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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y03
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y03
管理番号 1163892 
審判番号 不服2006-14268 
総通号数 94 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-07-05 
確定日 2007-08-16 
事件の表示 商願2005- 74379拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「しみこむしみこむ」の文字を標準文字で表してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成17年8月9日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は「本願商標は、『養分、成分が肌等にしみ込む』ことを単に強調しているとしか認識し得ない『しみこむしみこむ』の文字を標準文字により書してなるものであるから、これをその指定商品中、上記効能を有する商品(例えば、クリーム等の化粧品)に使用するときは、単に商品の品質、効能を表示するにすぎず、自他商品識別標識として機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 」旨を認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「しみこむしみこむ」の文字よりなるところ、その構成中「しみこむ」の文字は、「色・味・匂いなどが中まで染まる。また、深く感ずる。しみとおる。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)の意味を有する語として、一般に理解されているものであり、また、本願商標は、かかる意味を有する「しみこむ」の語を反復して表したものと理解されるものである。
そして、本願の指定商品中、肌などに塗布して使用する商品、例えば、栄養クリーム、美容液等においては、商品の「浸透力(性)」を謳った商品が各種販売されており、当該商品の宣伝広告等において、「しみこむ」の語が普通に使用されているところであって、それらの商品は、その成分が肌(角質層)などに「しみこむ」ことにより潤い等の効果が発揮されるものであるといえる。
これらのことは、平成18年1月20日付け通知書により通知した刊行物等提出書による情報の他に、以下に示す新聞記事、インターネットのホームページにおける商品の宣伝広告等における「しみこむ(しみ込む)」及び「浸透」の語の使用例からも首肯することができるものである。
(1)「Woman.excite」において「クリームエッセンス 糖蜜エキスがしみこむ、しみこむ。眠っている間にうるおう浸透性クリーム。・・眠っている間にエッセンス成分が角質層に浸透し、朝起きた時に、すべすべとうるおう肌を実感できます。・・エッセンス成分が角質層に浸透。肌を守るバリアとなるクリームの役割と、しみこんで肌をうるおわせる美容液の役割を合わせもつ浸透性のクリームです。」(http://woman.excite.co.jp/beauty/cosme/pid_7027.html)の記載。
(2)「株式会社 ユキ コスメティックス 」のホームページにおいて「ATローション・・・トロリとした化粧水がしみこむしみこむ・・・とても分子の細かい水を使用しているため、お肌の奥深くまで有効成分が浸透します。たっぷりと水分を与えてください。」(http://www.blancneige.com/ItemDetail.asp?goods_id=7)の記載。
(3)「株式会社リアルコミュニケーションズ」のホームページにおいて「えっ!パウダーなのに美容液!!? お肌に塗った瞬間からミクロの微粒子がぐんぐん、しみ込むしみ込む」(http://realmarket.jp/eseikatu/1816400/)の記載。
(4)「ホワイトニング美容液エルネージュ・コンセントブレーカー」の配合成分説明の項に「優れた浸透力が即効力の証明! 『エルネージュ・コンセントブレーカー』は、トロッとしたコクがあるのに、塗った瞬間にサラッと浸透します。しみこむしみこむ!感じです。◆ヒアルロン酸配合で瞬間にここまでサラッとするのはしっかり肌内部まで浸透している証拠。それにより肌内部の真皮層からしっかり働きかけることが出来るのです。」
(http://www.beauty-s.com/item/p1357.html)の記載。
(5)「乳化性タイプ靴クリーム 【M.MOWBRAY】 M.モゥブレィ・シュークリームジャー」の見出しのもと「クリームの浸透性と伸びがよく仕上がりも滑らか。・・【靴クリームの選び方&種類】・・乳化性タイプを使ってください。皮革にしみ込んで栄養を与えますのでひび割れや劣化を防ぎます。」(http://www.rakuten.co.jp/shoes-sinagawa/246780/260187/)の記載。
(6)「化粧品原料 毛髪用(企画記事)(1997.02.04 化学工業日報)の見出しのもと「ベントナイトから抽出した高純度の微粒粘土スメクタイトを配合したトリートメント剤でエステする。このスメクタイトは厚さ十万分の一ミリの薄い結晶で、髪の表面で水とともに薄い膜を形成し、中の天然ミネラル成分を髪にじっくり浸み込ませる。」の記載。
(7)「聖マリアンナ医大、皮膚治療VBを設立、化粧品企業と共同研究」(2006.04.20 化学工業日報)の見出しのもと「レチノイン酸の酸の部分を炭酸カルシウム薄膜で覆い、・・・カプセル化した「ナノエッグ」を作成。これにより皮膚角質への浸透力を高め表皮層にすばやく到達する。シミの原因であるメラニン色素が排出され、副作用をともなわず短時間でシミを減少させる。」の記載。
(8)「旭化成ケミカルズ、高機能化粧品原料を開発、1分で髪に浸透」(2006.05.16 化学工業日報)の見出しのもと「これまでの毛髪補修原料は表面をコートするだけであったり、毛髪内部に浸透する材料でも、浸透に非常に時間を要したりするなどの課題があった。ペリセアは一分間程度のごく短時間で毛髪内部に浸透、毛髪強度や水分量を健康な状態に戻して毛髪表面もコートし、すべり性を改善できる。」の記載。
一方、言葉の意味を強調したり正確を期したりするために語句を反復する(日本語百科大事典 発行所 大修館書店)用法は、広く一般に行われているところであって、本願商標は、「しみこむ」の語を繰り返して表示したものと把握されるものであるから、その「しみこむしみこむ」の文字よりは、「よくしみとおる、たっぷり(十分に)浸透する」程の意味合いを容易に看取させるものである。
してみれば、含有成分が肌(角質層)などに浸透して効果が発揮されるような商品、例えば、栄養クリーム、美容液、ヘアーコンディショナー、靴クリーム等との関係において、「しみこむしみこむ」の文字は、「その成分等が浸透する」ことを強調的に記述したものと認識、理解されるとみるのが相当である。
そうすると、「しみこむしみこむ」の文字を普通に用いられる方法で書してなる本願商標は、これをその指定商品中、例えば、美容液等のように、塗布した成分が浸透して効果を発揮する各種商品に使用しても、これに接する需要者等は、単に「よくしみとおる、よく浸透する」という程の商品の品質、効能等を表したものとして理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たす商標とは、把握し得ないものといわざるを得ない。
また、本願商標をその指定商品中、塗布した成分が浸透して効果を発揮する商品以外の商品について使用した場合には、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
なお、請求人(出願人)は、「本願商標は、具体的な意味合いを想起できない動詞であって、漠然としたイメージのみを想起するに止まるものであり、一連の造語として認識される。」と述べるとともに、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきであり、本願商標は、前記認定のとおり、商品の品質、効能等を記述したものとして理解されるものである。そして、同号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであって、過去の登録例に拘束される理由はないものであるから、上記、請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-06-12 
結審通知日 2007-06-18 
審決日 2007-07-04 
出願番号 商願2005-74379(T2005-74379) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y03)
T 1 8・ 13- Z (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 堀内 仁子
小林 和男
商標の称呼 シミコムシミコム 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

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