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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y30 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y30 |
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管理番号 | 1161056 |
異議申立番号 | 異議2005-90309 |
総通号数 | 92 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2005-06-20 |
確定日 | 2007-06-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4848938号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4848938号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4848938号商標(以下「本件商標」という。)は、「メープルデザート」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成16年8月18日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同17年3月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要点 本件商標の構成における「メープル」の文字は、メープルシロップを略称するものとして理解され、また、甲第1号証ないし甲第6号証が示すように、メープルシロップを使用した食品について、その風味を表示又は表現するために普通に使用されているものと認められる。 そうとすると、本件商標は、これをメープル風味の商品以外の商品に使用した場合には、その品質につき誤認を生じさせるおそれがある(商標法第4条第1項第16号)。 一方、本件商標の構成における「デザート」の文字は、本件指定商品との関係上、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであることが明らかと言わざるを得ず、そうとすれば、前記「メープル」とこの「デザート」の文字を一連に結合してなる本件商標は、本件指定商品中の商品との関係において、当該商品がメープル風味のデザート菓子であるということ、すなわちその品質を認識させるにとどまる(商標法第3条第1項第3号)。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同法第4条第1項第16号に該当するものであり、商標法第15条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。 3 本件商標に対する取消理由の要旨 当審は、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成18年5月11日付けで通知した商標登録の取消の理由の要旨は、次のとおりである。 本件商標を構成する「メープル」の文字よりは、その指定商品との関係において、「メープルシロップ」(楓の樹液を煮詰めることにより得られる天然の甘味料。)の意味合いを容易に想起するものであり、また、構成中の「デザート」の語よりは「デザート菓子」の意味合いを容易に想起するものである。 そうとすれば、本件商標をその指定商品中の「メープルシロップ」を使用した「メープル風味のデザート菓子」について使用するときは、商品の品質、原材料を表示するにすぎないものというべきである。 さらに、本件商標を上記文字に照応する商品以外の「菓子及びパン」について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見の要旨 上記3の取消理由に対する商標権者の意見は、要旨次のとおり述べ、証拠として乙第1号証ないし乙第17号証を提出している。 (1)「メープル」の文字は「カエデ」等を意味するものであり、直ちに「メープルシロップ」の意味が生じるものではないため、具体的かつ直接的に商品の品質、原材料を表すものではない。 (2)カタカナ表記の「デザート」にもいくつもの意味があり、必ずしも「デザート菓子」を指すものとは特定できず、本件商標においては、「カエデ」を意味する「メープル」の文字と結びついたときには、全体で「楓の功績」や「カエデの砂漠」等、商品との関係のない観念が生じるものである。 (3)「メープルデザート」の文字は造語であり、指定商品の品質や原材料を表すものとして普通に使用されているという事実がみられない。 (4)申立人が示す、指定商品を取り扱う業界における「メープル」の使用例は、古いものであり、登録査定時及び現在の判断には影響を与えるものではない。 (5)「メープルシロップ風味のデザート菓子」を表すには、「メープルシロップ」や「メープルシュガー」、「メープル風味」、「デザート菓子」、「DESSERT」などの語や、これらの組み合わせにより表示する一般的な方法があるため、本件商標を独占することは、何ら公益を害するものではない。 (6)「メープル」又は「デザート」の文字を含むものの審査例からも、主張を裏付けられる。 (7)以上のとおり、本件商標が「メープル風味のデザート菓子」を意味するものとして商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとされた取消理由は、誤りである。 5 当審の判断 (1)前記3において記載したとおり、本件商標の構成中の「メープル」の文字よりは、その指定商品との関係において、「メープルシロップ」(楓の樹液を煮詰めることにより得られる天然の甘味料。)の意味合いを容易に想起するものであり、また、同構成中の「デザート」の文字よりは「デザート菓子」の意味合いを容易に想起するものである。 そうとすれば、本件商標をその指定商品中の「メープルシロップ」を使用した「メープル風味のデザート菓子」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、当該商品の品質、原材料を表わしたものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識せず、また、これを前記以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 (2)ところで、商標権者は、前記4のとおり、意見書において、本件商標中の「メープル」の文字は「カエデ」等を意味するものであり、直ちに「メープルシロップ」の意味が生じるものではないため、具体的かつ直接的に商品の品質、原材料を表すものではない(乙第1号証ないし乙第5号証)。また、「デザート」にもいくつもの意味があり(乙第6号証)、必ずしも「デザート菓子」を指すものとは特定できず、本件商標においては、「カエデ」を意味する「メープル」の文字と結びついたときには、全体で「楓の功績」や「カエデの砂漠」等、商品との関係のない観念が生じるものである。そして、「メープルデザート」の文字は造語であり、指定商品の品質や原材料を表すものとして普通に使用されているという事実がみられない旨、意見を述べている。 しかしながら、登録異議の申立ては、登録された商標出願がその査定時において拒絶の理由に該当するか否かを判断するところ、本件商標は、査定時において前記3のとおり、商品の品質、原材料を表示するに過ぎないものと判断するのが妥当であるから、申立人の主張は採用できない。 なお、本件商標を構成する「メープル」及び「デザート」の各文字が、登録査定時及び現在においても、取消理由で通知した意味合いで使用されている事実は、以下のとおりである。 (ア)「メープル」の文字が、「メープルシロップ」の意味合いで使用されている事実について (ア-1)「カナディアンスピリット」のホームページ(http://www.canada-business.co.jp/canadian-spirit/)において、「メープルクッキー」の見出しで、「Maple Country Cookies」と明記された商品の包装箱を掲載し、「特徴」として、「カナダ定番メープル・クリームクッキーです。」との記載、そして、その下に「カナダの特産品であるメープルシロップは、かえでの樹液を精製した100%純粋の天然甘味料です。」との記載がある。 (ア-2)「maple-life.com」のホームページ(http://maple-life.com/)において、「高橋雅子さんのレシピ『メープル蒸しパン』」の見出しで、「メープルシロップ定番『パンケーキ』レシピを高橋雅子さんが伝授してくだいました!」との記載がある。 (イ)「maple」の語が、「メープルシロップの風味」「メープルシロップ」等の意味合いを有する語であるとの事実について (イ-1)インターネットYAHOO!JAPAN辞書検索:プログレッシブ英和中辞典の「maple」の語意に、「2 メープルシロップの風味.」との記載がある。 (イ-2)「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社。2002年3月発行)の「maple」の語意に、「4 メープルシロップ.かえで糖の芳香.」との記載がある。 (イ-3)「小学館ランダムハウス英和大辞典」(株式会社小学館。1999年1月10日発行)の「maple」の語意に、「3 メープルシロップ〔カエデ糖〕の風味.」との記載がある。 (ウ)「デザート」の文字が、「菓子」の意味合いで使用されている事実について (ウ-1)「お買物劇場」のホームページ(http://www.okaimonogekijo.com/index.html)の、「春の人気デザート&スイーツ特集」のページにおいて、「やっぱり『花より団子』?ぜひ厳選デザートをご賞味ください。」の見出しで、「ケーキ、シュークリーム、アイス、串だんご、他」のデザートを紹介している記載がある。 (ウ-2)「インターネットYAHOO!JAPANショッピング」のホームページ(http://shopping.yahoo.co.jp/)の、「フード、ドリンク」の「菓子、デザート」のページにおいて、「菓子、デザート」の具体的商品のカテゴリーとして、「アイスクリーム、飴、キャンディー、クッキー、ビスケット、ケーキ、シュークリーム、他」の記載がある。 (ウ-3)「ECナビ」のホームページ(http://ecnavi.jp/)の、「フード・ドリンク」の「お菓子・デザート」のページにおいて、「お菓子・デザート」のカテゴリー一覧に、「スナック菓子、あめ・キャンディ・ガム、ケーキ、クッキー・ビスケット、チョコレート、他」の記載がある。 (エ)「dessert」の語が、「デザート」「菓子」等の意味合いを有する語であるとの事実について (エ-1)インターネットYAHOO!JAPAN辞書検索:新グローバル英和辞典の「dessert」の語意に、「デザート(食事の最後のコース;ケーキ,パイ,果物,アイスクリームなど)」との記載がある。 (エ-2)「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社。2002年3月発行)の「dessert」の語意に、「1 デザート(食事の最後に出されるパイ・プディング・ゼリー・アイスクリーム・果物など).」との記載がある。 (エ-3)「小学館ランダムハウス英和大辞典」(株式会社小学館。1999年1月10日発行)の「dessert」の語意に、「デザート.1 食事の最後のコースにとる菓子,チーズなど.」との記載がある。 以上の事実を総合すると、本件商標について、上記3のとおり通知した取消理由の認定、判断は、妥当なものと言わざるを得ない。 (3)商標権者は、登録例をあげて、本件商標も自他商品の識別力が認められて然るべきものであると主張するが、商標の登録の可否については個別具体的に判断すべきものであり、本件商標については上記のとおり判断するのが相当であるから、商標権者の主張は採用することができない。 (4)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-04-16 |
出願番号 | 商願2004-76235(T2004-76235) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
Z
(Y30)
T 1 651・ 13- Z (Y30) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 梶原 良子 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
伊藤 三男 岩崎 良子 |
登録日 | 2005-03-18 |
登録番号 | 商標登録第4848938号(T4848938) |
権利者 | 江崎グリコ株式会社 |
商標の称呼 | メープルデザート、メープル |
代理人 | 河野 茂夫 |