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審決分類 |
審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Z42 審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Z42 審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z42 |
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管理番号 | 1162459 |
審判番号 | 無効2006-89118 |
総通号数 | 93 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-09-28 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2006-08-16 |
確定日 | 2007-08-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4499988号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4499988号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成11年9月14日に登録出願、第42類「美容,理容,写真の撮影,オフセット印刷,医療情報の提供,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,デジタル印刷,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同13年7月17日に登録査定がなされ、同年8月17日に設定登録されたものである。 第2 請求人の引用する商標 請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するものとして別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標」という。)を引用するとともに、本件商標が同第11号に該当するものとして、下記(a)ないし(c)に記載した3件の登録商標を引用している。 (a)登録第3083112号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成4年7月1日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う計算処理」を指定役務として、同7年10月31日に設定登録されたものである(甲第6号証)。 (b)登録第4115878号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、平成8年2月14日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラム操作マニュアルの委託による作成,電子計算機による科学技術計算処理,電子計算機による構造解析・音響解析・機構解析・熱流体解析,通訳,翻訳」を指定役務として、同10年2月20日に設定登録されたものである(甲第7号証)。 (c)登録第4033716号の2商標(以下「引用商標3」という。)は、「CYBERNET」の欧文字を横書きしてなり、平成7年9月14日に登録出願、同9年7月25日に設定登録された登録第4033716号商標権について、同17年4月20日付け分割移転の登録により分割された商標権に係る商標であり、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とするものである(甲第11号証)。 なお、その他にも、請求人は、態様については引用商標2と同じ構成からなる登録第4115978号商標(第9類)、登録第4117196号商標(第16類)、登録第4120136号商標(第41類)及び「CYBERNET」と「SYSTEMS」の欧文字とを二段に横書きしてなる登録第4892137号商標(第9類、第41類、第42類)を有している旨述べている(甲第8号証ないし甲第10号証及び甲第12号証)。 第3 請求人の主張の要旨 請求人は、本件商標の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第137号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第11号に該当するものであるから無効とされるべきである。 (1)請求人の使用商標の周知・著名性について 請求人は、スーパーコンピュータの先駆者であるアメリカのコントロール・データ社(以下「CDC」という。)が日本法人として設立した日本シーディーシー株式会社を前身とし、1980年7月に開始された「CYBERNETサービス」の事業部門が分離独立して現在の請求人となったものである(甲第3号証)。 「CYBERNETサービス」とは、CDCが世界六大陸で提供していた科学技術分野を中心としたリモート・コンピューティング・サービスの名称である。CDCが開発した超大型コンピュータが世界の主要都市に多数設置され、これをデータ通信網で結び、これにより提供される科学技術情報処理サービスを各種製造業、電力、原子力、建設、鉱業、石油、政府機関など広い範囲にわたるユーザに利用されていたものである(甲第4号証)。現在の請求人の商号「サイバネットシステム株式会社」の由来であり、また同時に「CYBERNET」「サイバネット」と略称される由来でもある。 請求人は、業界自体比較的歴史の浅い中にあって、その黎明期から一貫してコンピュータ及びスーパーコンピュータを用いた計算処理・受託解析といったサービスを提供し続けてきた。そして、2004年9月には東証1部に上場、2006年3月期の決算においては、グループ連結で売上高173億円、経常利益25億円を計上するに至っている。甲第5号証は、請求人が加入している主な学会・協議会の一覧であり、同業種のみならず異業種とも交流を深めるとともに、学術向上、業界の発展に寄与する活動にも積極的に参加している結果、請求人会社の存在は、業種を超えて広く認識されるに至っている。 使用商標「CYBERNET」は、請求人がその前身である日本シーディーシー株式会社の時代から需要者向け定期情報誌として発行してきた「CYBERNET NEWS(サイバネットニュース)」の標題として使用してきた標章である。この「CYBERNET NEWS」は、1982年5月に創刊以来、足掛け24年、実に100号を超えて継続して発行している(甲第13号証ないし甲第123号証)。 かかる長期に亘って、需要者の眼につきやすい定期情報誌の標題として使用してきたことにより、少なくとも、請求人の業務範囲に包含される指定商品「電子応用機械器具及びその部品」並びに指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う計算処理,電子計算機による科学技術計算処理,電子計算機による構造解析・音響解析・機構解析・熱流体解析のための計算処理」については、遅くとも、本件商標の出願日迄には需要者の間に広く認識されるに至っており、かつ、本件商標の登録日においても需要者の間に広く認識されていたものである。 (2)商標法第4条第1項第10号について 本件商標と使用商標とは、少なくとも、「CYBERNET」の文字列部分を同じくするものであって、共に「サイバーネット」の称呼を生じ、観念としては、「コンピュータネットワーク上に形成される情報空間との通信網」程度の意味合いにおいて同一のものである。 してみれば、本件商標と使用商標とは、称呼及び観念において同ー又は類似のものである。そして、本件商標の指定役務は、前記したとおりのものであり、使用商標を使用して提供されているサービスには、少なくとも「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理(電子計算機を用いて行う種々の計算処理),電子計算機の貸与」が含まれているから、本件商標の指定役務と使用商標を使用して提供される役務とは同一ないし類似である。 したがって、本件商標は、請求人が永年サービスとして提供し周知となるに至っているリモート・コンピューティング・サービス「CYBERNETサービス」の提供に際して用いてきた商標「CYBERNET」と類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第11号について (ア)本件商標と引用商標1及び2との類否 本件商標は、その構成から、「サイバーネット」の称呼を生じるものである。 一方、引用商標1は、図形の下に二段書きされた「CYBERNET」と「SYSTEMS」の構成からみて、「サイバーネット」の称呼をも生じるものであり、また、引用商標2は、法人格を表す「株式会社」「CO.,LTD.」の文字部分を捨象した「サイバネットシステム」の称呼が生じる他、「サイバネット/CYBERNET」の文字部分は請求人の略称であることを併せ考慮すれば、「サイバネット」或いは「サイバーネット」の称呼も生じるものである。 してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、「サイバーネット」の称呼を共通にする類似の商標である。 そして、本件商標の指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守、電子計算機を用いて行う情報処理」と引用商標1及び2の指定役務とは同-又は類似のものである。 (イ)本件商標と引用商標3との類否 引用商標3からは、「サイバーネット」の称呼が生じ、造語ではあるが「コンピュータネットワーク上に形成される情報空間との通信網」の観念が生じ得るものであるから、本件商標と引用商標3とは、少なくとも称呼及び観念において類似する。 次に、両者の役務と商品との関係についてみるに、引用商標3の指定商品には「電子計算機用プログラム」が包含されており、この「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」とは審査基準上、備考類似の関係にあり、この「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機の貸与」とは同一の類似群が付与されている役務である。 そして、「電子応用機械器具」と「電子計算機の貸与」とは類似商品・役務審査基準上は類似商品(役務)の関係にはないが、いずれも同一の主体が行っているケースが多々見られるほか、販売・提供の場所も共通にするものであるから、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路の貸与」と「電子計算機用プログラムの提供」及び指定商品「電子計算機用プログラム」とは、商品ないし役務の客体が同一であることに鑑みれば、本件商標の指定役務に含まれている「電子計算機の貸与」と引用商標3の指定商品に含まれる「電子計算機用プログラム」とは極めて混同を生じやすい類似の商品・役務というべきである。 (ウ)したがって、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3との関係において、上記した各指定役務の限りにおいて、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 (4)商標法第4条第1項第15号について 請求人は、特にCAE(computer aided engineering)分野におけるパイオニアであり、リーディングカンパニーとしての役割を担い続け、業界内において周知性を有してきたことは上述したとおりである。 そして、請求人の商号「サイバネットシステム株式会社」がやゝ冗長であることから、取引者・需要者からしばしば「サイバネット」と略称され、或いは「CYBERNET」と表記され認識されてきたことも顕著な事実である(甲第124号証ないし甲第130号証)。更には、請求人のホームページのドメイン名は「cybernet.co.jp」であり(甲第131号証)、商号の略称である「cybernet」の文字のみを用いている。 上記事情のもと、「CYBER NET」の語を含む本件商標が請求人以外の主体において使用されるとすれば、少なくとも、請求人の業務範囲である役務について、取引者・需要者は、請求人と何らかの経済的又は組織的関係がある者による役務の提供であると誤認するおそれがあることは明白である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とされるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)商標法第4条第1項第10号について 請求人の立証の趣旨は、本件商標の出願日及び登録日における「両時判断」に鑑みての主張である。そして、被請求人は、「せいぜい90号」というが、本件商標の出願日迄を捉えても定期情報誌は18年間の長きにわたり継続して使用し続けている事実は看過されてはならない。 また、仮に、被請求人の主張するように、「CYBERNET NEWS」に接する者が請求人を知っている者に限られるとしても、定期的にかかる接触を行う相手が多いことは周知性を推認させる根拠となる。 なお、請求人会社の業務の性質上、主たる需要者は法人、それもCAEを駆使したものづくりを行う企業であって、これに関連したソフトウェアの需要がある企業及び解析業務をアウトソーシングする需要のある企業である。請求人は、年間1万件弱の法人相手に「CYBERNET NEWS」を送付しており、機械工業の総法人数約9万5千社のうち資本金1千万円以上の法人は、約5万1千社であり(甲第137号証)、仮に、これらの法人が全て需要者層であると仮定しても、約20%の法人に対してアクセスを行っていたことになる。 更に、甲第13号証ないし甲第101号証の内容を見れば明らかな通り、情報誌「CYBERNET NEWS」は、請求人が提供する役務である「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機用プログラムの提供(電子計算機の貸与に類似)」についてのPR、広告に他ならない。こうした情報誌を需要者に対して配布することが上記各指定役務についての商標の使用に該当することは明白である。 (2)商標法第4条第1項第11号について (ア)引用商標1に関して もともと二段に書されてなる商標は、その外観ゆえ、それぞれを分断して把握される傾向が強いところ、上段の「CYBERNET」の文字は、請求人の一般的な通り名として周知となるに至っている「サイバネット」の英文綴り字そのままであり、この事実と二段に書されている構成及び下段の「SYSTEM」の語がその指定役務との関係において識別力の弱い言葉であることとが相侯って、上段の「CYBERNET」の文字構成に基づき「サイバネット」の称呼も生じるものである。 (イ)引用商標2に関して 被請求人は、「サイバーネットシステムズ」が「サイバーネット」と略称されると認めるべき証拠は提出されていない旨述べているが、上記同様、請求人は、従前から「サイバネット」と略称されてきたのであり、かつ、引用商標2の構成において、「CYBERNET/サイバネット」と「SYSTEMS/システム」との間にはブランクが設けられており、外観上、前後は別異の単語として認識されうる。これらの事情を考慮すれば、引用商標2から「サイバネット」の称呼が生じ得ると判断するのが妥当である。 (ウ)引用商標3に関して 被請求人は、本件商標の指定役務「電子計算機用プログラムの提供」と引用商標3の指定商品「電子計算機のプログラム」が類似することは不知である旨述べている。 しかし、本件商標の指定役務として対比されるべきは、「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」である(この点、被請求人の誤記ないし勘違いと推察される)。そして、これらの役務の類似性については、請求書にて主張した通りである。 (3)商標法第4条第1項第15号について 請求人の主張は、商標権者であること、「サイバネット」と略称されてきたことについてのみに止まっていない。請求書第3頁?第5頁において、請求人会社の歴史、その企業規模の着実な拡大と成長、株式公開による更なる認知度の上昇、今でこそCAD、CAEなる語はある程度その意味合いとともに理解される状況が醸成されているが、請求人会社は、その市場の創成期から歩みはじめ、今尚業界の最先端を走る企業であることを説明している。この前提事実に基づいて、請求書第14頁後半以降において上記説明を行なっているのである。被請求人の主張は前半部分を捨象した誤った解釈である。「サイバネット」が請求人を表す略称として周知・著名であることは、請求書及びその後提出した手続補正書によって立証されている。 第4 被請求人の答弁の要旨 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び同第2号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号違背について 請求人が提出している定期情報誌のうち、出願前周知の証拠として採用されるべきは、せいぜい90号程度までであるばかりでなく、「CYBERNET NEWS」なる刊行物が何部発行されたのか、いかなる読者に読まれていたのかが全く不明であり、また、「CYBERNET」は、定期刊行物の題号としての使用にすぎず、指定役務についての使用ではない。加えて、「CYBERNET NEWS」に接する者は、請求人を知っている者に限られるものと推測され、これらの者がアクセスし取得可能な刊行物として存在しても、商標「CYBERNET」の周知性を裏付けるものではない。 したがって、請求人の提出する証拠によっては、使用商標が本件商標の出願前に、請求に係る指定役務との関係において周知であったことは全く立証されていない。 よって、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するという請求人の主張には理由がない。 (2)商標法第4条第1項第11号違背について (ア)引用商標1との関係 引用商標1は、上段「CYBERNET」の文字部分と下段の「SYSTEMS」の文字部分とは同じ書体で表されており、態様において分離すべき理由はない。そして、上段と下段とを一体に把握すると請求人の社名の略称となるのであって、これを殊更分離称呼すべき理由も見いだせない。 よって、引用商標1から生ずる称呼は一連の「サイバーネットシステムズ」であり、本件商標と引用商標1とが類似するとの主張には妥当性がない。 (イ)引用商標2との関係 引用商標2から「株式会社」の文字部分を除いた部分は請求人の略称であるから、引用商標2が「サーバーネットシステムズ」と略称されることは一応認めることができる。しかしながら、商号の略称は、原則として一連一体にのみ称呼されるというべきところ、「サイバーネットシステムズ」が「サイバーネット」と略称されると認めるべき証拠は提出されていない。 よって、引用商標2から生ずる称呼は一連の「サイバーネットシステムズ」であり、本件商標と引用商標2とが類似するとの主張には妥当性がない。 (ウ)引用商標3との関係 引用商標3と本件商標とは、文字部分において共通することは認められるが、「@」を模した「C」の図形の有無に差異があり、商標全体としての観察においては非類似であって、単に、「CYBERNET」の文字部分が共通することをもって両商標を類似と判断することは誤りである(例えば、東京高裁平成6年(行ケ)64号及び東京高裁平成7年(行ケ)52号判決参照 乙第1号証及び乙第2号証)。 また、「備考類似」は、特種な扱いであり、具体的に解されなければならない。商品Aと備考類似で結ばれた役務Bとが同じ類似群であることをもって、他の役務Cを商品Aと類似と評価することはできない。 更に、請求人は、「電子応用機械器具」と「電子計算機の貸与」とは、同一の主体が行っているケースが多々見られる他、販売・提供の場所も共通すると主張するが、「電子応用機械器具」の商標は、原則として電子応用機械器具を製造する者が付するものであり、「電子計算機の貸与」の商標は、「貸与」を行う者が付するものであって、両者が一致することはほとんどないのであり、「同一の主体」が行っている事実を裏付ける証拠も全く提示されていない。 したがって、本件商標と引用商標3とが類似するとの主張には妥当性がない。 (3)商標法第4条第1項第15号違背の点について 請求人は、15号に関する主張において、単に商標権者であることを主張しているにすぎず、その周知・著名性について何等主張・立証していない。 また、請求人が提供する業務を「サイバネット」と略称されている例があると主張するが、単に「例がある」にすぎず、「サイバネット」なる名称ないしは商標が周知・著名となっているものとは到底認めることができない。 よって、商標法第4条第1項第15号に関する主張は、その前提を欠き理由がない。 第5 当審の判断 請求人は、本件審判を請求することの利益について述べているが、この点については、被請求人も争っていないので、本案に入って判断する。 1 商標法第4条第1項第10号及び同第15号の該当性について (1)本件商標と使用商標の対比 (ア)本件商標は、別掲(1)に示したとおり、欧文字の「C」と思しき文字を表し、その下端部を小さく丸め、そこから引き続いて該「C」の文字を囲むように、例えていえば、アットマーク(@)においてみられるような円輪郭をもって「C」の文字を囲んだ構成の図形を大きく表し、その下部に、該図形に比べれば、かなり小さな通常の書体の文字をもって「CYBER」と「NET」の欧文字を略1文字程度の間隔をあけて一連に表した構成からなるものである。 他方、使用商標は、別掲(2)に示したとおり、「CYBERNET」の欧文字を不可分一体に表したものであるところ、各文字は、左側が薄く右側にいくに従い濃くなるような数多くの直線をもって表現されており、それぞれの文字は、各文字の濃く表された右側部分が隣接する文字の薄く表された左側部分に重なるように表されており、しかも、特に、「Y」「N」「T」の文字はかなり抽象化して表されているものである。 (イ)そこでまず、両商標の外観を比較するに、両者は、上記した構成からなるものであるから、その全体の外観において判然とした差異があるばかりでなく、両者の欧文字部分のみを比較してみても、明らかな差異があるものということができる。 (ウ)次に、両商標の称呼についてみるに、本件商標は、図形部分から直ちに特定の称呼が生ずるものとは認められないから、商標の読みとしては、「CYBER NET」の欧文字部分に相応して「サイバーネット」の称呼が生ずるものと認められる。 一方、使用商標は、かなりデザイン化されているとはいえ、「CYBERNET」の欧文字を表したものと理解・認識し得るものであるから、該文字に相応して、かつ、請求人は「サイバネット」の表記をもって使用している実情をも併せみれば、使用商標からは「サイバネット」の称呼が生ずるものということができる。 してみれば、本件商標と使用商標とは、称呼の点においては類似しているものということができる。 (エ)更に、観念の点についてみるに、例えば、三省堂発行の「コンサイスカタカナ語辞典第3版(2005年10月20日第2刷発行)」によれば、「サイバー(cyber)」の語は「コンピュータネットワークに関する」の意とあり、また、「ネット(net)」の語は、スポーツ球技に使用する網の外、「インターネット、ネットワーク」の意味が記載されている。そうとすれば、「CYBER NET」の語が特定の語義を表す成語として英和辞典や外来語辞典に掲載されている語ではないとしても、我が国においては、英語の語法にとらわれることなく、適宜、英単語を組み合わせて和製英語といわれる熟語(造語)を作り出している状況にあることからみれば、本件商標においても、上記した各意味合いを合わせて、全体としてみても、「コンピュータネットワーク」程の意味合いを想起させるものということができる。 一方、使用商標については、綴り字自体が本件商標の欧文字部分と同じであることから、「コンピュータネットワーク」程の意味合いを想起させるものということもできるし、あるいは、「CYBER」の語と「NET」の語が不可分一体にして、かつ、特異な態様をもって表されていることから、最早、特定の意味合いを想起させることのない造語と捉えることもできる。 (2)本件商標と使用商標との類否判断について 上記したとおり、本件商標と使用商標とは、「サイバーネット」と「サイバネット」の称呼において類似しているということができ、また、観念の点においても、「コンピューターネットワーク」程の意味合いを共通にしているともいい得るが、外観においては、顕著な差異を有しているものである。 ところで、最高裁 昭和39年(行ツ)第110号判決(昭和43年2月27日第3小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)によれば、「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、しかもその取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである・・・商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、・・・取引の実情によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきでない」と判示されているところである。 これを本件事案についてみれば、近年におけるコンピューターやインターネット通信の著しい普及に伴い、コンピューター関連用語は日常一般においても広く普及しており、前述の三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典第3版」には、「cyber(サイバー)」の語に関して、「サイバービジネス(cyber business)=情報通信ネットワークを利用して、仮想ビジネス空間を作ってサービスを提供するビジネス」、「サイバーバンク(cyber bank)=ネットワーク上の銀行」、「サイバーテロ(cyber terrorism)=インターネットを介し国家や社会基盤の混乱を目的として、それらを維持するために必要な情報システムへの侵入・破壊工作を行うこと」等々の例が掲載されており、また、「NET(ネット)」の語についても、「ネットオークション(net auction)=インターネット上で行われるオークション」、「ネットショッピング(net shopping)=インターネットを利用した電子商取引」、「ネットサービス(net service)=企業がインターネットを通じて行う様々なサービス」等々の例が掲載されている。そして、この「cyber(サイバー)」や「NET(ネット)」の語については、上記の如き外来語辞典に掲載されているばかりでなく、株式会社集英社発行の「imidas(イミダス)」、朝日新聞社発行の「知恵蔵」等々においても同様の用語解説が掲載されており、日常一般においても、上記意味合いの語として広く知られ、広く使用されている用語であるということができる。 上記の実情を踏まえてみれば、「CYBER NET」の語は、全体として、一つの成語あるいは熟語を形成するものとはいえないとしても、「コンピュータネットワーク」程の意味合いを容易に理解・認識させるものであるから、コンピューター(電子計算機)に関連する商品や役務との関係においては、自他商品・役務識別力がないとまではいえないとしても、この語自体の果たす識別力は極めて弱いものとみるのが相当である。 そうとすれば、両商標から、「サイバーネット(サイバネット)」の称呼及び「コンピューターネットワーク」程の観念が生ずるとしても、それらの称呼及び観念が両商標の識別機能に果たす役割は極めて弱いものというべきであって、本件商標にあっては「C」状の図形部分が、また、使用商標にあってはその特異な構成態様こそが取引者・需要者の記憶に強く残り、識別標識として大きな機能を果たしているものというべきである。 してみれば、本件商標から「サイバーネット」及び使用商標から「サイバネット」の類似した称呼を生じ得ることは否定できないとしても、両商標は、外観において顕著な差異があり、両商標から受ける印象を全く異にするものであるから、電子計算機に関連する役務との関係における「CYBER NET」の語の識別力の極めて弱いことをも併せ考慮すれば、取引の場において、本件商標から使用商標を連想することはなく、本件商標を使用した役務が使用商標を使用した役務とその出所について誤認混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。 したがって、本件商標と使用商標とは、その称呼が類似することのみをもって類似する商標であるとすることはできない。 (3)使用商標の周知・著名性について (ア)この点について、請求人は、請求人会社は2004年9月には東証1部に上場、2006年3月期の決算においては、グループ連結で売上高173億円、経常利益25億を計上するに至っており、電子計算機を用いて行う情報処理・受託解析・科学技術計算処理、とりわけ構造解析・音響解析・機構解析・熱流体解析の分野においては、取引者・需要者の間で広く認識されるに至っている旨述べており、また、これらに使用されている使用商標は、請求人会社がその前身である日本シーディーシー株式会社の時代から需要者向け定期情報誌として発行してきた「CYBERNET NEWS(サイバネットニュース)」の標題としても永年に亘って使用してきたものであり、取引者・需要者の間において広く知られている旨述べて、甲第13号証ないし甲第123号証(1982年5月ないし2005年Spring発行の「CYBERNET NEWS」)を提出している。 (イ)しかしながら、「CYBERNET NEWS(サイバネットニュース)」の創刊号である甲第13号証には「弊社は、コントロール・データ社の日本法人として、コンピュータ・システムの販売、コンピュータ周辺機器の販売、さらに情報処理サービスの提供へと年々ビジネスを拡大し・・・」と記載されているように、請求人の業務範囲は、電子計算機を用いて行う情報処理サービスに限られるものとはいえない。そうとすれば、2006年3月期の決算において、グループ連結で売上高173億円、経常利益25億を計上していたとしても、電子計算機を用いて行う情報処理サービスに係る売上高がどれほどのものであったかは明らかではない。 (ウ)また、確かに、「CYBERNET NEWS(サイバネットニュース)」をみれば、該定期情報誌が請求人(請求人の前身の会社を含む)により発行されてきたものであり、電子計算機を用いて行う情報処理・受託解析・科学技術計算処理等々、電子計算機を用いて行う情報処理サービス等の紹介記事が掲載されていることから、間接的には、該役務等の広告・宣伝的な機能をも果たしているといえなくはない。 しかしながら、該情報誌に使用されている商標は、あくまでも定期情報誌の題号としての使用であり、該情報誌が長期間に亘って発行されていたからといって、直ちに、電子計算機を用いて行う情報処理サービス等に使用されていた商標までが取引者・需要者の間において広く知られていたとはいえない。しかも、請求人は、別紙として掲げた別掲(2)の商標が電子計算機を用いて行う情報処理サービス等に使用されていた旨述べて、商標のみを表示しているが、これを裏付けるに足る、例えば当該役務に係るパンフレットやカタログ等も提出されていないから、電子計算機を用いて行う情報処理サービス等に実際に使用されていた商標がどのようなものであるのかも明らかではない。 (エ)加えて、請求人は、本件商標出願前3年においても、概ね年間1万件弱の法人相手に「CYBERNET NEWS」を送付しており、機械工業の法人のうちの資本金1千万円以上の法人数51559社の全てを需要者層であると仮定しても、その約20%の法人に対してアクセスを行っていたことになる旨述べている。 しかしながら、年間1万件弱の法人に該情報誌を送付していたことを裏付ける証拠も提出されておらず、また、請求人の取引対象が機械工業の大企業に限られていたとしても、それは請求人の事業内容に伴う事情というべきことであって、一般的にみて、「電子計算機を用いて行う情報処理」という役務に係る需要者が機械工業の法人に限られる訳でもなく、ましてや資本金が1千万円以上の法人に限られるとする理由も見当たらない。 (オ)また、請求人は、請求人会社が「サイバネット」と略称され、あるいは「CYBERNET」と表記され認識されてきた旨主張して、甲第124号証ないし甲第130号証(G-Searchによる新聞情報)を提出している。 しかしながら、新聞の記事における社名の表示は、紙面の制約上等の理由から、簡略にできるところはなるべく簡略な表示をもって表されていることはしばしば見受けられるところであり、甲第125号証ないし同第129号証の新聞記事においては、いずれも、冒頭部分や記事中において、「サイバネットシステム」の表記をしたうえで、「サイバネット」の表示を用いているものであり、また、甲第124号証の新聞記事によれば、「米国CDCは、・・・科学技術情報を処理するサービス網『CYBERNET(サイバネット)』を中心に情報処理事業を展開している。」と記載されており、必ずしも、請求人を指称しているものとは認められない。 してみれば、これらの記事中の「サイバネット」の表記は、紙面構成の都合上、簡略な表示を使用したものとみるのが相当であり、このような表記があるからといって、直ちに、請求人が「サイバネット」と略称され、あるいは「CYBERNET」の表記をもって認識されてきたものとはいえない。 更に、請求人は、請求人会社のホームページのドメイン名にも商号の略称である「cybernet」の文字を使用している旨主張して甲第131号証ないし同第136号証を提出している。 しかしながら、個人や法人がドメイン名に自己の名前や社名の一部を使用することは極めて一般的に行われていることであるから、ドメイン名に自社の社名の一部が使用されているからといって、当該略称部分が周知・著名であるとはいえない。 そして、仮に、請求人会社が「サイバネット」と略称され、あるいは「CYBERNET」と表記され認識されていたとしても、そうであるからといって、そのことが直ちに、「電子計算機を用いて行う情報処理」という役務が「CYBERNET/サイバネット」の商標のもとに広く知られていたことの証左となるものとはいえない。 (カ)そうとすれば、使用商標が請求人の業務に係る電子計算機を用いて行う情報処理サービス等の役務の商標として使用されていたであろうことは推認し得るとしても、提出に係る証拠をもってしては、その主張を認めるに充分なものではなく、本件商標の登録出願時及び査定時において、使用商標が該役務に係る商標として取引者・需要者の間において広く知られていたことを認めることはできない。 (4)商標法第4条第1項第10号の該当性について 以上のとおり、本件商標と使用商標とは、称呼において類似するところがあるものの、全体としてみた場合においては、誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきものであり、しかも、本件商標の登録出願時及び査定時において、使用商標は、請求人の業務に係る電子計算機を用いて行う情報処理サービス等の役務の商標として取引者・需要者の間において広く知られていたとは認められないものである。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の要件のうち、「他人(請求人)の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標・・・について使用をするもの」の要件を充足していないから、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、同号に違反してされたものということはできない。 (5)商標法第4条第1項第15号の該当性について 本件商標と使用商標との関係及び使用商標の著名性に関しては、上記のとおりであるから、被請求人が本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その役務が請求人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。 したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものということはできない。 2 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について (ア)本件商標は、前記したとおりに判断されるものであるから、本件商標からは、その構成文字に相応して「サイバーネット」の称呼を生じ得るものということができる。 (イ)他方、引用商標1は、別掲(3)に示したとおり、大きく表された図形の下にやゝ小さめの欧文字をもって「CYBERNET」と「SYSTEMS」の文字を二段に書してなるものであるところ、これを構成する欧文字は二段に書されているとはいえ、外観上まとまりよく一体的に表現されており、「CYBERNET」の文字部分のみが強調され強く印象付けられる構成からなるものでもなく、これより生ずる「サイバーネットシステムズ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。そして、「CYBERNET/SYSTEMS」の文字(語)は、請求人の略称を欧文字で表した場合の表記に通じるものである。 そうとすれば、引用商標1の欧文字部分は、全体をもって一体不可分のものと認識され把握されるとみるのが自然であり、該文字の全体に相応して「サイバ(ー)ネットシステムズ」の一連の称呼のみを生じるものというべきである。 また、引用商標2は、別掲(4)に示したとおり、「サイバネットシステム株式会社」の文字と「CYBERNET SYSTEMS CO.,LTD.」の文字を二段に書してなり、その左側に図形を配した構成からなるところ、これを構成する上段及び下段の各構成文字は、いずれも外観上まとまりよく一体的に表現されていることから、各段のいずれからも、一連一体の称呼を生ずるとともに、「株式会社」及び「CO.,LTD.」の文字部分は法人格を表すものであるから、この部分が省略され、請求人の略称に通じる「サイバネットシステム(ズ)」の称呼をも生ずるものと認められる。 (ウ)そこでまず、これらから生ずる称呼を比較するに、本件商標から生ずる「サイバーネット」の称呼と引用商標1から生ずる「サイバ(ー)ネットシステムズ」及び引用商標2から生ずる「サイバネットシステム(ズ)」の称呼とは、その音構成において明らかな差異を有するものであるから、両者は、称呼において類似するものとはいえない。 次に、観念の点についてみるに、前述したとおり、その指定役務との関係において、「CYBER NET」の語の自他役務識別力は弱いものではあるが、本件商標の欧文字部分からは「コンピュータネットワーク」程の意味合い(観念)を生ずるのに対して、引用商標1の欧文字部分からは「コンピュータネットワークのシステム」程の意味合い(観念)あるいは、請求人の略称である「サイバネットシステム」の意味合い(観念)を生じ、また、引用商標2からは、請求人の社名である「サイバネットシステム株式会社」の意味合い(観念)を生ずるものであるから、本件商標と引用商標1及び2とは、観念においても類似するものとはいえない。 更に、本件商標と引用商標1及び引用商標2の外観は前記したとおりのものであるから、全体の外観においては判然とした差異があるばかりでなく、各図形部分及び各欧文字部分を比較してみても、明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観においても類似するものとはいえない。 したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、いずれも第42類の役務を指定するものであり、指定役務において抵触するものではあるが、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 (2)本件商標と引用商標3との類否について 引用商標3は、前記したとおり、「CYBERNET」の欧文字を横書きしてなるものである。 そうとすれば、本件商標の欧文字部分と引用商標3とは、欧文字部分が不可分一体に構成されているか否かの差異があるものの、いずれも「CYBER」と「NET」の文字を構成中に有しており、「サイバーネット」の称呼を生ずる点において共通性を有しているということができる。 しかしながら、前記したとおり、コンピューター(電子計算機)に関連する役務との関係においては、「CYBER NET」の語の自他役務識別力は弱いものというべきであるから、少なくとも、本件商標に接する取引者・需要者は、顕著に表された図形部分を捨象して、「CYBER NET」の文字部分のみを捉えて取引に当たるものとはいい難いばかりでなく、本件商標の指定役務中の請求に係る役務と引用商標3の指定商品とは類似するものとは認められない。 この点について、請求人は、引用商標3の指定商品中の「電子応用機械器具」と本件商標の指定役務中の「電子計算機の貸与」とは、同一の主体が行っているケースが多々見られる他、販売・提供の場所も共通にする旨主張しているが、通常、「電子応用機械器具」に係る商標は電子応用機械器具を製造・販売する者が付するものであるのに対して、「電子計算機の貸与」に係る商標は貸与を業として行っている者が付するものであって、例外的なケースがあるとしても、「電子応用機械器具」と「電子計算機の貸与」とを類似の商品・役務として扱わなければならない程に、該商品・役務を扱う主体や販売・提供の場所等が一致しているということはないものというべきであり、請求人もその主張を裏付けるに足る証拠を提出していない。 してみれば、本件商標と引用商標3とは、称呼において共通するところがあるものの、全体としてみた場合においては、誤認混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきものであり、しかも、互いの指定役務と指定商品とは類似するものとは認められない。 (3)したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものということはできない。 3 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中の「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機を用いて行う情報処理,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与」について、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)本件商標 (2)使用商標(色彩については原本参照) (3)引用商標1(色彩については原本参照) (4)引用商標2 |
審理終結日 | 2007-06-04 |
結審通知日 | 2007-06-07 |
審決日 | 2007-06-20 |
出願番号 | 商願平11-83893 |
審決分類 |
T
1
12・
271-
Y
(Z42)
T 1 12・ 25- Y (Z42) T 1 12・ 26- Y (Z42) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 水落 洋、末武 久佳 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 津金 純子 |
登録日 | 2001-08-17 |
登録番号 | 商標登録第4499988号(T4499988) |
商標の称呼 | サイバーネット、サイバー |
代理人 | 中山 俊彦 |
代理人 | 下坂 スミ子 |
代理人 | 松田 三夫 |
代理人 | 峯 唯夫 |