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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 登録しない Y03
管理番号 1167765 
審判番号 不服2003-17940 
総通号数 96 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-17 
確定日 2007-11-08 
事件の表示 商願2002-63439拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「プレミア」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年7月26日に登録出願され、その後、指定商品については、同15年6月3日付け提出の手続補正書により、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、次の(1)ないし(3)に示すものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第2513784号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「PREMIUM」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年1月9日登録出願、第4類「ペット用シャンプー」を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録され、その後、同15年1月21日に商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同16年9月29日に、第3類「ペット用シャンプー」とする書換登録がなされたものである。
(2)登録第2513785号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「プレミアム」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和59年1月9日登録出願、第4類「ペット用シャンプー」を指定商品として、平成5年3月31日に設定登録され、その後、同15年1月21日に商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同16年9月29日に、第3類「ペット用シャンプー」とする書換登録がなされたものである。
(3)登録第2722896号商標(以下、「引用C商標」という。)は、「プレミアム」の片仮名文字と「PREMIUM」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和63年12月28日登録出願、第4類「歯みがき,化粧品(薬剤に属するものを除く),香料類」を指定商品として、平成9年8月29日に設定登録され、その後、同19年4月3日に商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同年7月18日に、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」とする書換登録がなされたものである。

3 当審の判断
(1)称呼について
本願商標は、上記1のとおり、「プレミア」の片仮名文字を書してなるから、これより、「プレミア」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、上記2のとおり、「PREMIUM」の欧文字、「プレミアム」の片仮名文字、または、「プレミアム」の片仮名文字と「PREMIUM」の欧文字を上下二段に、それぞれ書してなるものであるから、これより、「プレミアム」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標より生ずる「プレミア」の称呼と、引用商標より生ずる「プレミアム」の称呼とを比較するに、両称呼は、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音「プ」を含む「レ」「ミ」「ア」の4音を共通にし、異なるところは語尾における「ム」の音の有無にすぎないものである。
しかも、該差異音の「ム」の音にしても、語尾にあって、その前の「ア」の音に吸収されて弱く発音される、聴取され難い弱音であることから、この音の有無が両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体の語感、語調が近似したものとなり、互いに聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
そうとすると、本願商標と引用商標は、称呼において互いに類似するものである。
なお、請求人は、登録例を挙げて、本願商標の登録適格性を主張しているが、これらの登録例は、「PREMIER」または「Premire」の欧文字からなるものである等、本願商標「プレミア」とは構成文字を異にするものであり、たとえ、「プレミアム」の文字からなる商標(第22号証)が登録された後に、「プレミア」の文字からなる商標(第21号証)の登録がなされた事例があるとしても、商標の類否はそれぞれ個別、具体的に判断されるものであることから、それらの登録例をもって、本件の判断基準とすることは適切ではない。
また、請求人が挙げる他の登録例にしても、商標権者が同一人であるか、指定商品が非類似の商品であるか、商標法の一部を改正する法律(平成3年法律第65号)附則第5条第1項の規定により使用に基づく特例の適用を主張して登録出願し、特例商標として設定登録されたものであるかの事情によってそれぞれ登録になっているものである。
したがって、請求人のこの主張は採用することができない。
(2)観念について
本願商標を構成する「プレミア」の文字は、各種辞書類において、例えば、以下のような記載がある(下線は、審判官によるもの。)。
(ア)「大辞林 第二版 新装版」(株式会社三省堂、2005年6月10日 第4刷発行)
「プレミア」の項に、「プレミアム」の略。『-つき』」と記載がある。
そして、「プレミアム」の項には、「(1)額面株が額面以上の価額で発行されたときの超過額。(2)入場券・記念切手などで、正規の料金に上乗せして売られる金額。(3)商品につける報奨・景品。(4)『打歩』に同じ。(5)保険料。」と記載がある。
(イ)「広辞苑 第五版」(株式会社岩波書店、1998年11月11日 第1刷発行)
「プレミア」の項に、「『プレミアム』の略。」と記載がある。
そして、「プレミアム」の項には、「(1)割増金。手数料。権利金。(2)打歩。(3)商品につける景品。」と記載がある。
(ウ)「国語大辞典」(株式会社小学館、昭和57年2月10日 第1版第6刷発行)
「プレミア」の項に、「『プレミアム(1)(2)』の略。『プレミア付き』」と記載がある。
そして、「プレミアム」の項には、「(1)入場券や、記念切手などを売買するとき、売り出し価格の上に加えられる割増金。プレミア。(2)通常のものに特別につけ加える金品。また、商品につける景品や、懸賞の賞品など。比喩的に用いて、特別の恩恵。プレミア。・・・」と記載がある。
(エ)「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社三省堂、2005年10月20日 第2刷発行)
「プレミア」の項に、「→『プレミアム』」と記載がある。
そして、「プレミアム」の項には、「(1)賞,賞金.(2)手数料.(3)割増金.(4)貨幣または手形の打歩.(5)商品につける報償・景品.」と記載がある。
(オ)「現代用語の基礎知識2007」(自由国民社、2007年1月1日発行)
「プレミア(←premium)」の項に、「割増金」と記載がある。
そして、「プレミアム(premium)」の項には、「(1)割増金。()2)景品。賞品。(3)(形容詞的に用いて)高級な。スーパープレミアムアイスクリーム(超高級アイスクリーム)などと使う。(4)《株式》オプションを購入する際に売手へ払う価格。」と記載がある。
(カ)「朝日現代用語『知恵蔵』2007」(朝日新聞社、2007年1月1日発行)
「プレミア」の項に、「→プレミアム」の記載がある。
そして、「プレミアム」の項には、「賞,賞金.手数料,掛け金.割り増し価格.プレミアとも.」と記載がある。
以上の記載よりみれば、本願商標を構成する「プレミア」の文字は、引用商標を構成する「プレミアム」「PREMIUM」の文字と「割増金」等において同義語であるというのが相当である。
そうすると、本願商標と引用商標は、観念において互いに類似するものといわざるを得ない。
なお、請求人は、「本願商標を構成する「プレミア」の文字は、フランス語または英語の「premiere」を語源とする外来語として、「初演、初公開」等の意味を有するものであり、英国サッカーの最高峰リーグである「プレミアリーグ」を示す外来語としても認識されているものであるのに対し、引用商標は、「額面の超過額」「割増金」「景品」「打歩」「保険料」の観念を想起させるものであり、インターネット検索においても、両文字は異なった意味合いで認識され、使用されていることが容易に推測でき、現実の取引の場においても、別個の意味合いで認識され使い分けられている事実がある以上、取引者、需要者は両商標を観念上明確に区別し得る旨主張している。
そこで、請求人が平成15年12月17日付けで提出した手続補足書を徴するに、「プレミア」の見出しの下に、英国サッカーのプレミアリーグのチームの順位表等が記載されている(第8号証の2)ものがあることは認め得るものの、例えば、「サッカー>プレミアムリーグ(イギリス)(39)」「プレミアリーグ、スコットランドリーグの試合結果、・・・」「プレミアリーグのチームや各国代表の応援ソング紹介。」等の記載(第10号証)が認められるように、「英国サッカーのプレミアムリーグ」について表す場合には、「プレミアリーグ」の文字をもって使用されているものがほとんどであるから、「プレミア」の文字がそれのみで直ちに「英国サッカーのプレミアムリーグ」を表すものであるとはいえない。
また、請求人が挙げている「プレミア」のインターネット検索の結果については、登録サイトの見出し文のみが表示されているもの(第10号証)であるのに対し、「プレミアム(Premium)」の検索結果については、証券会社のホームページの株式用語集中の1項目が表示されているもの等(第11号証ないし第17号証)、各ホームページ内を精査した結果を表示した内容であり、検索条件を異にするものであるから、これらをもって、「プレミア」と「プレミアム」及び「PREMIUM」が異なった意味合いで認識され、使用されているとはいえない。
そして、「プレミア」の文字が、「初演、初公開」の意味をも有する語であるとしても、上記(ア)ないし(カ)に挙げた代表的な辞書類の記載に照らしてみれば、一般には、「割増金」等の意味において、「プレミアム」及び「PREMIUM」と同義語として理解、認識されているものとみるのが相当である。
(3)外観について
本願商標は、上記1のとおり、「プレミア」の片仮名文字を書してなるものである。
他方、引用A商標は、「PREMIUM」の欧文字を横書きしてなるから、外観上、類似するとは認められない。
また、引用B商標は、「プレミアム」の片仮名文字を横書きしてなるから、「プレミア」の片仮名文字部分において、外観上、類似するものと認められる。
さらに、引用C商標は、「プレミアム」の片仮名文字と「PREMIUM」の欧文字を上下二段に横書きしてなるから、上段「プレミアム」の片仮名文字は、「プレミア」の片仮名文字部分において、外観上類似するものと認められる。
(4)小括
以上検討したところによれば、本願商標と引用A商標は、称呼及び観念において類似するところ、外観において類似するとは認められないものの、両者とも特徴のある外観を備えるものとは認められないから、その相違は、称呼及び観念における類似性をしのぐほどの特段の差異を取引者、需要者に印象付けるものということはできず、全体として類似する商標であると認められる。
また、本願商標と引用B商標は、称呼及び観念において類似するところ、外観においても一部が類似するものであるから、類似する商標であると認められる。
さらに、本願商標と引用C商標は、観念及び称呼において類似し、外観においても一部が類似するものであり、下段の「PREMIUM」の欧文字部分が、称呼及び観念における類似性をしのぐほどの特段の差異を取引者、需要者に印象付けるものということはできず、全体として類似する商標であると認められる。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似の商品である。
したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、両者の指定商品も同一又は類似の商品であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(5)以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-08-31 
結審通知日 2007-09-03 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願2002-63439(T2002-63439) 
審決分類 T 1 8・ 26- Z (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青野 紀子 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 岩本 和雄
久我 敬史
商標の称呼 プレミア 
代理人 植木 久一 
代理人 小谷 悦司 

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