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審決分類 審判 一部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y09
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効とする(請求一部成立)取り消す(申し立て一部成立) Y09
管理番号 1169024 
審判番号 無効2006-89023 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-02-24 
確定日 2007-11-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第4689527号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4689527号の指定商品中、第9類「測定機械器具」についての登録を無効とする。 その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。 審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4689527号商標(以下「本件商標」という。)は、「サムソンボイラ」の文字を標準文字で書してなり、平成14年11月12日に登録出願、第1類「化学品」及び第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同15年7月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1624866号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和55年9月30日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、同58年10月27日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回され、平成17年7月27日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」とする指定商品の書換登録がされたものである。
同じく、登録第1982694号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和55年9月30日に登録出願、第10類「測定機械器具」を指定商品として、同62年9月21日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
そして、引用A商標及び引用B商標は、現に有効に存続しているものである。

3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担する、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
(ア)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その構成文字中に「ボイラ」の文字を含んでいる。
しかして、市場では、「ボイラー用温度計」「ボイラー用金属ケース入り温度計」「ガスボイラー用圧力計、温度計」等のボイラ用の測定機械器具に相当する商品が現に取引されている(甲第2号証ないし甲第4号証)。
また、国際分類第8版では、第9類に「Boiler control instruments」(連続番号B0512)(ボイラー用制御装置)という商品があり、特許庁は、この商品に「10C01」及び「11B01」の類似群コードを付与している。
このことからみて、「Boiler control instruments」は、測定機械器具(10C01)に含まれると同時に、電気通信機械器具(11B01)にも含まれる商品であるということが分かる。
そうとすれば、本件商標が「ボイラ用以外の温度計、圧力計又は制御装置」等の商品に使用された場合には、需要者、取引者は、その商品が「ボイラ用の温度計、圧力計又は制御装置」であると誤認する可能性が極めて高い。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものでる。
(イ)商標法第4条第1項第11号について
本件商標の構成文字中、「ボイラ」の文字部分は、単に、商品がボイラ用の商品であることを意味するに過ぎない品質表示であり、「サムソン」の文字部分に比べて識別性が極めて低いものである。
商標法の審査基準を参照すると、審査基準の「九.第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)」の4(1)には、「形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する。」と規定されている。
本件商標における「ボイラ」の文字部分は、その指定商品の用途を表示するものであるため、審査基準において規定されている形容詞的文字に相当する。
そうとすれば、本件商標における「ボイラ」の文字部分は、単なる指定商品の用途を表示する形容詞的文字であり、また、本件商標を全体として「サムソンボイラ」と称呼した場合には、7音という比較的長い称呼が生じることを考慮すると、需要者、取引者が識別性の低い形容詞的文字「ボイラ」を省略して本件商標を「サムソン」と称呼することが多々あることは明らかである。
よって、本件商標からは「サムソン」の称呼を生じる。
引用A商標は、黒色の円の中に白色で「SAMSON」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成態様より「サムソン」の称呼を生ずる(甲第5号証1及び2)。
引用B商標は、甲第6号証1及び2に示すように、黒色の円の中に白色で「SAMSON」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成態様より「サムソン」の称呼を生ずる。
そこで、まず、本件商標の称呼と、引用A商標及び引用B商標の称呼とを比較すると、本件商標と、引用A商標及び引用B商標とからは、共に、「サムソン」の称呼を生ずる。
そうとすれば、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、同一の称呼を生する称呼上類似の商標である。
次に、本件商標と引用A商標及び引用B商標の指定商品の類否について比較する。
本件商標の指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」は、引用A商標の指定商品、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極 」に包含されている。
また、本件商標の指定商品に含まれている第9類「測定機械器具」は、引用B商標の指定商品、第10類「測定機械器具」と同一又は類似する商品である。
したがって、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、その外観及び観念を比較するまでもなく、その称呼が同一の類似商標であり、指定商品も同一又は類似するので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)弁駁の理由
(ア)商標法第4条第1項第16号について
被請求人は、「ボイラ」の他にも食品機器、水処理機器及び電子機器等の商品を販売しているものの、「ボイラ」を主力製品としている会社である。
甲第7号証は著名な検索エンジンGoogleを用いて「サムソン」の語をキーワードとして日本語のページを検索した結果である。
この検索結果に表示されている「ボイラメーカー株式会社サムソン」の語は、被請求人のホームページにリンクしている。
甲第8号証は、甲第7号証の検索結果にリンクしている被請求人のウエブサイトのトップページであり、商品の筆頭として「ボイラ」が挙げられている。
そして、被請求人が「ボイラ」を主力製品としていることを考慮すると、需要者、取引者は、たとえ、それが所謂「業界人」であったとしても、本件商標を見た時に「サムソンのボイラ」又は「サムソンのボイラ関係の商品」であると認識する可能性は極めて高いと思われる。
そして、需要者、取引者は、「ボイラ」を主力製品としている被請求人が、「サムソンボイラ」という商標を付しているのだから当然にボイラ関係の商品であると認識する可能性がある。
したがって、本件商標がボイラ用以外の商品に使用された場合には、需要者、取引者は、「ボイラ」を主力製品としている被請求人が「サムソンボイラ」という商標を付しているのだから当然にボイラ用の商品であると誤認する可能性がある。
被請求人は、「主として産業用の電機機械等の器具を取り扱う業界人であるから、本件指定商品の需要者における眼で見る限り、たとえ商標に『ボイラ』の文字が入っていたとしても、それにとらわれて商品の内容を誤認することは生じない。」旨主張する。
しかしながら、たとえ業界人であっても、本件商標がボイラ用以外の商品に使用された場合には、誤認混同が生ずる可能性がある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
(イ)商標法第4条第1項第11号について
被請求人が、ボイラを主力製品としていることを考慮すると、需要者、取引者が、本件商標を見た時に「サムソンのボイラ」又は「サムソンのボイラ関係の商品」であると認識する可能性は極めて高いと思われる。
よって、本件商標からは「サムソンのボイラ」又は「サムソンのボイラ関係の商品」という観念が生じる。
そして、需要者、取引者は、本件商標を「サムソンのボイラ」又は「サムソンのボイラ関係の商品」という観念の下で称呼するため、「サムソン」と「ボイラ」との間に一呼吸入れて、「サムソン ボイラ」と称呼したり、又は識別性のない「ボイラ」の部分を省略して「サムソン」と称呼する可能性も高いと考えられる。
したがって、「本件商標からは『サムソンボイラ』の称呼しか生じない。」とする被請求人の主張は失当であり、本件商標からは「サムソンボイラ」の他にも、「サムソン ボイラ」又は「サムソン」の称呼を生ずる可能性が高い。
よって、本件商標からは引用A商標及び引用B商標に係る商標と同一の称呼「サムソン」を生ずるため、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(ウ)最後に、引用A商標及び引用B商標に係る「SAMSON」の商標は、請求人会社が100以上の国で世界的に登録にしており、測定機械器具や制御用機械器具については、数十年もの間、世界的に著名な商標であることを付け加える。

4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標
本件商標は、その文字は標準文字により、同じ書体、同じ大きさで、等間隔に表わされ、その構成全体は外観上まとまりよく、一体的に表された標章である。
したがって、この構成より生ずる「サムソンボイラ」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
また、全体として、特定の観念を生じない造語よりなるものである。
この本件商標の称呼および観念に関する判断は、異議申立事件(異議2003-90638)において審理を尽されているものであるため、その異議決定謄本を乙第1号証として提出する。
(2)商標法第4条第1項第16号について
(ア)本件商標は、全体がよどみなく一連に「サムソンボイラ」と称呼されるものであり、かつ全体として一体不可分の造語である。
したがって、「ボイラ」の文字部分のみを切り離して把えるのは不自然である。
(イ)本件商標の指定商品である「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」にボイラー用の機器として用いられるものがあるとしても、品質誤認のおそれはない。
なぜなら、本件指定商品における需要者、取引者は一般消費者ではなく、主として産業用の電気機械等の器具を取扱う業界人である。
これら業界人は、産業用器具に対する知識は、豊富に持っており、自社製品への適用する部品の選択に際しては、機能、性能、価格、大きさ、形状を充分に吟味するはずである。
その証拠に、甲第2号証ないし甲第4号証に示される製品案内等にも用途や、機能、等級、メーカーなどによって相当細かく分けて紹介しているのである。
したがって、本件指定商品の需要者における眼で見る限り、たとえ商標に「ボイラ」の文字部分が入っていたとしても、それにとらわれて、商品の内容を誤認することは生じようがない。
そもそも、商標法第4条第1項第16号の趣旨は、商標の表示内容と指定商品の間に不実の関係が生ずるのを避けるためであり、過去の審判決例を参酌しても、強い不実の関係が一般的に存在するものが該当している(乙第2号証)。
しかるに、本件商標は、これほど強い不実の関係がみられないことは明らかである。
商標の表示内容が、異なる商品を直観させないか、あるいは一連不可分の造語であるから特定の商品との結びつきが無く品質誤認を招かない場合は、不実の関係が見られないとして商標法第4条第1項第16号に該当しないと判断されている(乙第2号証)。
要するに、本件商標は、上記高裁判決のようには強い不実の関係を有するものではないから、品質誤認に結びつくとは云えず、かえって、上記審決例のように、指定商品以外のものを直観させることもなく、一体不可分の造語であることに基づき品質誤認に結びつかないものというべきである。
よって本件商標は、需要者、取引者の眼で判断すれば、ボイラ専用品と誤認することが、一般的に生ずるとはいえないので、本件商標は商標法第4条第1項第16号に違反したものではない。
(ウ)請求人は、被請求人の取り扱う主力製品がボイラであることをHP等から調べ、かかる個別事情に基づき、誤認混同が生ずると主張している。
しかしながら、考慮されるべき事情は、一般的、恒常的な取引の実情であるから請求人の主張は失当である。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その文字は標準文字により、同じ書体、同じ大きさで等間隔に表わされ、その構成全体は外観上まとまりよく、一体的に表されている。 したがって、前記異議申立事件においても審理尽されているとおり、これより生ずる「サムソンボイラ」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
してみると、本件商標は、その構成文字に相応して、「サムソンボイラ」と一気に称される称呼のみを生ずるものであるから、請求人のいう「ボイラ」の文字部分は形容詞であるとの主張は失当である。
引用A商標及び引用B商標は、「SAMSON」と書された欧文字から、「サムソン」と称する称呼のみを生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「サムソンボイラ」と引用A商標及び引用B商標から生ずる「サムソン」の称呼とを対比すると、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであり、両称呼は容易に区別し得るものである。
また、両商標は、その外観においても類似する点を見出せないものである。
したがって、本件商標と引用A商標及び引用B商標とは、その外観、称呼及び観念において非類似であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反するものではない。
(4)請求人は、引用A商標及び引用B商標が、世界的に著名な商標であると主張するが、その立証はしていない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、「サムソンボイラ」の文字を書してなるものである。
そこで、請求人の提出に係る証拠についてみるに、甲第2号証(三田計器社のウエブサイトの写し)、甲第3号証(東日本計量器工業協同組合のウエブサイトの写し)及び甲第4号証(メイセイヒョタ計量器のウエブサイトの写し)によれば、市場では「ボイラー用温度計」「ボイラー用金属ケース入り温度計」「ガスボイラー用圧力計、温度計」等のボイラ用の測定機械器具に相当する商品が、現に取引されている事実を認めることができる。
また、商品・サービス国際分類表〔第8版〕では、第9類に「Boiler control instruments」が英語表記として示されており、「ボイラー用制御装置」がその日本語訳として記載されている。
この商品に類似群コードとして、「10C01」及び「11B01」を付与しているところであり、これより「Boiler control instruments」は、「測定機械器具」に含まれる商品であることが認められる。
そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者は、「ボイラ」の文字部分より、「ボイラ用の測定機械器具」であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品中、「ボイラ用の測定機械器具以外の測定機械器具」に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
しかしながら、請求人は、本件商標を、その指定商品中「測定機械器具以外の指定商品」に使用するときに、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるとすべき証拠を何等提出していない。
なお、請求人は、被請求人が「ボイラ」を主力製品として販売していることを挙げ、請求人が「ボイラ」以外の商品に本件商標を使用するときは、取引者、需要者が、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある旨主張している。
しかしながら、「ボイラ」と請求に係る、その余指定商品「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」とは、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲等が相違するものであるから、取引者、需要者が、商品の品質の誤認を生ずるとはいい難い。ゆえに、請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、これを請求に係る指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標と引用B商標との類否について
本件商標は、「サムソンボイラ」の文字を書してなるところ、本件商標を構成する文字中の「ボイラ」の文字部分は、上記(1)で述べたとおり、本件商標の指定商品中「測定機械器具」との関係においては識別力の弱いものといえるものである。
そうとすれば、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、本件商標接する取引者、需要者は、前半部の「サムソン」の文字部分に着目して、これより生ずる「サムソン」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その指定商品中「測定機械器具」については、その構成文字に全体に相応して「サムソンボイラ」の一連の称呼を生ずるほか、「サムソン」の文字部分に相応して「サムソン」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用B商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「サムソン」の称呼を生ずるものと認められる。
そうとすれば、本件商標と引用B商標とは、外観において相違し、観念については共に特定の観念を有さない造語であって比較することができないとしても、「サムソン」の称呼を共通にする類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中の第9類「測定機械器具」は、引用B商標の指定商品、第10類「測定機械器具」と同一又は類似する商品と認められる。
(イ)本件商標と引用A商標との類否について
本件商標を構成する「サムソンボイラ」の文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で一連に書されており外観上一体に把握し得るものであり、また、本件商標全体より生ずる「サムソンボイラ」も格別冗長とはいえず、一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の指定商品中、第9類「測定機械器具」以外の商品については、本件商標を「サムソン」と「ボイラ」とに分断して称呼しなければならないとする格別の事情は認められない。
そうとすれば、請求に係る指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認められるから、その構成文字に相応して「サムソンボイラ」の称呼のみを生ずるというべきである。
他方、引用A商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであるから、その構成文字に相応して「サムソン」の称呼を生ずるものと認められる。
しかして、本件商標より生ずる「サムソンボイラ」の称呼と引用A商標より生ずる「サムソン」の両称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異が認められるものであるから、称呼上、両者は容易に区別し得るものである。
また、本件商標と引用A商標は、それぞれ上記及び別掲のとおりの構成よりなるから、外観上、十分に区別し得る差異を有するものであり、さらに、観念においても両商標は造語と認められるものであるから、比較し得ないものである。
してみれば、請求に係る指定商品中、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、本件商標と引用A商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみて、十分に区別し得る非類似の商標である。
(3)結び
したがって、本件商標は、その指定商品中第9類「測定機械器具」について、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
しかしながら、本件商標は、請求に係る指定商品中第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、上記(2)のとおり、無効にすべき理由がないものであるから、商標法第4条第1項第11号及び同第16号に違反して登録されたものではなく、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


引用A商標及び引用B商標






審理終結日 2007-07-02 
結審通知日 2007-07-06 
審決日 2007-07-18 
出願番号 商願2002-95552(T2002-95552) 
審決分類 T 1 12・ 26- ZC (Y09)
T 1 12・ 272- ZC (Y09)
最終処分 一部成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 渡邉 健司
鈴木 修
登録日 2003-07-04 
登録番号 商標登録第4689527号(T4689527) 
商標の称呼 サムソンボイラ 
代理人 山内 康伸 
代理人 浜野 孝雄 
代理人 森田 哲二 

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