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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 Y44 |
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管理番号 | 1165869 |
審判番号 | 不服2006-10372 |
総通号数 | 95 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-05-19 |
確定日 | 2007-10-16 |
事件の表示 | 商願2005- 64208拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第44類「エステティック美容、その他の美容、入浴施設の提供」を指定役務として、平成17年7月12日に登録出願されたものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、その構成中に、スイス国の『F. Hoffmann-La Roche & Co.』が、商品『医薬品、化学品』等に使用して本願商標出願前から著名となっている『ROCHE』の文字を有してなるものであるから、このような商標を出願人がその指定する役務について使用するときは、恰もその役務が上記会社の取り扱いにかかるものであるかのごとく、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の関連性の程度、取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号、同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁)。 (1)本願商標と他人の表示との類似性について ア 外観 本願商標は、別掲のとおり、中央部に赤色楕円形を配してなる金色の王冠様の図形の下方に、「roche」、「ロッシュ」(その左右には、多数の黒点「・」が描かれている。)及び「stone esthetic」の各文字を三段に書してなるものである。 他方、原査定が指摘するスイス国の「F. Hoffmann-La Roche AG」(以下「ロシュ社」という。なお、原査定における「F. Hoffmann-La Roche & Co.」の記載は、誤記と認める。)が商品「薬剤」について使用している主たる商標(以下「引用商標」という。)は、横長六角形の内側に「Roche」の文字を配してなるものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、外観上、明らかに相違するものというべきである。 イ 称呼 本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中の図形部分から直ちに特定の称呼を生ずるものではなく、また、「stone esthetic」の文字部分は、その指定役務との関係においては、自他役務の識別力が極めて弱いものであるから、その中央部に顕著に表され、かつ、独立して自他役務の識別標識として機能するものと認められる「roche」の文字及びその読みを表したものと認められる「ロッシュ」の文字部分に相応して、「ロッシュ」の称呼を生ずるものである。 他方、引用商標は、その構成中の「Roche」の文字部分に相応して、「ロシュ」又は「ロッシュ」の称呼を生ずるものである。 そうすると、本願商標と引用商標とは、称呼上、「ロッシュ」の称呼を共通にする場合があるものである。 ウ 観念 本願商標と引用商標とは、その構成中の文字部分を含め、いずれも直ちに特定の意味合いを生ずるものとは言い得ないから、両商標は、観念上、比較することはできない。 エ 小括 以上のとおり、本願商標と引用商標とは、称呼上、「ロッシュ」の称呼を共通にする場合があるものの、外観において明らかに相違するものであり、また、観念においては比較することができないものであるから、これらを総合すれば、両商標の類似性の程度は、低いものというべきである。 (2)引用商標の周知著名性及び独創性の程度について 引用商標が我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているか否かについて、当審において職権をもって調査したところ、ロシュ社は、スイスのバーゼルに本拠を置き、1896年(明治29年)に創設された医薬品製造会社であり、ビタミン剤の生産で基盤を築き、抗不安薬や潰瘍治療薬、さらに、近年においては、抗ウィルス薬(商品名「タミフル」)を製造する会社として、本願の出願時はもとより、現在においても、我が国における医薬品に係る取引者、需要者の間において広く知られていることが認められる。 また、引用商標の構成中の図形部分にさしたる特徴はなく、同じく「Roche」の欧文字部分は、我が国において、あまりなじみはないものの、「岩、岩石」等の語義を有する仏語「roche」と綴り字を同じくするものである(「小学館ロベール仏和辞典」、株式会社小学館発行)から、該文字自体の独創性は、さほど高くないものとみるのが相当である。 (3)本願商標の指定役務と引用商標に係る商品との間の用途等における関連性の程度、取引者・需要者の共通性等について 請求人とロシュ社とは、それぞれの属する業種、業態(分野)が異なり、また、本願商標の指定役務は、上記1のとおり、「エステティック美容、その他の美容、入浴施設の提供」であるところ、ロシュ社が引用商標を使用している商品は「薬剤」であるから、商品と役務の用途、商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲等を著しく異にするものである。 (4)むすび 以上に認定したところによれば、引用商標は、商品「薬剤」との関係において、ロシュ社の業務に係る商品を表示するものとして周知・著名性を具備するに至っていると認められるものの、それを構成する横長六角形及び「Roche」の文字の組み合わせ自体に顕著な独創性は見いだし難く、また、本願商標と引用商標の類似性の程度も低いものであることに加え、請求人とロシュ社とは、それぞれの属する業種、業態が相違し、かつ、引用商標が使用されている商品「薬剤」と本願商標の指定役務とは、その用途、需要者の範囲等を著しく異にするものである。 そうすると、本願商標は、これをその指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、引用商標を直ちに連想・想起するようなことはなく、ロシュ社の多角経営の一般的な可能性を考慮しても、ロシュ社又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(別掲) 本願商標 |
審決日 | 2007-09-27 |
出願番号 | 商願2005-64208(T2005-64208) |
審決分類 |
T
1
8・
271-
WY
(Y44)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 榎本 政実、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
鈴木 修 田中 敬規 |
商標の称呼 | ロッシュストーンエステティック、ロッシュ、ロシュ、ロチェ、ストーンエステティック、ストーン |
代理人 | 下山 冨士男 |