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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y18
管理番号 1168911 
審判番号 無効2006-89138 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-09-29 
確定日 2007-09-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4924968号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4924968号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4924968号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成17年7月15日に登録出願、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」を指定商品として、同18年1月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用した登録商標は、以下の(1)ないし(5)のとおりである。
(1)登録第1446773号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和51年11月9日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同55年12月25日に設定登録、平成3年8月29日及び同13年1月16日の2回にわたる商標権存続期間の更新登録、その後、同年6月20日に商品の区分及び指定商品を第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその模造品,貴金属製コンパクト」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(「造花の花輪」を除く。)」とする書換の登録がされたものである。
(2)登録第1546254号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和52年5月20日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年10月27日に設定登録、平成6年3月30日及び同14年11月5日の2回にわたる商標権存続期間の更新登録、その後、同15年4月2日に商品の区分及び指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類」とする書換の登録がされたものである。
(3)登録第1786652号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和57年12月8日に登録出願、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年6月25日に設定登録、平成8年1月30日及び同17年7月5日の2回にわたる商標権存続期間の更新登録、その後、同18年2月8日に商品の区分及び指定商品を第4類「ランプ用灯しん,ろうそく」、第5類「はえ取り紙」、第6類「金属製のネームプレート及び標札,犬用鎖,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製郵便受け,金属製帽子掛けかぎ,金属製貯金箱,金属製家庭用水槽,金属製工具箱,金属製のタオル用ディスペンサー」、第8類「エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器(貴金属製のものを除く。),スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,アイロン(電気式のものを除く。),糸通し器,チャコ削り器,五徳,十能,暖炉用ふいご(手持ち工具に当たるものに限る。),火消しつぼ,火ばし,殺虫剤用噴霧器(手持ち工具に当たるものに限る。)」、第10類「しびん,病人用便器」、第11類「ガス湯沸かし器,バーベキューグリル,その他の加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,家庭用ごみ焼却炉,化学物質を充てんした保温保冷具」、第14類「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て」、第16類「家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札」、第18類「愛玩動物用被服類」、第19類「石製家庭用水槽,石製郵便受け」、第20類「ストロー,盆(金属製のものを除く。),ししゅう用枠,ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),旗ざお,うちわ,せんす,植物の茎支持具,愛玩動物用ベッド,犬小屋,小鳥用巣箱,きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),買物かご,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),ハンガーボード,工具箱(金属製のものを除く。),タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。)」、第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー」、第24類「織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー」、第26類「編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。)」、第27類「洗い場用マット」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ」とする書換の登録がされたものである。
(4)登録第2033506号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和59年7月11日に登録出願、第24類「テニスラケツトケース、キヤデイーバツグ、その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年3月30日に設定登録、その後、平成10年4月28日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
(5)登録第2100536号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和61年9月4日に登録出願、第18類「ひも(被服に属するものおよびはき物用または運動具用ひもを除く)綱類(運動具に属するものを除く)網類(運動具に属するものを除く)包装用容器」を指定商品として、同63年12月19日に設定登録、その後、平成11年1月26日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
以下、上記(1)ないし(5)の引用商標をまとめていうときは、単に「引用商標」という。

3 本件商標と引用商標の各構成要素の記号について
本件商標と引用商標のそれぞれの各構成要素については、当該各構成要素のどれを指しているかをわかり易くするために、本件審決をするにあたり、便宜上、別掲(3)に示すとおり、本件商標においては、「本a」?「本d」の記号を、また、引用商標においては、「引a」?「引d」の記号をそれぞれ付して対象を明確にすることとした。
以下、これらの記号に従って、当事者の主張及び判断を行うこととする。

4 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号
(ア)本件商標は、4弁の花の図形「本c」、四角に4弁の花の図形「本b」、楕円形の惑星様の図形「本d」及びローマ字の「B」と「B」を反転させた文字のモノグラム「本a」から構成されるのに対し、引用商標は、4芒の星の図形「引c」、四角に4芒の星の図形「引b」、丸形に4弁の花の図形「引a」及びローマ字の「L」と「V」のモノグラム「引d」から構成されるところ、本件商標と引用商標は、いずれも何らの称呼、観念を生ずるものではないから、外観の類否について検討する。
(イ)本件商標と引用商標は、いずれもそれらが付される商品の生地全面に連続的に並んで表示されるところに特徴があり(甲第13号証の1ないし3、甲第14号証の1ないし4参照)、いずれの商標も、そのうちの一部分を切り取ったものであるから、それのみを比較するのは、取引の実情からみて妥当ではなく、両商標の類否判断に当たっては、実際に商品に付された場合の比較が必要である。
(ウ)まず、両商標を構成する個別の図形を見ると、「本c」と「引c」は、花の図形、星の図形という点で若干の差異があるものの、いずれも4弁又は4芒で構成されている点、図形の中心が白抜きされている点で共通し、特徴的な部分が類似する。同様に、「本b」と「引b」も特徴的な部分が類似し、また、「本d」と「引a」はいずれも円又は楕円という点、「本a」と「引d」は斜めにデザインしたローマ字2文字を重ねあわせた図形という点を共通にする。
次に、本件商標を「本a」を中心に見ると、「本a」の斜め四方には、4弁の花の図形「本c」が配置され、さらにその外側には、楕円図形「本d」が、「本d」の間には、四角に4弁の花の図形「本b」が配置されるという構成となっている。
また、実際に商品に付された本件商標を見ると、「本c」が横一列に、その下に「本b」と「本d」が交互に横一列に並び、さらにその下に「本c」が横一列に、その下には「本b」と「本a」が交互に横一列に並ぶという構成となっており、以下はこれらの図形が規則的に並んでいる。
一方、引用商標を「引d」を中心に見ると、「引d」の斜め四方には4芒の星の図形「引c」が配置され、さらに、その外側には丸型に4弁の花の図形「引a」が、「引a」の間には、四角に4芒の星の図形「引b」が配置されるという構成となっている。
また、実際に商品に付された引用商標を見ると、「引c」が横一列に、その下に「引a」と「引b」が交互に横一列に並び、さらにその下に「引c」が横一列に、その下には「引b」と「引d」が交互に横一列に並ぶという構成となっており、以下はこれらの図形が規則的に並んでいる。
このように、両商標は、同様のパターンで図形が組み合わされているという点で極めて類似する。
そして、需要者である一般消費者は、そのパターン自体に強い印象を受けるものであり、しかも、そのパターンに用いられている図形、特に「本c」と「引c」、「本b」と「引b」という類似性の高い図形が同様の配置で並んでいる点で、両商標は、極めて高い類似性を有している。
以上からすれば、一般消費者が時と場所を異にして両商標に接した場合、商品の出所につき誤認混同を生ずる。
現に、本件商標は、新聞において、引用商標をモチーフにしたものであると紹介され(甲第15号証)、また、雑誌でも「なんちゃってモノグラム」として、暗に引用商標を真似たものであるとして取り上げられている(甲第16号証)。
そして、被請求人が「しゃれが分かる人に買ってもらいたい」と発言している(甲第15号証)ことからすれば、被請求人が引用商標を意識した上で、あえて、それに似せて、本件商標のデザインを決定したことは明らかである。
(エ)請求人が行ったアンケート調査(甲第17号証)によれば、回答者全体の20%以上が、本件商標と引用商標が「同じものと思うくらい似ている」ないし「よく似ている」と回答し、「少し似ている」との回答を含めれば、全体の65%以上は、両商標が似ていると回答した。
また、被請求人が本件商標を付して販売する商品(以下「被請求人商品」という。)につき、被請求人商品であると回答したのは、全体の約9%であったのに対し、請求人の商品であると回答したのは、全体の約15%近くに及んでおり、被請求人商品であると回答した人数を上回っている。このように、両商標の間には、その出所につき現に誤認混同が生じている。
(オ)商品の同一又は類似について
本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
(2)商標法第4条第1項第10号
(ア)引用商標及び請求人商品の周知・著名性
請求人が製造、販売する商品(以下「請求人商品」という。)は、一般的に「ルイ・ヴィトン」と呼ばれ、世界の超一流ブランドとして世界的に著名である。
そして、引用商標及び請求人商品は、遅くとも昭和53年当時には、日本国内においても、需要者の間に広く認識されていた(甲第17号証ないし甲第22号証)。
特に、引用商標が商品全体に付された商品は、「モノグラム・ライン」と呼ばれ、請求人商品を代表するものとして、一般消費者に広く受け入れられており、著名性を獲得している(甲第17号証、甲第19号証ないし甲第22号証)。
この「モノグラム・ライン」の商品は、かばんが特に有名であるが、それ以外にも財布、ネクタイ等、幅広い商品がある。
引用商標は、商品の生地全面に規則的・連続的に表示されるところに特徴があるほか、特定の色使いによって表示されるところにも特徴がある。すなわち、甲第14号証の1及び2のとおり、請求人商品の中でも、こげ茶地に、模様の部分をベージュとしたものは特に著名であり、一般消費者は、商標を構成する細かい図柄よりも、その色使いに注目して請求人商品であると認識しているといっても過言でない。
また、請求人商品には、「モノグラム・マルチカラー」と呼ばれる、白地に、模様の部分をピンク、青、黄色などを用いたものなどもある(甲第14号証の3)。
このように、引用商標は、その個性的な色使いと相まって極めて強い出所表示力を獲得している。
(イ)商標の類似
引用商標と本件商標のパターンが類似しているのは、前述のとおりであり、被請求人商品は、請求人商品と同様の色使い(こげ茶地に、模様の部分をベージュ、あるいは白地に、模様の部分をピンク、青、黄色など)を用いて販売されている(甲第13号証の1ないし3)。
このように類似したパターンを同様の色使いで表示した商品を目にした一般消費者は、たとえ、そのパターンを構成する個々の図形の類似の程度が高くなくとも、それらにつき出所の混同を生ずるおそれがある。
よって、引用商標と本件商標は、類似している。
(ウ)商品の同一又は類似については、前記(1)(オ)のとおりである。
(3)商標法第4条第1項第15号
(ア)引用商標及び請求人商品の著名性については、前記(2)(ア)で述べたとおりである。
(イ)混同のおそれ
引用商標及び請求人商品の著名性からすれば、請求人以外の他人が引用商標に類似する商標を商品に使用した場合、多くの一般消費者は、その商品が請求人商品又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の製造販売する商品であると認識し、商品の出所につき混同するおそれがある。
そして、本件商標と引用商標は、極めて類似しており、本件商標をその指定商品に使用すれば、一般消費者は、商品の出所につき混同するおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第19号
(ア)本件商標と引用商標の類似性については、前述したとおりである。
(イ)不正の目的
前述のように、被請求人商品が「なんちゃってモノグラム」と紹介されている点、被請求人が被請求人商品を「しゃれが分かる人に買ってもらいたい」と述べている点からも明らかなように、被請求人は、引用商標を模して本件商標を作成したものである。
したがって、被請求人は、著名な引用商標と類似する本件商標を作成し、これを被請求人商品に付すことで、引用商標の持つ顧客吸引力を不正利用したものである。
よって、被請求人は、不正の目的で本件商標を使用したといえる。
(5)被請求人の答弁に対する弁駁
(ア)本件商標と引用商標の類否
(a)被請求人は、本件商標を構成する図形について、請求人の主張と異なる主張を展開するが、それぞれの図形をどのように表現するかで両図形の外観が決定されるものではないから、被請求人の主張は、何らの意味を持たない。
(b)被請求人は、「本c」と「引c」につき、「弁」及び「芒」の言葉の意味の違いから、両者は、外観上顕著な差異を有すると主張するが、その主張は、単に両図形を何と表現するかの問題であるところ、両図形をどのように表現するかで、その外観が決定されるものでないことは、上記のとおりである。
同様に、被請求人は、「本c」及び「引c」が「黒塗りハート図形」と「十字図形」であるから類似しないとか、「本b」と「引b」が「四角形」と「略菱形」であるから類似しないなどと主張するが、これらも、それぞれの図形の表現の仕方の問題にすぎず、外観の類似とは何ら関係がない。
(イ)本件商標の著名性について
被請求人は、「本d」が被請求人のハウスマークとして使用されてきたから、本件商標が消費者、取引者から被請求人のハウスマークとして認識されており、商品の出所について混同を生ずるおそれがない旨主張する。
しかし、仮に「本d」が被請求人のハウスマークとして使用されていたとしても、それのみで「本d」が消費者に広く認識されていることにならないのは明らかである。
むしろ、請求人の行ったアンケート調査によれば、被請求人商品を被請求人商品であると回答したのは、全体のわずか9%にすぎず、「ルイ・ヴィトン」と回答した14.6%をはるかに下回ることからすれば(甲第17号証)、「本d」ないし本件商標が消費者から被請求人のハウスマークとして広く認識されているとは到底いえず、現に誤認混同が生じているというべきである。
なお、被請求人は、上記アンケート調査の信用性につき疑義を挟んでいるが、同アンケートは、調査対象の条件を設定し(本件では25?49歳の女性)、その条件にあった調査対象者に対し、アンケート回答依頼メ一ルを送付するという方法で行われ、回答者に予断を与えないため、全く関係のないブランドに関する質問を混在させ、さらに、回答者ごとに質問の出題順を変えるなどの配慮をしており、その調査結果は、信用のおけるものである。
(6)むすび
以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項により無効とすべきである。

5 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第23号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標及び引用商標は、図形のみによって構成されているから、両商標よりは何らの称呼、観念を生ずるものではない。
したがって、両商標の類否は、外観によって判断されるべきである。
本件商標の指定商品中、「かばん金具、がま口口金」は、引用商標の指定商品とは抵触しない。また、その余の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であることは認める。
しかし、両商標の指定商品が一部を除き抵触しているとしても、本件商標と引用商標とは、以下のとおり、非類似の商標である。
(イ)本件商標について
請求人は、本件商標の構成について種々述べるも、正しくは、以下のとおりである。
すなわち、本件商標の中心部には、地球儀状図形「本d」が配され、「本d」の外周には、4つの黒塗りハート図形「本c」と白抜きした4つのハート形状を含んだ四角図形「本b」がそれぞれ四方に等間隔、1つ置きに配され、さらに、四隅外周にはローマ字「B」とこれを裏返しにして重ね合わせたモノグラム「本a」が配されている。
そして、上記「本d」と「本a」とは、それぞれ商標登録がされている(乙第1号証ないし乙第21号証、「本d」に付された3本のリングは、被請求人の創立30周年を意味するものである。)。このように、本件商標のうち、「本d」及び「本a」は、被請求人が長年使用しているハウスマークであって、特に「本d」は、被請求人のホームページのトップページに使用されている(乙第23号証)。また、被請求人の関係会社は、本件商標について、登録意匠を取得している(乙第22号証)。
(ウ)引用商標について
引用商標が、請求人主張の「4芒の星の図形『引c』、四角に4芒の星の図形『引b』、丸形に4弁の花の図形『引a』及びローマ字の『L』と『V』のモノグラム『引d』から構成される」点については争う。引用商標は、正しくは以下のとおりである。
すなわち、引用商標の中心部には、ローマ字の「L」と「V」のモノグラム「引d」が配され、該「引d」の外周には、中心を白抜きした黒塗りの十字図形「引c」と白抜きした十字図形を含んだ略菱形図形「引b」がそれぞれ等間隔、一つ置きに配され、さらに、四隅外周には、白抜きした4弁の花を含んだ黒塗りの円図形「引a」が配されている。
(エ)本件商標と引用商標との対比
(a)請求人は、「本c」と「引c」とは、花の図形、星の図形という点で若干の差異があるものの、いずれも4弁又は4芒で構成されている点、図形の中心が白抜きされている点で共通し、特徴的な部分が類似する旨主張する。
しかし、請求人主張の「芒」なる文字は、「先のとがったもの」を意味する語である(角川書店発行「漢和中辞典」)のに対し、「弁」は、「花びら」を意味する語であるから、「芒」と「弁」とは、外観上顕著な差異を有するものである。
また、「引c」は、十字図形であるから、これが「本c」と類似するとの請求人の主張は詭弁であるし、請求人の「白抜き」の点をとらえて類似するとの主張は、「木を見て林を見ざる」のごとき主張であって、到底容認できない。このように、両商標は、基本的な形状において、顕著な差異を有するものであり、共通する特徴的部分は存在しない。
(b)請求人は、「本b」と「引b」、「本d」と「引a」、「本a」と「引d」とがそれぞれ共通する旨主張するが、この主張は、以下のとおり、理由がない。
「引b」は、略菱形であるのに対し、「本b」は、四角であり、かつ、その中に含まれる図形も、十字図形、ハート図形と異なるものである。
他方、「本d」は、地球儀状図形であるのに対し、「引a」は、四隅外周に配された4弁の花を含んだ黒塗り円図形である。この点について、請求人は、円又は楕円という点で共通すると主張するが、円と楕円とは、そもそも基本的形状を異にするとともに、「本d」と「引a」は、配置を異にし、かつ、その中に含まれる図形も顕著に異なっている。
また、「本a」は、ローマ字の「B」のモノグラムであるのに対し、「引d」は、ローマ字の「L」と「V」のモノグラムであり、両者は、文字及び配置を異にするから、外観上明確に識別し得るものである。
(c)さらに、請求人は、図形パターンの組み合わせが同様であるので、両商標は類似すると主張する。
被請求人は、本件商標及び引用商標の各図形の配置が請求人主張のとおりであることは認める(但し、「『本d』の間には『本b』が配置されるという構成になっている」との説明は理解できない。)。
本件商標は、ハウスマークとして長年にわたり継続使用してきた「本d」を中心に、また同様に、ハウスマークとして使用してきた「本a」を外周にそれぞれ配したものであり、「本d」及び「本a」は、現在では、被請求人の商品又は役務に使用される商標として、周知になっている。
そして、上記のとおり、「本c」は、黒塗りハート図形であるのに対し、「引c」は、黒塗りの十字図形であり、また、「本b」は、4つの白抜きハート図形を含んだ黒塗りの四角図形であるのに対し、「引b」は、白抜き十字形を含んだ黒塗り略菱形図形であるから、両図形は、外観上顕著に異なるものである。
したがって、本件商標と引用商標とが、図形パターンの組み合わせに若干の類似性があったとしても、パターンを構成する図形の外観が全く異なり、かつ、引用商標には、被請求人のハウスマークである「本d」及び「本a」が含まれていない以上、本件商標と引用商標とは外観上顕著に異なる。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
(ア)請求人商品が一般的に「ルイ・ヴィトン」なるブランドの下で販売されていることは認めるが、該ブランドが本件商標の出願時に、我が国において、特に「かばん」のブランドとして周知か否かは不知である。
(イ)請求人は、一般消費者が商標を構成する細かい図柄よりも、その色使いに注目して請求人商品であることを認識しているから、類似したパターンを同様の色使いで表示した商品を目にした場合、パターンを構成する個々の図形の類似の程度が高くなくとも、一般消費者は、出所の混同を生ずる旨主張する。
前記のとおり、本件商標と引用商標とは、パターンを構成する図形の外観が全く異なるものであり、しかも、引用商標には、消費者、取引者に被請求人のハウスマークとして認識されている「本d」及び「本a」が含まれていない以上、本件商標と引用商標とは外観上顕著に異なる。
してみれば、請求人の主張は理由がなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
(ア)請求人は、ブランドの著名性からすれば、請求人以外の他人が引用商標に類似した商標を用いて商品を販売した場合、消費者は、請求人商品であると認識するか、少なくとも請求人と経済的又は組織的に何らかの関係があると認識し、商品の出所について混同を生ずる旨主張する。
しかし、本件商標と引用商標とが、その外観について顕著に異なること、本件商標中の「本d」及び「本a」が被請求人のハウスマークとして、需要者、取引者の間に広く認識されていることは、前記のとおりである。
さらに、請求人は、請求人商品のみを自己の店舗内及び一流百貨店等で、「ルイ・ヴィトン」のブランドのもと販売しており、かつ、請求人商品は、そのブランド力によって、商品単価が若干高く設定されている。
これに対し、被請求人は、国内外の他社から、洋服、コート、かばん、雑貨等の多種の商品を仕入れて、自己店舗のほか、一般路面店舗等で販売しているものであり、かつ、商品単価は、請求人商品に比し、若干安く設定されている。
したがって、請求人商品と被請求人商品とは、その取引実態に差異があり、請求人の店舗において、「ルイ・ヴィトン」ブランド以外の商品を消費者が購入することはできず、そのため、消費者が誤認して被請求人商品を購入することは有り得ないのであるから、商品の出所について誤認混同を生ずる余地はない。
(イ)なお、請求人は、アンケート調査の結果について述べているが、請求人が行ったアンケートが公正に行われた保証は全くないが、注目すべきは、Q8において、図Aと図Bを比較して、「全く似ていない」が14.9%、また、Q2において、「ビームス」と答えた人が9%であり、請求人商品と被請求人商品とは、相当数の消費者が明確に識別している。このことは、両商標の間には、商品の出所について誤認混同を生じていないことを如実に示しているものである。被請求人は、創業以来30年間、一般消費者が被請求人商品をもって請求人商品と誤認して購入し、それに基づいたクレームを受けた事実は一切ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
(ア)本件商標及び引用商標の差異については、前記のとおりである。
(イ)請求人は、「なんちゃってモノグラム」(甲第16号証)との記事及び「しゃれが分かる人に買ってもらいたい」(甲第15号証)との記事をもって、被請求人は不正の目的を有する旨主張するが、上記の記事は、新聞や雑誌の記者が勝手に表現したもの、あるいは新聞や雑誌の記者の質問に対して、被請求人商品の発売後に被請求人が冗談で回答したものであり、このような記事から不正目的の意図は読み取れない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)請求人の弁駁に対する再答弁
(ア)両商標の対比
(a)請求人は、請求書において、本件商標の構成を別紙1と、また、引用商標の構成を別紙2と主張して符号を記載しているが、引き出し線が付されていないために、両商標の各構成の部位名称と符号とが必ずしも明確でない。
その趣旨から、被請求人は、先の答弁書に別紙1及び2を添付し、引き出し線を付けて、両商標の各構成の部位名称と符号とを一致させ明確にした。
(b)請求人は、それぞれの図形をどのように表現するかで、両図形の外観の類似が決定されるものではないと主張する。
例えば、請求人は、「本c」と「引c」とが類似するかの如く主張しているが、「本c」は、基本的に4つのハート形状により構成されているのに対し、「引c」は、基本的に十字形状により構成されているから、表現の如何を問わず、両者は、外観の構成を異にする。
また、請求人は、「本b」と「引b」とが外観上類似するかの如く主張するが、両者は、基本的な外観の形状のみならず、該形状内に配されている図形も異なるので、外観の構成を異にする。
さらに、請求人は、「本c」と「引c」とを対比して、中心部が白抜きされており、両図形が四弁の花と観念されるので類似するかの如く主張するが、「引c」が四弁の花と観念されるとは到底考えられない。
そして、請求人は、「本b」と「引b」とを対比して、両者が四角類似の形状であり、ともに、中心が白抜きされているので類似すると主張するが、「引b」の外観の形状は、頂点間が湾曲しているから、到底四角類似の形状とは認められず、かつ、両者は、図形内に含まれる図形形状を異にするから、外観上も顕著に異なる。
その上、請求人は、「本a」と「引d」がモノグラムというだけでなく、その書体も似通っており、両者は類似すると主張する。
しかし、「引d」がモノグラムであることは認めるが、「本a」は、「B」と「B」の組み合わせであり、「引d」は、「L」と「V」の組み合わせであるから、両者は、文字ロゴのみならず、外観の構成を全く異にする。
また、請求人は、「本a」と「引d」に関し、「B」と「L」の縦線がほぼ同じ角度で傾いており、さらに、反転した「B」の斜線と「V」の斜線も同じ角度で斜めにデザインされているので、両者は類似すると主張する。
しかし、そもそも、「本a」は、反転して組み合わせてなるモノグラムであるのに対し、「引d」は、平行して組み合わせてなるモノグラムであるから、両者は、文字を異にするとともに、その構成も異にし、外観上全く異なるものである。
なお、仮に、文字の傾きに若干の類似性があったとしても、両者を全体観察した場合、その全体の構成が上記のように異なるから、請求人の主張は理由がない。
さらにまた、請求人は、「本d」と「引a」とが楕円と円の差を有するとしても、両者は、丸型の図形であるという点で類似すると主張している。
しかし、この主張も全く理由がない。
「本d」は、地球儀状図形であると万人が容易に認識・想到するのに対し、「引a」を地球儀状図形と認識・想到することはあり得ないから、両者が単に丸型の図形であるということのみで類似するとの請求人の主張は、全く理由がない。
(c)以上のように、請求人は、各図形のごく一部の類似点のみを殊更強調して両商標が類似すると主張しているが、その主張は、仮に、請求人の表現が自由であるとしても、極めて客観性に欠け理由がない。
したがって、本件商標と引用商標とは外観の形状が顕著に異なるので、非類似の商標である。
(イ)商標法第4条第1項第11号の適用について
(a)商標法第4条第1項第11号の趣旨は、出願に係る商標が他人の登録商標と同一若しくは類似する場合に、その登録を拒絶するというものである。
すなわち、出願に係る商標との比較対象となるのは、登録商標であって、現に使用している商標ではない。
請求人は、本件商標について、商標登録された部分のみが単独で使用されるのではなく、商品の生地全面に連続使用される点に特徴があると主張する。
しかし、本条の適用に当たって、比較対象となる商標は、本件商標の登録出願前の登録商標である引用商標(1ないし5)であり、被請求人が現に使用している商標ではない。
請求人は、両商標の外観の類否の検討に当たっては、かかる一連の表示として判断する必要がある旨主張するが、請求人のそのような登録商標でない商標あるいは意匠を引用して、本件商標に係る商標権の無効を商標法第4条第1項第11号に基づいて主張するのは、法の適用を誤るものである。
また、請求人は、別紙3及び4並びに甲第15号証及び甲第16号証を示して、「本c」と「引c」、「本b」と「引b」、「本d」と「引a」、「本a」と「引d」が対応する形で、同じパターンで規則的に並べられているのが特徴的であると主張する。
しかし、引用商標(1ないし5)の構成は、被請求人提出の別紙2のように構成されているのであって、図形パターンが規則的・連続的に並べられているものでないことは明らかであり、したがって、規則的・連続的に並べられている別紙3及び4並びに甲第15号証及び甲第16号証の商標あるいは意匠と本件商標とを対比して、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反するとの請求人の主張は、法の適用を誤っており、失当である。
さらに、請求人は、取引者が引用商標に示す規則的に並べられたパターンに着目して請求人商品を認識するから、これと類似する被請求人商品とは商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると主張する。
しかし、請求人の上記主張は全く理由がない。
本件商標と引用商標とを対比した場合、パターンを構成する各図形の外観の形状が全く異なることは、上述したとおりであり、かつ、少なくとも引用商標中に地球儀状図形「本d」及びローマ字の「B」と「B」を裏返し二つ重ね合わせたモノグラム「本a」が含まれていないことは明確であって、両商標が外観上顕著に異なることは明らかである。
(b)特に、被請求人は、本件商標を構成する地球儀状図形「本d」を約20年の長きにわたり被請求人のハウスマークとして継続使用しており、該「本d」について、多くの商標権(乙第1号証ないし乙第17号証)を取得しており、該「本d」からは、「地球儀印」の称呼及び観念を生ずるものであり、該「地球儀印」なる商標は、被請求人の商標として需要者の間において広く認識されている。
また、被請求人は、本件商標を構成する前記モノグラムの「本a」についても、被請求人のハウスマークとして長年にわたり継続使用しており、該「本a」についても多数の商標権(乙第18号証ないし乙第21号証)を取得しており、該「本a」からは、「ビービー印」の称呼及び観念を生ずるものであり、該「ビービー印」なる商標は、被請求人の商標として需要者の間に広く認識されている。
すなわち、本件商標を構成する「本d」と「本a」は、被請求人のハウスマークとして、「地球儀印」及び「ビービー印」の称呼及び観念を生じ、かつ、その独特の外観の形状が需要者の間において広く認識されており、該商標を見聞きした需要者は、被請求人を想起するに至っている。
これに対し、引用商標中には、少なくとも本件商標中の「本d」及び「本a」と類似する標章が含まれていないことは明らかであり、かつ、本件商標を構成する「本c」及び「本b」と類似する標章も存在しない以上、仮に、本件商標の図形パターンを規則的・連続的に並べたとしても、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれは全くない。
特に、引用商標中のローマ字の「L」と「V」の組み合わせの「引d」が、請求人商品の商標として一般的に「ルイ・ヴイトン」なるブランドとして販売されていることは認めるが、該「引d」と本件商標中の「本d」あるいは「本a」とは顕著に異なり、かつ、請求人と被請求人とは先の答弁書で主張したように、取引の実態を異にするから、商品の出所について誤認混同を生ずる余地はない。
(c)請求人は、新聞記事「ヴイトンのLVをビームス・ボーイのBBに変え」(甲第15号証)の存在をもって、本件商標と引用商標とが類似すると主張するが、該記事には、そのような意図は全く含まれていない。
また、請求人は、「なんちゃってモノグラム」(甲第16号証)の記事をもって、上記と同様の主張をしているが、被請求人には、そのような意図は全くない。
(ウ)引用商標の著名性について
(a)請求人は、被請求人が地球儀状図形「本d」を長年にわたりハウスマークとして継続使用したとしても、消費者に広く認識されているとはいえないと主張するが、被請求人は、約20年以上にわたり、「本d」をハウスマークとして継続使用しており、それとともに全国的な店舗展開を行い、2006年度の売上金額は、略500億円に達しているので、請求人の主張は認められない。
(b)請求人は、アンケート結果(甲第17号証)におけるQ2の回答として、被請求人の商品との回答が9%、「ルイ・ヴイトン」との回答が14.6%であったという結果から、被請求人のハウスマークとしての周知性を否定するとともに誤認混同が生じていると主張する。
しかし、Q2において、「ビームス」と回答した人が9%もいたということは、請求人に次ぐ結果であって、却って、被請求人のハウスマークとしての周知性を表している。
なお、Q8の回答として、「全く似ていない」との回答が14.9%あった結果からすると、請求人商品と被請求人商品とは相当数の消費者が明確に識別しており、このことは両商標の間に商品の出所について誤認混同が生じていないことを示している。
また、請求人は、Q8において、図Aと図B及び商品の写真を提示して、請求人商品の図柄と被請求人商品の図柄を対比しているが、図Aの商品の写真は、遠隔から斜めに撮影されたものであるため、全体の図柄が不鮮明である。それに対し、図Bの商品の写真は、近接して正面から撮影されているため、その全体の図柄は鮮明である。
このことは、図Aと図Bの商品の写真の撮影方法を変え、そのことによって、両商品の全体の図柄を故意に似せようとする請求人の意図的な感が否めず、アンケート方法によっては、その結果が異なることは、容易に想像できる。
すなわち、Q8のアンケート方法及び回答は、極めて公平性と信憑性に欠けるものであって、何ら保証されていない。
それにもかかわらず、消費者は、図Aの商品の図柄と図Bの商品の図柄とを明確に区別し、「全く似ていない」との回答が14.9%、「余り似ていない」との回答が18.6%あり、そのアンケート結果からすると、商品の出所について、何ら誤認混同を生じていないことが明らかである。
また、Q4の回答として、「L」と「V」のモノグラムについては、ほとんどの人が請求人のブランドと回答しており、被請求人のブランドと答えた人は0である。
(c)このことは、被請求人の「本d」及び「本a」と請求人の「引d」の図形とは、その外観の形状、称呼及び観念を異にしていることを消費者が明確に識別しており、商品の出所について誤認混同が生じていないことを示しており、商品の出所について、誤認混同を生じている事実は何ら証明されていない。
請求人は、アンケート方法等について、その信憑性を主張しているが、被請求人は、その信憑性が何ら保証されていないことを付言する。
(6)むすび
以上の理由から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号又は同第19号のいずれにも該当しないものである。

6 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
請求人は、世界各国において、かばん類等の皮革製品の製造、販売をしており、「LOUIS VUITTON」、「ルイ・ヴィトン」の名称は、世界の超一流ブランドとして、国際的に著名であり、我が国においても著名であるところ、請求人の製造、販売に係る商品「かばん類」のうち、かばん類の外装全体に使用される、こげ茶色の地に、ローマ字の「L」と「V」のモノグラムとデザイン化した花の模様〔モノグラム以外の部分が花をデザイン化したものであることは、「新・田中千代服飾事典」(株式会社同文書院、1998年5月3日第1版新訂第1刷発行)683頁の「ルイ・ヴィトン[Louis Vuitton]」及び「英和商品名辞典」(株式会社研究社、初版第3刷1991年発行)260頁の「Louis Vuitton ルイヴィトン[ビトン]」の各項参照。〕の部分をベージュとした、いわゆる「モノグラム・ライン」(甲第14号証の1)なる商品群は、請求人商品の代表的な商品として、世界的に著名となっており、我が国においても、本件商標の登録出願時にはすでに、需要者の間に広く認識されていたことは、甲第19号証ないし甲第22号証によっても認めることができる。
そして、引用商標は、上記「モノグラム・ライン」の一部を抽出したものである(色彩は除く。)ところ、その構成中のローマ字の「L」と「V」のモノグラム「引d」、デザイン化した花の模様「引a」、「引b」、「引c」は、「モノグラム・ライン」の基本的構成要素であり、引用商標に接する需要者は、これより直ちに請求人商品に使用される商標を表示したものと認識するというのが相当である。
したがって、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されていたということができる。
(2)本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標は、別掲(1)のとおり、
(a)ローマ字の「B」と「B」を左右に反転したもののモノグラム「本a」を、線で結べば四角形となるように外周の四隅に配し、
(b)各「本a」を結ぶ上記仮想線上のそれぞれの中間に、一見して4弁の花を表したと理解される白抜きのハート型図形4つを、中心部が黒くなるように組み合わせ、かつ、4弁の先端がそれぞれ上下左右に向くように配した図形を有してなる黒塗り四角形「本b」を配してなるところ、該黒塗り四角形は、内部の花弁の向きに合わせるように、頂点の位置が上下左右にあり、一見して、菱形様図形を表したと理解されるものである。
(c)そして、各「本b」を頂点として四角形となるように結ぶ仮想線上のそれぞれの中間に、一見して4弁の花を表したと理解される黒塗りハート型図形4つを、中心部が白くなるように組み合わせた図形「本c」を配してなり、本件商標の構成全体からみれば、「本b」、「本c」は、これらを線で結べば、各「本b」を頂点とする四角形を形成するように、一つ置きに配されているものである。
(d)さらに、上記「本a」、「本b」、「本c」の中心部には、地球儀状図形「本d」を配した構成よりなるものである。
(イ)引用商標は、別掲(2)のとおり、
(a)黒塗り円図形内に、一見して中心に小さな黒丸を有する4弁の花を表したと理解される白抜き図形を有してなる図形「引a」を、線で結べば四角形となるように外周の四隅に配し、
(b)各「引a」を結ぶ上記仮想線上のそれぞれの中間に、一見して中心に小さな黒丸を有する4弁の花を表したと理解される白抜き十文字図形を有してなる黒塗り菱形様図形「引b」を配してなるところ、該黒塗り菱形様図形は、4辺が内側にやや湾曲し、頂点は尖鋭である。
(c)そして、各「引b」を頂点として四角形となるように結ぶ仮想線上のそれぞれの中間に、一見して中心に小さな白丸を有する4弁の花を表したと理解される、黒塗り十文字図形「引c」を配してなり、引用商標の構成全体からみれば、「引b」、「引c」は、これらを線で結べば、各「引b」を頂点とする四角形を形成するように、一つ置きに配されているものである。
(d)さらに、上記「引a」、「引b」、「引c」の中心部には、ローマ字の「L」と「V」のモノグラム「引d」を配した構成よりなるものである。
(ウ)以上の(ア)(a)?(d)及び(イ)(a)?(d)によれば、本件商標と引用商標は、外周において、モノグラム「本a」と黒塗り円図形内に白抜きの4弁の花を表した図形「引a」との顕著な差異、及び中心部において、地球儀状図形「本d」とモノグラム「引d」との顕著な差異を認めることができる。
また、「本b」と「引b」、及び「本c」と「引c」は、花弁の形状、黒塗り菱形様図形(又は黒塗り四角図形)の形状等細部において差異を有することが認められる。
しかしながら、「本c」と「引c」は、いずれも中心部を白とする黒塗りの4弁の花を表したと理解される点と、4弁の先端が細く尖り、かつ、それぞれ上下左右の方向に向いている点で外観上近似しており、また、「本b」と「引b」においては、いずれも黒塗り菱形様図形を表したと理解される図形内に、「本c」又は「引c」を白黒反転させた図形を有してなる点で近似するものである。
さらに、両商標の構成の全体をみれば、「本b」と「本c」、「引b」と「引c」は、それぞれ中心部「本d」又は「引d」を取り囲むように、各「本b」又は各「引b」を頂点とする四角形を形成して交互に配列されている点において近似するのみならず、両商標は、外周に、4つの同一図形を、線で結べば四角形となるように配した点において近似するものと認められる。
そうすると、本件商標と引用商標は、外周に配した「本a」と「引a」、中心部に配した「本d」と「引d」を、それぞれ抽出して対比すれば、外観上異なるものであるとしても、商標全体からみた各図形の配列方法、「本b」と「本c」、「引b」と「引c」における4弁の花の表現方法等において、着想の軌を一にするものであって、これらの近似性が看者に強い印象を与え、記憶されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標は、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合、引用商標が著名であることを考慮すれば、本件商標に接する需要者が直ちに引用商標を想起又は連想し、両商標が使用された商品について、出所の誤認、混同を生ずるおそれがある程度に外観上近似した商標といわなければならない。
(エ)ところで、甲第13号証の1ないし甲第16号証によれば、本件商標と引用商標は、いずれも、かばん類などの商品の外装全面に連続的に施される模様と認められ(争いのない事実)、特に、引用商標は、前記1で認定したとおり、「モノグラム・ライン」として、請求人商品の代表的な商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものである。
そこで、本件商標と引用商標の使用態様についてみるに、
(a)本件商標の使用態様は、「本a」と「本b」を交互に横一列に配し、その下の「本a」と「本b」の中間、及び「本b」と「本a」の中間に、「本c」を横一列に配し、その下の「本c」と「本c」の中間に、「本b」と「本d」を、「本b」が「本a」の真下になるように、交互に横一列に配し、その下の「本b」と「本d」の中間、及び「本d」と「本b」の中間に、「本c」を横一列に配してなり、その下以降は、これを連続的に繰り返す構成である。
したがって、本件商標の使用態様は、見方によっては、モノグラム「本a」を中心にして、これを取り囲むように、交互に配列した「本b」、「本c」が四角形を形成し、さらに、外周の四隅に地球儀状図形「本d」が配置されるという構図も成り立つことになる。
(b)引用商標の使用態様は、「引a」と「引b」を交互に横一列に配し、その下の「引a」と「引b」の中間、及び「引b」と「引a」の中間に、「引c」を横一列に配し、その下の「引c」と「引c」の中間に、「引b」と「引d」を、「引b」が「引a」の真下になるように、交互に横一列に配し、その下の「引b」と「引d」の中間、及び「引d」と「引b」の中間に、「引c」を横一列に配してなり、その下以降は、これを連続的に繰り返す構成である。
したがって、引用商標の使用態様は、見方によっては、白抜きの花のある黒塗り円図形「引a」を中心にして、これを取り囲むように、交互に配列した「引b」、「引c」が四角形を形成し、さらに、外周の四隅にモノグラム「引d」が配置されるという構図も成り立つことになる。
(c)上記(a)及び(b)によれば、本件商標及び引用商標がかばん類等の商品の外装全面に、連続的に施された場合には、両商標中の差異点である「本a」と「引a」及び「本d」と「引d」、並びにその他の図形の微細な差異は、模様全体の中に埋没し、その差異が看者の注意を格別強く引くものではなく、むしろ、本件商標を構成する「本a」?「本d」及び引用商標を構成する「引a」?「引d」の全体の配列方法、モノグラムと花の模様の組み合わせ、あるいは花の模様の表現方法等の近似性に強く印象づけられ、記憶されるというのが相当であるから、取引の実際においては、引用商標の著名性とも相俟って、本件商標と引用商標は、構成全体の印象において、一層相紛らわしいものとなるといわなければならない。
(オ)以上によれば、本件商標と引用商標は、これらが使用される商品分野の主たる需要者である一般の消費者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察し、かつ、両商標が使用される商品分野の取引の実情を併せ考慮すれば、外観上類似の商標というべきである。
(3)出所の混同について
前記(1)及び(2)で認定したとおり、本件商標は、請求人商品のうち、「モノグラム・ライン」といわれる商品群に使用される著名な引用商標と外観上類似する商標であり、これをその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、直ちに引用商標ないし「LOUIS VUITTON」、「ルイ・ヴィトン」を想起又は連想し、該商品が請求人又は請求人と業務上何らかの関係のある者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきである。
(4)被請求人の主張について
(ア)被請求人は、「本d」及び「本a」は、被請求人のハウスマークとして長年使用され、需要者の間に広く認識されているものであり、本件商標と引用商標の図形パターンの組み合わせに若干の類似性があったとしても、パターンを構成する個々の図形の外観が全く異なり、かつ、引用商標には、「本d」及び「本a」が含まれていないから、本件商標と引用商標とは外観上顕著に異なるものである旨主張する。
前記(2)(ウ)で認定したとおり、本件商標と引用商標は、外周における「本a」と「引a」との差異、及び中心部における「本d」と「引d」との差異、並びに「本b」と「引b」、及び「本c」と「引c」における細部の差異を有することが認められる。
しかしながら、「本d」及び「本a」が被請求人のハウスマークとして、需要者の間に広く認識されているという事実を認めるに足る証拠は見出せないのみならず、前記認定のとおり、本件商標と引用商標は、看者に強い印象を与える構成全体の配列方法、4弁の花の表現方法等においてきわめて近似するものであり、本件商標をその指定商品について使用した場合、その需要者が、必ずしも、各図形の細部まで正確に観察し、記憶し、想起して、これによって商品の出所を識別するとは限らず、引用商標が「かばん類」等について使用され、きわめて高い著名性を獲得している商標であることを考慮すれば、直ちに請求人の「モノグラム・ライン」なる商品群を想起し、該商品が請求人の取扱いに係る「モノグラム・ライン」なる商品群の一つであると誤認するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、引用商標と外観上相紛らわしく、他人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれのある商標と認められるから、上記被請求人の主張は理由がない。
(イ)被請求人は、被請求人商品と引用商標を表示した商品とは、販売場所・方法の相違、商品の価格の相違等取引実態に差異があり、請求人の店舗において、消費者が「ルイ・ヴィトン」ブランド以外の商品を購入することはなく、そのため、消費者が誤認して被請求人商品を購入することは有り得ないから、商品の出所について誤認混同を生ずる余地はない旨主張する。
しかし、需要者が請求人の店舗で被請求人商品を購入することはないとしても、本件商標が著名な引用商標に外観上類似する商標であることは、前記認定のとおりであり、引用商標の著名性の程度の高さや、本件商標と引用商標とにおける商品の同一性、需要者の共通性等に照らすと、被請求人の営業する店舗等で、本件商標を表示した被請求人商品に接する需要者が請求人商品であると誤認して、これを購入することはあり得るところであるから、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標というべきものである。
したがって、上記被請求人の主張は理由がない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標

(3)本件商標の各構成要素の説明用として記号を付したもの


引用商標の各構成要素の説明用として記号を付したもの


審理終結日 2007-07-25 
結審通知日 2007-07-30 
審決日 2007-08-10 
出願番号 商願2005-65646(T2005-65646) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Y18)
最終処分 成立 
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 鈴木 新五
寺光 幸子
登録日 2006-01-27 
登録番号 商標登録第4924968号(T4924968) 
商標の称呼 ビイビイ 
代理人 茅原 裕二 
復代理人 笠原 智恵 
代理人 高松 薫 
復代理人 大澤 俊行 
代理人 和田 成則 
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