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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y29
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y29
管理番号 1162383 
審判番号 不服2004-22077 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-10-27 
確定日 2007-07-25 
事件の表示 商願2003- 85492拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「ファイバーサプリ」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する「食物繊維を主たる成分とする顆粒状・タブレット状・粒状・ソフトカプセル状・粉末状・錠剤状・液状・ペースト状・ジェル状の加工食品,食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として、平成15年10月1日に登録出願されたものである。

第2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『食物繊維を補強するための栄養補助食品』の意味合いを認識させる『ファイバーサプリ』の文字を標準文字で書してなるから、これをその指定商品中『食物繊維を主たる成分とする顆粒状・タブレット状・粒状・ソフトカプセル状・粉末状・錠剤状・液状・ペースト状・ジェル状の加工食品』に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、所定の期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した証拠調べ通知の内容は、下記のとおりである。

1.辞書等
(ア)ファイバー:繊維。細い線状のもの。バルカン‐ファイバーの略。(「広辞苑第五版」発行所 株式会社岩波書店 1998年11月11日第5版第1刷発行)
(イ)ファイバー:繊維。皮の代用品。木綿、またはパルプの繊維を圧しかためたもの。電気絶縁体などに使われる。ステープル-ファイバー。ダイエタリー-ファイバー。(「コンサイスカタカナ語辞典第2版」発行所 株式会社三省堂 2002年11月1日第6刷発行)
(ウ)ファイバー:繊維。繊維質のもの。木綿やパルプの繊維を圧して固めたもの。電気絶縁体などに用いる。栄養価の少ない繊維食物。ダイエタリー ファイバーの略。(「imidas 現代人のカタカナ語 欧文略語辞典」発行所 株式会社集英社 2006年4月30日第1刷発行)
(エ)ダイエタリー・ファイバー:食物繊維。(「コンサイスカタカナ語辞典第2版」発行所 株式会社三省堂 2002年11月1日第6刷発行)
(オ)ダイエタリー ファイバー:食物繊維。食物中にある消化されない成分で、海草類、穀物の外皮や野菜・果実などに多く含まれる。便秘を予防し、食物中の有害物質を吸着・排泄する働きがある。(「imidas 現代人のカタカナ語 欧文略語辞典」発行所 株式会社集英社 2006年4月30日第1刷発行)
(カ)サプリメント:ダイエタリー・サプリメントの省略形。「健康補助食品」とか「栄養補助食品」と訳される。主にビタミンやミネラル、アミノ酸など、日頃不足がちな栄養成分を補助するものをさす。(「現代用語の基礎知識2006」 発行所 自由国民社 2006年1月1日発行)
2.新聞記事およびインターネット情報等
(ア)「サプリメント 手軽に『健康』市場膨張(キーワードの周辺:11)」(2004.03.21 朝日新聞 東京朝刊)の見出しのもと「【サプリメント】 日常の食事では不足しがちな栄養素を補う食品のこと。粒状かカプセル状のものを指すことが多い。サプリとも呼ばれる。」の記載。
(イ)「街はサプリブーム 美容気遣う女性に人気 品目増え市場確立」(2005.10.22 愛媛新聞 朝刊)の見出しのもと「・・・・グンと身近な存在になったのがサプリメント(栄養補助食品)。雑誌やテレビでは新情報が次々紹介され、店頭には所狭しとサプリが並ぶ。・・・・」の記載。
(ウ)「足りない食物繊維 健康維持へ食品続々」(2005.05.08 産経新聞 東京朝刊 )の見出しのもと「野菜不足が気になる人は、食物繊維も足りない傾向が強い。・・・今月十八日は『ファイバーの日』。・・・厚生労働省の平成十七年版『日本人の食事摂取基準』では、健康を維持するのに十分な一日当たりの食物繊維の摂取目安量を二十-二十七グラム(二十-四十九歳)と定めた。しかし、近年は減少する一方で、約十四グラムしかとれていない。そんな現状を踏まえ、今年二月、専門家らによる学術団体『ファイバーアカデミア』が発足した。体内の老廃物や毒素を吸着し、排出する食物繊維の働きを利用した新健康法『ファイバーデトックス』(デトックスは解毒の意)を通して、食物繊維の重要性を消費者に訴えるためだ。・・・≪第6の栄養素≫ 食物の5大栄養素に加え、『第6の栄養素』といわれる食物繊維。不足しがちな現代人に増えているのが便秘。便が大腸にとどまって悪玉菌の巣窟(そうくつ)となり、免疫力も低下。肌荒れや体の不調につながる。・・・食物繊維は整腸作用だけでなく、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病を予防・改善する効果も明らかになっている。食物繊維(植物性)は大きく、水溶性、不溶性の2種類に分けられる。水溶性は、こんにゃくや海藻などに多く含まれ、血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する。不溶性は豆や根菜に豊富で、便通をよくする働きがある。」の記載。
(エ)「食物繊維を食べよう 和食から洋食…で、摂取量激減」(2005.11.11 産経新聞 大阪朝刊)の見出しのもと「・・・・野菜中心の和食から洋食へと変わり、日本人の食物繊維摂取量は激減しているという。そこで、食物繊維の啓発を目的にした学術団体が結成されたほか、食品メーカーなども共同でプロジェクトを立ち上げ、食物繊維入りのお菓子やお茶といった商品を開発している。・・・・光岡知足・東大名誉教授らが発起人となり、学術団体『ファイバーアカデミア』を結成。・・・食物繊維の機能に着目し、汚れた腸をきれいにして健康な身体をつくっていこうと、啓発活動などを行っている。・・・食事から摂取するのが理想だが、同団体事務局は『旬の野菜を使った料理で、味覚の秋を楽しみ、足りない部分で(補助食品を)活用すると良いですね』と呼び掛けている。」の記載。
(オ)「日本製粉、健康食品の販売を強化、外食産業と提携も」(1988.06.24 化学工業日報)の見出しのもと「・・・同社は、食品部門の一つとして昭和40年代から健康食品市場に参入し、・・・・現在のところ、小麦胚芽油のトップブランド『ハイガッツE』をはじめ、食物繊維(ファイバー)商品、クロレラ、茶など揃えている。・・・」の記載。
(カ)「【健康食品】女性向け飲料など12品」(1999.03.15 Pharmaweek 株式会社じほう)の見出しのもと「スティックタイプのファイバー ◆小林製薬は、不足しがちな食物繊維を手軽に補うことができる健康食品『イージーファイバー』をより使いやすいスティックタイプに包装をリニューアルして発売した。」の記載
(キ)「【サプリメント・リポート】(3)その原料は、食べ物か否か」(2005.06.15 産経新聞 東京朝刊)の見出しのもと「サプリメントは法制上、“食品”に分類されますが、その原料を見ると、・・・あるいは乳酸菌やプロテイン(タンパク質)、ファイバー(食物繊維)、魚油の成分のEPAやDHA、魚のにこごりに含まれるコラーゲン、緑茶の成分のカテキンなども食品に含まれる栄養素で、サプリメントはその成分を抽出・濃縮してつくります。」の記載。
(ク)大塚製薬株式会社のホームページにおいて「ネーチャーメイド」の商品概要中に「ファイバー(食物繊維)」(http://www.otsuka.co.jp/product/naturemade/)の記載。
(ケ)ハーバライフ・オブ・ジャパン株式会社の「News Release」のPDFファイル中に「・・・製品特徴・・・お勧めのファイバーサプリメント・・・製品概要 品名 アクティブファイバー(パウダータイプの食物繊維サプリメント)」(http://www.herbalife.co.jp/hl_about/pdf/200610NR_ActiveFiber.pdf)の記載
(コ)GNLDインターナショナルの「GR2コントロール」のウェブサイト中に「ファイバーサプリメント ・・・ファイバー(食物繊維)は胃での消化と、炭水化物の血液への流入を遅らせ・・・」(http://gr2control.jp/product/fiber?cat_id=8)の記載。
(サ)サプマートU.S.A.の「supmart」のウェブサイト中に「デイリーファイバーは、毎日の食物繊維補充に理想的なファイバーサプリメントです。」(http://www.supmart.com/search/?pid=6565)の記載。
(シ)「知って得する情報:単一アミノ酸サプリ、協和発酵工業「リメイクシリーズ」4種」(2004.09.10 百歳元気新聞 日本食糧新聞社)の見出し記載。
(ス)小林製薬グループの「爽快ドラッグ」のウェブサイト中に「Category 健康食品・・・ダイエットサプリ・・・ビタミンサプリ・・・」(http://store.yahoo.co.jp/soukai/b7f2b9afbfa9c9ca-a5d3a5bfa5dfa5f3a5b5a5d7a5eaa5e1a5f3a5c8.html)の記載。
(セ)「日経ヘルス」のホームページにおいて「[2006/10/06] 辛くないトウガラシのダイエットサプリ 味の素が販売開始・・・[2006/09/19]資生堂、αリポ酸とフィチン配合の解毒サプリを新発売 有用ミネラルを補うサプリとの併用を提案 」 (http://nh.nikkeibp.co.jp/nh/supli/index.shtml)の記載。

第4 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、前記第1のとおり、「ファイバーサプリ」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「ファイバー」の文字は、「繊維。細い線状のもの。」の意味を有する語として理解されるほか、「ダイエタリーファイバー(食物繊維)」を表す語として、また、同じく「サプリ」の文字は、「健康補助食品、栄養補助食品」の意味を有する語である「ダイエタリー・サプリメント」の省略形である「サプリメント」の略称あるいは「サプリメント」と同様の意味合いを有する語として認識されていると認められる。
そして、本願商標を構成する「ファイバーサプリ」の文字は、一体として特定の意味を有する成語とも認められないものであるから、本願商標は、上記の「ファイバー」と「サプリ」の両語を結合してなるものと容易に看取し得るものである。
ところで、「ファイバーサプリ」の文字についての平成18年12月12日付け証拠調べ通知書により通知した事実によれば、昨今の食生活の変化に伴う食物繊維の不足が指摘される中、健康補助食品及び栄養補助食品等のいわゆる健康食品を取り扱う業界のみならず、菓子等一般の食料品を取り扱う業界においても、「食物繊維」の摂取に重きを置いた商品が各種、販売されているところである。
そして、(1)いわゆる健康食品及び食料品を取り扱う業界において、「ファイバー」の文字が「食物繊維」を表すものとして認識、理解されていること、(2)「食物繊維」成分を摂取・補充するためのいわゆる健康食品について「ファイバーサプリメント」、「食物繊維サプリメント」の文字が使用されていること、さらに、(3)いわゆる健康食品を取り扱う業界において、「サプリ」の文字が「サプリメント」の略語として使用されていることに加えて、当該商品の主な摂取成分あるいは効果、効能等を、例えば、「アミノ酸サプリ」、「ダイエットサプリ」、「ビタミンサプリ」のように表示して、使用されている実情が認められる。
そうすると、いわゆる健康食品との関係において、「食物繊維」の意味合いを理解する「ファイバー」の文字と「サプリメント」の略語として使用されている「サプリ」の文字を一連に結合してなるものと認められる「ファイバーサプリ」の文字は、これに接する取引者、需要者をして、全体として「食物繊維を配合してなるサプリメント」程の意味合いを容易に認識、理解させるものであるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「食物繊維を主たる成分とする顆粒状・タブレット状・粒状・ソフトカプセル状・粉末状・錠剤状・液状・ペースト状・ジェル状の加工食品」に使用しても、自他商品を識別するための標識としての機能を有せず、単に商品の品質を表示するにすぎないものであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
2 請求人の主張について
請求人は、平成19年1月29日付で意見書を提出し、前記第3の証拠調べ通知に対して「本願商標は、一連一体の構成からなる造語であり、これが自他商品の識別機能を有するか否かは、その構成全体をもって判断されるべきである。また、インターネットの検索によると、殆どが、請求人に係るものである『ファイバーサプリ』の文字が商品の品質を記述したものとして、普通に使用されているとはいい得ない。」旨、述べるとともに、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁平成12年(行ケ)第76号)」と判示されている。
そうすると、仮に、本願商標を構成する「ファイバーサプリ」の語が、造語であるとしても、それを構成する各単語の語義から前記意味合いを有する複合語として認識されるものであり、また、該文字が商品の品質等を表すものとして実際に使用されていないとしても、本願商標をいわゆる健康食品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、全体として、商品の品質等を表示するものとして理解するにすぎないものとみるのが相当であること上述のとおりである。
また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、過去の登録例に拘束される理由はない。
したがって、上記、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 結び
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-05-22 
結審通知日 2007-05-28 
審決日 2007-06-12 
出願番号 商願2003-85492(T2003-85492) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y29)
T 1 8・ 272- Z (Y29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深沢 美沙子 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 関根 文昭
堀内 仁子
商標の称呼 ファイバーサプリ 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 小谷 悦司 

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