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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y1044 |
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管理番号 | 1170713 |
審判番号 | 不服2006-20786 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-09-19 |
確定日 | 2007-12-12 |
事件の表示 | 商願2005-100970拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「健康科学」の文字を標準文字で表してなり、第10類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として平成17年10月27日に登録出願され、その後指定商品及び指定役務については、原審における同18年6月27日付け手続補正書において、第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用美容マッサージ器,医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用便器,耳かき」及び第44類「美容に関する情報の提供,理容に関する情報の提供,入浴施設の提供に関する情報の提供,庭園又は花壇の手入れに関する情報の提供,庭園樹の植樹に関する情報の提供,肥料の散布に関する情報の提供,雑草の防除に関する情報の提供,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。)に関する情報の提供,あん摩・マッサージ及び指圧に関する情報の提供,カイロプラクティックに関する情報の提供,きゅうに関する情報の提供,柔道整復に関する情報の提供,はりに関する情報の提供,医業に関する情報の提供,医療情報の提供,健康診断に関する情報の提供,歯科医業に関する情報の提供,調剤に関する情報の提供,栄養の指導に関する情報の提供,動物の飼育に関する情報の提供,動物の治療に関する情報の提供,植木の貸与に関する情報の提供,農業用機械器具の貸与に関する情報の提供,医療用機械器具の貸与に関する情報の提供,漁業用機械器具の貸与に関する情報の提供,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与に関する情報の提供,芝刈機の貸与に関する情報の提供」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、『健康科学』の文字を普通に横書きしてなるところ、全体として『病気の予防や健康維持のために科学的研究をおこなうこと』の意味合いを看取するにすぎず、このようなものを、病気の予防や健康と関連の深い指定商品及び指定役務について使用しても何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができない商標であると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、「健康科学」の文字を標準文字で横書きしてなるところ、構成中の「健康」の文字は、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。また、病気の有無に関する、体の状態。」等を、「科学」の文字は、「体系的であり、経験的に実証可能な知識。」等(いずれも株式会社岩波書店 広辞苑 第五版)を意味する語として一般に良く知られ、使用されているものであり、本願商標は、これらの語を結合したものと容易に認識されるものである。 ところで、近時、国民が一体となった健康づくりに関する意識の向上及び取り組みが日常の生活や社会的状況においてなされ、例えば、厚生労働省の提言「健康日本21(2000年3月通知)」に基づき、受動喫煙を規制する健康増進法(平成15年5月1日施行)による公共施設等の全面禁煙や、生活習慣病及びその原因となる生活習慣等の課題について、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・心の健康づくり等の分野ごとに健康づくりを支援する試みがなされていることは、一般の需要者にもよく知られているところである。 そして、健康志向が高まりを見せる社会的状況において、健康に関するさまざまな研究や商品の開発、役務の提供がなされていることも周知の事実であり、このような商品及び役務は、本願指定商品及び役務を取り扱う分野においても、市販及び提供されている実情にある。 上記事実を総合勘案すれば、「健康科学」の文字よりなる本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これより「健康に関する科学」、すなわち「病気の有無に関することや心身の健康に関する科学的(体系的)な知識、研究」なる意味合いを表したものと容易に理解し、自他商品及び役務を識別する標識たる商標とは認識し得ないものとみるのが相当である。 してみると、本願商標は、これを本願指定商品及び指定役務について使用しても、何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができないものであるというのが相当である。 (2)請求人の主張について 請求人は、過去の判例によれば、昭和63年商標登録願第29925号商標(以下、「判例商標」という。)中の「健康科学」の文字は、独立して商品の自他識別機能を有するものであると認定されており(平成6年(行ケ)第32号)、該判例商標の指定商品は第31類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品とする(審決注:判例商標の指定商品は「乳製品、その他本類に属する商品」である。)ものであるところ、人間の健康に関する商品である点で、本願商標の指定商品及び指定役務と共通点を有するものであるから、判例商標と同様に、本願商標においても識別力を有するものである旨主張する。 また、本願商標「健康科学」の文字は、特定の意味合いを有する語として辞書等にも掲載されておらず、未だその語義ないし使用法が確立していない造語であって、本願指定商品及び指定役務との関係で自他商品及び役務の識別機能を有する旨主張する。 しかしながら、本願商標の指定商品及び指定役務と判例商標の指定商品とは直接的な共通点を見出すことはできないものであり、本願商標を構成する「健康科学」の文字が、特定の意味合いを有する成語として、辞書等に掲載されていない語であるとしても、下記(ア)ないし(カ)のとおり、「健康科学」の語は、「心身の健康に関する体系的な知識、または心身の健康に関して体系的に研究する学問」程の意味合いで複数の大学の学部名及び学科名として採用されるなど、一般に使用されていると認められるものである。 さらに、「健康科学」の文字を含む「健康科学研究所」及び「健康科学研究センター」なる語が、下記(キ)ないし(ス)のとおり「心身の健康に関して体系的に研究するための施設・機関」程の意味合いで使用されている事実が認められる。 そして、本願の指定商品及び指定役務は前記1のとおり、健康と関係の深い指定商品及び指定役務を含むものであるところ、「健康科学」の文字に接する取引者、需要者はこれより単に「病気の有無に関することや心身の健康に関する体系的な知識、研究」の意味合いを認識するに止まり、何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができないものというのが相当であるから、上記請求人の主張は採用することができない。 (ア)大阪教育大学のホームページに、教養学科、スポーツ・健康科学・生活環境専攻、健康科学コースの紹介に、概要として「本コースの目的は、学校保健、産業保健、地域保健および健康に関わる教育、研究や関連企業において活躍できる実践力をもつ人材の養成を目指します。そのために、健康に関わる諸事項について周辺領域を含めて学際的知識と実践技術を体系的に習得し、現代生活に潜む健康課題に対する問題解決能力を養います。」等の記載がある。(http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~kenko/) (イ)東京大学のホームページ中の東京大学医学部健康科学・看護学科学科紹介に、「健康科学・看護学が目指すのは、生命科学・行動科学・社会科学・情報科学などの多様なアプローチを統合した学際的努力によって、”健康”および”看護”の課題に答えることです。その中で、より基礎科学的で、一般集団の健康を対象に研究するのが健康科学、その成果を踏まえ、回復力・治癒力を引き出すよう実践活動(臨床)や研究をするのが看護学と考えてよいでしょう。」等の記載がある。(http://www.hn.m.u-tokyo.ac.jp/) (ウ)中京女子大学のホームページ中の健康科学部の紹介として、「健康スポーツ科学科、栄養科学科の2学科から構成される健康科学部は、健康に対する正しい知識の習得を目指す学部。」等の記載がある。(http://www.chujo-u.ac.jp/daitan/kenkou/index.html) (エ)東京工業大学の学習規定授業科目の説明に、「3健康・スポーツ科目は,健康科学及びスポーツ実習に関する授業科目から成るものとする。」の記載があり、「健康科学」の講義のねらいには、「健康科学は、生命や健康に関してホリスティックでグローバルな視野を広げ、自己の健康管理ができるだけの素養と健康習慣を形成し、生涯に亘る健康の維持増進の方策を理解し、受講者の健康意識を向上させようとするものである。」等の記載がある。(http://www.gakumu.titech.ac.jp/kyoumu/guide/gakubu/html/04.html)(http://www.gakumu.titech.ac.jp/kyoumu/syllabus/detail/kenkou1.html) (オ)日本健康科学学会のホームページに、「日本健康科学学会第23回学術大会」として、「日本健康科学学会第23回学術大会は,若松秀俊・東京医科歯科大学大学院教授を学術大会長に,平成19年11月10日(土)・11日(日),東京都文京区・東京医科歯科大学を会場として開催いたします。」とのお知らせが掲載されている。また、トピックスの一つ「健康科学」の項に、「1985年に『健康の理念を追求するため、健康を科学的に研究すること及びその応用により健康の維持増進に貢献すること』を目的とした、日本健康科学学会が設立され、1999年に日本学術会議登録学術研究団体に登録、2005年に日本学術会議協力学術研究団体として、科学者に期待される社会的責任を果たしていくという役割を担い今日に至っている。」等の記載がある。(http://www.jshs.gr.jp/) (カ)財団法人愛知県健康づくり振興事業団のホームページ中の「あいち健康プラザ」のページでは、「健康科学教室、健康科学館、健康科学館ヘルスサイエンスシアター」等の行事紹介や施設の紹介がある。(http://www.ahv.pref.aichi.jp/) (キ)中京女子大学のホームページの、健康科学研究所の紹介に、「健康科学研究所は、「健康科学に関する研究と教育活動の推進」を目的として1987年(昭和62年)に設立され、学際領域の研究者によって共同研究を推進したり、「学部教育で欠ける部分」の教育や、「今」必要とされる健康教育の提供に務めています。」の記載がある。(http://www.chujo-u.ac.jp/kenkyu/index.html) (ク)徳島文理大学のホームページに、「健康科学研究所」の紹介として、「●目的●1.高齢化社会における健康の増進と生活習慣病の疾病の予防に関する研究を総合的且つ学際的に推進することを目的とし、「健康日本21」の社会的要請に呼応する。2.生命科学分野を核として関連分野の研究を国際的に展開し、世界に誇れる研究情報を発信する。」の記載がある。(http://www.bunri-u.ac.jp/education/education/index.html) (ケ)青森県立保健大学のホームページ中に、健康科学研究センターの目的と事業として、「健康科学研究センターは、学内外の諸機関との連携を図りつつ、本県の地域特性に即した保健医療・福祉分野に関する研究をはじめとする学際的、総合的な教育研究を推進し、県立保健大学の学術研究水準の向上、地域における保健医療・福祉の向上に寄与することを目的としています。」の記載がある。 (http://www.auhw.ac.jp/pubsys/public/mu1/bin/view.rbz?cd=215) (コ)さいたま市のホームページ中の、市の施設「さいたま市健康科学研究センター」の紹介に「さいたま市健康科学研究センターは、地域保健対策を推進し、市民の健康を支援するため、衛生行政、環境行政の科学的かつ技術的中核として2007年4月から業務を開始しました。細菌、ウイルスなどの検査、食品などの衛生検査および大気、水質などの調査・分析を実施するとともに、調査研究、研修指導および公衆衛生情報などの収集・解析・提供を行います。」の記載がある。(http://www.city.saitama.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020046&WIT_oid=saitama::Contents::63397) (サ)東京大学大学院新領域創成科学研究科のホームページに、研究科附属施設である生涯スポーツ健康科学研究センターの紹介として、「本センターでは、幅広い年齢層のスポーツ選手をはじめ、子どもから青少年、中・高齢者、および低体力状態にある人々を対象にして、人としての活動能力を高め、健康で活動的な状態への回復、体力の維持・向上、および心身共に健やかで質の高い生活(QOL)を享受できるための実践的、応用的研究を推進し、広くその成果を還元することを目的としています。」の記載がある。(http://www.k.u-tokyo.ac.jp/pros/hss/index.htm) (シ)サントリー株式会社、サントリー健康科学研究所のホームページに、「私たち健康科学研究所は、サントリーが創業以来培ってきた食品の生産技術に加え、健康に役立つ様々な素材の探索や機能・安全性評価などの研究を行っています。サントリーは多くの大学の研究室とともに、健康に関する共同研究を行ってきました。お客様のニーズに合った、健康づくりのお役に立てる「科学に裏付けられた健康情報」を お届けしてまいります。」の記載がある。(http://www.suntory-kenko.com/maca/labo.html) (ス)株式会社ブルボンのホームページ中の、会社案内に、品質保証・研究・企画・開発の見出しのもと、「健康で豊かな暮らしを追求し、研究を進めております。」「健康科学研究所では『生活習慣病』に関わる食習慣に注目し、私たちが取り扱う菓子・食品・飲料についての栄養・健康機能について研究を進めています。また、社内外での共同研究体制を整え、栄養機能性研究、健康維持作用研究を進め、学会や研究会などの成果発表を通し製品の良さをお客様へアピールして行きます。」の記載がある。 (http://www.bourbon.co.jp/top_b.html) さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標においても同様に識別力を有する旨主張するが、過去になされた登録例は、具体的・個別的な判断がなされているものであって、請求人が示す登録例は、商標の構成態様または指定商品・指定役務のほか、審査における判断時期などについて本件と事案を異にするものであり、同一に論ずることはできない。 また、具体的事案の判断においては、過去の判断に拘束されることなく検討されるべきものであり、本願商標については上記のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。 (3)むすび 以上のとおり、「健康」及び「科学」の文字を結合して一連に表した「健康科学」の文字よりなる本願商標は、これに接する取引者・需要者をして、全体として「病気の有無に関することや心身の健康に関する科学的(体系的)な知識、研究」の意味合いを有するものであると容易に認識、理解されるというのが相当であり、これを本願指定商品及び指定役務に使用しても、何人かの業務に係る商品及び役務であるかを認識することができず、自他商品・役務を識別するための標識としての機能を有しないものといわざるを得ない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-10-02 |
結審通知日 | 2007-10-09 |
審決日 | 2007-10-26 |
出願番号 | 商願2005-100970(T2005-100970) |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(Y1044)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金子 尚人 |
特許庁審判長 |
小林 和男 |
特許庁審判官 |
長澤 祥子 海老名 友子 |
商標の称呼 | ケンコーカガク |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 森田 俊雄 |