネット用音声・映像配信ソフトの国内輸入販売及びサービスである(甲第5号証)。
ウ 下記で述べるとおり、ダウンロード可能なインターネット音楽・映像の分野において、請求人名、請求人が使用する商標、及び「Real(リアル)」は、日本国内及び外国で周知・著名である。
(2)本件商標を付した商品及び役務と請求人の商品及び役務との混同のおそれについて
ア 本件商標は、標準文字にて「RealMusic」と書してなる商標であり(甲第1号証)、請求人の通称といえる(甲第4号証等参照)欧文字「Real」を含んでいる。
イ 本件商標に係る指定商品及び役務は、上記で述べたとおりであるが、同指定商品及び役務は、請求人が提供するインターネット用音声・映像配信ソフト及びインターネットを使用した音声・映像配信と同一・類似、又は密接に関連する商品及び役務である。
ウ したがって、本件商標をその指定商品及び役務に使用した場合、需要者は、被請求人の商品及び役務が、請求人の業務に係る商品及び役務であると誤認し、その出所について混同するおそれがある。
(3)以上述べたとおり、請求人は、本件商標の登録の存在によって直接不利益を被る関係にあるから、本件商標の登録を無効にする審判を請求することにつき、利害関係を有する者に該当する。
2 無効理由について
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものである。
3 請求人が使用する商標の周知・著名性について
(1)請求人(Rea1Networks、Inc.)は、その名称の一部「Real」を含む商標(「RealAudio」、「Rea1Player」、「Rea1Video」、「Rea1Jukebox」、「Real One P1ayer」等(以下、「Realファミリーマーク」という。)を日本国内及び外国において使用し、その結果、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、日本国内及び外国において周知・著名である。
以下、請求人が製造・販売する商品、及び提供する役務、並びに、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークが、周知・著名であることを説明する。
ア 「リアルオーディオ(Rea1Audio)」について
「リアルオーディオ(RealAudio)」は、請求人が開発したストリーミングの音楽配信技術及びシステム、並びに、ここで利用される音楽データを圧縮するコーデックをも指す(甲第6号証)。
コーデックとは、オーディオ及びビデオデータを、ある形式から別の形式に変換するソフトウエア、またはハードウエア信号処理をいう(甲第7号証)。
請求人は、1995年に「RealAudio l.0」をリリースし、その後もバージョンアップ版をリリースしている(甲第3号証)。
上記商品及び役務は、2000年12月25日発行の「最新コンパクト版インターネット辞典」及びに2000年9月15日発行の「要点チェック式インターネット用語事典」でも説明されているので、2000年において既に「リアルオーディオ(Rea1Audio)」は日本国内において、周知・著名である(甲第8号証及び甲第9号証)。
また、甲第6号証のウェブページは、2002年にシャープ株式会社によって運営されていたので、2002年においても「リアルオーディオ(Rea1Audio)」は日本国内において、周知・著名であることが裏付けられる。
イ 「リアルプレーヤー(Rea1P1ayer)」について
「リアルプレーヤー(RealP1ayer)」は、請求人が開発した、ストリーミングの音声や映像を受信、再生するためのソフトである(甲第6号証)。
甲第6号証のウェブページは、2002年にシャープ株式会社によって運営されていたので、その当時「リアルプレーヤー(RealP1ayer)」は日本国内において、周知・著名であることを示している。
なお、請求人は商標「Rea1P1ayer」を第9類「computer software which allows the encoding,transmitting,and receiving of pictures,video,text,and/or audio over local and global networks」を指定商品として、1996年12月3日に米国特許商標庁に出願し、1998年10月6日付けで登録されている(甲第10号証)。
ウ 「リアルビデオ(ReaIVideo)」について
請求人(当時Progressive Networks プログレッシブ ネットワークス)は、1997年にストリーミング・ビデオ時代の幕開けとして「Rea1Video」を発表した。
同内容は、2000年12月25日発行の「最新コンパクト版インターネット辞典」に掲載されているので(甲第8号証)、その当時「リアルビデオ(ReaIVideo)」は日本国内において、周知・著名である。
エ 「リアルジュークボックス(Rea1Jukebox)」について
「リアルジュークボックス(RealJukebox)」は、請求人が開発し、1999年5月にリリースされた、デジタルミュージックのエンコード、再生、管理ソフトである(甲第3号証及び甲第11号証)。
「週刊アスキー」によると48時間で50万ダウンロードを記録し、1999年5月23日においても、100万/週のペースでダウンロードされたことが紹介されている(甲第11号証)。
これは、「リアルジュークボックス(RealJukebox)」は、1999年5月時点で日本国内及び外国において、周知・著名であることを示している。
オ 「リアルワン プレーヤー(RealOne P1ayer)」について
「リアルワン プレーヤー(RealOne P1ayer)」は、「リアルプレーヤー(Rea1P1ayer)」と「リアルジュークボックス(Rea1Jukebox)」の機能を融合させ、デジタルメディアを楽しむ事を可能にするソフトウェアである(甲第12号証)。
(2)上記Realファミリーマーク、請求人、及び請求人の日本法人は、日本の各種メディアで紹介されている。
以下、メディア毎にそれらを紹介する。
ア ウェブページにおける紹介
(a)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(1999年10月1日付)(甲第13号証)
請求人が、デジタル音楽を対象としたプラットフォームソフトウェア「Rea1Jukebox Gold」を発表したことが紹介された。
(b)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2000年1月7日付)(甲第14号証)
ソニーと請求人がSDMI準拠の音楽配信プラットフォームの開発について提携したことが紹介された。
(c)デジタル音楽のノンパッケージ流通に関して、「Real Audio」がウェブページ上で紹介されている(甲第15号証)。
同ウェブページの最終ページに、「2001 日本インターネット協会 ALL rights reserved.」(冒頭に○内に「C」のマークが表示されている。)の記載があるので、甲第15号証は2001年にはウェブページ上に存在していたといえる。
(d)第4回国際交流会議「アジアの未来」について掲載するウェブページ
第4回国際交流会議「アジアの未来」の様子が、請求人のリアルシステム、及びリアルプレーヤーを使用して、1998年6月8日?15日の8:30?18:30の間に、録画中継された(甲第16号証及び甲第17号証)。
なお、録画中継を行った「NIKKEI NET」は、1996年に英文ニュースを配信するために日本経済新聞社がインターネット上に開設し、1996年4月からは、日本語による記事情報の配信を開始した(甲第18号証)。
(e)1999年7月19日付けプレスリリース(甲第19号証)
請求人は、Gateway社が、請求人のRea1P1ayerG2(「G2」の前に○内に「R」のマークが表示されている。)をGatewayのコンシューマPCラインにバンドルして出荷する、と発表した。
これにより、数百万人のGatewayコンシューマ(利用者)が、Rea1P1ayerG2(「G2」の前に○内に「R」のマークが表示されている。)機能を利用することが可能となり、 数百万人がRea1P1ayerの名称を知ることが可能になった。
また、甲第19号証において、同プレスリリース発行時点(1999年7月)で、Rea1P1ayerの登録ユーザーが全世界で6900万人以上いること、及び請求人はストリーミングメディア市場の85パーセント以上のシェアを持ち、インターネット上でのストリーミングメディアを提供しているWebページの85パーセント以上が業界最先端のRealAudio、Rea1Video、Rea1F1ash、Rea1Text、又はRea1Pixを使用していることが記載されている。
「RealFlash」、「Rea1Text」及び「Rea1Pix」の説明が、請求人以外の第三者が提供するウェブページで掲載されている。このことは、「Rea1F1ash」、「Rea1Text」及び「Rea1Pix」の名称が、日本国内において周知・著名であることを裏付けるものである。
「RealF1ash」は、請求人が開発した、アニメーションをストリーミング配信するために、Macromedia F1ashで作成されたアニメーションとRealAudioのサウンドを、同期を取りながら再生する技術の名称である(甲第20号証)。
「RealText」は、ファイルからテキストをストリームするRea1System製品(請求人の製品)の一つである(甲第21号証)。
「Rea1Pix」は、 Rea1Systemで静止画を扱うフォーマットである(甲第22号証)。
(f)2000年10月2日付けプレスリリース(甲第23号証)
請求人は、ソニー株式会社との間において、両者の技術を相互に採り入れ、共同で両者製品の普及と販売促進を図ることで合意した、と発表した。この合意のもと、ソニー株式会社は、請求人のメディア製品Rea1P1ayer8(「8」の前に○内に「R」のマークが表示されている。)とRea1Jukebox2(語尾の「x」の右上に小さく「TM」の文字が表示されている。)の特別バージョンをバンドルした製品を出荷する。これにより、VAIO(ソニー株式会社の製造・販売するパーソナルコンピュータ名)ユーザには、1億4千万人以上の登録ユーザ数を誇る最も人気のあるストリーミングメディアプレーヤー「Rea1Player」が提供される予定である。
(g)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(甲第24号証)
請求人とレコード大手3社(AOL、ベルテルスマン、EMI)が、請求人の音楽提供サイトで使用する楽曲についてライセンス契約する方向で交渉していることが、ウェブページに掲載された(甲第24号証)。
同ウェブページに、「Written by fermata 2000 at 2001‐03‐30」と記載されていることから、同記事は2001年3月30日付で掲載されたものである。実際、2001年4月2日に、請求人と上記レコード大手3社はオンライン音楽配信サービスの新しいプラットフォームを提供する会社の設立を発表した(甲第25号証)。
(h)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2001年5月17日付)(甲第26号証)
ソニー・コンピュータエンタテインメントと請求人が、家庭用ビデオ・ゲーム機「プレイステーンョン2(PS2)」向けメディア再生ソフト及び関連技術に関し、提携関係に入ったこと、及び請求人の製品(「Rea1P1ayer8」など)や技術を、PS2とPS2の開発キットに組み込むことが掲載された。
(i)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2001年12月6日付)(甲第27号証)
請求人が、会員制のオンライン音楽配信サービス「RealOne Music」の提供を開始することがウェブページにおいて紹介された。
(j)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2004年6月3日付)(甲第28号証)
ターボリナックスが請求人と「Rea1P1ayer」などのバンドル契約を締結した事実が紹介された。
(k)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2001年4月5日付)(甲第29号証)
請求人の日本法人は、ストリーミングソリューション<ソフトウェア>「Rea1System iQ」の新たな販売代理店として株式会社ネットワールドとパートナー契約を締結し、同契約締結により「Rea1System iQ」の国内販売代理店は合計6社となったことが紹介されている。
また、日本国内で最初のリアルネットワークス認定トレーニングセンターの開校が紹介されている。
(l)請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2003年6月11日付)(甲第30号証)
請求人が米ABC Newsと、ニュースコンテンツ配信に関して複数年の独占契約を結んだため、 米Yahooの有料サービスYahoo P1atinumから、米ABC Newsが提供していた24時間のライブニュースが消えることが紹介された。
イ コンピュータ雑誌「月刊ASCII」における紹介(甲第31号証ないし甲第37号証)
コンピュータ雑誌「月刊ASCII(アスキー)」は、株式会社アスキーが発行する月刊のパソコン雑誌である。創刊は、1977年6月18日であり、日本においてのパーソナルコンピュータ黎明時代から発行され続けている数少ない雑誌である(甲第38号証)。
2006年7月18日発売の同年8月号で臨時休刊したが、2006年10月24日に新創刊され、発行部数は約3万5千部(印刷証明付き部数)である(甲第39号証)。
ウ コンピュータ雑誌「Yahoo! Internet Guide」における紹介(甲第40号証ないし甲第51号証)
コンピュータ雑誌「Yahoo! Internet Guide」は、ソフトバンククリエイティブ株式会社が発行する月刊のパソコン雑誌であり、発行部数は8万部である(甲第52号証)。
エ インターネットデータベースサービスを利用した請求人に関する記事を掲載する新聞・雑誌記事の検索結果について
(ア)2001年度の検索結果(甲第53号証ないし甲第75号証)
(イ)2002年度の検索結果(甲第76号証ないし甲第105号証)
(ウ)2003年度の検索結果(甲第106号証ないし甲第112号証)
(エ)2004年度の検索結果(甲第113号証ないし甲第118号証)
請求人に関する記事を掲載した上記雑誌及び新聞について、以下、説明する。
雑誌「日経パソコン」は、株式会社日経BP社が発行するパソコン雑誌で、1983年10月に創刊された。発行部数は約28万部で(日本ABC協会報告部数2005年1月?6月平均)、パソコン誌において日本最大部数を誇っている(甲第119号証)。
雑誌「日経コミュニケーション」は、株式会社日経BP社が発行する通信・ネットワーク分野の情報を提供する総合情報雑誌で、発行部数は約3.2万部で、全国の書店において販売されている(甲第120号証)。
雑誌「日経エレクトロニクス」は、株式会社日経BP社が発行する電子・情報・通信など、エレクトロニクスすべての分野の技術情報を掲載した、開発・設計者向けの情報雑誌で、発行部数は約4.7万部である(甲第121号証及び甲第122号証)。
雑誌「日経コンストラクション」は、1989年10月に創刊された、株式会社日経BP社が発行する土木建設事業従事者向けの月2回発行される雑誌である。発行部数は約2.7万部で(ABC認証部数2005年6月?12月)、全国の書店において販売されている(甲第123号証)。
雑誌「日経コンピュータ」は、1981年10月に創刊された、株式会社日経BP社が発行するユーザー企業の情報システムに不可欠な情報を提供する隔週発行のIT総合情報誌である。発行部数は約4.8万部で(ABC認証部数2005年7月?12月)、全国の書店において販売されている(甲第124号証)。
雑誌「日経Linux」は、1999年9月に創刊された、株式会社日経BP社が発行するIT系の雑誌である。発行部数は約1.4万部で(ABC認証部数2005年7月?12月)、全国の書店において販売されている(甲第125号証)。
雑誌「日経NETWORK」は、2004年3月に創刊された、株式会社日経BP社が発行するネットワークの企画・構築・運用の実務に携わる技術者向けの雑誌である。発行部数は約5.5万部で(ABC認証部数2005年7月?12月)、全国の書店において販売されている(甲第126号証)。
雑誌「日経ソフトウエア」は、1998年5月に創刊された、株式会社日経BP社が発行するソフト技術者にプログラミングの基礎から上流設計の実用情報までを提供する雑誌である。発行部数は約2.4万部で(ABC認証部数2005年7月?12月)、全国の書店において販売されている(甲第127号証)。
「日経産業新聞」は、1973年に創刊された、日本経済新聞社が発行する新聞である。企業のキーパーソンとなる第一線の実務家や専門家に、内外の企業動向、技術/科学ニュース、産業行政などの情報を提供する日本最大の産業・企業情報専門紙で、発行部数は、約20万部である(甲第128号証)。
「日本経済新聞」は、1876年に創刊された、日本経済新聞社が発行する新聞(経済紙)で、発行部数は、約300万部(朝刊)である(甲第128号証)。
「日刊工業新聞」は、1915年に創刊された、日刊工業新聞社が発行する産業経済紙で、発行部数は50万部である(甲第129号証)。
「日本証券新聞」は、日本証券新聞社が発行する証券専門紙で、国内で最大級の発行部数(約6.5万部)を誇る(甲第130号証及び甲第131号証)。
「ニッキン」は、日本金融通信社が発行する、日本における最大の金融総合専門紙で、発行部数は15万部である(甲第132号証及び甲第133号証)。
オ 請求人が自ら収集している報道について
請求人は、自身に関する報道を、LexisNexisを利用して収集している。LexisNexisとは、アメリカで30年近い歴史を持つ総合オンラインデータベースである(甲第134号証)。
以下、請求人が収集した記事を紹介する。
(ア)1998年7月2日付け読売新聞(甲第135号証)
請求人は、ソフトウエア「Rea1P1ayer」の製造及び提供をしている。
(イ)2000年1月8日付け共同通信社(甲第136号証)
ソニー株式会社は、デジタル音楽配信システムにおいて、請求人と協力する。
(ウ)2000年5月4日付けThe Japan Times(甲第137号証)
請求人の日本法人の副社長が、「Real.com」は、1997年の日本において40万人の利用者を有しており、今日では、約800万人の利用者がいるという発言した。
(エ)2000年6月13日付けAFX News Lited(甲第138号証)
2000年6月15日付け読売新聞(甲第139号証)
松下電器産業株式会社が、請求人の「Rea1Jukebox」と松下電器産業株式会社等のSDメモリーカードとの互換性を持たせるための技術協力をする。
(オ)2000年10月24日付けAFX News Lited(甲第140号証)
ソニー株式会社と請求人は、請求人の製品「Rea1P1ayer」及び「Real Jukebox」を、2001年初めに、ソニーのポータブル音楽装置及びパソコンVAIOに組み込むことに合意した。
(カ)2002年4月30日付け共同通信社(甲第141号証)
ソニー株式会社と請求人との間で、請求人のソフトウェアをソニーのデジタルデバイスに使用を進めることで合意した。
(キ)2002年6月28日付けJapanese Business Digest(甲第142号証)
日本オラクル株式会社、伊藤忠テクノサイエンス株式会社、及び請求人の日本法人リアルネットワーク株式会社は、著作権管理ソリューションについての協力する。
(ク)2004年4月10日付けGale Group,Inc.(甲第143号証)
「Rea1P1ayer10」のゴールド(最終)バージョンが、北米、ヨーロッパ及び日本において入手可能になった。
(ケ)2004年6月2日付けJapan Corporate News Network.(甲第144号証)
請求人の日本法人と株式会社PFUは、コンテンツ配信事業での協業に合意した。
カ インターネットによる検索結果について
インターネット検索エンジン「Google」において、「real」を検索語句にして検索したところ、請求人に係る記事が検索結果の上位に掲載された(甲第145号証)。これは、請求人に係る記事が、検索語句と関連が深いことを意見し(甲第146号証)、「real」といえば、請求人又は請求人の日本法人のことを指すことが裏付けられる。
キ まとめ
以上述べたとおり、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、日本国内及びまたは海外で入手(閲覧)可能な書籍、ウェブページ、雑誌、新聞等に掲載、記載され、紹介されている。
そして、それらが上記媒体に掲載、記載されて、紹介された時期は、本件商標の登録出願日(平成17年1月14日)及び査定日(平成17年10月19 日)より前である。
したがって、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、本件商標の登録出願日及び査定日において、日本国内及び外国において周知・著名であったことは明らかである。
4 具体的理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、請求人の周知・著名商標と類似し、本件商標に係る指定役務は、請求人が提供する役務と類似する。
ア 請求人が使用する商標の周知・著名性について
上記3(l)で述べたとおり、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、本件商標の登録出願日及び査定日において、日本国内及び外国で周知・著名である。
イ 請求人が使用する商標(Realファミリーマーク)と本件商標との類似について
(a)請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、共に「Real」の文字を含む。
請求人は、1995年に「Rea1Audio l.0」をリリース以来、一貫して自社製品及び役務に「Real」の文字を付している(甲第3号証参照)。これにより、ダウンロード可能なインターネット音楽・映像の分野において、「Real」又は「リアル」は請求人の通称と認識され、日本国内で周知・著名である(甲第145号証及び甲第146号証参照)。
Realファミリーマーク(「Rea1Audio」、「RealP1ayer」、「RealVideo」、「Rea1Jukebox」、「RealOne P1ayer」)中の、「Audio」、「Player」、「Video」、及び「Jukebox」の語句は、いづれも、音楽、映像と関係が深い英単語なので、それらと関連する商品・役務との関係において識別力は弱い。
また、商標「RealOne P1ayer」中の欧文字「One」は、製品番号の「1」または「1」番ほどの意味を有するにすぎず、もともと識別力は弱い。
したがって、請求人の使用するRealファミリーマーク中で、識別力を有する部分は「Real」である。
(b)他方、本件商標は、標準文字にて「Rea1Music」と書してなる商標であり、その指定商品・役務は甲第1号証に記載のとおり、音楽(Music)に関するものを含む。
したがって、本件商標中、「Music」は、商品の性質・用途(すなわち、音楽用)及び役務の質(すなわち、音楽の提供)を表示するにすぎず、識別力を有しない。
また、本件商標は、アルファベット「M」及び「R」が大文字なので、「RealMusic」と一体的に認識されるのではなく、「Real」と「Music」とに分離して認識される。
よって、本件商標中、識別力を有する部分は「Real」である。
(c)以上、請求人の使用するRealファミリーマーク中で、識別力を有する部分と本件商標中識別力を有する部分は共に「Real」であるので、両商標は類似する。
ウ 請求人が「Real」を含む商標を使用して提供する商品及び役務と本件商標に係る指定商品及び役務との類似について
請求人は、インターネットを通じて音楽・映像等の提供・配信をしている。
他方、本件商標に係る指定商品・役務は甲第1号証に記載のとおりである。
したがって、請求人が提供する役務と本件商標に係る指定役務中、第42類に属する役務は類似する。
エ 結論
以上アからウより、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたことは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、請求人の業務に係る商品及び役務と混同を生ずるおそれがある。
ア 商標法第4条第1項第15号における「出所の混同を生じるおそれ」は、「他人の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の出所について混同するおそれがある場合」をもいう(甲第147号証)。
そこで、本件商標を付した商品及び役務が、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品及び役務であると誤認され、その商品及び役務の出所について混同するおそれがあるかを検討する。
(a)請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークは、各種媒体で取り上げられ、それらは、日本国内及び外国で周知・著名である(上記3(1)参照)。
また、請求人は、一貫して自社製品及び役務に「Real」の文字を付している(甲第3号証参照)。
これらの結果、Realは、請求人の通称と言えるほど、日本国内及び外国で広く認識されている。
他方、本件商標中、識別力を有する部分は「Real」である(上記4(1)イ(b))。
(b)請求人は、インターネットを利用して配信される音楽・映像用のソフトウエアを制作・提供していること、及び、インターネットを利用して音楽・映像を配信していることは、広く知られている(上記3(1)参照)。
他方、本件商標に係る指定商品及び役務は、音楽に関係する商品、インターネットを利用した音楽の提供、その他のインターネットを利用した提供が想定できる役務であり(甲第1号証参照)、請求人が提供する商品及び役務と同一、類似又は密接な関連性を有する。
(c)本件商標に係る指定商品及び役務の需要者は、一般消費者なので、商品及び役務の提供者の正確な認識、流通経路等に関する知識を十分に持ち合わせていない。
(d)上記(a)から(c)までの事情を考えると、請求人が提供する商品及び役務と同一、類似又は密接な関連性を有する商品及び役務に、請求人が自社商品及び役務に一貫して使用し続けている「Real」を含む商標が使用された場合、一般消費者は、「Real」を含む商標が使用された商品及び役務は、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品及び役務であると誤認され、その商品及び役務の出所について混同するおそれがある。
イ 結論
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたもので
ある。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 請求人が使用するRealファミリーマークが日本国内及び外国にて広く知られていることについて
前記3で述べたとおり、請求人が使用するRealファミリーマークは日本国内及び外国で広く知られている。
イ 本件商標とRealファミリーマークが類似することについて
前記4(1)イで述べたとおり、本件商標とRealファミリーマークは類似する。
不正の目的で使用することについて
(a)請求人は、米国において、商標「RealOne SuperPress」を使用して、ニュース、スポーツ、音楽、エンターテイメントの各分野のコンテンツを提供しており、2002年6月には、ヨーロッパで同役務の提供を開始した(甲第148号証)。
そして、請求人は、日本国内でも上記役務の提供計画を明らかにし、請求人の日本法人は日本語版「RealOne P1ayer v.2.0」を発表した(甲第149号証及び甲第150号証)。そして、2002年又は2003年初頭には、日本国内で日本版SuperPress(音楽、エンタテイメントなどのコンテンツ提供サービス)を提供する予定である旨が紹介されている(甲第150号証及び甲第151号証)。
(b)被請求人は、平成2年2月に設立されたマルチメディア事業、アーチストマネージメント・音楽製作・管理事業、レーベル事業、WEB制作事業、及びイベント企画・制作事業を展開している(甲第152号証)。
したがって、被請求人は、請求人のRealファミリーマーク、請求人の事業内容に精通しており、そして請求人が、日本国内において、Realを含む商標を使用し、インターネットを利用した音楽配信を開始することは十分認識し得たと認められる。
(c)請求人は、一貫して自社製品及び役務に「Real」の文字を付していることは広く知られているので(甲第3号証参照)、本件商標に係る指定商品及び役務に、Realファミリーマークを使用した場合、商品及び役務の出所の混同又は出所表示機能を稀釈化若しくは請求人の名声等を毀損することは、極めて容易に想像できる。
(d)以上より、本件商標は、不正の目的をもつて使用するものである。
エ 結論
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第7号について
ア 本件商標の登録出願には、以下の(a)から(d)までの事実が認められる。
(a)前記3で述べたとおり、請求人の使用するRealファミリーマークは、日本国内及び外国において周知・著名である。
(b)前記4(1)イで述べたとおり、本件商標とRealファミリーマークは類似する。
(c)本件商標に係る指定商品及び役務は、音楽に関係する商品、インターネットを利用した音楽の提供、その他のインターネットを利用した提供が想定できる役務であり(甲第1号証参照)、請求人が提供する商品及び役務と同一、類似又は密接な関連性を有する。
(d)請求人は、被請求人に、本件商標の出願を許諾していない。
イ 上記(a)から(d)までの事実より、本件商標は、Realファミリーマークの存在を知りながら、これらが日本において商標登録がなされていないことを奇貨として、これらと類似する本件商標を、請求人の承諾を得ずに商標登録出願し、登録を受けたことが認められる。
そして、被請求人のこのような行為に基づいて登録された本件商標は、国際信義に反し公序良俗に反する。
ウ 結論
本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。
5 答弁に対する弁駁
(1)「周知性の否定」について
ア 被請求人は、「1 理由(1)周知性の否定(a)本件商標と請求人商標の一体不可分性」において、「本件商標『Rea1Music』は、同書同大同間隔の一体的な構成で表されており、よどみなく一連に称呼できるものであるから、これを殊更分離して認識すべき格別の事由は無く、構成全体をもって一体不可分なものとして認識される。」旨述べている。
しかしながら、本件商標は「R」と「M」が大文字で書されているので、本件商標に接した取引者・需要者は、本件商標を欧文字「Real」と「Music」とに分けて認識する。したがって、本件商標を分離して認識すべき事由は認められる。
また、被請求人は、「1 理由(1)周知性の否定(d)請求人の自認」において、請求人はかつての自らの主張と矛盾する主張をしている旨述べている。
しかしながら、本件商標と被請求人が指摘する請求人が意見書を提出した商標とは態様を異にするので、本件における主張と以前に提出した意見書(乙第2号証ないし乙第4号証)における主張は矛盾しない。以下、その理由を説明する。
(a)乙第2号証について
意見書(乙第2号証)は、欧文字「REALNETWORKS」を標準文字で書した商標登録出願に対するものである。
(b)乙第3号証について
意見書(乙第3号証)は、「REAL.COM」を標準文字で書した商標登録出願に対するものである。
(c)乙第4号証について
意見書(乙第4号証)は、欧文字「REALAUDIO」を同書・同大・同間隔で横書き一行で書した商標登録出願に対するものである。
(d)上記(a)ないし(c)で述べたとおり、意見書(乙第2号証ないし乙第4号証)に係る商標は、商標を構成する文字又は記号が、同書・同大・同間隔で書されたものであり、欧文字「REAL」部分を分離して認識すべき事由はない。
他方、本件商標「RealMusic」は、「R」と「M」は大文字で書されているので、本件商標に接した取引者・需要者が、本件商標を欧文字「Real」と「Music」とに分けて認識する。
以上説明したとおり、本件商標と上記各意見書に係る商標は、商標の態様が異なる。したがって、本件における請求人の主張と意見書(乙第2号証ないし乙第4号証)における主張は矛盾せず、信義誠実の原則や禁反言の法理に反しない。
イ 被請求人は、「1 理由(1)周知性の否定(e)並存登録例」において、構成に「Real」又は「リアル」を含む商標登録は、語頭に含むものに限っても946件以上も存在する旨を指摘している(乙第5号証)。
しかしながら、商品・役務の同一・類似を考慮せず、「Real」又は「リアル」を含む商標登録を指摘することに意味はない。
また、本件商標と同じ商品・役務の範囲における、「Real」又は「リアル」を含む商標登録の並存例が、192件ある旨を指摘している。
しかしながら、被請求人が指摘した並存商標例中には、単に「Real」又は「リアル」を含むだけの商標も含まれている(例えば、9.登録2572507「REALTYSCOPE」は、欧文字「REALTY」と欧文字「SCOPE」から構成されると認識されるのであり、決して「REAL」と「TYSCOPE」から構成されているとは認識されない。また、19.登録3241893「Realize」は、「Real」と「ize」から構成されているとは認識されない。)
上記のとおり、乙第5号証は、「Real」又は「リアル」を含む並存登録例としてふさわしくない登録商標を含むものであり、不適切な証拠である。
(2)請求人が使用する商標が周知・著名であることについて
被請求人は、「1 理由(1)周知性の否定(c)請求人の通称」において、「Real」が請求人の通称とは認められない旨を主張している。また、「(g)甲号証の検討」において、請求人提出の証拠中には、「Real」が単独で示された例はほとんど存在せず、逆に「Real」単独での周知性欠如を露呈する旨述べている。
しかしながら、請求人が審判請求書で主張したことは、請求人名(その通称Realも含む。)が日本国内及び外国において周知・著名ということである。
「Real」が請求人の通称でないと主張するだけでは、請求人の主張(請求人名が日本国内及び外国において周知・著名であること)を否定できない。
また、被請求人は、請求人が「米リアル」と表記されている事実を認めつつ、簡潔さが強く要求される記事の見出しにおいて一般的に見られる省略形であることを理由に、「Real」は請求人の通称と認められない旨主張している。
しかしながら、請求人が「米リアル」と紹介されているのは事実であり、これにより、取引者・需要者は、インターネットの分野または音楽関連分野において「米リアル」(「Real」)といえば請求人を指すと認識する事実は否定されない。
したがって、請求人名「リアルネットワークス」の日本国内及び外国における周知・著名性を証明する証拠が多数提出されていることに疑いはなく、同証拠によって、請求人名の周知・著名性は十分証明される。
なお、請求人提出の証拠のうち、「Wikipedia(ウィキペディア)」について、請求人も含め自由に内容を改変できるものであり、証拠力が低い旨述べている(乙第6号証)。
しかしながら、デタラメな記事は、良識ある参加者によって訂正又は削除され、掲載内容の質の高さが保たれている(乙第6号証)。したがって、被請求人の上記主張は短絡的で採用できない。
(3)請求人が使用する商標の周知・著名性を証明する追加証拠について
請求人は、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークが、日本国内及び外国において周知・著名であることを証明する証拠を平成19年3月26日付で提出している。
同日付で、上記事項を証明する証拠を追加提出する。
ア 請求人(リアルネットワークス・インコーポレイテッド)の副社長兼技術部長が作成した宣誓供述書(甲第153号証)
同書面において、日本におけるインターネットを介して請求人が提供している「リアルプレーヤー(RealP1ayer)」のダウンロード数が証明される。これにより、請求人リアルネットワークスが、「リアルプレーヤー」を提供していることが、日本において広く知られていることが証明される。
イ 請求人に関する記事を掲載するウェブページ(2003年6月30日付)(甲第154号証)
上記ウェブページにおいて、請求人と英国の携帯電話大手ボーダフオンが、その端末に「リアルプレーヤー」を提供することで合意したことが紹介されている。
ウ 請求人に関する記事を掲載するウェブページ(1999年9月)(甲第155号証)
上記ウェブページにおいて、請求人が提供しているストリーミングメディアを再生するプレーヤーが、6500万台のデスクトップに普及されていることが紹介されている。同台数は、マイクロソフトが提供するプレーヤー(ウインドー・メディアプレーヤー)が使用されているデスクトップの数より多い。
エ 請求人に関する記事を掲載するウェブページ(1998年12月2日付)(甲第156条)
上記ウェブページにおいて、請求人の日本法人リアルネットワークス株式会社が、” Rea1Networks Conference/Tokyo’98”で、「Rea1System G2」の出荷開始を発表したことが紹介されている。
オ 2000年7月17日付プレスリリース(甲第157号証)
請求人は、Rea1P1ayer(語尾に○内に「R」のマークが表示されている。)が、米国においてインターネット上のストリーミングメディアフォーマットとして広く利用されている、と発表した。その数は、2000年6月の1ヵ月間で2530万人である。
カ 1999年1月26日付プレスリリース(甲第158号証)
請求人は、Rea1P1ayer の登録ユーザーの数が5000万を記録した、と発表した。
キ 2003年11月21日付「Comtex News Network,Inc.」
同記事は、2002年8月までに、3億人近い利用者が、「RealOne P1ayer」及び「Real Player」に登録していることを伝えている(甲第159号証)。
ク 2001年1月29日付「Wellington Newspapers Limited」
同記事は、オーストラリア及びニュージーランドにおける、請求人が提供するソフトウエアの利用者が350万人いることを伝えている(甲第160号証)。
ケ 2000年7月24日付「Wellington Newspapers Limited」
同記事は、ノキアと請求人が、将来の携帯機器の技術開発を始めたことを伝えている(甲第161号証)。
(4)「個別の無効理由の否定」について
ア 商標法第4条第1項第10号
平成19年3月26日付け及び同日付提出の証拠により、請求人名(その通称Realも含む。)及びRealファミリーマークが、日本国内及び外国において周知・著名であることは証明される。
本件商標とRealファミリーマークは類似する。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものでない、との被請求人の答弁は認められない。
イ 商標法第4条第1項第15号
平成19年3月26日付け及び同日付提出の証拠により、請求人名(その通称Realも含む。)及び Realファミリーマークが、日本国内及び外国において周知・著名であることは証明される。
請求人は自社の製品(例えば、インターネットを介して音楽を聴くためのソフトウエア)に欧文字「Real」を含む商標(「Realファミリーマーク」)を一貫して使用し続けており、それら商標は日本国内及び外国で周知・著名である。
したがって、インターネット分野又は音楽関連分野において、「Real(リアル)」といえば、請求人しか思いつかない、という状況に達している。
同事実は、本件商標をその指定商品・指定役務に使用した場合、取引者・需要者は、請求人(「リアルネットワークス・インコーポレイテッド」)又は請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者が、新しい商品・役務の提供を開始したと誤認し、所謂広義の混同が生じる。
被請求人は、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでないことの理由として、本件商標及び請求人商標群(請求人の用語では、「Realファミリーマーク」)は、いずれも構成全体をもって一体不可分なものであることを強調し、「Real」単独で認識されることはない旨述べている。
しかしながら、商標法第4条第1項第15号は、対比する商標が類似することを要件としていない。したがって、商標法第4条第1項第15号の適用にあたり、本件商標及び請求人商標群が、いずれも構成全体をもって一体不可分として認識されるか、あるいは、「Real」単独で認識されるか、は重要ではない。したがって、「Realファミリーマーク」は「Real」単独で認識されない、という主張では、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたことを否定することはできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでないとの被請求人の答弁は認められない。
ウ 商標法第4条第1項第19号
平成19年3月26日付け及び同日付提出の証拠により、請求人名(その通称Realも含む。)及び Realファミリーマークが、日本国内及び外国において周知・著名であることは証明される。
本件商標とRealファミリーマークは類似する。
被請求人は、本件商標の登録出願時に請求人が本件商標と同一の商標の出願も使用もしていないことを指摘し、被請求人には不正目的がない旨主張している。
しかしながら、審判請求書(平成19年3月26日付け)で述べた理由により、被請求人が不正の目的を有していると認められる。
また、日本国内及び外国において周知・著名であるRealファミリーマークの一部(「Real」)含む本件商標を、被請求人の提供する商品又は役務に使用することは、請求人の名声にただ乗りする行為であり、この点からも、不正の目的を有していると認められる。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものでないとの被請求人の答弁は認められない。
エ 商標法第4条第1項第7号
平成19年3月26日付け及び同日付提出の証拠により、請求人名(その通称Realも含む。)及び Realファミリーマークが、日本国内及び外国において周知・著名であることは証明される。
そして、インターネットの分野または音楽関連分野において「Real」といえば、請求人しか思いつかない、という状況に達している。
したがって、世界的に周知・著名な Realファミリーマークの一部(「Real」)を、被請求人が提供する商品又は役務に使用することは、請求人の名声にただ乗りする行為であり、著しく社会的妥当性を欠く。また、本件商標の登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公の秩序を害するものであることは明らかである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものでないとの被請求人の答弁は認められない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第10号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づきその登録を無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 理由
(1)周知性の否定
請求人の業務に係る商品等を表示するものとして標章「Rea1Music」(或いは「Real」を含む全ての語句)が、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして本件商標登録出願時に周知ではない。以下で理由を詳説する。
(a)本件商標と請求人商標の一体不可分性
被請求人の本件商標「Rea1Music」は、同書同大同間隔の一体的な構成で表されており、よどみなく一連に称呼できるものであるから、これを殊更分離して認識すべき格別の事由は無く、構成全体をもって一体不可分なものとして認識される。
一方、請求人は、本件商標登録出願の際に標章「RealMusic」を使用しておらず、当該標章が請求人を示すものとして周知であることはあり得ない。
また、 請求人は、「Rea1Audio」「RealPlayer」等の幾つかの商標(以下、「請求人商標群」という。)を使用していることを述べて、「Rea1Music」を始めとする「Real」を含む商標が全て請求人を示すものとして周知であるかの如く主張する。しかし、本件商標のみならず請求人商標群はいずれも構成が一体不可分なものであって、商標の周知度は個別の商標毎に判断されるものであるから、仮に「Real」を含む幾つかの商標が周知であったと仮定したとしても、標章「Rea1Music」(或いは「Real」を含む全ての語句)が請求人を示すものとして周知ではない。
(b)標章「Real」単独使用の否定
そもそも請求人は、標章「Real」を単独で商標登録しておらず、仮に請求人が「Real」を請求人の主力商品と考えられる電子計算機用プログラム等に使用すると、三菱電機株式会社の商標権(登録第 4845600号)を侵害することになる。(乙第1号証)
すなわち、請求人は、「Real」を単独で使用することができないのであるから、使用できない標章が請求人を示すものとして周知になることはない。ましてや、「Real」を含む全ての語句が請求人を示すものとして周知になることはない。
(c)請求人の通称
請求人は「Real」を自身の通称であるかのように主張する。しかしながら、請求人の名称は「REALNETWORKS Incorporated(リアルネットワークス・インコーポレイテッド)」であり、略称(通称)は「REALNETWORKS(リアルネットワークス)」である。
(d)請求人の自認
請求人は、自身が使用する商標中で識別力を有する部分は「Real」である旨を主張する。しかし、請求人の商標が一体不可分であり、構成の一部を抜き出して認識されないことは、請求人自身も明確に自認(自白)している。
例えば、請求人の登録商標「REALNETWORKS」(登録第4353845号)は、審査段階で引用された先行商標「リアル」(登録第3078089号)との関係について、以下のような請求人自身の主張によって登録が認められている。
「本願商標は、『REALNETWORKS』と同じ大きさ・同じ書体の文字で外観上まとまりよく一連・一体的に構成されていて、特に軽重の差を見出すことはできず、本願商標から生じる『リアルネットワークス』の称呼は、冗長ではなく一連によどみなく称呼しうるものであり、構成中の前4文字の『REAL』の部分の称呼である『リアル』のみが独立して称呼される事情は全く存在しません。」(乙第2号証)。
また、請求人の登録商標「REAL.COM」(登録第4514115号)は、審査段階で引用された先行商標「REAL/WORLD」(登録第4212680号)との関係について、以下のように請求人自身が主張することで登録が認められている。
「しかしながら、本願商標及び引用商標はそれぞれ他の要素と一連不可分に結合してなるものであって、これより『REAL』の文字を単独で抜き出して比較することは妥当でない。」(乙第3号証)。
また、請求人の登録商標「REALAUDIO」(登録第4115254号)は、審査段階で以下のように請求人自身が主張することで登録が認められている。
「本願商標は、英文字の大文字で一連一体に『REALAUDIO』と表記された構成からなるものであります。この特徴は、同じ大きさで同じ書体の英文字が一連一体に連結された構成からなる商標である点にあります。」(乙第4号証)。
このように、請求人は、登録を受けるために自身の商標から「Real」が分離して認識できないことを執拗に主張していたにも関わらず、翻って本件において矛盾した主張を行うことは、信義誠実の原則や禁反言の法理に反するものであり、請求人の主張は到底認められるものでない。
(e)並存登録例
被請求人の調査によれば、請求人が所有する「Real」を含む商標登録は僅かに9件のみである。一方で、構成に「Real」又は「リアル」を含む商標登録は、語頭に含むものに限っても946件以上も存在し、さらに本件商標と同じ商品・役務の範囲に限っても192件が平穏に並存している(乙第5号証)。
請求人は、「Real」を含む商標が全て請求人を示すものとして周知であるかの如く主張するが、そのような事情は全く存在しない。請求人の主張を採用すれば、これらの登録は全て無効理由を有することになる。
(f)「Real」の語の意味内容
「Real」の語は「現実の、本物の」等を意味する我が国で良く知られた商品・役務の内容を表す英単語であり、一般的に他の語句と結合して強く識別力が発揮される。単に商標の構成中に一般的な語句である「Real」を含むからといって、それらが全て請求人を示すとの主張は、著しく妥当性に欠ける。
(g)甲号証の検討
請求人は、自己の名称や製品名の検索結果を周知性の証拠として多数提出しているが、「Real」が単独で示された例はほとんど存在せず、逆に「Real」単独での周知性欠如を露呈するものである。
なお、インターネットや雑誌の記事の見出し中に請求人を「米リアル」「リアルネット」等と省略している例は僅かに見られるが、文字数が制限され、簡潔さが強く要求される記事の見出しにおいて一般的に見られる省略形である。
甲号証において記事の見出しに省略形が用いられているケースでも、記事本文中では全て「リアルネットワークス」と標記されている。
なお、請求人の提出した証拠のうち「Wikipedia」については、請求人も含めて自由に内容を改変できるものであり、証拠力が低い。(乙第6号証)
(2)個別の無効理由の否定
(a)商標法第4条第1項第10号
前述した「(1)周知性の否定」の項において説明したように、標章「Rea1Music」(或いは「Real」を含む全ての語句)は、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして本件商標登録出願時に周知ではない。
また、「(1)周知性の否定(a)本件商標と請求人商標の一体不可分性」の項において述べたように、本件商標及び請求人商標群は、いずれも構成全体をもって一体不可分なものであり、さらに「(1)周知性の否定(d)請求人の自認」の項において述べたように、請求人も自身の商標の一体不可分性を自認している。したがって、本件商標は、請求人商標群と比較して、外観・称呼・観念の各要素が全て異なる非類似の商標である。
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものではない。
(b)商標法第4条第1項第15号
前述した「(1)周知性の否定」の項において説明したように、標章「Rea1Music」(或いは「Real」を含む全ての語句)は、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして本件商標登録出願時に周知ではない。
また、「(1)周知性の否定(a)本件商標と請求人商標の一体不可分性」の項において述べたように、本件商標及び請求人商標群は、いずれも構成全体をもって一体不可分なものであり、「(1)周知性の否定(d)請求人の自認」の項において述べたように、請求人も自身の商標の一体不可分性を自認している。したがって、いずれの商標も「Real」単独で認識されることがなく、本件商標を指定商品又は指定役務に使用しても商品又は役務の出所についてなんら混同を生ずるおそれはない。
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(c)商標法第4条第1項第19号
前述した「(1)周知性の否定」の項において説明したように、標章「Rea1Music」(或いは「Rea1」を含む全ての語句)は、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして本件商標登録出願時に周知ではない。
また、「(1)周知性の否定(a)本件商標と請求人商標の一体不可分性」の項において述べたように、本件商標及び請求人商標群は、いずれも構成全体をもって一体不可分なものであり、さらに「(1)周知性の否定(d)請求人の自認」の項において述べたように、請求人も自身の商標の一体不可分性を自認している。したがって、本件商標は、請求人商標群と比較して、外観・称呼・観念の各要素が全て異なる非類似の商標である。
さらに、被請求人が登録出願した際に、請求人は本件商標と同一の商標を登録出願も使用もしていないのであるから、被請求人に不正目的が無いことは明らかである。
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(d)商標法第4条第1項第7号
前述した「(1)周知性の否定」の項において説明したように、標章「RealMusic」(或いは「Real」を含む全ての語句)は、請求人の業務に係る商品等を表示するものとして周知ではない。
また、被請求人が登録出願した際に、請求人は本件商標と同一の商標を登録出願も使用もしていないのであるから、被請求人に不正目的がないことは明らかである。
以上の理由により、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当せず、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
(3)決定例及び審決例
以上の被請求人の主張を補完するものとして、同様の審決例等の中から以下の登録異議申立ての決定及び無効審判の審決を示す。特に当該登録異議申立て事件は、本件の請求人が商標法第4条第1項第15号を理由として、本件商標と別の商標登録に異議を申し立てたものであるが、当然ながら維持決定されている。
特許庁における従前の決定及び従前の審決における判断との整合性を考慮すれば、本件についてもこれらと異なる判断をすべき理由はなく、本件審判の請求は成り立たない。
(a)異議2002一90821(乙第7号証)
(b)無効2001一35558(乙第8号証)
本件の請求人は、「Rea1Music」商標を使用している事実を全く示していないのであるから、例示した審決以上に棄却の判断がなされるべきである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、請求人が主張するいずれの無効理由にも該当しないから、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 請求の利益について
請求人は、欧文字「Real」を含む標章、例えば、「RealNetworks」標章外を使用してインターネット用音声・映像配信の役務(甲第5号証)を提供していることが認められるところ、本件商標はその構成中に欧文字「Real」を含んでいるものであるから、請求人は、本件商標の登録の存在によって直接不利益を被る可能性があるから、本件商標の登録を無効にする審判を請求することにつき、利害関係を有する者に該当する。
2 請求人使用各標章の周知・著名性
(1)請求人使用各標章について
請求人は、同人の名称の一部「Real」を含む商標「RealAudio」、「Rea1Player」、「Rea1Video」、「Rea1Jukebox」、「Real One P1ayer」、「RealOne Music」等を「Rea1ファミリーマーク」というとしているが、以下、「Realを含む請求人使用各標章」という。
請求人は、「Realを含む請求人使用各標章」を日本国内及び外国において使用し、その結果、請求人名(その通称Realも含む。)及び「Realを含む請求人使用各標章」は、請求人に関するウェブページ、コンピュータ雑誌、新聞記事、雑誌記事、インターネットで紹介され、日本国内及び外国において周知・著名である旨主張する。
しかし、甲第3号証ないし甲第6号証、甲第8号証、甲第9号証、甲第11号証ないし甲第16号証、甲第19号証ないし甲第37号証、甲第40号証ないし甲第51号証、甲第53号証ないし甲第118号証、甲第145号証、甲第148号証ないし甲第151号証及び甲第154号証ないし甲第161号証よりすると、「リアルネットワークス」、「RealNetworks」、「REALNETWORKS」、「リアルネットワークス株式会社」、「米リアル」、「リアルオーディオ」、「RealAudio」、「リアルプレーヤー」、「Rea1Player」、「リアルシステム」、「Rea1 System」、「Rea1Jukebox」、「RealOne P1ayer」、「RealOne Music」等の表示は認められるとしても、「リアル」、「Real」、「REAL」の単独にて表示されているものは殆ど見当たらない。
単独にて用いられている例としても、甲第116号証の「リアルネットワークスによるコンテンツ配信サイト『リアル・ドット・コム』や?表サイトのコンテンツ収入ランキング 1ヤフー 2リアル 3?」のようリアルネットワークスを省略したケースで、本文中に「リアルネットワークス」が用いられているものである。さらに、例えば、「ネット広告からリアル広告へ!」(甲第39号証)のように「リアル」のそのもの語義である「現実の、本物の」を用語として用ている事実もある。
そして、請求人は、「商標法第4条第1項第15号の適用にあたり、本件商標及び請求人商標群が、いずれも構成全体をもって一体不可分として認識されるか、あるいは、『Real』単独で認識されるか、は重要ではない。したがって、『Realファミリーマーク』は『Real』単独で認識されない、という主張では、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたことを否定することはできない。」旨主張している。
しかし、商標法第4条第1項第15号の適用にあたっては、対象となる商標に著名商標(本件の場合「Real」が著名であることが必須)が含まれ、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標の場合に適用されるものであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(2)以上よりすると、「Realを含む請求人使用各標章」の中、例えば、「リアルネットワークス」、「RealNetworks」、「REALNETWORKS」、「リアルネットワークス株式会社」なる標章がインターネット用音声・映像配信の役務について相当程度使用されていることは認められるとしても、「リアル」、「Real」及び「REAL」が単独でインターネット用音声・映像配信の役務に使用され、請求人の使用商標として我が国において周知・著名であるとは認め難いものである。
3 本件商標と「Realを含む請求人使用各標章」との類否について
本件商標は、「RealMusic」と標準文字で一連一体に表してなり、たとえ語頭の「R」と中央部の「M」の欧文字が大文字で表記されているとしても、外観構成上全体をもって認識されるというのが自然であり、また、これより生ずるものと認められる「リアルミュージック」の称呼も一気一連に無理なく称呼し得るものであるから、これよりは全体をもって「リアルミュージック」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
他方、「Realを含む請求人使用各標章」は、上記2のとおり、いずれも「リアル」、「Real」及び「REAL」との組み合わせからなり、特に「リアルネットワークス」及び「ReaINetworks」が主に用いられているものであり、単に「リアル」、「Real」又は「REAL」がインターネット用音声・映像配信の役務に使用されて日本国内及び外国において周知・著名となっているものでもない。
そうすると、本件商標と「Realを含む請求人使用各標章」とは、それぞれの全体構成が明らか異なるものであって、外観、称呼及び観念のいずれもが異なる商標として別異のものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標中の識別力を有する部分が「Real」であるとし、その上で「Realを含む請求人使用各標章」と類似すものとする請求人の主張は採用できない。
4 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、「Realを含む請求人使用各標章」とは、上記のとおり、商標において別異のもので類似しないものあり、しかも「リアル」、「Real」又は「REAL」が単独では請求人の業務に係る商品又は役務を表示するのとして需要者の間に広く認識されているものといえないものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
5 商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
請求人及び被請求人の提出に係る証拠によれば、上記のとおり、「Realを含む請求人使用各標章」、主に「リアルネットワークス」及び「RealNetworks」がインターネット用音声・映像配信の役務等に使用され、ある程度知られていたことが認められるとしても、本件商標と「Realを含む請求人使用各標章」とは、商標において別異のものであるから、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者が「Realを含む請求人使用各標章」を直ちに連想又は想起するとはいい難く、請求人の業務に係る商品又は役務、若しくは、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはなく、不正の目的をもって使用をするものともいえない。
6 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記のとおり、請求人の業務に係るインターネット用音声・映像配信の役務等の商標である「Realを含む請求人使用各標章」とは商標において別異のものであるから、被請求人が不正の目的を以って取得したとは推認できないし、公正な取引を重んじる市場の秩序を乱し、かつ国際信義に反し、公の秩序を害するものともいえない。
7 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-12-07 
結審通知日 2007-12-13 
審決日 2007-12-27 
出願番号 商願2005-6284(T2005-6284) 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (Y093541)
T 1 11・ 271- Y (Y093541)
T 1 11・ 222- Y (Y093541)
T 1 11・ 25- Y (Y093541)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡口 忠次 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
津金 純子
登録日 2005-12-02 
登録番号 商標登録第4911423号(T4911423) 
商標の称呼 リアルミュージック、リアル 
代理人 西脇 民雄 
代理人 森下 夏樹 
代理人 安村 高明 
代理人 山本 秀策 

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