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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 25
管理番号 1172875 
審判番号 取消2006-31192 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-09-22 
確定日 2008-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第0575122号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0575122号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第575122号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和33年12月27日に登録出願、第36類「被服、手巾、釦鈕及び装身用『ピン』の類」を指定商品として、同36年6月20日に設定登録されたものである。その後、指定商品について、平成14年3月13日、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」に書換登録がなされたものである。
2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていない。よって、本件商標登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)弁駁
乙第1号証及び同第2号証は、「スキャンティ」なるネーミングの由来を示しているに留まる。また、乙第3号証は、「1955年、スキャンティとその家族は生まれました」というキャッチコピー、「長髪の女性の図柄」、「TUNIC」のロゴ及び「チュニック株式会社」の社名が記載された商品タグ、乙第4号証及び同第5号証は、その商品タグが付された下着の写真に過ぎず、これら商品の販売時期も商標権者との関係も不明である。付言すれば、乙第4号証と同第5号証とでは、2枚の商品タグ同士を結ぶ素材と商品タグと商品を結ぶ素材とが異なっているように見える。コスト削減の観点から包装資材等は一般に統一されることに照らせば、これらの商品が実際流通過程に置かれているものかという点には疑問がある。
3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)本件商標の「スキャンティー」は、昭和30年(1955年)に故鴨居羊子が「最小限の布のパンティ」という意味で、英語の「Scanty」から名づけた商標であったが、当時の時代状況としては、「軽い布地で、薄っぺらな下着」自体が衝撃的であって、それらの「下着ショー」が新聞等で取り上げられた際、「スキャンティ」の名称について、「スキャンダル・プラス・パンティスの造語である」とか「スキャンダルをおこすような、あるいはおこさないような、精神的姦通、肉体的姦通を暗示するような“よろめきパンティスである”」というような注釈がついたうえ、一般的に広まっていった名称である。(乙第1号証、乙第2号証)
(2)故鴨居羊子は、昭和36年6月20日に「スキャンティー」を商標登録し、以後故鴨居羊子が設立した「チュニック株式会社」が製造・販売する下着の商標として使用しているだけでなく、現在では「チュニック株式会社」そのものの別称とも認識されている程、日本の下着市場に浸透している名称である。
(3)「スキャンティー」は、故鴨居羊子が昭和30年ごろに製作したパンティ等の下着の商標として初めて使用しだした後、「チュニック株式会社」が設立されて同社が製造・販売する「パンティ」等の下着の商標として、現在も使用されているものである。
4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠(乙第1号証ないし同第5号証)によれば、以下の事実が認められる。
ア 鴨居羊子「下着ぶんか論」(乙第1号証)は、凡凡社の発行に係る書籍の写しと推認される(奥付等がなく発行日は不明である。)ところ、その記載中、222頁以下に「スキャンティのこと」として、その名称が使用されだした当時の逸話が紹介されている。その中で、「スキャンティ」が新聞や週刊誌の注釈とは異なり、「そんな意味の造語ではなくて、実は“乏しき“とか“ごく少量の“とかいった意味をもつ立派な英語で、Scantyとつづる形容詞なのです。この小さなパンティスは、私が下着をアレコレといじりまわし、興味をもちだしたころの名づけで、・・・」と記載されている。
イ「女は下着でつくられる」(乙第2号証)は、鴨居羊子コレクション1と副題が付けられた、同女史のエッセイを集大成したとされる国書刊行会発行の書籍の写し(奥付等がなく発行日は不明である。)と認められるところ、「スキャンティ生まれる」の項(74頁)には、当時の同女史の交友や仕事ぶりが表現されるとともに、「スキャンティ-これは、いままでのパンティスと違って股ぐりが深いため、少量の面積でパンティスの機能を果し、同時に脚が長くみえ、たとえ太った人でも股ぐりの斜線のために、脚が入りやすい。色はあらゆる色を用い、レースよりも飾りゴムをつけた。」(76頁)との記載がある。
ウ 商品タグ(乙第3号証)には、「TUNIC」、「チュニック株式会社」の文字の上に下着姿で寝そべった女性を漫画風に描いた図を配し、その最上部には、小さく「1955年、スキャンティとその家族は生まれました。」の記載がある。
エ 商品現物の写真(乙第4号証)には、女性用下着に乙第3号証の商品タグと、上半身裸状態で立つ下着姿の女性を漫画風に描いた図と「TUNIC」の文字を表示した商品タグが付けられている。
オ 商品現物の写真(乙第5号証)には、乙第4号証とは別の女性用下着に、乙第4号証と全く同じ二種類の商品タグが付けられている。
(2)本件商標は、別掲のとおりの態様をもって「スキヤンティー」の文字を表したものである。しかして、上記証拠によっては、「スキャンティ」の命名の経緯等を窺い知ることができるが、商品との関わりにおいては、商品タグ(乙第3号証ないし乙第5号証)の中に「スキャンティ」の文字を見いだせるけれども、これとても、「1955年、スキャンティとその家族は生まれました。」というものである。そして、この記述は、当該商品に付された商品タグに表示された「TUNIC」、「チュニック株式会社」あるいは図形をもって商品の出所を表すものと看取されるとみるのが自然であることとも相俟って、一種のキャッチフレーズとして捉えられるというのが相当であるから、この中の「スキャンティ」の表示をもって、自他商品の識別機能を果たし得る態様の使用とは認め難いものである。
加えて、当該商品が現に取引されたことを証明する取引書類等の証左は提出されていない。
してみると、被請求人が本件商標をその製造・販売する「パンティ」等の下着に使用したと認めることはできないというほかない。
(3)以上によれば、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、その指定商品について使用をされたことが証明されたということはできない。
他に、本件商標の使用を明らかにする証拠はなく、また、不使用であることについての正当理由に関する主張及び立証はない。
(4)したがって、本件商標は、継続して3年以上商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその指定商品に使用をしていないものに該当するといわざるを得ないから、商標法第50条の規定により、その登録の取り消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2007-04-23 
結審通知日 2007-04-27 
審決日 2007-05-08 
出願番号 商願昭33-37447 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (25)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 伊藤 三男
岩崎 良子
登録日 1961-06-20 
登録番号 商標登録第575122号(T575122) 
商標の称呼 スキャンティー、スキヤンティー 
代理人 杉山 直人 
代理人 山崎 行造 
代理人 大石 一二 

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