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審決分類 審判 一部無効 商8条先願 無効としない Z30
管理番号 1164119 
審判番号 無効2005-89162 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-12-16 
確定日 2007-09-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4441897号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4441897号商標(以下、「本件商標」という。)は、「がんばれ!受験生」の文字を書してなり、平成12年1月24日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成12年12月22日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
(1)請求の理由
ア 請求の利益について
請求人は、商標「がんばれ受験生」を出願したが、本件商標を拒絶引例の一つとされたので、本件審判請求につき利害関係を有する。
イ 無効理由について
(ア)本件商標は、同日に出願された商標登録第4453796号商標(以下、「甲第2号証の商標」)と類似するから、商標法8条2項の規定に該当し、出願人の協議により定めた一の出願人のみが商標登録を受けるべきであったにも拘らず、その協議がなされなかった(手続違背1)。
更に、前記協議がなされなかった、したがって、協議が成立しなかったので、商標法8条5項の規定に定められた「くじ」によって、一の出願人のみが商標登録を受けることができるものであったにも拘らず、本件商標と前甲第2号証の商標が重複して商標登録を受けたのであるから、商標法8条5項の規定に違背する(手続違背2)。
同法46条1項の規定によりその登録を無効とすべきである。
(イ)「甲第2号証の商標」の概要
甲第2号証の商標は、「ガンバレ!受験生」の文字を書してなり、平成12年1月24日に登録出願、第30類「調味料,香辛料,米,脱穀済みの大麦,食用粉類,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと」を指定商品として、平成13年2月16日に設定登録されたものである。
(ウ)本件商標と甲第2号証の商標との類否について
a 称呼類似について
本件商標は、「がんばれ!受験生」の文字を書してなるから、これより「ガンバレジュケンセイ」の称呼を生じる。他方、甲第2号証の商標は、「ガンバレ!受験生」の文字を書してなるから、これより「ガンバレジュケンセイ」の称呼を生じる。両商標は、称呼が全く同一であって、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、類似の商標というべきである。
b 外観類似について
両商標は、明朝体、ゴシック体の相違、並びに、始めの4字が平仮名か片仮名かの差異はあるが、筆頭の「が」と「ガ」は字形が酷似し、中央の「!」並びに漢字の「受験生」が共通するので、一見して紛らわしい外観類似の商標である。
c 観念類似について
両商標は、「がんばれ!受験生」「ガンバレ!受験生」であって、「どこまでも忍耐して努力する」の意を有する「頑張る」の命令形たる「がんばれ」「ガンバレ」と、その命令対象の「受験生」から、「忍耐して努力せよ受験生」の観念を生じるものであり、観念を同一にする類似の商標である。
そして、本件商標に係る指定商品中「調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと」と、甲第2号証の商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
(2)弁駁
ア 商標法8条2項及び5項が無効理由とされている点について
協議内容とは異なる者が商標登録を受けていたり、くじが不公正であったり、あるいは、くじの結果とは異なる者が商標登録を受けているといった場合に限られるものでなく、審査官の過誤により協議命令がなされない場合も含む。
すべからく商標登録無効審判制度は、審査官の審査にも過誤があることを当然予定して設置されているものであって、審査の過誤を是正することに無効審判制度の主たる趣旨が存在するといっても過言ではないのである。
無効理由を規定する商標法46条1項を見てみれば明らかなように、同項には、基本的に拒絶理由と同様の規定が置かれている。これは、本来拒絶されるべきものが審査官の過誤により登録された場合を当然前提し、これを是正するためのものにほかならない。
一方で、審査官の協議命令の有無に拘わらず、本件商標が登録されていることは、その客観的な事実として、「出願人の協議により定めた一の出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる」旨の商標法8条2項の規定に違背していることは明らかである。
他方で、商標法46条には、審査官が協議命令を発しない場合にこれを無効理由から除外する規定は存しない。審査官の協議命令が存しない本件の場合も、無効理由に該当することは明白である。
イ 本件商標登録が無効とされる合理的な理由について
(ア)本件商標は、本来登録されるべきでなかったにも拘らず、登録されている。この登録の事実は、被請求人に商標登録の利益を与えて、所謂先願権を付与するものであり、何等、被請求人に不利益をもたらすものではない。 すなわち、被請求人は、無効事由を有するとはいえ商標登録を取得され第三者の同一類似商標の商標登録出願に対して拒絶引例としての地位を確保されたものであって、協議命令を発しなかった審査官の瑕疵によって登録こそなされ拒絶されなかったのであるから、商標登録に至る過程において不利益を被ったものでないことは明白である。
(後記のように、件外日清食品株式会社(以下「日清食品」という。)は同一商標を出願したが、本件商標の存在により拒絶されている。)
このように、商標登録に至る過程においては、協議命令を発しなかった審査官の瑕疵に起因する被請求人への不利益は、顕在化していない。問題は、他方の重複商標登録がなされた後においてであるが、被請求人は、自身是正する機会を得ることができ、十分な期間内に是正することができたにも拘らず、適切にこれを行わなかった点に帰責事由がある。
登録後においては、協議命令を発しなかった審査官の瑕疵はいわば治癒され、重複商標権者が必要な是正措置を行わなかった点にこそ、商標法8条2項及び5項、法46条1項が適用される縁由があるものである。
(イ)同日出願に係る甲第2号証の商標が登録されて商標権が発生し、商標公報により公示された後においてはその重複登録商標の存在を、被請求人が意図的に無視したか否かはともかく、客観的に存在する重複登録商標に対し、何等かの処置、手続方を行うべきであったにも拘らず、少なくとも過失により、長い間、違法状態を存続させたものである。
すなわち、重複する登録商標の存在を知り又は知り得べき商標権者は、8条2項及び5項の規定の趣旨にのっとり、他方の重複商標権者と協議をして、先願権を確保しつつ権利者を一方の者にする等、適宜の是正処置を講ずることができたにも拘わらず、永年これを怠った。
因みに、日清食品は、同一商標を出願(甲第3号証)して、自身の登録商標の無効化に対処する努力をしている。(かかる努力には敬服するが、協議するまでには至らず、本件商標の存在により拒絶されている。)
このように被請求人は、重複登録商標が存在することについて、知り又は知り得べきであったにも拘わらず、少なくとも過失により違法状態を永年存続させた点に、本件商標登録が無効とされる合理的な理由が存する。
(ウ)審査官の過誤により登録後、先行する同一類似登録商標の存在が明らかとなった場合、無効理由を有する後行商標権者は、審査過程で拒絶理由通知がなされなかったことを、抗弁事由とすることはできない。更に同様に、商標の使用により信用が化体したことを以って、抗弁事由とすることはできない。先後願と同日出願の相違はあるが、取引秩序維持の観点からは同趣旨である。
また、他人の登録商標と同一類似商標を使用した場合、他人の登録商標の存在を知らなかったことは、抗弁事由にはならない。他人の登録商標の存在を知らなかったことが通用するとしたら、商標権侵害事件は成立のしようがない。
(エ)なお、被請求人の「本件商標及び登録第4453796号商標がその登録を失い、これらよりも2年も後に出願された請求人の商願2004-114761商標が登録されるとするとあまりにも不合理であり。」旨の主張は、むしろ2年の長きにわたって無効事由の対処方がされなかったことの不合理と、本件審判請求がされるまでの約5年間にわたって、取引秩序に反する違法状態が存続したことの不合理性を勘案すれば明らかなように、理由がない。
ウ 本件商標の使用について
被請求人は、乙第8号証ないし同第15号証をあげて、本件商標に業務上の信用が化体した旨主張しているが、使用に係る商標は、本件商標と同一のものはなく、いずれも類似の範疇の商標である。
前述したように、同日出願に係る日清食品の登録第4453796号商標が存在している状況下において、被請求人の使用に係る商標は、本件商標の使用とはいえず、明白に本件商標に類似する商標の使用であるとともに、登録第4453796号商標に類似する商標でもある。
この点、被請求人が意図されたか否かはともかく、乙第8号証ないし同第15号証に見るような類似商標の使用は、客観的には、商標法51条1項の規定の違法状態を生ぜしめる危険性があることは否めない。本件商標に類似する商標であって、他人の登録商標にも類似する商標の使用は、他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがあるものである。
したがって、類似商標の使用によって本件商標に業務上の信用が化体するものとは到底認めることができないものであり、むしろこのような類似商標の使用の場合は、本件商標の登録を無効にすることこそが、法目的に沿うものといえる。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、答弁の理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第15号証を提出した。
(1)商標法第8条の規定について
商標法第8条は、商標登録出願が競合した場合の調整規定であって、その第2項、第4項、第5項は、競合する出願が同日出願の場合の取扱いについて定めている。
第2項では「同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があったときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」旨規定しているところ、出願人自身は他の競合する出願人の存在を知り得る立場にないことから、第4項において「特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。」旨を定めている。
そして、協議が成立しなかった場合について、第5項で「第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」旨規定している。
第5項を設けた趣旨は、商標法では、先願が拒絶されても第3項の規定により先願権が残らないところ、拒絶になった商標と、同一又は類似の商標についても過去に先願があったという理由によっては拒絶されないことから、協議が成立しない場合に両方とも商標登録を受けられないものとすると、その直ぐ後に同様な商標登録出願をした者の方に商標登録をしなければならない場合があるという不合理があるからである(乙第1号証)。
以上をまとめると、商標法第8条第2項、第4項及び第5項は、競合する出願が同日出願の場合は、まず、特許庁長官が出願人に対し協議命令を発し、原則、当事者の協議による円満な解決を図り、一定期間内に当事者の協議が整わない場合には、公正なくじにより解決を図るという、商標登録を受けることが出来る一人の者を決定するための必要な手続とその効果について定めているものである。
(2)商標法第8条第2項及び第5項が無効理由とされている趣旨について 商標法第46条第1項においては、商標登録が第8条第2項若しくは第5項に該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる旨規定している。
これらの規定が無効理由に挙げられているのは、上記のように、第8条第2項が「協議により定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」旨を、また同第5項が「公正なくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。」旨を定めているところ、実際には協議内容とは異なる者が商標登録を受けていたり、くじが不公正であったり、あるいは、くじの結果とは異なる者が商標登録を受けているといった場合に対応するためである(乙第2号証)。
即ち、法は、同日出願の場合には、出願人の協議あるいは特許庁長官が行うくじにより、商標登録を受けることができる一人の者を決めることを定めているのであるから、これらの結果に反する場合には、これを是正する機会を与え、正当性を有する者に商標権を付与せんとしているものである。
(3)本件商標が商標法第8条第2項及び第5項に違反して登録されたものではない理由
ア 本件商標は、「がんばれ!受験生」の文字を横書きした構成からなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成12年1月24日に出願し、同年12月22日に登録されたものであるところ(乙第3号証)、本件出願に対しては、特許庁からは、第8条第4項に規定する協議命令及び拒絶理由通知は発せられず、いわんや第8条第5項に規定するくじを行う旨の通知等もされずに登録査定がなされ、登録に及んだものである(乙第4号証)。
イ そうとすれば、仮に本件商標と、請求人が引用する登録第4453796号商標とが類似するとしても、本件商標の場合は、協議命令及びそれに基づく当事者間の協議、くじの実行といった、商標登録を受けることができる一人の者を決めるための必要な手続が一切なされていないものであるから、協議あるいはくじの結果に反する者の出願が誤って登録されたといった、法が予定している無効理由には該当しないものであって、本件商標の登録が商標法第8条第2項及び同第5項に違反するようなことはないものである。
ウ ところで、請求人は「がんばれ受験生」の文字からなる商標を第30類「菓子及びパン,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゆうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として出願し(商願2004-114761)、商標法第4条第1項第11号に該当するとの理由で拒絶されているところ、引用された商標は本件商標と登録第4453796号商標である(乙第5号証ないし乙第7号証)。
仮に本件商標及び登録第4453796号商標の登録が無効とされた場合には、上記請求人出願商標が登録されることになるが、このような事態は、前記した商標法第8条第5項を設けた趣旨を没却するものであることに他ならない。
即ち、本件商標及び登録第4453796号商標がその登録を失い、これらよりも2年も後に出願された請求人の商願2004-114761商標が登録されるとするのはあまりに不合理である。
(4)本件商標に化体した業務上の信用
被請求人は、出願から遡ること12年も前の昭和63年から継続して本件商標をその指定商品について使用しているものである。
即ち、被請求人は、毎年一定期間を限って、「がんばれ!受験生」のキャンペーン名称の下で、即席うどん、即席中華そば、米飯等の商品を販売しているものであって、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売店において、「がんばれ!受験生」の文字が中央に顕著に表示されたポスター、ボード等を配置し、また、商品のパッケージにもこの「がんばれ!受験生」の文字を表示して使用している(乙第8号証乃至乙第15号証)。
現在まで18年間の長きにわたって被請求人が使用し、識別標識として機能している本件商標の登録を無効にして保護しないとすることは、法目的(商標法第1条)に明らかに反するものである。
(5)まとめ
本件商標は、その出願後、特許庁から協議命令、拒絶理由通知等が送付されることもなく登録査定の処分がなされている。通常、出願人はこのような特許庁からの通知により初めて競合する出願の存在を知るものである。
同一あるいは類似商標間にあっては、確かに一の商標登録出願人のみが登録を受けるべきではあるが、本件のような場合に、被請求人にその責を帰すべき合理的な理由は全くない。

4 当審の判断
(1)出願日等
本件商標は、「がんばれ!受験生」の文字からなり、平成12年1月24日に登録出願されたものである。
そして、甲第2号証の商標は、「ガンバレ!受験生」の文字からなり、平成12年1月24日に登録出願されたものであるから、両者は同日の出願であって、それぞれ、拒絶理由通知等が発せられることなく、1及び2(1)イ(イ)に記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年12月22日及び同13年2月16日に、設定登録されたものである。
(2)同日出願に関する商標法の規定
同一又は類似の商品に使用をする同一又は類似の商標について同日に2以上出願がされたときは、出願人の協議により定められた一の出願人のみが登録を受けることができるとし(8条2項)、特許庁長官は相当の期間を指定し、競合する出願人の間において協議をして、その結果を届け出る旨を命じなければならないとされ(8条4項)、協議が整わず、又は指定期間内に届出がないときは、くじによって定めた一の出願人のみが登録を受けることができる(8条5項)とされている。
さらに、8条2項又は5項で定めた一の出願人以外の者の出願については、この各項に該当するとして拒絶査定がなされ(15条1号)、8条2項、5項に違反した商標登録については無効とされる旨規定されている(46条1項)。
(3)無効理由該当性
本件商標についてみると、(1)のとおり、甲第2号証の商標の出願日と同日に商標登録出願がされたものであり、商標も類似するものであって、かつ、指定商品も抵触するものである。
してみると、本件商標及び甲第2号証の商標に係る両出願については、登録を拒絶されるべき理由がない限り、両出願人の協議により、登録を受けることができる一の出願人を定めるべきものに該当するものであった。すなわち、前記認定事実によれば、本件商標について、甲第2号証の商標との間で、商標法8条2項に規定する協議を行い一の出願人を定めるか、それが不調等であったときには、同5項に規定するくじの実施によって一の出願人を定める手続きを行うべきであったにも拘わらず、8条4項の協議命令が発せられることなく、本件商標の設定登録後、甲第2号証の商標の設定登録がされたものである。
ところで、同日になされた競合する2以上の出願について、出願人らに協議を求め、あるいは、協議結果が不調であったり期間内に届け出のない場合に、くじによってでも一の出願人を定めるのは、先願としての地位が保たれる特許法等とは異なり商標の出願には後願排除効がないため、協議不調等の場合に、いずれも登録を受けることができないとすると、後願が登録されることになり、先願主義に照らし不合理な結果をもたらすとの趣旨によるものと解される(「工業所有権法逐条解説」参照)。
斯かる趣旨に照らせば、前記8条2項、同5項の規定に違反したとしてその登録が無効とされるべきものとは、出願人の協議により定めたにも拘わらず定めた一の出願人以外のものが登録になった場合、くじの実施により定めた一の出願人でない出願人について登録がなされたような場合(本来、拒絶査定をされるべきものである。)をいうものと解するのが相当であり、前記協議及びくじの実施がなされておらず、既にその機会のない本件のような場合には、これには該当しないといわざるを得ないというべきである。
協議命令やくじが行われなかった瑕疵を理由として(因みに、8条4項違反は無効事由とされていない。)、仮に商標登録を無効とすれば、両出願が先願であったにも拘わらず、先願としての地位になかったとの結果を招来することに帰することとなる。
(4)請求人の主張について
請求人は、他方の重複商標権者と協議をして、先願権を確保しつつ権利者を一方の者にする等、適宜の是正処置を講ずるべきであり、このような適切な処置をすることができたにも拘らず、これを怠り、爾後違法状態を永年存続させた点に、本件商標登録が無効とされる合理的な理由が存すると主張し、また、審査官の過誤により登録後、先行する同一類似登録商標の存在が明らかとなった場合、無効理由を有する後行商標権者は、審査過程で拒絶理由通知がなされなかったことを、抗弁事由とすることはできない。先後願と同日出願の相違はあるが、取引秩序維持の観点からは同趣旨であると主張する。
しかし、他方の商標権者と協議して適宜の処置を講ずることが仮に望ましいとしても、設定登録後の商標権者の作為あるいは不作為が登録(査定)の違法性をいう46条1項の無効事由とならないことは、その規定に照らして明らかというべきである。
また、本件商標は、本来登録を拒絶されるべきものが登録されたというものに直ちには該当しないから、抵触する先願既登録商標の存在により、本来登録されるべきでないもの(商標法4条1項11号該当)が登録されたというケースとは同列に論ずることはできない。
請求人の上記主張は、採用し得ない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法8条2項及び同5項に違反して登録されたものに該当するということはできない。
したがって、本件商標は、商標法46条1項により無効とすべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-09-13 
結審通知日 2006-09-19 
審決日 2006-10-04 
出願番号 商願2000-4110(T2000-4110) 
審決分類 T 1 12・ 4- Y (Z30)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 2000-12-22 
登録番号 商標登録第4441897号(T4441897) 
商標の称呼 ガンバレジュケンセー 
代理人 石川 義雄 
代理人 森 正澄 
代理人 小出 俊實 
代理人 鈴江 武彦 
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