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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y44
管理番号 1162679 
異議申立番号 異議2006-90087 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-03-06 
確定日 2007-07-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第4919775号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4919775号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4919775号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲(1)に示すとおり、毛筆風の「蘇生の癒」の文字(「癒」の下には、小さく「ゆ」の振り仮名が付されている。)を横書きしてなるものであり、平成17年6月16日に登録出願、第44類「美容,理容,岩盤浴場施設の提供,その他の入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の飼育,動物の治療,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」を指定役務として同年12月8日に登録査定、同18年1月6日に設定登録されたものである。

2 申立人引用標章
これに対し、登録異議申立人「有限会社花園商事」(以下「申立人」という。)が引用する標章は、以下に述べる申立人引用標章1及び2並びに後掲(2)に示すとおりの申立人引用標章3よりなるところ(以下、申立人引用標章1ないし3をまとめていうときには、単に「申立人引用標章」という。)、そのうちの申立人引用標章1は、「蘇生の癒」の文字を横書きしてなるものであり(甲第4号証の3枚目及び4枚目、甲第6号証、甲第7号証、甲第16号証及び甲第18号証)、申立人引用標章2は、「蘇生の癒」の文字を縦書きしてなるものであり(甲第7号証、甲第8号証の1枚目及び2枚目、甲第14号証、甲第17号証の1の2枚目、甲第17号証の2の2枚目及び甲第17号証の3の2枚目)、さらに、申立人引用標章3は、後掲(2)に示すとおり、毛筆風の「蘇生の癒」の文字(「癒」の下には、小さく「ゆ」の振り仮名が付されている。)を横書きしてなるものである(甲第13号証、甲第17号証の1の2枚目、甲第17号証の2の2枚目、甲第17号証の3の2枚目、甲第18号証)。
そして、申立人が申立人引用標章を使用している役務(以下「申立人使用役務」という。)は、「岩盤浴(場)施設の提供」である。

3 当審が通知した取消理由
(1)本件商標と申立人引用標章との類否について
本件商標と申立人引用標章とは、それぞれ上述1及び2のとおりの又は後掲(1)及び(2)に示したとおりの構成態様よりなるところ、両者は、いずれも「蘇生の癒」の文字を表示してなるものである。
そして、両者の構成態様に関し、本件商標と申立人引用標章3とが毛筆風に書してなる「蘇生の癒」の文字部分を同一にするのに対し、本件商標とそのほかの申立人引用標章とには若干の差異があるとしても、それらの差異が両者の類否判断に大きな影響を及ぼすものとはいえず、時と所を異にして、それぞれを離隔的に観察した場合には、外観上互いに紛れるおそれがあり、また、どちらも「ソセイノユ」の称呼を同じくするものである。
さらに、両者は、「蘇り生き返る癒しの湯」というほどの意味合いと容易に認識されるというのが相当であるから、観念の点においても共通するものである。
したがって、本件商標と申立人引用標章とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、同一又は類似する商標といわなければならない。
(2)本件商標の指定役務と申立人使用役務の類否について
本件商標の指定役務は、上述1のとおり、「岩盤浴場施設の提供」を含む「入浴施設の提供」等の役務であるのに対し、申立人使用役務は、「岩盤浴(場)施設の提供」であることから、両者は、どちらも同じ役務「岩盤浴(場)施設の提供」等について使用されるものである。
(3)申立人引用標章の周知性について
申立人主張の全趣旨及びその提出証拠よりすれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、本件商標の登録出願日(平成17年6月16日)より約2年前の平成15年6月頃より佐世保市において、役務「岩盤浴施設の提供」の事業化準備を開始し、同年8月10日に岩盤浴用の「石」を「静岡県浜松市中郡町1728番地3」所在の「エム・テックグループ」から仕入れ(甲第2号証:納品書)、同年9月11日に「佐賀県伊万里市松島町100番地1」所在の「黒木建設株式会社」(以下「黒木建設(株)」という。)と「佐世保岩盤浴槽及び建築改修工事」の打合せを開始し、同月20日に黒木建設(株)と工事請負の基本合意に達した(甲第3号証:注文請書)。
その間、両者は、同年9月22日に「打合せ議事録」及び同25日に「引継書」を作成したが、それらの書面には、岩盤浴施設の名称として「蘇生の癒」が表示されていた。
黒木建設(株)は、同年9月25日に申立人の岩盤浴施設「蘇生の癒」の「佐世保岩盤浴槽及び建築改修工事」に着手し、その後、同年12月25日に同工事を完了した(甲第5号証:領収証)。
他方、申立人は、同年12月11日に佐世保市中央消防署長から岩盤浴施設「蘇生の癒」について、消防法第17条の技術基準に適合している証明を得るとともに(甲第6号証:消防用設備等検査済証)、同年12月18日に佐世保市保健所長から申立人の岩盤浴施設「蘇生の癒(そせいのゆ)」について、公衆浴場法第2条の規定による経営許可を得た(甲第7号証:浴場業営業許可書)。
申立人の開業挨拶状(甲第8号証)には、「蘇生の癒」(そせいのゆ)が完成し、平成15年12月20日(土)からオープン(営業開始)すること、それに先立ち、同月17日から19日までをプレオープン期間として、特定客を優待すること、施設名称等として「佐世保市祇園町2番18号 岩盤浴 蘇生の癒」が記載されていた(甲第8号証)。
申立人の「蘇生の癒」が平成15年12月20日に開業したことは、「佐世保市祇園町2番18号」所在の「安井千賀」の「陳述書」(甲第16号証)にも記載されていた。
申立人の岩盤浴施設は、「聖教新聞」(平成17年4月11日付けの全国版:甲第14号証及び申立書3頁)において、「人気の『岩盤浴』を県内に2店舗」「タオルを敷いた自然石の上に浴着で横たわるだけ?鉱石の放つ遠赤外線が発汗を促し、心身の健康を保つ『岩盤浴』がブームだ。長崎県内に2店舗を営む『(有)花園商事』の専務取締役を務めるのは、安井千賀さん・・・。」「岩盤浴『蘇生の癒(ゆ)』は、きょうも千客万来だ。・・・・」というように紹介されていた(甲第14号証)。
広告雑誌「COMICOMI press」誌[2004(平成16)年8月号、2005(平成17)年6月号並びに同年10月号(甲第17号証の1ないし3の各2枚目)]及び申立人のパンフレット(甲第13号証)においては、縦書き又は横書きした文字よりなる「蘇生の癒」(ゆ)のみならず、本件商標と同一又は酷似の構成態様よりなる「岩盤浴『蘇生の癒』(ゆ)」の文字が記載されていた。
(イ)以上の点よりすれば、本件商標と同一又は類似の申立人引用標章は、申立人により、遅くとも本件商標の出願日(平成17年6月16日)より約1年半余前の平成15年9月22日までには採択され、それ以降、新聞、雑誌、パンフレット及び申立人の岩盤浴『蘇生の癒』(ゆ)」の入湯(割引)券に使用された結果、本件商標の出願日ないし登録査定時(平成17年12月8日)までには、少なくとも長崎県佐世保市の観光・土産・湯治等を取り扱う業界の取引者、需要者の間において、申立人使用役務「岩盤浴(場)施設の提供」を表示するものとして広く認識されていたというのが相当である。
(4)出願人(商標権者)の不正目的について
本件商標は、出願人(商標権者)により、申立人使用役務「岩盤浴(場)施設の提供」を含む「入浴施設の提供」等の役務を指定して登録出願されたものであるが、本件商標と申立人引用標章は、その構成態様において同一又は酷似しており、両者が偶然に一致したものということはできず、本件商標を出願した出願人(商標権者)は、本件商標の登録出願日(平成17年6月16日)前、遅くとも同年4月11日の聖教新聞の全国版により申立人引用標章及び申立人の岩盤浴(場)施設の提供が紹介された頃には、申立人引用標章及び申立人の岩盤浴(場)施設の提供の存在を知り得る状況にあったものと判断せざるを得ない。
してみると、出願人(商標権者)は、本件商標の登録出願前に、申立人引用標章が申立人の岩盤浴(場)施設の提供に使用され、少なくとも長崎県佐世保市の観光・土産・湯治等を取り扱う業界の取引者、需要者の間において、申立人使用役務「岩盤浴(場)施設の提供」を表示するものとして広く認識されていることを知りながら、申立人引用標章が「岩盤浴(場)施設の提供」を含む「入浴施設の提供」等の役務について商標登録出願されていないことを奇貨として、申立人に無断で、申立人引用標章と同一又は酷似した本件商標を登録出願し、商標登録を得て独占的に使用することを意図していたものと推認し得る。
そうすると、出願人(商標権者)のかかる行為には信義則に反する不正の目的があったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものというべきである。
なお、申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するとの理由を挙げているところ、前記のとおり、本件商標は、同19号に該当するというのが相当であるから、同法第43条の9第1項により、上記条項を適用すべきものとした。

4 当審の判断
本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成19年1月26日付けで上記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。
そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

後掲
(1)本件商標




(2)申立人引用標章3(甲第13号証)


注:色彩については、甲第13号証を参照されたい。
異議決定日 2007-05-15 
出願番号 商願2005-54490(T2005-54490) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Y44)
最終処分 取消  
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 鈴木 新五
寺光 幸子
登録日 2006-01-06 
登録番号 商標登録第4919775号(T4919775) 
権利者 甲斐 和雄 株式会社エスティーエックス
商標の称呼 ソセーノユ、ソセーノイヤシ 
代理人 安原 伸人 

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