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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z19
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z19
管理番号 1170932 
審判番号 不服2004-1456 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-21 
確定日 2007-12-25 
事件の表示 平成11年商標登録願第62351号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「エコサンド」の文字を標準文字により表してなり、第19類「建築用又は構築用の非金属鉱物,砂利,砂,発泡スチロールなどの廃棄物を再利用した人造砂利又は砂」を指定商品として、平成11年7月14日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、昨今、『環境保護に配慮した』といった意味合いを表す語として一般に使用されている『ECO(ECOLOGYの略)』と砂を意味する英語『SAND』のそれぞれの片仮名表記を結合したものと容易に認識される『エコサンド』の文字を書してなるが、これを本願指定商品に使用するときは、当該商品が、単に環境保護に配慮した砂であるということ、すなわち、商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えたが、請求人は、該通知書に対して、何ら意見を述べていない。

本願商標を構成する「エコサンド」の語に関して行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(1)「三栄工業株式会社」のホームページには、「RS-エコサンド10 」のタイトルで「廃棄物処分場から出る焼却灰を、焙焼という方法で無害化し、ビリ砂と一定割合で混合した緩衝用砂、RS-エコサンド10です。RS-エコサンド10には、以下のような特徴があります。」との記載(http://www.sanei-kogyo.jp/ecosand/index.html)。
(2)「JFEテクノリサーチ株式会社」のホームページには、「成果報告書の概要 プロジェクト名 高炉スラグを利用した海砂代替人工砂(エコサンド)製造技術の開発」との記載(http://www.chugoku.meti.go.jp/policy/tech/15/hp/15s6005-2.pdf)。
(3)「北電興業株式会社」のホームページには、「土木環境部」の項に「エコサンド(使用済脱硫剤)『エコサンド』は石炭灰を原料として製造した乾式脱硫装置で使用された脱硫剤で、『リサイクル製品』です。」との記載(http://www.hokudenkogyo.co.jp/sekitan/eco.htm)。
(4)「山信産業株式会社」のホームページには、「エコサンドのご紹介」「エコサンド土のうは、土は一切不要!約4?5分ほどで17KG?20KGに膨れ、『土のう』として使用できる水害対策用品です。」との記載(http://www.yamashin-inc.co.jp/eco01.htm)。
(5)「鹿児島県」のホームページには、「エコサンド」のタイトルで「事業者名 アースコンサルタンツ(株) 」「製品等の特性等 廃ガラスを利用した代替砂(土木建築資材)」「期待した効果 普通の砂を用いるよりも高い排水効果が期待できる。代替砂として現在使用されている砂と同様の施工性・安全性が期待できる。」との記載(http://www.pref.kagoshima.jp/sangyo-rodo/syoko/trial/9san.html)。
(6)「www.eco-tour.jp エコツアー・ドット・ジェイピー」のホームページには、「『エコサンド土のう』販売●株式会社アイエヌエフ 」「ここがおすすめ! 土はいらない!水害時の初動対応に優れた威力!持ち運び楽々!!100%天然素材環境配慮は万全!水を吸って4?5分で土のうになる!次世代の水防資材『エコサンド土のう』 」との記載(http://www.eco-tour.jp/view.php?id=J0306240005)。
(7)「いしかわ環境情報交流サイト」のホームページには、「石川県リサイクル認定製品『瓦再生ダスト舗装材 エコサンド・R』連絡先協和道路株式会社」との記載(http://www.ishikawaweb.jp/kankyou/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=163&caller=topic_list&sel_topicid=8)。
(8)2003年8月1日付け日刊工業新聞(31頁)には、「やさしいね・人に地球に社会に(56)蓮井建設-建設汚泥を再資源化(おわり)」の見出しのもと、「01年には脱水ケーキを粒状化する造粒機を、02年10月には粒の強度を高める水熱固化設備『エコサンド・リサイマー』 を導入し、人工砂『リサンド』の製造に国内で初めて着手した。」との記載。
(9)2003年6月5日付け日刊工業新聞(31頁)には、「中国経産局、提案公募型技術開発事業で15件採択」の見出しのもと、「【地域新生】▽備後地域地場産業振興センター=ナノ有機粒子の高精度分級技術の開発▽日本鋼管テクノサービス=高炉スラグを利用した海砂代替人工砂(エコサンド)製造技術の開発・・・」との記載。
(10)2003年2月14日付け日刊工業新聞(16頁)には、「土壌汚染対策法施行(下)期待高まる浄化ビジネス」の見出しのもと、「神戸製鋼は今月から専門の土壌地下水ソリューション室を新設、事業化に加え幅広い土壌修復事業を展開していく。・・・汚泥を水に溶けない改良土に安定化処理したり、自然石に近い高強度を低コストで実現するエコサンドリサイマーの技術を活用、重金属を封じ込める不溶化処理技術も投入していく。」との記載。
(11)2002年5月23日付け日刊工業新聞(16頁)には、「神鋼、土壌浄化工法を開発-水熱反応で重金属処理」の見出しのもと、「同工法のベースであるエコサンドリサイマーは汚泥の高強度固化が目的の設備のため、高水分の汚泥も簡単に処理が可能。水熱処理の前段階で造粒するほか、ブロックやレンガなどの形状にも成形でき、高強度製品を作ることができる。可搬式設備などあらゆる用途に応じた処理設備を整えていく。」との記載。(12)1993年10月18日付け日刊工業新聞(26頁)には、「たくぎんフロンティア基金、ウエザーコックなど10社に助成金を交付」の見出しのもと「・・・▽エコニクス(札幌市厚別区下野幌テクノパーク1の2の14、社長橋金作氏)の『エコサンドの高度利用プロジェクト』=石炭火力発電所から排出される使用済み脱硫剤(エコサンド)を利用して、鶏糞(ふん)や水産系廃棄物を混合して安価な土壌改良剤を製造する。」との記載。
以上を総合すると、「エコサンド」の語が、リサイクルした再生原料でできた砂状のものを指称する語であるとして普通に使用されているというべきものであって、本願商標を構成する「エコサンド」の文字も、そのような意味合いに理解されるに止まるものとするのが相当である。
そうすると、本願商標の指定商品が上記「エコサンド」と密接な関係を有することから、これを前記商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「環境保護の観点にたったリサイクルした砂」ほどの意味合いを認識するに止まり、単に商品の品質を表示したものと把握し、理解するとみるのが相当である。また、これをリサイクルした砂以外の商品について使用した場合には、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
また、請求人は、本願商標は、「商標法第3条第2項の適用を受けるべき要件を具備している。」旨主張しているので、当審において平成17年9月13日付けで審尋をかけたが、請求人からは、実際に使用している商標、使用開始時期、使用期間、使用地域、営業の規模、広告宣伝の方法・回数・内容及び一般紙・業界紙等における記事の掲載の回数及び内容等、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったことを示す、客観的な事実を証明する証拠の提出もない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

4 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「エコサンド」の文字を書してなり、その指定商品は「建築用又は構築用の非金属鉱物,砂利,砂,発泡スチロールなどの廃棄物を再利用した人造砂利又は砂」とするものである。
ところで、近年の環境問題に対する意識の高まりから、環境保全に役立つと認められる商品であることを表示するマークとして、「エコマーク」が選定され(財団法人日本環境協会の運営する制度)、その認定を受けたものの名称には「エコ」の語を冠して、例えば、「エコカー,エコデザイン,エコグッズ,エコ文具」等のように環境保護に配慮した商品であることを表すものとして採択、使用されているのが実情である。
そして、当該商品を取り扱う業界においても、近年、エコの文字を冠した製品が販売されるようになり、「エコサンド」の語が採択・使用されている実情にあることが、例えば、前記3に示したインターネット上で各種商品情報を紹介するサイト及び、新聞記事情報によっても裏付けられるものである。
そうすると、「エコサンド」の文字は「廃棄物等を主原料とした資源リサイクル型の砂」を表示するものとして採択・使用されていると認められるところであって、原審説示の如く「環境保護に配慮した砂」の如き意味合いを容易に看取し得るものといわなければならない。
してみれば、本願商標について行った当審の証拠調べの結果とそれに基づく先の認定・判断は、妥当であって、本願商標をその指定商品中、廃棄物を再利用した人造砂利又は砂の商品について使用した場合、需要者・取引者は、前記した事情よりして、環境保護に配慮した砂であることを表記したものとして理解するにとどまり、その指定商品に使用した場合、単に商品の品質を表示するにすぎないというのが相当であり、また、本願商標を上記商品以外の商品に使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
また、請求人からは、商標法第3条第2項の適用を受けるべき具体的な使用等に関する証拠資料の提出もないものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-18 
結審通知日 2007-09-03 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願平11-62351 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z19)
T 1 8・ 272- Z (Z19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤平 良二鈴木 慶子 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
橋本 浩子
商標の称呼 エコサンド、エコ 
代理人 白川 一一 

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