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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない 029
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない 029
管理番号 1157344 
審判番号 無効2006-89073 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-05-30 
確定日 2007-04-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第3199857号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3199857号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成5年11月11日に登録出願、第29類「食肉,肉製品,加工野菜及び加工果実,乳製品」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録され、その後、指定商品中の「乳製品及びその類似商品」についての登録は、同18年7月4日付けの審決により取り消され、同年9月7日にその確定の登録がされたものである。

2 請求人の主張(要点)
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第11号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)利害関係を有することについて
請求人は、本件商標と同一の綴り文字よりなる欧文字等をその取扱い商品「クリームチーズ」及びその関連商品に商品名として使用していたところ、被請求人より該文字が本件商標に類似するとして、本件商標に基づく商標権侵害を理由に該文字の使用を警告され、商品製造・販売の即時停止及び損害賠償を要求された(甲第2号証)。
請求人は、該文字が商標法第26条第1項に基づく商品の普通名称であり、商標権の効力が及ばない権利範囲に属する旨を抗弁したが、被請求人の受け入るところとならず、権利行使に及ぶと通知してきた(甲第3号証)。
したがって、請求人は、本件審判の請求につき利害関係を有するものである。
(2)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、「REQUEIJAO CREMOSO」(「A」の上部には、長音符「-」が付されている。以下同じ。)の欧文字を書してなるところ、構成中の「REQUEIJAO」が「クリームチーズ」、「CREMOSO」が「クリーム状」をそれぞれ意味するが、商品「クリームチーズ」の中でも「なめらかなプロセスチーズ」を示す一連の熟語として認識され、その多様性に人気のある商品の普通名称であり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものであるから、本件商標を「なめらかなプロセスチーズ」である「クリームチーズ」に使用している者にとって、本件商標の存在は不当なものである。
したがって、本件商標は、不正競争を意図した不正の目的で登録を取得したものであり、また、社会の公正な秩序維持を阻害する商標であるから、その登録時に、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるか、又は、登録後において、被請求人は、商標権侵害についての警告状を請求人に送付しているから、その時点で、商標法第4条第1項第7号に該当するものとなっているというべきである。
(3)商標法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は、前記(2)のとおり、なめらかなプロセスチーズである「クリームチーズ」を意味する普通名称でもあるので、指定商品中、「クリ-ムチーズ」に使用しても自他商品の識別標識としての機能を有しないものであるが、「クリームチーズ」以外の商品について使用するときは、あたかも「クリームチーズ」であるかのような商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、その登録時又は登録後に、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、前記2の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号に規定する「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合が含まれ、さらに、その使用が不正な意図をもってされ、国際信義又は公正な取引秩序に反する場合もこれに当たると解される(東京高裁;平成10年(行ケ)第11号及び平成10年(行ケ)第185号判決参照)。
(2)本件商標は、別掲のとおり、「REQUEIJAO CREMOSO」の文字よりなるものであるところ、請求人の提出した甲第4号証ないし同第6号証によれば、その構成中の「REQUEIJAO」の文字部分は、「クリームチーズ」を意味するポルトガル語であり、また、「CREMOSO」の文字部分は、「クリーム状(の)」を意味するポルトガル語又はスペイン語であることが認められる。
しかしながら、これらの語は、いずれも本件商標の登録査定時及びその登録がされた後より本件審判の請求日までにおいて、わが国で親しまれて使用されている語とは認め難く、これらの語に接する需要者は、上記の意味を直ちに理解するものとはみられないところである。
また、同じく、甲第7号証ないし同第10号証によれば、「Requeijao cremoso」及び「Requeijao Cremoso」の文字が、(なめらかなプロセスチーズである)「クリームチーズ」を指称する言葉として用いられていることが散見されるものの、これら証左をもって直ちに、わが国のチーズ等を取り扱う業界において、本件商標を構成する「REQUEIJAO CREMOSO」の文字が、本件商標の登録査定時においてはもとより、その登録がされた後より本件審判の請求日までにおいても、商品(なめらかなプロセスチーズである)「クリームチーズ」を表示するための商品名として、普通に使用されていると認めるに足る十分な証拠ということはできない。
そうとすれば、本件商標は、ポルトガル語で、(なめらかなプロセスチーズである)「クリームチーズ」を意味するものであるとしても、これに接するわが国の需要者は、特定の語義を有しない造語を表したと理解するというのが相当であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、上記(1)で述べたところの公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないばかりでなく、また、その指定商品中「クリームチーズ」以外の商品に使用しても商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない商標といわなければならない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するとする請求人の主張は、理由がないといわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第16号に違反してされたものではなく、また、本件商標の登録がされた後において、商標法第4条第1項第7号及び同第16号に該当するものとなっているものでもないから、同法第46条第1項第1号又は同第5号により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲 本件商標




審理終結日 2007-02-14 
結審通知日 2007-02-20 
審決日 2007-03-05 
出願番号 商願平5-113091 
審決分類 T 1 11・ 22- Y (029)
T 1 11・ 272- Y (029)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野口 美代子長澤 祥子 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 山本 良廣
石田 清
登録日 1996-09-30 
登録番号 商標登録第3199857号(T3199857) 
商標の称呼 リクエイジャーオクレモソ、レケイハーオクレモソ 
代理人 萼 経夫 
代理人 村越 祐輔 
代理人 舘石 光雄 

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