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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200322975 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服2003853 審決 商標
不服200225216 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y37
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y37
管理番号 1160970 
審判番号 不服2006-1080 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-01-16 
確定日 2007-07-12 
事件の表示 商願2004-112396拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第37類「有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」を指定役務として、平成16年12月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、害虫の皆殺しを目指して殺虫剤を乱用するのではなく、不必要な殺虫剤散布を減らすことによって天敵が生き残り、害虫を抑えていく総合防除法の意味合いを認識・理解させる『総合防除』の文字と、上記意味合いの英文表記である『Integrated pest management』の略称を表示したものと認識・理解される『IPM』の欧文字を商標見本に表示したように表しているが、これを本願の指定役務中例えば『シロアリ等の総合防除を主とする有害動物の防除』に使用しても、需要者は単に不必要な殺虫剤散布を減らすことによって天敵が生き残り、害虫を抑えていく総合防除法の意味合いを認識・理解するにすぎない即ち需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、「総合防除」と大きく横書きされた文字と、その各文字間に、小さく「I」、「P」、「M」の欧文字を1文字ずつ配置した構成よりなるところ、これを一体不可分の語として「総P合I防M除」と認識すべき事情はもとよりなく、「総合防除」の文字も、「IPM」の文字も、それぞれに、同一の書体及び大きさ並びに等間隔で書してなり、かつ、後述のとおり、共に、特定の意味合いを有する既成語であること等を考慮すれば、本願商標に接する取引者、需要者は、これよりは「総合防除」及び「IPM」の文字を結合してなる商標と認識するというのが自然である。
これにつき、請求人は、本願商標は、全体で単一の商標を構成しているものであり、字体及び称呼の異なる2種類の文字列が交互に配置されて表示されている点に特別顕著性を有している旨主張しているが、上記のとおり、字体、大きさが顕著に異なる各文字列を配置してなる本願商標については、これに接する取引者、需要者は、まず、大きく顕著に表された「総合防除」の文字に着目し、次いで、その付記的な表示として「IPM」を認識するとみるのが相当であるから、結局のところ、このような構成態様であることのみをもっては、自他役務識別標識として機能するものとはいい得ない。
(2)そして、本願商標を構成する「総合防除」の文字は、「病害・虫害・雑草などを、農薬・天敵・耐病性品種・作物の栽培法その他種々の有効な防除手段を組み合せ、作物生産の総合的な観点に立って防除すること。」(岩波書店「広辞苑」(第5版)1544頁)を意味する語として、また、「IPM」の文字は「[integrated pest management](pestは害虫の意)ゴキブリ・ネズミ・害虫などの有害生物を、統合的に管理する手法。生物的手法(点滴など)・化学的手法(殺虫剤など)・物理的手法(罠など)などを統合的に用い、人間と有害生物との持続的な棲み分けをめざす。統合的ペスト・マネジメント。」(三省堂「コンサイスカタカナ語辞典」(第3版)1327頁)を意味する語として、それぞれ、一般に認識、理解されているというのが相当である。
これについて、請求人は、「IPM」の語は、「総合防除」以外の意味でも使用されていること、及び一部の専門家には「総合防除」の英文略称として知られているとしても、国内の一般企業、自営業者又は一般家庭に広く知られているとはいえず、したがって、該語が品質等を直感させるような表示であるとはいえない旨主張している。
しかしながら、上記のとおりの構成よりなる本願商標に接した場合、商標構成中の「IPM」の文字部分について、取引者、需要者がどのように認識、理解するかは、本願商標全体の構成や、指定役務との関係から判断されるべきである。
すなわち、(i)上記のとおり、「IPM」の文字が、「総合防除」の文字に比べて断然小さく、しかも大きな漢字に遮られるように断続的に配置してなることから、看者には、独立した識別標識というよりはむしろ、「総合防除」の付記的な文字として認識されることが多いというのが相当であること、(ii)そもそも、「総合防除」の語は、1960年代に米国や国連の世界食糧機構(FAO)等によって提唱された概念である「IPC(Integrated Pest Control)」又は「IPM(Integrated Pest Management) 」の和訳の一であり(谷利一著「ゴルフコースの病害虫、雑草対策 総合防除戦略」1頁 平成9年 ソフトサイエンス社)、新聞記事やインターネット情報において、両語は併記的に記載されていることが多いこと(下記(ア)ないし(カ)参照。)、(iii)本願指定役務である「有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものを除く。)」の取引者、需要者は、当該役務に関し、相当程度の基礎知識を有しているものとみるのが相当であることなどを考慮すれば、本願商標構成中の「IPM」の文字は、そもそも、独立した識別標識とは認識されないか、あるいは、「総合防除」を意味する「Integrated Pest Management」の略語であると理解、認識されるというべきである。
(ア)2006年9月1日 日本食糧新聞
「日本環境衛生センター、害虫由来異物混入対策講習会を11月14日開催」のタイトルの下、
「IPM=総合的有害生物管理、総合防除。」との記載がある。
(イ)2005年4月29日 朝日新聞 東京朝刊 29頁
「情報クリップ」のタイトルの下、
「●室内殺虫剤散布勉強会「どうする? ゴキブリ、蚊対策・殺虫剤散布でいいのか?」 5月11日午後3時?同5時、東京都千代田区の参議院議員会館第4会議室(地下鉄永田町駅)。室内で散布される殺虫剤の健康被害を報告し、IPM(総合防除)の現状、必要な対策を話す。500円。反農薬東京グループ(0424・63・3027)。」との記載がある。
(ウ)1993年12月9日 日刊工業新聞 18頁
「農薬のジレンマ(12)次世代製品の開発-総合防除法など主流に」のタイトルの下、
「こうした状況を踏まえ、各メーカーが主張するのが総合防除法(IPM)の確立だ。各種の防除方法を組み合わせ、より効率的で効果的な害虫防除を生み出すシステムをつくり出そうというのだ。」との記載がある。
(エ)http://www.jppn.ne.jp/nagasaki/ipm.html
「長崎県IPM実践のポイント」のタイトルの下、
「長崎県病害虫防除所 トップ>総合防除(IPM)」との記載がある。
(オ)http://www.cgr.mlit.go.jp/cginfo/syokai/busyo/eizen/main/images/shisetukanri/news200405.pdf
「ちゅうごく保全ニュース 2004.5 第13号」のタイトルの下、
「総合防除(IPM)[integrated pest management] ねずみ・昆虫等が発生している場所、発生の恐れがある場所に対して、殺虫剤・殺鼠剤の処理、トラップによる捕獲、侵入の防止、発生防止のための施設の改善、清掃や食品管理、ごみ処理等、できるだけ環境に影響が及ばない方法で総合的な見地から対策を行うことを指す。[pestは害虫の意]」との記載がある。
(カ)http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/nezumidokuhon/honbun.pdf
「都民のためのねずみ防除読本」のタイトルの下、
「[総合防除(IPM)について] ねずみ、昆虫等の防除といえば、従前は対象になる昆虫などがいる、いないにかかわらず、薬剤を散布する『化学的防除』が主流でした。 しかし、その結果、薬剤の過剰散布による環境汚染や人体への悪影響、また対象となるねずみや衛生害虫に抵抗性のあるものが出現するなど、さまざまな弊害が出てきました。このことから、防除方法の考え方は大きく見直され、現在、主流となっている考え方は『IPM(Integrated Pest Management:総合防除)』です。」との記載がある。
(3)してみれば、「総合防除」と大きく横書きされた文字と、該4文字の間に、小さく書された「I」、「P」、「M」の欧文字を1文字ずつ配置した構成よりなる本願商標は、これをその指定役務中「総合防除を主とする有害動物の防除」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に「総合防除法(IPM)に基づく有害動物の防除」の意味合いを認識・理解するにとどまり、これが何人かの業務に係る役務であることを認識することができないというのが相当である。
また、これを上記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論の通り審決する。
別掲 別掲(本願商標)



審理終結日 2007-05-09 
結審通知日 2007-05-15 
審決日 2007-05-28 
出願番号 商願2004-112396(T2004-112396) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Y37)
T 1 8・ 272- Z (Y37)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
青木 博文
商標の称呼 ソーゴーボージョ、ソーゴー、アイピイエム 
代理人 宮川 貞二 

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