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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て不成立) Y25
管理番号 1172948 
判定請求番号 判定2007-600057 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2008-03-28 
種別 判定 
判定請求日 2007-08-21 
確定日 2008-02-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4784854号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「靴及び靴の中敷き」に使用する(イ)号標章は、登録第4784854号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
本件判定請求人(以下、「請求人」という。)が所有する本件登録第4784854号商標(以下、「本件商標」という。)は、「コンフォートゾーンシャーシー」の片仮名文字と「Comfort zone chassis」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成15年8月7日に登録出願、第25類「履物,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類」を指定商品として、同16年7月9日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章
被請求人が商品「靴及び靴の中敷き」に使用するイ号標章は、別掲に示すとおり、靴の内底(靴の中敷き)において黒地に白抜きされた「SMART COMFORT TM ZONED CHASSIS」(「TM」の文字は、他の文字に比べて上部寄りに小さく表されている。)の文字よりなるものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、被請求人が商品「靴及び靴の中敷き」に使用するイ号標章は、本件商標の効力の範囲に属する旨の判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、判定請求書に添付書類として提出された甲第1号証ないし甲第4号証は、弁駁書に添付書類として提出した甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)と証拠番号が重複することから、後者の証拠番号を甲第5号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)として扱った。
1 請求の趣旨
本件商標は、「コンフォートゾーンシャーシー」及び「Comfort zone chassis」の文字からなるものであるから、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼及び「快適な部分の土台」の観念を生じる。
これに対し、イ号標章は、「SMART COMFORT TM ZONED CHASSIS」の構成中の「COMFORT ZONED CHASSIS」の文字部分より「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼及び「快適な部分の土台」の観念を生じる。 したがって、本件商標とイ号標章とは、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼及び「快適な部分の土台」の観念を共通にする類似の標章である。
また、本件商標に係る指定商品とイ号標章の使用商品とは類似の商品である。
2 判定請求の必要性
請求人は、被請求人が輸入販売する商品「靴及び靴の中敷き」に、イ号標章を使用していること(甲第1号証)について、平成18年12月4日、被請求人に対し、本件商標の商標権を侵害するものである旨の警告を発し、被請求人の代理人との交渉をも持ったが、該代理人は、イ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属しないと主張している(甲第2号証の1ないし4)。
3 イ号標章の説明
被請求人は、平成18年11月以前からイ号標章を付した商品「靴及び靴の中敷き」を輸入販売している(甲第3号証)。
4 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
本件商標は、「コンフォートゾーンシャーシー」「Comfort zone chassis」の文字からなるものであるから、これより「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼及び「快適な部分の土台」の観念を生じるものである。
イ号標章は、その構成文字中の「SMART」の文字部分が、本件商標を形容したものであるから、要部は「COMFORT ZONED CHASSIS」の文字部分である。
また、観念は、「COMFORT」(快適)、「ZONED」(部分)、「CHASSIS」(土台)である。
すなわち、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する観念である。
以上のとおり、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲であると考えられる。
5 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張するイ号標章の一部の極めて小さな「TM」なる文字が、広く一般的に登録商標を意味する文字として、周知されている事実は存在しない。例えば最も信頼且つ望ましいと思われるインターネット検索サイトであるGoogleの「TM」なる文字の検索結果は、約2.590万件がヒットし(甲第5号証)、同様に信頼性のある幾つかの辞典には「TM」或いは外来語としの「ティーエム」の文字さえ見当たらない(甲第6号証-1、甲第6証-2、甲第6号証-3、甲第6号証-4、甲第6号証-5、甲第6号証-6、甲第6号証-7、甲第6号証-8)。
従って、「TM」の文字には、何等語句に対する特定の機能を果たす権能はなく、「TM」に先立つ「SMART COMFORT」と「TM」に続く「ZONED CHASSIS」とが、分離分断されて解釈されることはない。
従って、当該イ号標章からは、形容詞的で表現である「スマート」の部分が省略されて、「コンフォートゾーンシャシー」の称呼が生じることに疑いの余地はないのである。
(2)被請求人の主張する、「ZONED CHASSIS」は、靴類における技術を英文で説明したものではなく、単なる記述であるとも思料されない。
何故なら、「ZONED」は、「ZONE」の称呼「ゾーン」、商標登録第4313789号、第25類「履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」。「CHASSIS」は、「CHASSIS HIPWEAR」の称呼「シャシヒップウエア、シャシスヒップウエア、シャシ、シャシス」、商標登録4165299号、第26類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」として登録商標として存在する(甲第7号証、甲第8号証)。
また、我国において「ZONED」及び「CHASSIS」は、靴の中敷のデザイン或いは形状を表す文字として、広く靴類はおろか靴類のカタログ等にも表示されてはいない。
従って、一般消費者及び需要者の間で、靴の中敷の技術的説明を表す単なる記述として認識されることは、合理的且つ論理的観点を欠くものである。
(3)被請求人の主張するイ号標章を、全て「SMART COMFORT」と表示し、商品カダログで紹介されていたとしても発行部数の極めて限られた、所謂セールスマン用カタログであり広く一般需要者に接する物ではない。
さらに、イ号標章を付した商品を雑誌、メディアにおいて「スマートコンフォート」或いは「SMART COMFORT」と称して紹介されていたとしても「スマートコンフォート」或いは「SMART COMFORT」がイ号標章と同様の音表記である根拠はではなく、被請求人の権利の範疇の商標である「SMART COMFORT」を表すものでしかない。
従って、イ号標章を「SMART COMFORT」としての商品の識別標識として用いられることは正当性に欠く恣意的主張である。
また、被請求人は、イ号標章を付した商品を「SMART COMFORT」の表示を持って、先使用を主張しているようであるが、被請求人の提示する証拠類は、被請求人の権利の範疇である「TIMBERLAND」或いは「SMART COMFORT」に限定されるものである。
さらに、その広告宣伝に於いては、広く一般的告知であるテレビ・全国紙などではなく、極めて限られた発行部数の雑誌総カタログに僅かに掲載された僅かな記事でしかない。
従って、被請求人の主張するイ号標章を「SMART COMFORT」の表示をもって、イ号標章の先使用を証拠立てるものではない。
即ち、イ号標章は、不知の標章であることは明白である。
(4)被請求人は、イ号標章「SMART COMFORT TM ZONED CHASSIS」の「COMFORT ZONED CHASSIS」について、請求人の主張する「快適な部分の土台」の観念を生じることは無いと主張しているが、「SMART」「スマート」の日本語訳は、「スマート、格好の良い」或いは「賢い」であり、従って、前述のとおりイ号標章中の最前部の語句である「SMART」「スマート」は、その語意からしても形容詞的な言葉であり表記である。
即ち、イ号標章の観念は、請求人の権利に帰する「快適な部分の土台」に属するものであるのは当然のことである。
さらに、イ号標章の日本語表記は、「スマートコンフォートゾーンシャーシ-」と長音を含む文字数は、18文字になり、イ号標章に接した需要者並びに取引者にとっては極めて長い語句であり、その多くはイ号標章を「コンフォートゾーンシャーシ-」と省略して称呼するものと容易に推測される。
従って、イ号標章と請求人の権利に帰する本件商標は、混同されるものと思料される。
(5)被請求人は、所謂ハウスマークである周知の「TIMBERLAND」の文字商標及び木のデザイン商標とイ号標章が、同時に需要者に接することにより、商品の出所を混同することは無いと主張しているが、商標上の観念からその様な事実は、無く、被請求人の独善的な主張であり、正当性を欠くものである。
(6)被請求人は、イ号標章の付した商品を、所謂ティンバーランドコーナーのみで販売されており前述同様、商品の出所を混同することは無いと主張しているが、ティンバーランド商品のみを扱う、所謂ティンバーランドショップを除き、イ号標章を付した商品は他の商標或いは標章を付した商品と混在した、靴類の売り場で販売されており虚偽に基づく主張である(甲第9号証)。
(7)以上陳述した如く、被請求人の主張はいずれも理由がなく失当といわざるを得ない。

第4 被請求人の答弁の要点
1 答弁の趣旨
被請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
2 答弁の理由
(1)イ号標章の使用が登録第4731364号商標に係る商標権の正当な権利行使である点について
被請求人の親会社である米国法人「ザ テインバーランド カンパニー」は、本件商標の権利者である。
すなわち、被請求人は、イ号標章の使用は、あくまで本件商標の商標権の正当な権利行使であると確信する。
まず、イ号標章は、構成文字の間に、欧文字で「TM」と表示されている。
かかる「TM」の表示は、「商標」を意味する英語「TradeMark」の略号であることは我が国においても広く一般に知られているところである。
したがって、イ号標章に接した需要者・取引者は、該「TM」の表示を挟む「SMART COMFORT」及び「ZONED CHASSIS」の2つの部分を分離し、「TM」に先立つ「SMART COMFORT」の部分を商品の識別標識として認識するものと考えられる。
また、イ号標章のうち、「TM」の後に続く「ZONED CHASSIS」の部分は、靴類及び履物に用いられる技術を英語で説明したにすぎず、単に、商品の品質又は内容を表す、いわゆる記述的な表示である。
靴類との関係において、「ZONED CHASSIS」の語は、靴の中敷きの下部台又はフレーム、あるいは、フレームのデザインに言及するものである。
この「ZONED CHASSIS」に関連する「ZONED PRESSURE CHASSIS」という語について、日本で販売される商品の生産国かつ輸入元である米国で作成された商品カタログ(英語版)で詳細に説明されているのに合わせて、被請求人の商品カタログ(日本語版)でも、「足裏のそれぞれの部分に受ける衝撃を的確に捉えるようデザインされたソール構造により、その衝撃を均等に拡散する」機能であると説明されている(乙第4号証-1ないし2)。これらの点に鑑みても、「ZONED CHASSIS」の語が、商品の品質又は内容を表す記述的な用語であることは明らかである。
したがって、イ号標章において、商品の識別標識としての機能、すなわち、自他商品識別力を有するのは、「TM」の表示より前の「SMART COMFORT」の部分である。
上述の点については、イ号標章を付した商品の製造が開始された平成13年(2001年)から同14年(2002年)にかけて頒布された商品カタログ(英語版)において、全て、商品名を「SMART COMFORT」として紹介されており、それに合わせて、日本での販売が開始された同14年に頒布された商品カタログ(日本語版)でも、やはり、「SMART COMFORT」が商品の識別標識として用いられていることからして明かである(乙第5号証-1ないし4)。
さらに、イ号標章を付した靴類は、雑誌・新聞等のメディアにおいては、「SMART COMFORT」又はその表音である「スマートコンフォート」として紹介されている(乙第6号証-1ないし14)。
これは、商品にイ号標章が付されていても、商品の識別標識としての役割を果たすのは、前半の「SMART COMFORT」の部分のみであり、被請求人が、広告・宣伝としての使用の場面で、登録商標と同一の「SMART COMFORT」又はその表音である「スマートコンフォート」の態様に限定して使用していることを立証するものである。
さらにまた、このことは、被請求人が、本件商標が出願される前から、既にイ号標章を「靴の中敷き及び靴類」について使用していたことを示唆するものである。
なお、請求人は、イ号標章のうち、「SMART」のみを分離した、残りの「COMFORT ZONED CHASSIS」の部分に基づいて、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼、及び、「快適な部分の土台」の観念を生じると主張しているが、全くの失当である。被請求人は、「SMART COMFORT」の商標について登録を受け、当該商標登録に基づき、一部の商品について、記述的な表示「ZONED CHASSIS」を付加したイ号標章を使用しているにすぎないものである。
すなわち、「SMART COMFORT」の部分は、登録商標そのものであり、常に一体不可分として捉えるべきであって、敢えてこれを「SMART」と「COMFORT TM ZONED CHASSIS」とに分離し、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼、及び、「快適な部分の土台」の観念を生じるとすべき合理的な理由はないものである。
また、甲第1号証の写真が示すように、イ号標章は、主に、「靴の中敷き」に付されて使用されているものである。ここで、写真から明らかなように、イ号標章が、「靴の中敷き」のうち、足の内側に相当する位置に小さく表示されているのに対し、被請求人、又は、「ザ テインバーランド カンパニー」の代表的な出所標識、いわゆるハウスマークである「Timberland」の欧文字からなる文字商標、及び、木のデザインからなる図形商標が、足の後ろの辺り、すなわち、需要者が靴類を販売店で購入したり、試し履きしたりして使用する際、最も目につく位置に大きく表示されているのがわかる。
すなわち、イ号標章を付した商品に接する需要者・取引者は、必然的に、当該文字商標及び図形商標にも接することとなるものである。かかる「Timberland」の文字商標、及び、木のデザインの図形商標は、第25類「履物」を指定商品に含み、「ザ テインバーランド カンパニー」を権利者とする登録商標であり、日本においては、靴類又は履物を表示する商標として広く知られているものである(乙第7号証-1ないし2)。
かかる状況の下、靴類又は履物といった商品に接する需要者・取引者は、当該商品にイ号標章と共に付された、需要者間で周知の「Timberland」の文字商標及び木のデザインの図形商標により、商品について出所の混同を生じるおそれはないというべきである。
さらに、甲第3号証の写真によれば、イ号標章を付した靴類は、当該商品の販売店において、上述の登録商標、すなわち、「Timberland」の文字商標及び木のデザインの図形商標を、需要者が一目で認識できる位置に掲げた、「Timberlandコーナー」ともいい得る、専用の売場に陳列されていることが確認できる。
このような状況下で、かかる「Timberlandコーナー」に、被請求人、又は、「ザ テインバーランド カンパニー」以外の者を出所とする商品を置くことは、商取引の慣習上考え難いものである。同様に、当該売場に陳列された商品に接した需要者側もまた、それらの商品は、被請求人、又は、「ザ テインバーランド カンパニー」を出所とする靴類であると信じて疑わないはずのものである。
したがって、イ号標章を付した商品については、本件商標が付された商品との間で出所の混同が生じる余地はないというべきである。
3 被請求人が先使用による商標の使用をする権利を有する点について
(1)被請求人は、イ号標章を付した商品(靴類)について、米国から日本への輸出開始に先立って、平成13年(2001年)に商品カタログ(英語版・日本語版)による使用を開始し、平成14年(2002年)には、ファッションその他の雑誌等のメディアを通じた広告・宣伝も多方面で始めるようになり、それ以降、継続して広告・宣伝活動を行っている(乙第5号証-1及び2、乙第6号証-1ないし14)。
そして、平成14年(2002年)には、イ号標章を付した靴類の日本への輸入及び日本国内での販売が開始され、それ以降、被請求人は、卸売り又は小売りの形態で該当商品の販売を継続しており、販売数・売上高のいずれについても毎年相当の実績をあげている(乙第8号証)。
すなわち、被請求人は、平成13年(2001年)以降、登録商標「SMART COMFORT」について、当該商標が付された靴類の輸入・販売・広告・宣伝等を大々的に行うことにより、イ号標章を靴類について継続的に使用しているものである。
(2)ここで、イ号標章が、平成13年(2001年)に使用され始めたのに対して、本件商標の出願日が、それよりも後の平成15年(2003年)8月7日である点に注目すべきである。本件商標が出願された時期は、イ号標章が、被請求人又は「ザ テインバーランド カンパニー」の商品を表示するものとして需要者・取引者の間に親しまれ、浸透してきたであろうことは容易に察しがつくものである。そして、かかる事実は、被請求人が、不正競争の目的をもってイ号標章を使用し始めたものではないことを裏付けるものである。
(3)さらに、イ号標章は、本件商標の出願日である平成15年(2003年)8月7日以前より、日本各地において、「靴の中敷き及び靴類」について継続的に使用され、本件商標の出願時に、被請求人又はその親会社である、「ザ テインバーランド カンパニー」の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されていたということができる。
したがって、被請求人は、本件商標の商標権の設定登録時、商標法第32条に規定する、先使用による、イ号標章を「靴の中敷き及び靴類」について使用をする権利を取得したものであるから、本件商標の登録後も引き続きイ号標章をそれらの商品について使用できるものである。
4 むすび
被請求人によるイ号標章の使用は、商標登録第4731364号に基づく商標権の正当な権利行使であり、出所の混同を生じるおそれはない。また、被請求人は、先使用により、イ号標章を「靴の中敷き及び靴類」について使用する権利を本件商標の登録日に取得したものである。
したがって、イ号標章が、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないことは明らかであるから、本件判定請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標
本件商標の構成は、上記第1のとおり、「コンフォートゾーンシャーシー」及び「Comfort zone chassis」の文字を上下二段に横書きしてなるものである。
(1)称呼について
本件商標の構成中、上段の「コンフォートゾーンシャーシー」の片仮名文字は、下段の「Comfort zone chassis」の欧文字から生ずる読みを特定したものと無理なく認識し得るものである。
そして、本件商標の構成中、上段及び下段の構成各文字は、それぞれ同じ書体で、視覚上、まとまりよく一体的に表されており、これより生ずると認められる「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうとすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼を生ずると判断するのが相当である。
(2)観念について
「コンサイスカタカナ語 第3版」(三省堂発行)及び「新英和中辞典(第4刷)」(研究社発行)によれば、本件商標の構成中、「コンフォート」及び「Comfort」の文字は「安楽,楽しみ,慰め,〈身体を楽にする〉,〈不安・苦痛・不満のない〉安楽,快適」等の意味を、「ゾーン」及び「zone」の文字は「地帯,地域,範囲,(外観・特徴などによって他と区別できる)地帯・地域・区域,〈・・・〉を帯状に囲む」等の意味を、また「シャーシー」及び「chassis」の文字は「自動車などの車台、ボディー、エンジンなどを取り付ける土台となる部分,ラジオやテレビの受信機で、部品を取り付ける金属製の台,(自動車などの)車台,(砲台がその上を移動する)砲座」等の意味を有する語であり、各語は様々な意味を有する語であることから、本件商標全体より、直ちに、請求人の主張する「快適な部分の土台」の意味合いが生ずるものとは認められず、むしろ、本件商標は、特定の意味合いを生じない一体不可分の造語とみるのが相当である。
2 イ号標章について
イ号標章は、別掲に示すとおり、商品「靴の内底(靴の中敷き)」において黒地に白抜きされた「SMART COMFORT TM ZONED CHASSIS」の文字よりなるものである。
(1)称呼について
イ号標章の構成中、他の文字に比べて上部寄りに小さく表された「TM」の文字は、他の文字等に対して付記的に表されて、商品に付された場合には、「TradeMark」の略語(上述の「コンサイスカタカナ語 第3版」による)と理解されるものであり、該文字を含む文字を称呼する場合には、通常、称呼されないものというべきである。
そうすると、イ号標章は、その構成文字全体に相応して、「スマートコンフォートゾーンドシャーシー」の称呼を生じるものである。
また、イ号標章は、視覚上、上記「TM」の文字により、その前後の「SMART COMFORT」の文字部分と「ZONED CHASSIS」の文字部分とに分離して看取されるとみるべきであり、これらの各文字部分に相応して、イ号標章からは、「スマートコンフォート」及び「ゾーンドシャーシー」の称呼をも生ずるというのが相当である。
なお、請求人が、「イ号標章の構成文字中の『SMART』の文字部分は、本件商標を形容したものであり、要部は『COMFORT ZONED CHASSIS』であるから、イ号標章よりは、『コンフォートゾーンシャーシー』の称呼をも生ずる」旨主張している点については、以下の(2)において述べる。
(2)観念について
前出の「新英和中辞典」によれば、イ号標章の構成中、「SMART」の文字は、「〈動作など〉活発な,きびきびした,頭のよい,賢明な,〈服装など〉スマートな,身なりのきちんとした,こざっぱりした,ハイカラな,当世風の,厳しく,激しく,きびきびと,てきぱきと,賢明に,[・・・で]うずく,ずきずき[ひりひり]痛む,痛み,うずき,苦痛,苦悩」等、様々な意味を有する語である。
また、「COMFORT」「TM」「ZONED」「CHASSIS」の各文字の意味については、上記のとおりである。
そして、「SMART COMFORT」の文字部分の構成各文字は、同じ書体、同じ大きさで、まとまりよく一体的に表されているものであり、これより生じる「スマートコンフォート」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、たとえ、イ号標章の構成中の「SMART」の文字が、商品「靴」との関係において、例えば、その表音である「スマート」の片仮名文字をもって、「スマートな靴」のように使用される場合があるとしても、かかる構成においては、該文字部分が、商品「靴及び靴の中敷き」の品質等を表示したものとして直ちに認識されるものとはいえず、むしろ、「SMART COMFORT ZONED CHASSIS」又は「SMART COMFORT」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し、把握されるとみるのが相当であって、イ号標章に接する取引者、需要者が、殊更、「SMART」の文字部分を捨象し、「COMFORT ZONED CHASSIS」の文字部分のみをもって取引に資するものとはいい難いから、イ号標章より、「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼及び「快適な部分の土台」の意味合いを生ずるとする請求人の主張は認めることができない。
なお、本件商標の指定商品中には、イ号標章の商品「靴の中敷き及び靴類」と、用途、需要者等を共通にするものを含むから、互いに類似する商品の関係にある。
3 本件商標とイ号標章の比較について
本件商標とイ号標章とを比較するに、両者は、上記の構成よりみて、外観においては区別できるものであり、観念においては、いずれも特定の意味を有しない造語であるから、比較することはできない。
また、本件商標より生じる「コンフォートゾーンシャーシー」の称呼と、イ号標章より生じる「スマートコンフォートゾーンドシャーシー」「スマートコンフォート」及び「ゾーンドシャーシー」の称呼とを比較するに、それぞれの称呼は、その構成音及び構成音数において差異を有するものであるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、音調、音感が相違し、十分に聴別し得るものである。
そうすると、本件商標とイ号標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であるといわなければならない。
したがって、本件商標とイ号標章とは、上記のとおり非類似の商標であると認められる以上、本件判定請求に係る商品「靴及び靴の中敷き」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものといわざるを得ない。
なお、本件商標とイ号標章とは、非類似の商標であるから、先使用による商標の使用をする権利(商標法第32条)の要件を欠いているものであるので、判定の対象となし得ないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 【別掲】イ号標章


(色彩については原本を参照されたい。)

判定日 2008-01-25 
出願番号 商願2003-71555(T2003-71555) 
審決分類 T 1 2・ 9- ZB (Y25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
岩本 和雄
登録日 2004-07-09 
登録番号 商標登録第4784854号(T4784854) 
商標の称呼 コンフォートゾーンシャーシー、コンフォートゾーンシャシズ 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 吉武 賢次 
代理人 宮城 和浩 
代理人 塩谷 信 
代理人 宮嶋 学 
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