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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1171209 
異議申立番号 異議2006-90393 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-02-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-08-08 
確定日 2007-12-20 
分離された異議申立 有 
異議申立件数
事件の表示 登録第4959859号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4959859号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4959859号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成13年9月25日に登録出願、第25類「ジャンパー,ジャケット,ウィンドブレーカー,スーツ,ワンピース,スカート,短ズボン,その他のズボン,ロンパース,カマーバンド,その他の洋服,オーバーコート,その他のコート,カーディガン,チョッキ,その他のセーター類,ティーシャツ,ポロシャツ,ブラウス,その他のワイシャツ類,ナイトガウン,パジャマ,バスローブ,その他の寝巻き類,タンクトップ,ボクサーショーツ,ブリーフ,キャミソール,コルセット,シュミーズ,ガードル,パンティガードル,スリップ,パンツ,ブラジャー,ペチコート,袖なしアンダーシャツ,その他の下着,水泳着,水泳帽,エプロン,布製幼児用おしめ,よだれかけ,タイツ,パンティストッキング,その他の靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ボータイ,耳覆い,保温用マフ,サンバイザー,ボンネット,ベレー帽,その他の帽子,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,短靴,ブーツ,サンダル靴,スニーカー,木靴,ビーチシューズ,スリッパ,その他の履物,仮装用衣服,リストバンド,ヘッドバンド,その他の運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同18年6月9日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由(要旨)
1 登録異議申立人「ヤマトインターナショナル株式会社」(以下「申立人ヤマト」という。)は、登録異議申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、以下のアないしカに示す申立人ヤマトの各登録商標(以下、これらをまとめていうときは、「ヤマト商標」という。)と、外観、称呼及び観念上、類似する商標であって、その指定商品もヤマト商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 登録第571612号商標(以下「ヤマト商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和34年4月27日に登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同36年5月1日に設定登録、その後、同56年7月31日、平成3年7月30日及び同13年5月8日にそれぞれ商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同14年6月12日に指定商品を第9類「事故防護用手袋」、第10類「医療用手袋」、第14類「ネクタイピン,宝石ブローチ」、第21類「家事用手袋」、第24類「布製身の回り品」、第25類「洋服,オーバーコート,レインコート,股引き,きゃはん,帽子,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,シャツ,じゅばん,ずぼん下,手袋,靴下,カラー,カフス,ネクタイ,えり巻き,ガーター,巻ゲートル」及び第26類「腕止め,衣服用ブローチ」とする書換登録がされたものである。
イ 登録第2372008号商標(以下「ヤマト商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、昭和44年10月9日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年1月31日に設定登録、その後、同14年2月5日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月10日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされたものである。
ウ 登録第2372009号商標(以下「ヤマト商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、昭和46年12月10日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年1月31日に設定登録、その後、同14年2月5日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年7月10日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされたものである。
エ 登録第2453581号商標(以下「ヤマト商標4」という。)は、別掲(5)のとおりの構成からなり、昭和55年9月10日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年9月30日に設定登録、その後、同14年9月10日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同15年3月5日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされたものである。
オ 登録第2465858号商標(以下「ヤマト商標5」という。)は、別掲(6)のとおりの構成からなり、昭和46年12月10日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年10月30日に設定登録、その後、同14年10月15日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同15年3月26日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされたものである。
カ 登録第2521607号商標(以下「ヤマト商標6」という。)は、別掲(7)のとおりの構成からなり、平成2年9月5日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年3月31日に設定登録、その後、同15年4月1日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年8月6日に指定商品を第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする書換登録がされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ヤマト商標は、申立人ヤマトが自己の業務に係る商品「被服」について使用する商標として、我が国において、広く一般に知られている商標であるから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者、需要者は、あたかも申立人ヤマト又はその関連会社の取扱いに係る商品であるかのように認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、申立人ヤマトの使用に係る商標として著名性を獲得しているヤマト商標と類似するものである。
また、ヤマト商標1が、本件商標の商標権者と代表者が同一人であって関連性の強いシンガポール国籍の「リー セン ミン カンパニイ センデイリアンバーハッド」(以下「リー社」という。)から、申立人ヤマトの前身である「ヤマトシャツ株式会社」が譲渡を受け、その移転登録が昭和55年4月21日にされたものとの経緯からすれば、ヤマト商標が申立人ヤマトの企業努力をもって我が国で著名性を獲得した近年において、ヤマト商標と類似するワニの図形に「CARTELO」の文字を付して、リー社と関連ある者により登録出願された本件商標は、その商標権者(出願人)がヤマト商標の著名性を知らずに登録出願したものとは考えられないから、その出願の手続に不正の目的があったと推認されるべきである。
本件商標は、この著名なヤマト商標に化体した高い信用、評判、名声にフリーライドするというべきものであり、本件商標の登録を認め、使用させることは、申立人ヤマトの不断の努力によって培われた著名商標に化体した高い信用、評判、名声を稀釈化させるというべきである。
したがって、本件商標は、公正な取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、申立人ヤマトの業務に係る商品に使用される商標として、その出願時において、既に著名性を獲得していたヤマト商標と類似する商標であるから、商標権者が本件商標の出願を行ったことには、不正の目的があるというべきであり、本件商標がその指定商品に使用される場合、著名なヤマト商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、他人の著名な商標に類似する商標を不正の目的をもって使用するものというべきであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
2 登録異議申立人「ラコスト」(以下「申立人ラコスト」という。)は、登録異議申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第21号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、別掲(8)に示す引用商標(以下「ラコステ商標1」という。)と類似するものであり、また、ラコステ商標1は、2002年まで、申立人ラコストが世界110か国において、被服を含む自己の取扱いに係る商品のすべてに使用して周知、著名となっている商標である。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、申立人ラコストが使用して周知、著名なラコステ商標1及び別掲(9)に示す引用商標(以下「ラコステ商標2」といい、ラコステ商標1とこれとをまとめていうときは「ラコステ商標」という。)と酷似するワニの図形を一部に有してなるものであり、また、本件指定商品は、申立人ラコストの取扱いに係る商品のうちの中心的な商品である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、あたかも申立人ラコスト又は同人と経済的、組織的に関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、上記のとおり、周知、著名となっているラコステ商標1と類似する商標であることからすれば、本件商標の商標権者は、ラコステ商標1が我が国で登録されていないことを奇貨として、申立人ラコストの著名な商標の名声にフリーライドし、不正な利益を得る目的で登録出願をしたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第3 当審の判断
1 本件商標とヤマト商標及びラコステ商標との対比
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、緑、青及び赤で彩色した横長矩形中に「CARTELO」の欧文字を白抜き文字で顕著に表し、さらに、ワニの姿態を黒色の細線でやや簡略化して表してなる図形を、その胴ないし尾の部分が該矩形に重なるように描いてなるところ、該ワニの図形と矩形の重なり合う部分については、ワニの姿態を表す黒色の細線が矩形部分の青色に溶け込んだ印象を看者に与えるものであって、凝視して初めてワニの姿態全体を看取、把握することができるような描写方法が採られていることから、該ワニの図形部分は、視覚上、該矩形部分に融合してなるものとして認識されるというのが相当であり、また、該ワニの図形部分のみが分離抽出され、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべき特段の事情も見いだし得ない。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成全体をもって、まとまりのある一体的なものとして認識し、かつ、その構成中の顕著に表された「CARTELO」の文字部分に着目して、これより生ずる「カーテロ」の称呼をもって取引に資するというべきである。
また、該「CARTELO」の文字部分は、直ちに特定の意味合いを生ずることのない造語からなるものである。
(2)ヤマト商標について
ヤマト商標1は、別掲(2)のとおり、横長矩形内に、デザイン化された「Crocodile」の文字と頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形を配してなるところ、その構成中の「Crocodile」の文字部分は、ワニの一種である「クロコダイル」を意味する語として一般に知られているものであるから、ヤマト商標1は、その構成中の該文字部分及びワニの図形部分に相応して、「クロコダイル」の称呼及び「クロコダイルというワニ」の観念を生ずるものである。
ヤマト商標2は、別掲(3)のとおり、頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形からなるところ、これより直ちに具体的なワニの種類までは判別し難いものであるから、これより単に「ワニ」の称呼及び「ワニ」の観念を生ずるものである。
ヤマト商標3は、別掲(4)のとおり、口中部分が赤、その他の部分が緑で彩色されていることを除けば、ヤマト商標2と同一の標章からなるものであるから、ヤマト商標2と同様に、「ワニ」の称呼及び「ワニ」の観念を生ずるものである。
ヤマト商標4は、別掲(5)のとおり、デザイン化された「Gavial」の文字と頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形を組み合わせてなるところ、その構成中の「Gavial」の文字部分は、直ちに特定の意味合いを認識させることのない造語の一種として認識されるというのが相当であり、また、ワニの図形部分は、直ちに具体的なワニの種類までは判別し難いものであるから、該文字部分に相応して、「ガビアル」の称呼を生ずるほか、該図形部分に相応して、「ワニ」の称呼及び「ワニ」の観念を生ずるものである。
ヤマト商標5は、別掲(6)のとおり、デザイン化された「Crocodile」の緑色の文字(該文字の右上方には、円輪郭に「R」の文字を内包する小さな記号が付されている。)と、口中部分が赤、その他の部分が緑で彩色され、かつ、頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形を組み合わせてなるものであるから、ヤマト商標1と同様に、「クロコダイル」の称呼及び「クロコダイルというワニ」の観念を生ずるものである。
ヤマト商標6は、別掲(7)のとおり、デザイン化された「Crocodile」の文字と頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形の下方に「CLASSIC LABEL」の文字を配してなるところ、その構成中の「Crocodile」の文字部分及びワニの図形部分は、ヤマト商標1と同様に、一体的に「クロコダイルというワニ」を表したものとして認識されるのに対し、「CLASSIC LABEL」の文字部分は、普通に用いられる書体をもって表されており、視覚上、容易に分離して観察され得るものであって、かつ、これらの文字及び図形部分全体が常に一体不可分のものとしてのみ看取、認識されるとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
そうすると、ヤマト商標6は、その構成中の「Crocodile」の文字部分及びワニの図形部分に相応して、「クロコダイル」の称呼及び「クロコダイルというワニ」の観念を生ずるほか、「CLASSIC LABEL」の文字部分に相応して、「クラシックラベル」の称呼を生ずるものであり、該「CLASSIC LABEL」の文字部分は、直ちに特定の観念を生ずることのない造語からなるものである。
(3)ラコステ商標について
ラコステ商標1は、別掲(8)のとおり、口中部分が赤、その他の部分が緑及び白で彩色され、かつ、頭部を右方に向けたワニを写実的に描いた図形の下方に「LACOSTE」の文字(該文字の右上方には、円輪郭に「R」の文字を内包する小さな記号が付されている。)を配してなるところ、該図形部分と文字部分とは、視覚上、容易に分離して観察され得るものであり、かつ、これらの文字及び図形部分全体が常に一体不可分のものとしてのみ看取、認識されるとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
そうすると、ラコステ商標1は、その構成中のワニの図形部分から「ワニ」の称呼及び「ワニ」の観念を生ずるほか、「LACOSTE」の文字部分に相応して、「ラコステ」の称呼を生ずるものであり、該「LACOSTE」の文字部分は、直ちに特定の観念を生ずることのない造語からなるものである。
また、ラコステ商標2は、別掲(9)のとおり、頭部を右方に向けたワニ様の爬虫類を黒色のシルエット状に表したものと認識し得る図形中に、デザイン化され、かつ、白抜きで顕著に表された「lacoste」の文字を配してなるところ、該図形部分と文字部分は、視覚上、一体的にまとまりよく表されており、これらが分離して観察されるとみるべき特段の事情も見いだし得ない。
そうすると、ラコステ商標2は、看者をして、その構成全体をもって「lacoste」の文字を包含してなる図形として認識されるというのが相当であるから、その構成中、顕著に表され、看者の注意を惹きやすい「lacoste」の文字部分に相応して、「ラコステ」の称呼を生ずるものであり、その構成全体からは、直ちに特定の観念を生じないものである。
(4)本件商標とヤマト商標の類否について
上記(1)及び(2)において認定したことに基づき、本件商標とヤマト商標とを比較すると、両商標の構成態様は、各々、別掲(1)ないし(7)に示すとおりであるから、両商標は、外観上、一見して区別し得るほどに明らかな差異を有するものである。
また、本件商標は「カーテロ」の称呼を生ずるものであるのに対し、ヤマト商標は「ワニ」、「クロコダイル」又は「ガビアル」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、称呼上、その音構成において明らかな差異を有し、容易に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、その構成全体及びその構成中の「CARTELO」の文字部分のいずれについても、直ちに特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、ヤマト商標は「ワニ」又は「クロコダイルというワニ」の観念を生ずるものであるから、両商標は、観念上、比較することができないものである。
してみれば、本件商標とヤマト商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(5)本件商標とラコステ商標の類否について
上記(1)及び(3)において認定したことに基づき、本件商標とラコステ商標とを比較すると、両商標の構成態様は、各々、別掲(1)並びに別掲(8)及び(9)に示すとおりであるから、両商標は、外観上、一見して区別し得るほどに明らかな差異を有するものである。
また、本件商標は「カーテロ」の称呼を生ずるものであるのに対し、ラコステ商標は「ワニ」又は「ラコステ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、称呼上、その音構成において明らかな差異を有し、容易に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は、その構成全体及びその構成中の「CARTELO」の文字部分のいずれについても、直ちに特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、ラコステ商標1は「ワニ」の観念を生じ、また、ラコステ商標2は直ちに特定の観念を生ずることのないものであるから、本件商標とラコステ商標とは、観念上、比較することができないものである。
してみれば、本件商標とラコステ商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
2 ヤマト商標及びラコステ商標の周知性について
(1)ヤマト商標の周知性について
申立人ヤマトによる登録異議申立ての理由及びその提出に係る証拠に徴すれば、ヤマト商標、とりわけヤマト商標1及びヤマト商標5と同様の、デザイン化された「Crocodile」の文字と頭部を左方に向けたワニを写実的に描いた図形とからなる商標が、昭和56年(1981年)頃より、ブランド名を表したものと認識される「クロコダイル」の文字と共に、多数の雑誌、新聞等の広告記事において用いられていること、また、同時期の売上高が約100億円に達し、その後低調な時期があるものの、平成17年(2005年)には同等の売上高を回復していること等が認められる。
そうすると、ヤマト商標のうち、少なくともヤマト商標1及びヤマト商標5は、「クロコダイル」のブランド名と共に、遅くとも昭和56年以降、現在に至るまで、申立人ヤマトの業務に係る「ポロシャツ、セーター」等のカジュアルウェアに使用され、我が国の取引者、需要者間において、相当程度知られるに至っているものということができる。
(2)ラコステ商標の周知性について
申立人ラコストによる登録異議申立ての理由及びその提出に係る証拠に徴すれば、ラコステ商標、とりわけラコステ商標2と同様の、頭部を右方に向けたワニ様の爬虫類を表したものと認識し得る図形中に、デザイン化され、かつ、白抜きで顕著に表された「lacoste」の文字を配してなる商標が、我が国において専ら使用され、「舶来ブランド辞典 ’84ザ・ブランド」に「ラコステ」及び「LACOSTE」のブランド名と共に掲載されていること、また、「マンスリーブランドマーケットレポート 1992-8・9月号」に掲載された「ライセンスブランド売上高ランキング」中に、「ラコステ」のブランドが第41位(128.1億円)となった旨の記載があることに加え、申立人ラコストの業務に係る商品を販売する店舗の看板やその販売に係る商品の襟ネーム・タグにラコステ商標1と実質的に同一の商標が使用され、そのような商品が世界各国の販売拠点で2500万点以上の販売、13億ユーロを超える売上高を記録(2005年(平成17年))し、かつ、我が国における売上高も6000万ユーロを超えている(2004年(平成16年))こと、さらに、昭和54年(1979年)頃から、市場に出回った申立人ラコストの業務に係る商品の偽物が警察による取締りを受けた旨の複数の記事が新聞に掲載されていること等が認められる。
そうすると、ラコステ商標は、「ラコステ」のブランド名と共に、遅くとも昭和54年以降、現在に至るまで、申立人ラコストの業務に係る「テニスウェア、ゴルフウェア」等のスポーツウェアや「ポロシャツ」等のカジュアルウェアに使用され、我が国の取引者、需要者間において、相当程度知られるに至っているものということができる。
3 商標法第4条第1項第10号について
本件商標とラコステ商標1とは、上記1(5)のとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるから、ラコステ商標1が申立人ラコストの業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識され、かつ、本件商標の指定商品中にラコステ商標1の使用に係る商品と同一又は類似する商品が包含されていることが認められるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものということはできない。
4 商標法第4条第1項第11号について
本件商標とヤマト商標とは、上記1(4)のとおり、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定商品中にヤマト商標の指定商品と同一又は類似する商品が包含されていることが認められるとしても、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
5 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記1(1)のとおり、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって、まとまりのある一体的なものとして認識されるものであって、その構成中のワニの図形部分のみが分離抽出され、独立して自他商品の識別標識として認識されるとはいえないものである。
そして、本件商標とヤマト商標とは、上記1(4)のとおり、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、また、本件商標とラコステ商標とが、同様に非類似の商標であることは、上記1(5)のとおりである。
そうすると、ヤマト商標及びラコステ商標が、上記2(1)及び(2)のとおり、それぞれ申立人ヤマト及び申立人ラコストの業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前から取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標とヤマト商標及び本件商標とラコステ商標とは、いずれも非類似の商標であるから、それぞれの商標から受ける看者の印象、連想等も自ずと異なるものとなり、結局、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人ヤマト又は申立人ラコストの業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
6 商標法第4条第1項第19号について
本件商標とヤマト商標及び本件商標とラコステ商標とが、いずれにおいても非類似の商標であることは、上記1(4)及び(5)のとおりである。
また、申立人ヤマト及び申立人ラコストの提出に係る証拠のいずれを見ても、商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用・名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものということはできない。
7 商標法第4条第1項第7号について
本件商標とヤマト商標とが非類似の商標であることは、上記1(4)のとおりであるから、上記2(1)に述べたヤマト商標の周知性及びヤマト商標1の商標権に係る譲渡の経緯を勘案したとしても、本件商標に係る登録出願について不正の目的があったということはできない。
また、申立人ヤマトの提出に係る証拠のいずれを見ても、本件商標をその指定商品に使用することが、社会公共の利益、一般的道徳観念に反するものとはいえず、さらに、国際信義に反するものともいえない。
さらに、本件商標が、きょう激、卑わい若しくは差別的な文字又は図形からなるものといえないことは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものということはできない。
8 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標は、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 (別掲)
(1)本件商標


(2)ヤマト商標1


(3)ヤマト商標2


(4)ヤマト商標3


(5)ヤマト商標4


(6)ヤマト商標5


(7)ヤマト商標6


(8)ラコステ商標1


(9)ラコステ商標2


(上記(4)、(6)及び(8)の商標の色彩については、各々、原本参照のこと。)
異議決定日 2007-12-03 
出願番号 商願2001-86504(T2001-86504) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y25)
T 1 651・ 22- Y (Y25)
T 1 651・ 222- Y (Y25)
T 1 651・ 26- Y (Y25)
T 1 651・ 25- Y (Y25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 千里 
特許庁審判長 鈴木 新五
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 敬規
登録日 2006-06-09 
登録番号 商標登録第4959859号(T4959859) 
権利者 クロコダイル・インターナショナル・プライベイト・リミテッド
商標の称呼 カーテロ、カルテロ 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 曾我 道治 
代理人 樋口 豊治 
代理人 西津 千晶 
代理人 坂上 正明 
代理人 岡田 稔 
代理人 青山 葆 

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