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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
管理番号 1165800 
審判番号 不服2006-8717 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-01 
確定日 2007-09-19 
事件の表示 商願2004-107357拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「持続力強化型」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、平成16年11月24日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『持続力強化型』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、『持続』の文字は、『たもちつづけること。中絶しないで長くつづくこと。』の意味を有し、『力』の文字は、『ちから。はたらき。』の意味を有し、『強化』の文字は、『さらに強くすること。』の意味を有し、『型』の文字は、『ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。パターン。』の意味を有するから(株式会社岩波書店発行『広辞苑 第五版』参照)、全体として、『長くつづくちからを、さらに強くしたタイプ』程の意味合いを有するものと認められる。よって、本願商標を、本願指定商品中『前記文字に照応する商品(例えば、商品の有する効果を持続させるちからを強くしたタイプであることをセールスポイントとする薬剤等)』について使用するときは、単に商品の品質を表示したものと理解されるに止まり、自他商品識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「持続力強化型」の文字よりなるところ、その構成は、「持続力」及び「強化型」の文字を結合してなると、容易に、理解、把握されるものである。
そして、前半部分の「持続力」の文字は、「たもちつづけること。中絶しないで長くつづくこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有する「持続」の語、及び、例えば、「注意力」、「持久力」のように、他の語と一連に結合して使用されて「気力。能力。力量。実力。」(同)の意味を表す「力」の語からなるものであり、その全体として「たもちつづける能力、力量、ちから」程の意味合いを理解させるものである。
また、同じく後半部分の「強化型」の文字は、「さらに強くすること。」(同)の意味を有する「強化」の語、及び、例えば、「循環型」、「血液型」のように、他の語と一連に結合して使用されて「ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。パターン。」(同)の意味を表す「型」の語からなるものであり、その全体として、「さらに強くした形式、タイプ」程の意味合いを理解させるものである。
そうすると、本願商標の構成文字全体から、「たもちつづけるちからをさらに強くした形式、タイプ」程の意味合いを認識するものであるといえる。
ところで、本願の指定商品中「薬剤」については、安全性、即効性、持続性が、商品の重要な要素(品質)となるものであり、そのうち、持続性については、薬剤を摂取する間隔の延伸による患者の生活の質の向上の観点等から、より長時間の薬効の持続あるいは継続が求められているところである。そして、従来の薬剤にくらべて、効果の持続性(力)が改善された商品や、薬効の作用時間を長くした持続型薬剤が市場に流通している。
そして、これらの実情については、新聞記事及びインターネットにおける商品情報により窺い知ることができる。
(1)「平成くすり事情 第4部=明日への一歩(1)/リンゴで長持ち ペクチンで鎮痛剤包む/弘前大の研究/薬効が8倍も持続」(1994.03.17 河北新報記事情報)の見出しのもと「薬剤をペクチンで包むことによって、従来の薬の効き目を長持ちさせる実験に成功した。・・・これまでの薬剤では、1時間から2時間で効果の最高値を示し、6時間後にほぼ消えた。これに対し、リンゴのペクチンで包んだ薬剤は、ある一定の濃度を保ちながら48時間も効果が認められた。8倍もの持続性を示したのである。・・・持続性が高まれば、投与回数が少なくて済み、薬の使用量を減らすことができる。・・・『・・・最終的には、末期がん患者に使われるモルヒネに応用したい』と意欲を見せた。」の記載。
(2)「ヤンセンファーマ、年内に最終臨床入り、統合失調症デポ剤など」(2004.06.21 化学工業日報)の見出しのもと「有効成分のリスペリドンを薬物送達システム(DDS)化したもので、成分を徐々に放出することで、血中濃度を長期に維持、薬剤の有効期間を延長する仕組み。・・・今回のデポ剤は一度体内に入れると二週間効果が持続する。・・・患者は薬を飲みたがらない傾向が強い。治療効果が出ていてもこれでは再発の可能性が高いとして、患者の生活の質を改善する剤型を投入する。」の記載。
(3)「新酸素化学、下水処理場向けに展開強化、高機能消臭剤」(2001.11.15 化学工業日報)の見出しのもと「同製品は、下水処理時の余剰汚泥から発生する硫化水素など不快臭気の防除で、即効性と持続性の両面を格段に改良したもの。」の記載。
(4)「リオティント・ミネラルズ、シロアリ防除剤拡販、安全で長期持続」(2006.04.06 化学工業日報)の見出しのもと「効果の長期持続性と高い安全性が大きな特徴で、具体的にはシロアリ防除剤として市場を広げていく。」の記載。
(5)「キリンビール、抗腎性貧血症新薬が承認取得、投与回数が週1回に」(2007.04.20 化学工業日報」)の見出しのもと「持続型赤血球造血刺激因子製剤「ネスプ静注用シリンジ」(一般名・ダルベポエチンアルファ)について、厚労省から製造販売承認を取得したと発表した。同社の主力薬「エスポー」の後継品で投与回数がこれまでの三分の一の週一回ですむ。・・・アミノ酸配列の一部を改変し、新しく糖鎖を付加させたことで、血中の薬剤の効果が半分に落ちる時間が延長され、投与回数の減少をもたらす。」の記載。
(6)「ロシュ、欧州医薬品委から肯定見解を受領、腎性貧血薬『ミルセラ』で」(2007.06.04 化学工業日報)の見出しのもと「ロシュは、持続型エリスロポエチン(EPO)受容体アクチベーターの腎性貧血薬「ミルセラ」(海外名)について欧州医薬品委員会から肯定見解を受領したと発表した。・・・遺伝子組換え型のEPOに比べて半減期が長いという特徴がある。初期患者では2週間に1回、既治療患者は1カ月に1回静脈投与する。」の記載。
(7)「NECファシリティーズ株式会社」のホームペジにおいて「カルモアスプレー・・・持続力 1. カルモアスプレーはスーパーマイクロミストにより瞬間的な消臭効果を高めながらも、 持続性のアップに成功。消臭剤噴霧後の持続力も約半年間と非常に長い期間消臭効果が続きます。」の記載。(http://www.necf.jp/contents/fms/main/products/amenity01_06.html)
(8)「小林製薬株式会社」のホームページにおいて「・ 消臭持続剤を新配合し、消臭効果がさらにアップしました。・ 400mLの大容量長持ちタイプで効果は約3ヵ月持続します。」の記載。(http://www.kobayashi.co.jp/seihin/osg/index.html)
(9)「ムシアウトN 流し台用」の見出しのもと「<商品特長>「1年間、効果が持続」 ・流し台の収納庫、冷蔵庫の下に敷くだけで、約1年間防虫効果を発揮。」の記載。(http://www.rakuten.co.jp/kaihyaku/574110/703725/703726/)
以上の実情を総合的に勘案すると、本願商標は、その指定商品中、持続型の薬剤、消臭剤等の薬剤、及び、防虫紙等のように、その商品の効果、効能が持続することが求められる商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、これを商品の出所表示標識として把握するとみるよりは、「持続力強化型」の文字全体より、商品との関係において「薬剤の効果が持続するちからをさらに強くしたタイプ」程の意味合いを容易に認識、理解するとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中「薬剤、防虫紙」に使用しても、単に商品の品質、効果を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、かつ、上記タイプの商品以外の薬剤等に使用するときは商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
なお、請求人は、登録例を挙げるとともに、本願商標は、同書・同大・同間隔で横一連にまとまりよく記載され、その構成文字全体で一体不可分の造語であって、指定商品との関係において、特定の意味合いは理解されないものであり、商品の品質等を直接的に表示したものではないから、自他商品識別力を発揮しうる商標である旨述べている。
しかしながら、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号)」と判示されている。
そうすると、仮に、本願商標を構成する「持続力強化型」の語が、造語であるとしても、それを構成する「持続力」及び「強化型」の各文字から前記意味合いを有する複合語として認識されるものであり、また、該文字が商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、本願商標を薬剤等に使用した場合、全体として、商品の品質等を表示するものとみるのが相当であること上述のとおりである。
また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例に拘束される理由はない。
してみれば、上記、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、原査定を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-09 
結審通知日 2007-07-17 
審決日 2007-08-06 
出願番号 商願2004-107357(T2004-107357) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y05)
T 1 8・ 13- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 堀内 仁子
鈴木 新五
商標の称呼 ジゾクリョクキョーカガタ、ジゾクリョクキョーカ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

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