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審決分類 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
管理番号 1170846 
審判番号 無効2006-89170 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-11-30 
確定日 2007-12-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第4967668号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4967668号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4967668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年5月14日に登録出願され、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、同18年7月7日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第4464953号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成12年3月28日に登録出願され、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのリ,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」及び第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、同13年4月6日に設定登録されたものである。
(2)登録第4812887号商標(以下、「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成16年2月26日に登録出願され、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,アイスクリーム,その他の菓子及びパン,めんつゆ,その他の調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,めん類,もち,その他の穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ・しゅうまい・肉まんじゅう・あんまんじゅう及びそれらの冷凍食品,茶碗蒸し,レトルトパウチされた茶碗蒸し,茶碗蒸しの冷凍食品,サンドイッチ,すし,たこ焼き,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として、同16年10月22日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
1 理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、商標法第46条第1項の規定によりその登録を無効とされるべきである。
2 商標の類似性
(1)本件商標について
本件商標において、全体の構成は、右上部に、赤く輝く太陽の図形を配し、左下方に、羽根を広げた黄色の鳥が太陽に向かって飛ぶ図形を配してなり、太陽においては、周囲に18本の長短の光線を表す線分がほぼ均等の間隔で配置されており、そのうち、下方の線分については下端付近で分断されるという特徴を有し、鳥の図形においては、頭部・羽根部とも細部の描写はなく、羽根を広げた鳥を一本の線で囲むように描画され、羽根部及び尾部から長短5本の線分が鳥の後方に向かって描かれており、そのうち下から2本目の線分はその下端付近で分断されるという特徴を有している。
(2)引用商標1について
引用商標1において、全体の構成は、右上部に、輝く太陽の図形を配し、左下方に、羽根を広げた鳥が太陽に向かって飛ぶ図形を配し、太陽の下部であって鳥の右側に、太陽、鳥と一部重なって「たなびく雲」を配してなり、太陽においては、周囲に18本の長短の光線を表す線分がほぼ均等の間隔で配置されており、そのうち、下方の線分については下端付近で分断されるという特徴を有し、鳥の図形においては、頭部・羽根部とも細部の描写はなく、羽根を広げた鳥を一本の線で囲むように描画され、羽根部及び尾部から長短5本の線分が鳥の後方に向かって描かれており、そのうち下から2本目の線分はその下端付近で分断されている。
(3)本件商標と引用商標1の対比
本件商標と引用商標1とは、それぞれ別掲(1)及び別掲(2)のとおりである。
ア 本件商標と引用商標1の類似点
(a)右側上方に輝く太陽の図形を配し、左側下方に羽を広げて太陽に向かって飛ぶ鳥が描かれている。
(b)右側上方の輝く太陽の図形においては、太陽の周囲に18本の長短の光線を表す線分がほぼ均等の間隔で配置されており、そのうち、下方の線分については下端付近で分断されるという特徴を有している。
(c)左側下方の羽根を広げた鳥においては、頭部・羽根部とも細部の描写はなく、羽根を広げた鳥を一本の線で囲むように描画され、羽根部及び尾部から長短5本の線分が鳥の後方に向かって描かれており、そのうち下から 2本目の線分はその下端付近で分断されるという特徴を有している。
イ 本件商標と引用商標1の相違点
(a)引用商標1においては、太陽の下部であって鳥の右側に、太陽、鳥と一部重なって「たなびく雲」を配しているのに対し、本件商標においては「たなびく雲」が描かれていない。
(b)引用商標1においては、全体が無彩色であるのに対し、本件商標は、太陽には赤色の色彩、鳥には黄色の色彩が付加されている。
ウ 本件商標と引用商標1の類否判断
本件商標においては、引用商標1に描かれている「たなびく雲」が描かれていないという相違点がある。太陽・鳥が描かれた画面において「たなびく雲」は、それらの図形に親和する図形であり、格段の識別力を有するものではない。
さらに、引用商標1においては「たなびく雲」は太陽・鳥の背景として描かれているものであり、商標の識別力において重要な機能を果たすものではない。
本件商標と引用商標1とは、色彩の有無という相違があるものの、太陽の図柄に対して赤色の色彩の付加は識別力において重要な機能を果たすものではなく、鳥の図柄に対して黄色の色彩の付加も一般的な鳥のイメージを逸脱するものではなく、格段の識別力を付加するものではない。
本件商標と引用商標1においては、上記に記載のとおりの類似点があり、本件商標の指定商品が予定する需要層において、対比的観察のみならず、離隔的観察のもとにおいても、彼我混同するおそれがあるものであり、本件登標と引用商標1は、類似する商標であると断じざるを得ない。
(4)本件商標と引用商標2との対比
本件商標と引用商標2とは、それぞれ別掲(1)及び別掲(2)のとおりである。
引用商標1と引用商標2は、ほぼ同一の商標(審決注:両者は同一商標と認める。)であり、本件商標と引用商標2の対比は、本件商標と引用商標1の類否と同じ結論である。
3 指定商品の類似性
本件商標と引用商標1及び引用商標2の指定商品は、上記第1及び第2のとおりであり、本件商標の指定商品は、引用商標1及び引用商標2の指定商品と類似する。
4 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の主張は成り立たない。以下、説明する。
(2)第1に、被請求人が主張する「本件商標と引用商標1及び引用商標2とが非類似であることは過去の審決で明白になっているからである。」という事実は存在しない。
ア 無効2005-89001号審決において、同無効審判の請求人(本審決の被請求人)は、以下のとおり主張した。
「上記『本件登録商標』の部分のうち『雲と思しき絵』だけがない図形を基調とし、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵が入ったものであった。すなわち、『左下には鳥と思しき図形とその右斜め上方向には太陽と思しき図形』を基本とした商標(以下、これを「引用商標図形」という。)に、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵は『豆乳』の成分内容の違いによる付加的な図柄を加えたデザインであった。」(無効2005-89001号審決審判請求書第7頁)(甲第7号証)。
「請求人は、1981年5月28日に、それらのデザイン(『引用商標図形』に、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵を加えたもの)について旧商品区分第29類『豆乳飲料』等をカバーして5件の商標登録出願を行い(その当時の商号は『株式会社紀文』)、1985年2月27日に登録第1749504号乃至同第1749508号として登録されていたが(甲第8号証の1乃至5)、1995年に存続期間の更新登録を行わず存続期間満了で全て消滅している(1992年4月1日商号変更により商標登録原簿上も『株式会社紀文食品』へ変更)。」(無効2005-89001号審決審判請求書第7頁)(甲第7号証)
すなわち、無効2005-89001号審決において、同無効審判の請求人が引用した登録商標は、登録第1749504号商標、登録第1749505号商標、登録第1749506号商標、登録第1749507号商標及び登録第1749508号商標(甲第8号証ないし甲第10号証)である。
イ 無効2005-89001号審決において、同無効審判の請求人は、「『左下には鳥と思しき図形とその右斜め上方向には太陽と思しき図形』を基本とした商標(以下、これを「引用商標図形」という)に、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵は『豆乳』の成分内容の違いによる付加的な図柄を加えたデザインであった。」と、「引用商標図形」とし「引用商標」と区別して主張したものである。
一方、無効2005-89001号審決は、「第2 請求人の引用する商標」において、「本件商標(審決注:引用商標1)を構成する図形中、『雲と思しき図形』部分を省いた図形商標(以下「引用商標」という。)」とする。
請求人は「引用商標図形」と「引用商標」と区別して主張したが、審決は「引用商標」を上記のとおりとした。本弁駁書では、審決における請求人の区別に準じて、「引用商標図形」と、審決のいう「引用商標」を区別して論じる。
ウ また、無効2005-89003号審決において、同無効審判の請求人(本審決の被請求人)は、以下のとおり主張した。
「上記『本件登録商標』の部分のうち『雲と思しき絵』だけがない図形を基調とし、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵が入ったものであった。すなわち、『左下には鳥と思しき図形とその右斜め上方向には太陽と思しき図形』を基本とした商標(以下、これを「引用商標図形」という)に、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵は『豆乳』の成分内容の違いによる付加的な図柄を加えたデザインであった。」(無効2005-89003号審決審判請求書第3頁)(甲第11号証)。
「請求人は、1981年5月28日に、それらのデザイン(『引用商標図形』に、果実の絵、樹木の絵、野菜の絵、コーヒー豆等の絵を加えたもの)について旧商品区分第29類『豆乳飲料』等をカバーして5件の商標登録出願を行い(その当時の商号は『株式会社紀文』)、1985年2月27日に登録第1749504号乃至同第1749508号として登録されていたが(甲第8号証の1乃至5)、1995年に存続期間の更新登録を行わず存続期間満了で全て消滅している(1992年4月1日商号変更により商標登録原簿上も『株式会社紀文食品』へ変更)。」(無効2005-89003号審決審判請求書第7頁)(甲第11号証)。
すなわち、無効2005-89003号審決において、同無効審判の請求人が引用した登録商標は、登録第1749504号商標、登録第1749505号商標、登録第1749506号商標は、登録第1749507号商標及び登録第1749508号商標である(甲第8号証ないし甲第10号証)。
エ 以上のとおり、無効2005-89001号審決、無効2005-89003号審決の各審決において、これら各審決における請求人が引用した「引用商標」は、上記5件の登録商標である。
無効2005-89001号審決、無効2005-89003号審決においては、本件の被請求人が主張する本件商標と、請求人が引用する引用商標1及び引用商標2とが非類似であるとは、無効2005-89001号審決、無効2005-89003号審決のどこにも記述されていない。
さらに追加すると、本件商標と、「左下には鳥と思しき図形とその右斜め上方向には太陽と思しき図形」を基本とした商標(以下「引用商標図形」という)」とは、色彩の有無の点で同一ではない。
本件商標と、無効2005-89001号審決及び無効2005-89003号審決における「本件商標(審決注:引用商標1及び引用商標2)を構成する図形中、『雲と思しき図形』部分を省いた図形商標(以下「引用商標」という。)」とは、色彩の有無の点で同一ではない。
(3)第2に、被請求人は、「本件商標の審査において引用商標1及び引用商標2が引用されたが、被請求人が引用商標の登録無効を求めた無効2005-89001号審決、同2005-89003号審決の審決において、『本件商標(審決注:引用商標1及び引用商標2)と引用商標とは、その全体の構成における特徴が大きく異なり、受ける印象も著しく相違するというべきであるから、時と所を異にして隔離的に観察した場合であっても、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない商標というべきである。』との認定がされた。」とする。
まず、無効2005-89001号審決、無効2005-89003号審決の各審判においては、これらの審決の請求人は、「商標法第4条第1項第15号の規定に該当する」と主張した(甲第7号証、甲第11号証)。
これらの審決において、審決が判断の対象としたのは、商標法第4条第1項第15号該当性の判断、すなわち、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かの判断であり、商標法第4条第1項第11号の「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標」か、否かの判断ではない。
(4)第3に、被請求人は、「したがって、確定した審決で明白なとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2は『非類似』の関係であり、これを類似とすることは同一事案について相反する結論となるため、本件の商標登録を無効とすることはできない。」とするが、商標法のいずれにおいても、確定した審決が別個の審判の審判官の職権の行使を拘束するなどの条項はない。先行する審判の判断が別個の審判における審判官の職権の行使を拘束するとか、あるいは、他の審決の判断が本件無効審判における審判官の職権の行使を拘束するということはあり得ない。
本件無効審判においては、他の審決の判断に拘束されることなく、審判官の自由心証のもとで職権を行使することが期待される。
(5)無効2005-89001号審決、無効2005-89003号審決の各審判において、本件審判の請求人は、「被請求人が本件商標(審決注:引用商標1及び引用商標2)を使用することは、被請求人が製造し、かつ販売する商品であることを示すものであって、『他人の業務に係る商品又は役務と混同』を生じさせるものではない。」と主張したものであり、引用商標1といかなる商標についても類否に関する主張を行ったものではなく、いわゆる禁反言の主張が成り立つ余地はない。以下、詳述する。
無効2005-89001号審決において、本件審判の請求人は、「本件登録商標(審決注:引用商標1)が、被請求人の営業を示すものであることは、請求人が提出する甲第13号証の2『(株)フードリンクのホームページからの豆乳に関する記事のプリント』、甲第13号証の3『(株)サンキメラのホームページからの豆乳に関する記事のプリント』、甲第13号証の4『(株)トムスのホームページからの豆乳に関する記事のプリント』からも明らかである。被請求人が本件登録商標を使用することは、被請求人が製造しかつ販売する商品であることを示すものであって、『他人の業務に係る商品又は役務と混同』を生じさせるものではない。よって、商標法第4条第1項第15号に該当しない。」と主張した。
すなわち、「無効2005-89001号審決のいう『引用商標』(本件商標(審決注:引用商標1)を構成する図形中、『雲と思しき図形』部分を省いた図形商標(以下、「引用商標」という。)は、株式会社紀文フードケミファの商標であり、『他人の業務に係る商品又は役務と混同』を生じさせるものではない。」ということである。
この点は、無効2005-89001号審決の平成17年3月18日付審判事件答弁書(甲第12号証)において、以下のとおり明確に主張した。
「IV 結論
(1)請求人は、本件登録商標(審決注:引用商標1)について、商標法第4条第1項第15号及び商標法第4条第1項第7号に該当すると主張する。
(2)商標法第4条第1項第15号については、被請求人は豆乳関連商品の事業を請求人である株式会社紀文食品あるいは株式会社紀文ヘルスフーズから営業を買い受け、平成2年9月1日以後、被請求人は豆乳関連商品の「企画・研究開発」と製造拠点である全工場及び「首都圏の豆乳販路」と「全国の豆乳の新規販路開拓」の営業を買収したものである。被請求人は豆乳関連商品の「企画・研究開発」から「製造」のすべてを担当し、請求人は被請求人から「魚肉練り製品の株式会社紀文の従前の販売先」という販路において豆乳を販売するに過ぎない。本件登録商標が被請求人の営業を示すものであることは、請求人が提出する甲第13号証の2「(株)フードリンクのホームページからの豆乳に関する記事のプリント」、甲第13号証の3「(株)サンキメラのホームページからの豆乳に関する記事のプリント」、甲第13号証の4「(株)トムスのホームページからの豆乳に関する記事のプリント」からも明らかである。被請求人が本件登録商標を使用することは、被請求人が製造しかっ販売する商品であることを示すものであって「他人の業務に係る商品又は役務と混同」を生じさせるものではない。よって、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。」(甲第12号証)
(6)さらに追加すると、無効2005-89001号審決のいう「引用商標」(本件商標(審決注:引用商標1)を構成する図形中、「雲と思しき図形」部分を省いた図形商標(以下「引用商標」という。))が、株式会社紀文フードケミファの商標であることについては、平成17年7月8日付審判事件答弁書(2)(甲第13号証)において、明確に主張した。
「(7-3)請求人は、「通常、営業譲渡には財産目録が添付される。もし工業所有権がその中に入るのであれば、番号を特定して財産目録に記載される。請求人と株式会社間の『営業譲渡契約』(甲第4号証の2及び乙第5号証の1)の第2条には『甲から乙に譲渡すべき財産は、譲渡日現在の本営業に属する資産及び負債並びに営業上の権利、義務(以下これらを一括して譲渡財産という。)の一切とし、その細目は、甲乙協議の上決定する。』と、同第3条には『譲渡財産の対価は、昭和59年11月30日現在における甲の帳簿価額によるものとする。』と規定されており、昭和59年12月15日付『覚書』(乙第5号証の2)で、『譲渡財産の対価は、本書目録のとおりとする。』と規定され、目録として『資産売掛金、貯蔵品、棚卸商品及び什器』が挙げられているにすぎない。商標に関しては何等記載されていない。」と主張する。かかる主張は成り立たない。
そもそも、『営業譲渡』とは、『一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部を譲渡し、これによって、譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限界に応じ法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいう』(昭和46年4月9日最高裁判決)。
『紀文の第三事業本部豆乳第一営業部及び豆乳第二営業部に属する営業の一切、本営業に属する資産及び負債並びに営業上の権利・義務』と明記された営業譲渡の対象には、譲渡人が保有する、豆乳事業のための特許権あるいはノウハウを初め商標権も当然、譲渡対象財産に含まれるものである。
本件営業譲渡契約においては『営業譲渡』である以上、『甲から乙に譲渡すべき財産は、譲渡日現在の本営業に属する資産及び負債並びに営業上の権利、義務(以下これらを一括して譲渡財産という。)の一切』であり、豆乳事業のための特許権あるいは商標権などの知的財産権も、『本営業に属する資産』である以上、当然、営業譲渡の対象となるものである。
本件営業譲渡契約においては『譲渡日現在の本営業に属する資産及び負債並びに営業上の権利、義務(以下これらを一括して譲渡財産という。)の一切』と明確に記述されており、『本営業に属する資産』である商標権を譲渡の対象から除くとの記述もなく、営業譲渡契約当事者間において商標権を除外する旨の合意もなかったものである。
営業譲渡において、営業上必要となる特許権や商標権などの知的財産権を譲渡人の手元に残しておくということでは、『一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部』を譲渡するものではなく、もはや『営業譲渡』ではない。
(7-4)以上の次第で、平成2年5月25日、株式会社紀文フードケミファと株式会社紀文ヘルスフーズは『営業譲渡契約書』を締結し、平成2年9月1日をもって、株式会社紀文フードケミファは株式会社紀文ヘルスフーズのすべての営業を4千万にて買収した(乙第9号証の2)。
この営業譲受によって、昭和59年10月23日株式会社紀文ヘルスフーズが株式会社紀文から買収した『株式会社紀文の第三事業本部豆乳第一営業部及び豆乳第二営業部に属する営業の一切』を株式会社紀文フードケミファは承継したものである。
(7-5)請求人は、「審判請求書でも述べたように、その当時は、分社化政策により日本各地に設立された子会社が、株式会社紀文ヘルスフーズが製造した『豆乳』を日本全国で販売を行っていた。上記営業譲渡により、株式会社紀文ヘルスフーズは、首都圏での販売が可能になったという状況であり、日本全国で販売されていた『紀文の豆乳』に使用されていた『引用商標図形』の商標権が、子会社である株式会社紀文ヘルスフーズヘ譲渡されるようなことがあるはずはない。」などと筋違いの反論を行っている(弁駁書11頁6行以下)。
請求人は、『引用商標図形』について議論しているようであるが、答弁書11頁26行において、既に以下のとおり答弁したところである。
「(33)請求の理由(5)理由その3:審判請求書14頁3行以下
『引用標章図形』(被請求人による注記:これが何を意味するか審判請求書からは明らかではない)。」
請求人は、審判請求書及び弁駁書においても『引用商標図形』を特定しておらず、請求人の『引用商標図形』に関する主張は失当であり、反論する必要がない。
既に、答弁書において述べたとおり、本件登録商標の図案についての権利は、株式会社ザ・デザイン・アソシエイツから被請求人が全てを譲り受けたものである(乙第18号証)。」
(7)無効2005-89001号審決のいう「引用商標」が、同無効審判の被請求人(本審判の請求人)の商標であることを前提にしていたからこそ、無効2005-89001号審決において、被請求人が本件登録商標(審決注:引用商標1)を使用することは、被請求人が製造しかつ販売する商品であることを示すものとの主張をしたものであり、同無効審判の被請求人(本審判の請求人)は類否に関する反論の必要がなかったものである。
無効2005-89001号審決は、「(ア)本件登録商標(審決注:引用商標1)と引用商標の類否について」「本件商標(審決注:引用商標1)と引用商標は、類似しないものであり、また、需要者の間に広く認識されている商標とはいえないものであるから、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想、想起し、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。」とする。
しかしながら上記の判断は、無効2005-89001号審決の被請求人(本審判の請求人)が主張せず、かつ、審判において判断する必要がない事由を、審決の結論を導く理由として判断したものであり、この点は不当である。
無効2005-89001号審決においては、結論において、無効2005-89001号審決の請求人(本審判の被請求人)の商標登録無効の請求が斥けられた。無効2005-89001号審決の被請求人(本審判の請求人)においては、上記の審決の理由中の判断について争う方法がなく、同審決が確定したものである。
本件無効審判の対象となる本件商標と、無効2005-89001審決のいう「引用商標」との非類似を、無効2005-89001号審決の被請求人(本審判の請求人)が主張したり、あるいは、これら商標の非類似を認めるものではない。
(8)無効2005-89003号審決についても、無効2005-89003号審決における被請求人の主張、無効2005-89003号審決における理由の不当性は無効2005-89001号審決と基本的に同じである(審判事件答弁書:甲第14号証)。ただし、無効2005-89003号審決では、被請求人に弁駁書が送達されなかったため、審判事件答弁書(2)は提出していない。
(9)結論
以上のとおり、答弁書における被請求人の主張が成り立つ余地はなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、商標法第46条1項第1号により無効とされるものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 答弁(第1回)
(1)本件無効審判請求に係る本件商標と、請求人が引用する引用商標1及び引用商標2とが非類似であることは過去の審決で明白になっている。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2の構成は、別掲(1)及び別掲(2)のとおりである。
本件商標の審査において引用商標1及び引用商標2が引用されたが、被請求人が引用商標1及び引用商標2の登録無効を求めた無効2005-89001号審決、同2005-89003号審決の審決において、「本件商標と引用商標1及び引用商標2はその全体の構成における特徴が大きく異なり、受ける印象も著しく相違するというべきであるから、時と所を異にして隔離的に観察した場合であっても、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない商標というべきである。」との認定がされた。そして、この審決での類否判断との整合性を図るべきとの主張を行った結果、本件商標は登録に至ったものである。この事実を証するべく、被請求人は審査において提出した上申書写し並びに当該審決公報を提出する。
したがって、確定した審決で明白なとおり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは「非類似」の関係であり、これを類似とすることは同一事案について相反する結論となるため、本件の商標登録を無効とすることはできない。

2 答弁(第2回)
(1)被請求人が答弁(第1回)で主張した無効2005-89001、無効2005-89003審決においては、請求人が主張するように「本件商標と引用商標そのものが非類似であること」が判示されているものではないことは認める。しかしながら、以下に詳述するように、これらの審決において、事実上、本件商標と引用商標とは非類似であると判示されているものである。
無効2005-89001、無効2005-89003審決(以下、「該審決」という)において非類似と判断された該審決における引用商標は、色彩を除き別掲(1)と同一、また、該審決における本件商標は、別掲(2)と同一である。
該審決においては「両商標の類否について比較するに、引用商標は、本件商標の構成中、顕著に描かれている『雲と思しき図形』の部分を欠いているため、両商標の構成が大きく異なるものである」と判断され、また、「本件商標は、太陽と思しき図形、鳥と思しき図形及び雲と思しき図形の図形部分がまとまりよく一体的に表示されていることから、『雲の上を太陽に向かって飛んでいる鳥』の印象を強く与えることから、両商標は、受ける印象が著しく相違するものである」と判断され、加えて「両商標は、特定の称呼、観念を有さないものであるから、称呼、観念については、比較することができない」と判断した上で、「両商標は、その全体の構成における特徴が大きく異なり、受ける印象も著しく相違するというべきであるから、時と所を異にして隔離的に観察した場合であっても、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである」と明確に「非類似」であることが判示されている。
翻って、本件無効審判における本件商標と引用商標の関係は以下のものである。
本件無効審判における本件商標は、別掲(1)、引用商標は、別掲(2)に示すとおりである。
上述の図形における各商標の関係から明らかなように、本件無効審判において請求人が引用商標としている商標は、該審決における本件商標と同一であり、一方、本件無効審判における本件商標は、該審決における引用商標と「色彩の有無」という相違のみしかない実質的に同一の商標である。
してみれば、無効2005-89001、無効2005-89003審決において非類似とされた2つの商標と本件無効審判における2つの商標とを比較すると、「本件無効審判における本件商標は、該審決における引用商標と色彩の有無という相違のみしかない実質的に同一の商標」であり、且つ、「本件無効審判における引用商標は該審決における本件商標と同一」であることから、「本件無効審判における本件商標と引用商標の類否関係」についても、該審決で判示されたとおり「非類似」の関係とすべきであることは明白であり、これを類似とすることは、実質的に同一の事案について相反する結論を導くことになるため、審決の法的安定性を著しく害するものであり認められるべきではない。
なお、請求人は、本件無効審判における本件商標と、該審決における引用商標とは色彩の有無の点で同一ではないと主張しているが、その構成から明らかなように、両商標は色彩の有無という相違のみしかない実質的に同一の商標であり、色彩の有無のみを以て、本件無効審判における両商標が「同一の事案ではない」とするのは商標法第70条に定める色彩に関する特則の趣旨にも反するものであり、その主張は認められるものではない。
(2)また、請求人は、該審決においては、商標法第4条第1項第15号の適否、即ち、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断されたものであって、商標法第4条第1項第11号の適否、即ち、いわゆる先願先登録の他人の商標と同一又は類似であるかが判断されたものではないと主張している。
確かに、請求人が主張するように、該審決においては商標法第4条第1項第15号の適否が判断されているものであって商標法第4条第1項第11号の適否が判断されたものではない。
しかし、この請求人の主張は、本件商標と引用商標が非類似であるとする被請求人の主張が成り立たないことの根拠にはなり得ないものである。
そもそも、無効2005-89001、無効2005-89003審判においては、商標法第4条第1項第11号の適否は争われておらず、商標法第4条第1項第15号の適否を判断するに際して「(ア)本件商標と引用商標の類否について」と銘打ち、その判断の前提として商標間の類否が判断され、その判断中において、上述の通り「両商標は非類似」との判示がされているものであって、その判断においては何ら違法性はないからである。
(3)また、請求人は、弁駁の理由(4)(弁駁書第6ページ第5行目)において、「商標法のいずれにおいても、確定した審決が別個の審判の審判官の職権の行使を拘束するなどの条項はない。先行する審判の判断が別個の審判における審判官の職権の行使を拘束するとか、あるいは、他の審決の判断が本件無効審判における審判官の職権の行使を拘束するということはありえない。」と主張している。
確かに、商標法のいずれにおいても、確定した審決が別個の審判の審判官の職権の行使を拘束するなどの条項は存在しない。しかしながら、本件無効審判のように、確定した審決における事案と実質上同一の事案を巡る争いであることが明白な事案について確定審決と異なる判断を行うならば、行政処分たる審決の法的安定性を著しく害することになり、審査主義を採択する我が国においては、需要者等による商標採択に際しての礎すら失ってしまうことになりかねない。そして、その結果、取引秩序の崩壊につながるおそれがあり、ひいては「商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」とする商標法の目的にも相反する結果をもたらすおそれすらある。
したがって、かかる請求人の主張は、本件無効審判においては当たらないものである。
(4)さらに、請求人は、弁駁の理由(5)(弁駁書第6ページ第15行目から第10ページ第20行目まで)において、無効2005-9001、無効2005-89003審判において主張した内容を纏々述べているが、その内容は本件無効審判とは無関係といえるものである。
(5)以上述べたとおり、無効2005-89001、無効2005-89003審判において確定した審決で明白な通り、本件商標と引用商標は「非類似」の関係であり、これを類似とすることは実質上の同一事案について相反する結論を導くことなるため、本件の商標登録を無効とすることは妥当ではない。

第5 当審の判断
1 引用商標1及び引用商標2に対する無効審判事件2005-89001号審決及び同2005-89003号審決と本件無効審判事件との関係について
上記2件の審決は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に該当するか否かを理由とする無効審判事件であり、同法第4条第1項第11号に該当するか否かを理由とする本件無効審判とは、理由を異にするものである。
そして、上記無効審判事件2005-89001号審決及び同2005-89003号審決は、「引用商標の著名性について」の認定に際して、「引用商標(本件商標(審決注:引用商標1及び引用商標2)の構成から、『雲と思しき図形』の部分を省いた図形)の根拠とする、登録第1749504号ないし登録第1749508号の各登録商標(いずれも平成7年2月27日に存続期間満了により、同年11月9日に登録の抹消がされているものである。)を挙げ、これらの各登録商標と引用商標とは、その構成を著しく異にするものである。また、上記の各登録商標が豆乳に使用されていたとする証拠も、昭和57年から同61年頃に限られていて、その後、使用されていることを裏付ける証拠は見いだせない。さらに、引用商標のみが単独で使用されているとする証拠も見当たらないから、引用商標は、需要者の間に広く認識されている商標とはいえない。」として、最終的に、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないとしたものである。
そうすると、上記無効審判事件2005-89001号審決及び同2005-89003号審決における引用商標の根拠となる上記各登録商標(登録第17495904号ないし登録第1749508号)が、たとえ本件商標とほぼ同一の図形の構成要素(デフォルメされた鳥と太陽の図形)を含むものであったとしても、該各登録商標は、審判請求時には既に存続期間(平成7年2月27日)が満了し、同年11月9日に登録の抹消がされており、商標法第4条第1項第11号でいう、「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」には該当しておらず、そして、平成2年3月30日付け営業譲渡契約書及び同年9月1日付け商標使用許諾契約書に基づいて、現在まで「豆乳」を製造し、引用商標1及び引用商標2を使用して販売している本件審判請求人でもあり、また、本件無効審判の判断が上記のように無効にすべきとする理由が異なる過去の審決に拘束されないことは当然であるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2とが非類似であることは過去の審決で明白となっているとする被請求人の主張は前提において誤りであり、採用できない。
2 類否判断について
(1)最高裁 昭和39年(行ツ)第110号判決(昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)によれば、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである…商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、…取引の実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきでない」と判示されている。
さらに、「図形のみの商標の類否については、各商標について構成部分を総括した全体の外観に着眼しかつ両者を格別に時と所とを異にして観察したいわゆる離隔的観察において混同誤認される虞があるかどうかによって決すべきである(昭和3年(オ)第344号判決)」とも判示されている例がある。
(2)これを本件事案についてみれば、以下のとおりである。
ア 本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、極めて特徴のある「鳥」をデフォルメしたと思しき図形と、同じく「太陽」をデフォルメしたと思しき図形よりなるところ、前者は左下部に、後者は右上部に配置してなるものである。
本件商標の構成中のデフォルメしたと思しき「鳥」の図形の特徴は、頭部、広げた羽及び尾部の黄色地を太線で囲むようにし、その羽根部及び尾部から同じ太線の長短5本の線を後方に向かって流れるよう付し、しかもその線のうち下から2本目の線のみ下端付近で分断して描かれているものである。
同じく本件商標の構成中のデフォルメしたと思しき「太陽」の図形の特徴は、上記と同じ太線を用いて円内を赤地にし、その周囲に18本の長短の光線を表したと思しき同じ太線を均等の間隔で配置し、しかもその太線のうち真下のやや左側の線のみ下端付近で分断して描かれているものである。
そして、本件商標全体の構成は、左下部の「鳥」が右上部の「太陽」に向かって飛ぶような構図となっているものである。
イ 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は、別掲(2)のとおり、色彩が施されていないが、本件商標とほぼ同じ上記の「鳥」の図形と、「太陽」の図形との間のやや右側に、鳥と一部重なった薄墨のような「浮き雲」と思しき図形を斜めに配してなるものである。
ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
本件商標は、前記したとおり、その構成中の「鳥」の図形と、「太陽」の図形とが、極めて特徴のある独創性の高い図形といえ、具体的特徴部分として、前者が頭部、広げた羽及び尾部の黄色地を太線で囲むようにし、その羽根部及び尾部から同じ太線の長短5本の線を後方に向かって流れるよう付し、しかもその線のうち下から2本目の線のみ下端付近で分断して描かれている点が挙げられ、後者も同じ太線を用いて円内を赤地にし、その周囲に18本の長短の光線を表したと思しき同じ太線を均等の間隔で配置し、しかもその太線のうち真下のやや左側の線のみ下端付近で分断して描かれている点が挙げられる。そして、本件商標全体の構成は、右上部に上記の「太陽」の図形を配し、「鳥」が「太陽」に向かって飛ぶような構図とするものである。
他方、引用商標1及び引用商標2は、上記の太線を用いてデフォルメしたと思しき「鳥」の図形と「太陽」の図形に架かるように、細線を用いて薄墨の「浮き雲」と思しき図形を配しなるものである。
そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、顕著に表されている極めて特徴を有する太線でデフォルメした「鳥」の図形と、同じく太線でデフォルメした「太陽」の図形を共通にし、しかも、両図形に施されている線の本数、下端付近の一本の線のみ分断して描かれている点など細部にまで酷似しているものであるから、たとえ、引用商標1及び引用商標2の構成中に、デフォルメした「浮き雲」と思しき図形を「鳥」の図形と「太陽」の図形に架けるようにして配置してなり、また、引用商標1及び引用商標2に色彩が施されていないとしても、本件商標と引用商標1及び引用商標2とを時と所を異にした、いわゆる離隔的観察をしたときは、明瞭な特徴を有し、印象及び記憶に残ると認められる太線でデフォルメした「鳥」と思しき図形部分、同じく太線でデフォルメした「太陽」と思しき図形部分、さらには両者の向きを含めた組み合わせが、取引者、需要者の印象に極めて強く残るというのが相当であり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは外観において互いに相紛らわしい類似の商標というべきである。
また、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品とは、同一又は類似のものである。
3 結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(色彩については、原本を参照)

(2)引用商標1、引用商標2


審理終結日 2007-10-22 
結審通知日 2007-10-01 
審決日 2007-11-06 
出願番号 商願2004-44711(T2004-44711) 
審決分類 T 1 11・ 26- Z (Y29)
最終処分 成立 
前審関与審査官 田口 善久大島 護 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 鈴木 修
田村 正明
登録日 2006-07-07 
登録番号 商標登録第4967668号(T4967668) 
代理人 日野 修男 
代理人 香原 修也 
代理人 藤田 雅彦 
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