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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 025
管理番号 1159012 
審判番号 不服2000-1753 
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-02-14 
確定日 2007-06-22 
事件の表示 平成 7年商標登録願第 78627号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。),乗馬靴」を指定商品として、平成7年8月2日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成からみて、アメリカ合衆国ニューヨーク市出身の著名なデザイナーラルフローレンの関連企業であるザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップが、被服類、眼鏡製品等に永年使用して著名な標章である「競技中のポロプレーヤーの図形」をシルエット風に表した図形よりなるものであるから、このように酷似した商標を出願人が本願指定商品に使用する場合、需要者は上記会社もしくはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものでないとして、その理由及び当審における証拠調べ通知に対する意見を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第8号証(枝番を含む。)を提出している。
1.本願商標の指定商品と引用商標の商品とが関連があり、また、需要者・取引者が共通であったとしても、本願商標と引用商標は類似しないものである。また、引用商標には高度の独創性が認められないので、引用商標はそれ自体の独創性によって識別された結果、周知著名となったのではなく、寧ろ、ラルフ・ローレンの「ポロ」(ポロ/ラルフローレン)ブランドに使用されるマークとして上記ブランド及びデザイナーのラルフ・ローレンの名に附随して周知著名となったと考えられる。更に、ファッション関連商品に対する需要者の注意力は相当程度に高いものであるから、これら諸事情を総合的に判断すると、本願商標に接した取引者・需要者が、間違って引用商標を連想し、商品の出所について誤認を生じさせる虞があるとは到底考えられない。また、本願商標の登録を認めても、引用商標の持つ顧客吸引力へのフリーライドを招くということにもならない。従って、本願商標は,商標法第4条第1項第15号に規定されている「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものではない。
2.証拠調べ通知書で示された各種事実を考慮しても、本願商標は引用商標と混同を生じるとは考えられない。特に、平成15年(行ケ)第371号事件判決及び平成15年(行ケ)第564号事件判決も考え併せれば、本願商標は引用商標と混同を生じない非類似の商標であり、また、現実に出所の混同も存在しないことは明らかである。
3.以上、詳述したとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)に関して行った職権による証拠調べにより、以下の事実を発見したので、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」(184頁)及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)の記述によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
そして、前記の記述には「Polo」及び「by RALPH LAUREN」の文字並びに「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されている。
(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項(123頁、195頁、221頁、224頁、281頁)及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項(223頁)の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事(5頁)によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、昭和52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、昭和53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告(6頁)、前出「男の一流品大図鑑」(184頁)、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」(147頁)、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行「別冊チャネラー79-9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」(61頁、130頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(12頁 昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(131頁 昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(87頁 昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」(63頁)のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」(200頁、201頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(171頁)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(259頁、260頁)のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
(4)平成3年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1939-)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略されて呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣裳を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。
平成11年1月10日株式会社小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY RALPH LAUREN」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
(5)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞(東京版)夕刊(16頁)、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊(16頁)、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊(30頁)、同11年6月8日付朝日新聞(西部版)夕刊(6頁)、同11年9月9日付日本経済新聞朝刊(39頁)に報道されている。
(6)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)5号(平成12.9.28日言渡)、同140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成11年(行ケ)420号(平成13.4.19言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)、平成16年(行ケ)33号(平成16.5.27言渡)等がある。
(7)以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
2.かかる事情の下において本願商標をみると、本願商標は、その構成別掲(1)のとおり、黒色を用いて、斜め右方に向けて疾駆する馬及び同馬に乗り上体をやゝ屈めてマレットでボールを捉えようとするポロ競技者の図をシルエット風に描いてなる図形である。
一方、引用商標は、その構成別掲(2)のとおり、黒色を基調に、斜め左方に向けて疾駆する馬及び同馬に乗り上体をやゝ屈めてマレットを振りかざすポロ競技者の図を表したものである。
しかして、両者の図形は、仔細にみれば馬の向き、マレットの位置等において相違するところがあるとしても、両者は共に、疾駆する馬及び同馬に乗ってマレットを操っているポロ競技者の図柄を全体として黒色を基調に描いてなる点において構成の軌を一にするものといえるから、両図形を時と所を異にして離隔的に観察した場合は、全体の外観印象において、彼此相紛らわしいものといわなければならない。
また、本願商標の指定商品は、著名な引用商標が使用されている「洋服」等の商品を含むものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、前記著名になっている引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く出所の混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
3.請求人は、本願商標に接した取引者・需要者が、間違って引用商標を連想し、商品の出所について誤認を生じさせる虞があるとは到底考えられない旨主張し、登録例及び判決例を挙げている。
しかしながら、請求人が掲げる登録例及び判決例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、これらの登録例及び判決例が本願の判断に影響を及ぼすものではない。
4.以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)
本願商標



別掲(2)
引用商標


審理終結日 2006-01-23 
結審通知日 2006-01-27 
審決日 2006-02-07 
出願番号 商願平7-78627 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (025)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 薫佐藤 正雄 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 矢代 達雄
山本 敦子
代理人 広瀬 文彦 

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