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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y30
管理番号 1171135 
審判番号 無効2006-89018 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-02-17 
確定日 2008-01-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4816766号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4816766号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4816766号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成16年3月24日に登録出願され、第30類「菓子及びパン,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同16年11月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4441897号商標(以下「引用商標」という。)は、「がんばれ!受験生」の文字を横書きしてなり、平成12年1月24日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリ一ムのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、同年12月22日に設定登録されたものである。
その後、前記指定商品中「調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと」についての登録無効審判事件についてなされた請求は成り立たない旨の審決(無効2005-89162号、平成18年10月4日付け)に対し、知的財産高等裁判所において、原告の請求を棄却する判決(平成18年(行ケ)第10506号、平成19年4月26日判決言渡)がなされ、さらに最高裁判所において、該判決に対する上告の棄却及び上告審として受理しない旨の決定(平成19年(行ツ)第207号、平成19年(行ヒ)第218号、平成19年9月20日決定)がなされ、上記審決は確定した。

第3 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第5号証を提出している。
1 請求の理由
(1)本件審判を請求するに至った経緯
請求人である東洋水産株式会社は、昭和63年に引用商標の指定商品に含まれる商品「即席うどん,即席中華そば,米飯」等について、「がんばれ!受験生」なる商標の使用を開始したものである。
請求人は、平成12年1月24日に引用商標「がんばれ!受験生」を登録出願し、同年12月22日に登録を得、その後も現在まで継続して引用商標を使用しているものである。
一方、被請求人は、本件商標の登録後の平成16年12月16日に、「がんばれ受験生」の文字からなる商標を第30類の商品を指定して登録出願したところ(平成16年商標登録願第14761号)、当該商標が、引用商標と類似するから商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知を受け、その対応策として引用商標に対し、引用商標が商標法第8条第2項及び第5項に違反して登録された旨を主張して、無効審判(無効2005-89162号)を請求している(甲第4号証及び同第5号証)。
請求人は、上記のように18年の長きにわたって商標「がんばれ!受験生」を使用しているものであって、引用商標は大切に育ててきたブランドの一つである。
また、商標法第8条第2項及び第5項が無効理由に挙げられている趣旨は、第8条第2項に基づく当事者間の協議の結果、あるいは第8条第5項のくじの結果に反する者が実際には登録を受けていた等の場合に、これを是正するためであるから、そもそも第8条第4項による協議命令が発せられておらず、第8条第5項によるくじも行われずに登録になった引用商標については、協議あるいはくじの結果に反する者の出願が登録されたといった、法が予定している無効理由が存しないことは明らかである。
このようなことから、請求人は、引用商標に対して請求された無効審判については徹底して争う所存であり、被請求人が所有する本件商標に対しても、その登録を無効にすべく本件審判を請求するものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その文字部分、即ち「キットサクラサクよ!がんばれ受験生!」からは「きっと合格できるよ!がんばれ受験生!」の如き一連の意味合いを想起させる場合もあるかもしれない。
しかしながら、この「がんばれ」「受験生!」の文字は、明朝体により顕著に書されているものであり、ゴシック体により比較的小さく書された「キットサクラサクよ」とは外観上明確に区別して認識されるものである。
そして、「がんばれ」「受験生!」の全体からは、容易に、受験生に対する激励の言葉であることを理解させるものであるのに対し、「キットサクラサクよ!」よりは直接的には「桜が必ず咲く」という予想を述べた言葉と容易に理解されるものであるから、両者を必ずしも一連の言葉として把握する必然性はないものである。
仮に、一連の言葉として把握することが可能であるとしても、「キットサクラサクよ!がんばれ受験生!」からは全体で18音という非常に冗長な称呼が生ずるものであるから、迅速を尊ぶ取引の実情に鑑みれば、本件商標にあっては、「がんばれ受験生!」が1つの独立した構成要素として認識されるものである。
しかして、受験生に対する激励の言葉と理解される「がんばれ受験生!」が、指定商品との関係で、その商品の品質・用途等、商品の内容を表すようなことはないものであるから、本件商標にあっては、この「がんばれ受験生」の文字部分が要部として機能する場合が多いものとみるのが自然である。
他方、引用商標は、「がんばれ!受験生」の文字を横書きした構成よりなるものであるから、本件商標と引用商標とはその称呼及び観念上類似するものであること明らかである。
そして、両商標の指定商品は、同-又は類似の関係にあるものである。
そうとすれば、両商標は類似し、しかも同一又は類似する商品について使用するものであり、更に本件商標の出願、登録は引用商標のそれよりも後になされたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、何ら具体的な理由を挙げることなく、請求人が使用する商標が、引用商標の同一性の範囲を超えて類似の範囲内の商標であるとしているが、請求人が使用する商標が引用商標の同一性の範囲内であることは、被請求人が指摘している乙第8号証ないし同第15号証(無効2005-89162号)を見れば明らかである。
即ち、引用商標と同様、「がんばれ!受験生」の文字から構成された商標が、上記証拠方法には明確に表示されているものである。「!」の無い「がんばれ受験生」の態様での使用例も含まれているが、これが引用商標と社会通念上同一の商標であることについては詳述するまでもない。
したがって、引用商標自体を使用せずに、これに類似する商標のみを使用することを根拠として、引用商標に業務上の信用が化体するようなことはないとする被請求人の主張は失当である。
(2)請求人は、先に述べたように、昭和63年から「がんばれ!受験生」なる商標の使用を開始し、平成12年に商標登録出願、同年に登録を得ている。この登録商標が引用商標であるが、本件商標はこれから4年後の平成16年に出願され、登録されているものである。
被請求人は、他人の登録商標と類似する商標の使用は、他人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあり、その登録を無効とすることが法目的に沿う旨主張しているが、そうであるならば、本件商標の場合は、登録されているのみならず、長年使用されている請求人の引用商標と類似するのであるから、本件商標が使用された場合、請求人の商品と混同を生じさせる、より具体的なおそれがあり、本件商標こそが、その登録を無効とされる必要性も高いものである。
(3)なお、無効審判は、もともと登録査定の処分に瑕疵がある場合にこれを是正することを目的とした制度であって、登録後の使用行為を問題とするものではない。
したがって、請求人の使用行為との関係で、引用商標の登録が無効とされるべきとされる被請求人の主張は全くの失当である。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
1 本件審判の無効理由に挙げられている引用商標は、無効となるべきものであるから、本件審判請求は成り立たない。
本件審判請求の甲第5号証にみるように、引用商標に対して、既に無効審判請求(無効2005-89162号)がなされており、当該引用商標が無効となるのは明白であるから、無効となる引用商標をもって本件審判の無効理由とすることはできない。
したがって、本件審判請求は、主張自体失当というべきものであり、よって、本件審判請求は成り立たない旨の審決を求めるものである。
2 仮にそうでないとしても、引用商標の無効如何は先決事項であるから、本件審判は、引用商標の審決がなされた後に審理されるべきである。
すなわち、前記の無効審判請求は、その審決が本件審判の帰趨を決する所謂先決事項であり、かつ、本件審判請求に2ヶ月先立つものであることから、本件審判の審理は、引用商標に対する無効審判の審決がなされた後になされるべきである。
3 請求人は、引用商標を永年使用している旨主張しているところ、当該使用に係る商標は、前記無効審判請求の証拠方法(乙第8号証ないし同第15号証)からも明らかなように、引用商標そのものではなく、しかも同日出願に係る日清食品株式会社の登録商標に類似する範囲のものである。
この点、請求人が意図したか否かはともかく、このような商標の使用は、客観的には、商標法第51条第1項の規定によって回避せんとする混同状態、換言すれば違法状態を生ぜしめる危険性があることは否めない。
このように、引用商標に類似する商標であって、他人の登録商標にも類似する商標の使用は、他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるものである。
したがって、類似商標の使用によって、引用商標に業務上の信用が化体するものとは到底認めることができないものであり、むしろ、このような類似商標の使用に関しては、引用商標の登録を無効にすることこそが、法目的に沿うものといえる。

第5 当審の判断
引用商標については、前記第2のとおり、登録無効審判において請求が成り立たない旨の審決が確定したので、本願商標と引用商標との類否について判断する。
1 本願商標と引用商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、該構成中の「キットサクラサクよ!」の文字部分と、「がんばれ」「受験生!」の文字部分とは、観念において関連性を有するものの、外観において、書体及び色彩が異なり、後者は前者の下段にやや行間を取り前者に比して大きく中央にまとまりよく一体的に書されている構成上、両者は視覚的に分離して看取されるものであり、また、全体を一連に称呼するときは極めて冗長なものとなることから、常に一体不可分のものとして把握しなければならないとはいい難く、「がんばれ」「受験生!」の文字部分に着目して、単に「ガンバレジュケンセイ」の称呼及び「がんばれ受験生」の観念をも生ずるものとみるのが相当である。
これに対し、引用商標は、上記第2のとおり、「がんばれ!受験生」の文字からなるものであるから、その文字に照応して「ガンバレジュケンセイ」の称呼及び「がんばれ受験生」の観念を生ずること明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観上の相違を考慮しても、なお「ガンバレジュケンセイ」の称呼及び「がんばれ受験生」の観念を共通にする類似の商標というべきである。
また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一のものである。
2 結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標(色彩は原本参照)




審理終結日 2007-11-01 
結審通知日 2007-05-11 
審決日 2007-11-26 
出願番号 商願2004-27694(T2004-27694) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (Y30)
T 1 11・ 262- Z (Y30)
最終処分 成立  
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 杉山 和江
鈴木 修
登録日 2004-11-12 
登録番号 商標登録第4816766号(T4816766) 
商標の称呼 キットサクラサクヨ、ガンバレジュケンセー 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 小出 俊實 
代理人 森 正澄 
代理人 石川 義雄 

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