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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y031825
審判 査定不服 外観類似 登録しない Y031825
管理番号 1174430 
審判番号 不服2006-8575 
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-04-28 
確定日 2008-02-27 
事件の表示 商願2005- 42466拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第3類「オーデコロン,香水類」、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「被服,履物および運動用特殊靴,帽子」を指定商品として、平成17年5月16日に登録出願されたものである。

2 原査定で引用した商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(a)登録第1859022号の2商標(以下「引用商標1」という。)は、「パチャ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和58年6月7日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年4月23日に設定登録された登録第1859022号商標の商標権から分割された商標権に係る登録商標であって(平成2年4月23日に分割移転の登録)、第4類「化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品とするものである。その後、平成18年3月22日に指定商品の書換登録がされ、第3類「化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」となっている。
(b)登録第2079326号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PACHA」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年9月12日に登録出願、第17類「ネクタイ、その他本類に属する全商品」を指定商品として、同63年9月30日に設定登録されたものである。
(c)登録第4451989号商標(以下「引用商標3」という。)は、「PACHA」の欧文字を横書きしてなり、平成11年9月16日に登録出願、第28類「携帯用ビデオゲーム及び電子ゲームおもちゃ,クリスマスツリー用飾り,その他のおもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,ダイスカップ,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,運動用具,釣り具,スキーワックス」を指定商品として、同13年2月9日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは「引用各商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲に示したとおり、「PACHA」の欧文字をやゝデザイン化して赤色で表し、その上部に、緑色の2枚の葉と2つの赤い実を付けたサクランボと思しき図形を配した構成からなるものである。
ところで、文字、図形、記号等の結合よりなる商標(いわゆる「結合商標」)の類否判断にあたっては、一般に、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によつて称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによつて簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(昭和36年6月23日第2小法廷判決、民集15巻6号1689頁参照)。しかして、この場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(昭和38年12月5日判決言渡、最高裁判所昭和37年(オ)第953号 )。
これを本件についてみるに、上記のような構成からなる本願商標に接した場合、サクランボが日常一般において馴染みのある果実であることから、サクランボと思しき図形部分に視線が向かうことは否定できないところである。
一方において、その構成中の欧文字部分は、上部のサクランボと思しき図形部分よりも横幅が長く表され、かつ、大きく、また、赤色をもって表されていることから、該欧文字部分も看者の注意を強く惹くものであり、やゝデザイン化されているとはいえ容易に「PACHA」の欧文字を表したものと理解し得るものである。この「PACHA」の欧文字は、仏和辞典や英和辞典によれば、「旧トルコの地方総督の尊称、トルコ及びエジプトの州知事、軍司令官」等の意味合いを有する語ではあるが、一般に親しまれた外国語とはいい難く、我が国においては、むしろ、一種の造語として理解・認識されるものというべきである。そして、「PACHA」の文字部分は、その特徴のある書体と、後述するとおり、これより生ずるものと認められる「パチャ」の称呼とも相俟って、取引者・需要者に商品の出所識別標識として強く印象を与えるものということができる。
そうとすれば、本願商標は、図形部分と文字部分とが視覚上からも明瞭に分離して看取されるものであり、意味上からも格別の結びつきがあるものとは認められないから、図形部分と文字部分とを常に一体不可分のものとして把握されるとはいい難いものといわなければならない。そして、文字部分もそれ自体、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、本願商標に接する取引者・需要者は、顕著に表された「PACHA」の文字部分に着目して取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
(2)この点について、請求人は、平成6年(行ケ)第150号判決を引用して、本願商標は図形部分を含む商標全体をもって商標の類否判断がなされるべきである旨主張している。
しかしながら、上記したとおり、本願商標は、その構成中、文字部分が図形部分の中に包み込まれるような、あるいは、図形部分に重なるような態様ではなく、図形部分と文字部分とがどちらかといえば単純に上下二段に表されているものであって、両者が不可分一体的な構成に表現されているものでもなく、かつ、意味上からも格別の結びつきがあるとは認められない。また、本願商標がその全体の構成をもって取引者・需要者間に広く知られているというような事情についての主張も、証拠の提出もない。そうとすれば、本願商標については、上記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
(3)そこで、本願商標の構成中、「PACHA」の文字部分の称呼についてみるに、「PACHA」の文字は、仏和辞典や英和辞典には成語として掲載されており、これらによれば、「パシャ」と発音されるものと認められ、また、請求人の住所地がスペインであることに鑑み、スペイン語辞典に徴してみれば、「パチャ」と発音されるものと認められる。
しかして、上記したとおり、「PACHA」の語は、我が国においては親しまれた外国語とも認められず、むしろ、一種の造語として理解されるものということができる。そうとすれば、そのような場合、取引者・需要者は、ローマ字読みをするか、あるいは、外国語として最も親しまれている英語風の読み方をするのが一般的であるということができる。これをローマ字読み(ヘボン式)とすれば、「パチャ」と発音されるものである。また、英語風の読み方をすれば、本願商標の後半部分の「CHA」の文字部分については、語頭部分の綴り字ではあるが、例えば、「champion」、「chance」、「chapel」がそれぞれ「チャンピオン」、「チャンス」、「チャペル」と発音されている例が容易に想起されるところであり、これらの例に倣えば、該「CHA」の文字部分も「チャ」と発音し得るから、「PACHA」の語を英語風の読み方をした場合にも、「パチャ」と発音されるものということができる。
してみれば、本願商標は、その構成中の「PACHA」の文字部分から「パチャ」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。
(4)他方、引用商標1は、前記したとおりの構成からなるものであるから、その構成文字に相応して「パチャ」の称呼を生ずるものであり、引用商標2及び引用商標3については、上記したところと同様の理由から、その構成文字に相応して、「パチャ」の称呼をも生ずるものと認められる。
(5)してみれば、本願商標と引用各商標とは、「パチャ」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。加えて、本願商標と引用商標2及び引用商標3とは、「PACHA」の綴り字を同じくするものであって、文字部分の外観においてもある程度近似した印象を与えるものである。
そして、本願の指定商品中の第3類「オーデコロン,香水類」は引用商標1の指定商品中の「化粧品」と同一又は類似する商品と認められるものであり、第25類の指定商品中の「被服および帽子」は引用商標2の指定商品と同一又は類似する商品と認められるものであり、第25類の指定商品中の「運動用特殊靴」は引用商標3の指定商品中の「運動用具」と類似する商品と認められるものである。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標と引用各商標とは、「パチャ」の称呼を同じくするものであり、また、引用商標2及び引用商標3とは、文字部分の外観においてもある程度近似した印象を与えるものであるから、両者は、互いに誤認混同のおそれのある類似の商標といわなければならない。そして、本願商標の指定商品には、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標(色彩については原本参照)

審理終結日 2007-10-01 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2007-10-15 
出願番号 商願2005-42466(T2005-42466) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y031825)
T 1 8・ 261- Z (Y031825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有水 玲子 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
商標の称呼 パシャ、パチャ 
代理人 河野 登夫 

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