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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない Y42
管理番号 1162461 
審判番号 不服2005-5252 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-25 
確定日 2007-08-23 
事件の表示 商願2004-26706拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第42類「医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究」を指定役務として、平成16年3月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、チベット自治区の区都ラサ所在のチベット医学院を示すと認められる『MEN-TSEE-KHANG』の文字を含むものであり、かつ、前記医学院の承諾を得ているものとは認められない。また、出願人の提出に係る物件を徴するに、本願商標を出願人の名において登録することについて、MEN-TSEE-KHANGが承諾をしたものと認められる物件は認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、二重線で描かれた小円中に花を模した図形、当該小円の同心円として同じく二重線で描かれた中円を八分割してそれぞれの枠内に太陽、月、鳥等を模した図形を描き、当該中円の外延を同大・等間隔で歯形のような図形で囲んでなる図形と、当該図形の上部にチベット文字と思しき文字を配置し、同じく下部には「MEN-TSEE-KHANG」の欧文字を書してなるものである。
そして、請求人の提出に係る資料及び当審における職権調査によれば、「MEN-TSEE-KHANG」(メンツィーカン)は、もともとはチベットの官立学校として、ダライラマ13世治下の1916年にラサ市に創設された医学校であるところ、1959年のダライ・ラマ14世の亡命の後には、亡命政府の所在地であるインド北部のダラムサラの地にも、1961年3月23日に新たに設立されたものである(英語名称:the Tibetan Medical and Astrological Institute;チベット医学暦法研究所)。そして、後者は、法的にはインド連邦共和国の団体登録法(Societies Registration Act of 1860)及びインド所得税法(Indian Income Tax Act 1961)に規定する登記に基づく福祉・文化・教育機関として、チベット医学・暦法の普及・実践や、階級・人種・信条等に関わらない医療の提供等を行うことを使命とし、昨今のチベット医学の人気に対応して、インドをはじめ、欧米や日本等へも医師等を派遣して会議、セミナー、展示等を行っているものであることが認められる(別掲2参考資料を参照)。
ところで、原査定は、本願商標は商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶したものである。商標法第4条第1項は、商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが、同項第8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである(平成17年7月22日最高裁判所判決 平成16年(行ヒ)第343号参照)。
そうすると、上記のとおり、「MEN-TSEE-KHANG」の文字を構成中に含む本願商標を、本人の承諾を得ることなく本願出願人(請求人)が登録することは、同号の規定に基づき認められないものである。
これについて、請求人は、原審における拒絶理由通知に対する平成16年12月7日付け意見書において、「Men-Tsee-Khang」から請求人に対する返答書を証拠物件として提出し、その返答書の示す内容は、同人から本願商標の日本国内での登録について承諾を受けたものである旨主張している。
しかしながら、当該返答書(インド・ダラムサラ所在の「Men-Tsee-Khang」のDirectorである「Samdup Lhatse」氏から請求人に当てた2004年11月30日付け書簡)を徴するに、その示すところは、「Men-Tsee-Khang商標の登録に関しては、我々は、ただ、もしそれがMen-Tsee-Khang単独の名義及び所有においてなされるのであれば関心を有していた。もしそれが不可能であるのならば、そのときは、我々はそのようにする見解にはない。よって、我々は本件について更に手続きを進める意思はない(当審における仮訳。原文は以下のとおり。With regard to the registration of Men-Tsee-Khang Trademark, we would only be interested if it could be done in the name and ownership of Men-Tsee-Khang only. If that is not possible, then we are not in a position to do so and as a result, we will not proceed further with this matter.)。」と述べるのみであり、これを字義どおりに読めば、「Men-Tsee-Khang」は、そもそも本願商標を自らの名義で権利取得することを意図していたものであり、それができないのであれば、これ以上手続き、具体的には請求人に対する承諾手続きを行う意思はない、というものであるとみるのが相当である。文章の言外の意味については、様々な解釈・見解もあり得ようが、少なくとも、本FAX信並びに原審及び当審において提出された全資料を見ても、「Men-Tsee-Khang」が、請求人に対し、本願商標の登録について承諾をしたことを証明するものは発見できない。
更に、請求人は、原審における意見書、審判請求書及び平成17年12月22日付け上申書において、種々主張し資料を提出している。その内容は多岐にわたるものの、その主張せんとするところは必ずしも明確ではないが、本件商標登録出願に至る経緯やそれに係る「Men-Tsee-Khang」との交渉に関する部分について検討するに、請求人が主張せんとする趣旨は、要するに以下のとおりと認められる。
すなわち、請求人は、1998年12月のインド・ダラムサラ訪問以来、チベット医療機関(文脈からみてダラムサラ所在の「Men-Tsee-Khang」を示すものと考えられる。)の有効性について私的に業界知人に紹介するようになったこと、後には、同機関のハーブ製品の輸入に関する手続等を行うようになったこと、同機関の商品や医療関係者の日本国内への紹介などを行っていく中で、同機関の知的資産である商標を日本国内でも登録保護することが必要であると判断するに至り、同機関にもその必要性を説明したこと、そして、(その理由は明らかではないが、結局のところは)本件商標登録出願は、同機関に代わって請求人が行ったこと、したがって、原審における拒絶理由通知に対する意見書において提出した上記「Men-Tsee-Khang」からの書簡は、このような経緯の中、請求人から同機関への再三の商標登録の勧めや説明の後に、それらを断念する形で出されているものであるから、それは実際の委任・承諾書に当たるものである、というものである。
しかしながら、上記事情の中、請求人が、仮令、自ら主張するように、「Men-Tsee-Khang」のために善意で、我が国において本願商標の登録手続きを行ったものであるとしても、それに対し、「Men-Tsee-Khang」から承諾がなされているとは言い得ないことは上記のとおりである。加えて、請求人と「Men-Tsee-Khang」との間において、2004年(平成16年)3月から同年10月までに交信されたFAX信(原審における同年11月23日付け意見書において添付された物件(B))を徴するに、「Men-Tsee-Khang」は、請求人の我が国における本願商標登録出願に関して、以下のように、請求人に対し述べている。すなわち、我が国での商標登録の必要性について説明する請求人からの同年3月6日付けのFAX信に対しては、同年3月20日付けFAX信において、「しかしながら、我々は、この問題について、あなたとは、何等の約束もあるいは何らの書面による覚書/契約もしていないことにどうぞ留意してください。したがって、あなたが、日本において、Men-Tsee-Khang製品の標章を、登録の手続きにおいて用いたり取引したりすることは望ましくありません。なぜならば、我々のインドにおける手続きは登録手続中であり、そしてインドにおいて完結するまでは、我々はいかなる覚書にも同意する見解にないからです。(当審仮訳。原文は以下のとおり。・・・However, please kindly note that we have not made any committment or any written understanding/deal with you on this matter. Therefore, it would not be advisable for you to deal in the processing of the registration and trade mark of Men-Tsee-Khang products in Japan, as our process in India is under registration and until is fully completed in India, we are not in a position to agree for any understanding.)」と回答し、そして、原審において同年10月7日付け拒絶理由通知が発出された後に請求人から「Men-Tsee-Khang」宛送信された10月25日付けのFAX信に対しては、同月27日付けFAX信で、「あなたもご存じのとおり、Men-Tsee-Khangの商標とロゴは、インド特許庁において登録されました。したがって、誰もそれを使用することができません。当該商標とロゴは、英国において我々がそうしていると同様に、Men-Tsee-Khangの名義において登録していただくことが明らかであります。もし、我々が登録を受けることが可能であるならば、我々が決定を下す前に、是非、様式と手続きを送ってください。あなたは、Men-Tsee-Khangが当該商標及びロゴの所有者であり、本来の権利を有する者であると言われました。我々は、あなたの国の規則について熟知していないので、登録がMen-Tsee-Khangの名義においてなされた後に、今後の実行可能なことについて調査したいと考えます。(当審仮訳。原文は以下のとおり。As you know the Men-Tsee-Khang trademark and logo are registered in India with the patent office therefore, no individual can use it. It should be clear please that Trademark and the logo be registered in the name of Men-Tsee-Khang as we are doing in U.K. also.If there is any possibility that we can get registered then do send us the forms and the process of doing before we decide.
As you said that the Men-Tsee-Khang is the owner and has the original right of the trademark and the logo. We will look into the possibility after regisration is done in the name of Men-Tsee-Khang, as we are not sure of the rules in your country.」と回答している。これらの事実にかんがみれば、「Men-Tsee-Khang」は、我が国における商標法の詳細については熟知してないとしても、我が国においてもあくまで自己の名義で権利化することを意図していたことが明らかであり、本願商標の登録手続きを行う請求人に対して、明示的にも暗示的にも何等承諾をしているものではないというのが相当である。そして、これに対し請求人は再度10月28日付けFAX信を送付した後「Men-Tsee-Khang」から届いた回答が、前記11月30日付けFAX信である。してみれば、同FAX信の末尾において、「Men-Tsee-Khang」が「we will not proceed further with this matter.」と述べるところは、請求人による本願商標の登録手続きに関し、それを進める意思はないとみるのが相当であり、すなわち、承諾する意思はない旨を婉曲に伝えたものとみるのが相当である。

以上のとおり、本願商標については、「Men-Tsee-Khang」の承諾を受けたものと認めることはできないから、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)




別掲2(参考資料)

●http://www.men-tsee-khang.org/index.htm(MEN-TSEE-KHANG」のオフィシャルサイト)

●http://www.tibethouse.jp/home.html(ダライラマ法王日本代表部事務所オフィシャルサイト)

●http://star.aa.tufs.ac.jp/tibet/?%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%99%E8%82%B2#content_1_1(チベットの学校教育)

●http://www1.u-netsurf.ne.jp/~asakyu/a_jouhou/n0104_44.html(チベット消滅に手を貸す朝日新聞 竹内 正右)

●http://72.14.253.104/search?q=cache:tG2GTv2ypJ8J:https://bookweb2.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi%3FW-NIPS%3D9974728339+%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%B3&hl=ja&gl=jp&ct=clnk&cd=17(チベット医学?身体のとらえ方と診断・治療 ドゥンデン,イェシェー[著]・三浦 順子[訳])

●http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B5%E3%83%A9
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



審理終結日 2006-09-12 
結審通知日 2006-09-22 
審決日 2006-10-13 
出願番号 商願2004-26706(T2004-26706) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (Y42)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 寺光 幸子綾 郁奈子 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 青木 博文
久我 敬史
商標の称呼 メンテイシーカン、メンテイシーカング、メントシーカン、メントシーカング 
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