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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1155826 
異議申立番号 異議2006-90429 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-08-31 
確定日 2007-03-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第4960718号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4960718号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4960718号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成17年10月13日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として同18年6月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(ア)登録異議申立人である「ナイキ・インコーポレーテッド」(以下「申立人」という。)が引用する登録第2286631号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和59年2月22日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成2年11月30日に設定登録、その後、同12年9月12日に商標権存続期間の更新登録、さらに、その後、同13年9月19日に商品の区分及び指定商品を第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,スカーフ,手袋,ヘルメット,帽子」とする書換の登録がされたものである。
そのほかに、別掲(2)のとおりの構成からなるものとして、登録第1976560号商標(以下「引用商標2」という。)、登録第2026133号商標(以下「引用商標3」という。)、登録第1929898号商標(以下「引用商標5」という。)、登録第1967776号商標(以下「引用商標6」という。)、登録第2002239号商標(以下「引用商標11」という。)、登録第4144090号商標(以下「引用商標13」という。)、登録第4294405号商標(以下「引用商標14」という。)、登録第4343147号商標(以下「引用商標15」という。)、登録第4165200号商標(以下「引用商標16」という。)、登録第4336985号商標(以下「引用商標17」という。)が引用されている。
(イ)同じく、登録第1976508号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲(3)のとおりの構成からなり、昭和58年10月14日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同62年8月19日に設定登録、その後、平成9年9月16日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
そのほかに、別掲(3)のとおりの構成からなるものとして、登録第2002240号商標(以下「引用商標12」という。)が引用されている。
(ウ)同じく、登録第1537262号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(4)のとおりの構成からなり、昭和52年5月31日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同57年9月30日に設定登録、その後、平成6年1月28日及び同14年4月16日の2回に亘る商標権存続期間の更新登録、さらに、その後、同15年1月22日に商品の区分及び指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,靴下,ゲートル,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする書換の登録がされたものである。
そのほかに、別掲(4)のとおりの構成からなるものとして、登録第1371518号商標(以下「引用商標7」という。)、登録第1506782号商標(以下「引用商標8」という。)、登録第1635868号商標(以下「引用商標9」という。)が引用されている。
以下、これらの引用商標をまとめていうときには、単に「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由
本件商標は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている引用商標と近似する図形を2つ組合わせてなるものであるから、申立人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)引用商標との類似性
(ア)本件商標は、左右対称かつ相似形状の白抜きの2つの輪郭図形を重ね合わせ、上下に立体的に組み合わせたかのように描いた構成よりなるものである。そして、当該各図形は、両端を細くして弧を描くブーメラン状の形状であって、一端の弧の頂点において最大の厚みを持ち、他端を長く伸ばして収斂させている点に特徴を有する。
(イ)一方、引用商標は、黒塗り、白抜きの相違、及び形状に若干の相違があるものの、左上から左下に弧を描くように広がりながら、伸び、かつ、その左下から右上方向に長く伸ばして収斂するブーメラン状の形状の図形からなるものである。その最大の特徴は、左端の弧の頂点において最大の厚みを持ち、右端を長く伸ばして収斂させている点にある。
引用商標は、申立人であるナイキ・インコーポレーテッドの著名な「スウッシュ」と呼ばれる図形商標で、独自の着想の下に翼をイメージし、創作された独創的な形状である。
(ウ)そこで、本件商標と引用商標とを対比するに、両者は、ともに弧を描くブーメラン状の形状であって、一端において最大の厚みを持ち、他端を長く伸ばして収斂させた特徴において共通するものである。
両者の差異点として、引用商標は、単一の図形からなるのに対し、本件商標は、2つの図形の結合からなる点が挙げられる。
しかしながら、実際の取引の実情においては、商標が必ず単独で付されるということはなく、複数付されている場合も多く見受けられる。
また、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、そもそも結合商標を構成する要素が、それぞれ個別に認識、記憶される場合があると考えられているところ、2つの図形を立体的に看取されるように重ね合わせた本件商標についても、需要者は、全体で一個の商標を構成していると看取する可能性のみならず、その要素である各図形を単独で看取する可能性もある。
特に、本件商標の場合、それを構成する各図形が結合することにより全体で特定の事物を表現するものではないこと、及び本件商標を構成する各図形は、著名な引用商標に酷似していることをも踏まえると、需要者は、本件商標を全体で認識する場合のみならず、記憶にあって馴染み深い引用商標と酷似する当該各図形を、単独で認識することもあるというべきである。
(エ)申立人は、本件商標と同じく、引用商標に近似する図形を2つ組合わせてなる登録商標(甲第3号証の1及び2)を所有している。
さらに、甲第4号証及び甲第5号証で示されているように、「スウッシュ」マークが発案された当時の形態は、引用商標と比較すると、左上から左下に弧を描くように広がりながら伸びる部分の長さが引用商標よりも長く、図形全体のカーブを描く角度も異なるものとなっている。
このように、「スウッシュ」マークといっても、複数個を組合わせて使用することもあれば、図形全体のカーブを描く角度等の細部のデザインに時代の変遷に伴う若干の変化を有するものもある。
しかしながら、いずれも弧を描く曲線であって、一端の弧の頂点が最も太く、他端が段々と細くなって収斂することを特徴とするものであり、かかる特徴は、引用商標の基本的構成である。
一方、本件商標を構成する各図形について見れば、上記の引用商標の基本的構成であり、弧を描く曲線であって、一端の弧の頂点が最も太く、他端が段々と細くなって収斂するという特徴を全て備えている。
以上により、本件商標は、その構成中に引用商標に近似する図形を2つ有することから、引用商標と混同を生ずるおそれがあるというべきである(商標法第4条第1項第15号の商標審査基準)。
(オ)本件商標の指定商品は「被服」であるところ、申立人会社である引用商標の商標権者は、ユニフォームウエアやカジュアルウエアを販売している(甲第6号証)。
したがって、「被服」に含まれる商品、例えば、「Tシャツ」や「カジュアルウエア」に本件商標が付された場合には、需要者に対して、「Tシャツ」あるいは「スポーツ選手のユニフォーム」に引用商標が付された態様で露出される場面も多いところから、本件商標を構成する図形が上記のように引用商標と近似することで、引用商標の新しい表示態様であるかのごとく、引用商標と出所混同のおそれがあることは明らかである。
(2)引用商標の著名性
(ア)申立人「ナイキ・インコーポレーテッド(NIKE,INC.)」は、「運動靴、運動用特殊靴」、「被服、運動用特殊衣服」等について、世界的に著名な商標「NIKE」並びに「SWOOSH」(スウッシュ)と呼ばれる引用商標の所有者である。
引用商標の「スウッシュ」と呼ばれるナイキのシンボルマークは、ギリシャ神話の勝利の女神NIKEの翼を表しており、申立人の創作に係るものである(甲第5号証及び甲第6号証)。
申立人の商品は、わが国においては、株式会社ナイキジャパンの東京本社、大阪支店、札幌営業所、名古屋営業所、福岡営業所を通じて販売されている(甲第7号証)。
「スウッシュ」マークは、申立人の広告等に文字商標なしで印象的に用いられている(甲第8号証ないし甲第11号証)。
(イ)申立人は、引用商標である「スウッシュ」マークを商品に付すことのみならず、各国の有名チーム、有名選手と契約することにより、多大な費用をかけて継続的かつ大々的に「スウッシュ」マークを使用した広告宣伝を行ってきた結果、需要者は、「スウッシュ」マークを見ただけで、申立人の商品を直ちに想起できるに至っている。
よって、引用商標である「スウッシュ」マークには多大なグッドウイルが化体しているものである。
(ウ)引用商標は、日本国周知・著名商標リストに掲載されており(甲第12号証)、引用商標が、わが国において著名であることは、特許庁に顕著な事実と思われる。
(エ)以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願前から現在に至るまで、申立人の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。
(3)混同のおそれ
(ア)引用商標の著名性及び本件商標を構成する図形と引用商標との近似性から、本件商標をその指定商品に使用するときには、申立人の商品と出所の混同を生ずるおそれがある。
本件商標を構成する図形は、申立人の著名商標である「スウッシュ」マークとその描法やコンセプトが酷似するもので、本件商標が、その指定商品に使用された場合、当該商品の需要者は、申立人の商品若しくは申立人と経済的あるいは組織的に関連性を有する者の業務に係る商品と誤認し、その出所について混同するおそれがある(平成12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決平成10年(行ヒ)第85号参照)。
(イ)引用商標の現実の使用態様は、上下左右が、登録された当該引用商標の向きとは異なった態様で看取されることが多く、また、複数個を組み合わせて使用される場合もある。
引用商標の独自の形状は、シンプルであって、需要者が視覚的かつ即座に、その特徴を捉えて認識できるものであるところ、同様の形状が視覚的に捉えられた場合には、その向きや個数に関係なく、直ちに引用商標と認識されるものである(甲第13号証ないし甲第40号証:これらの枝番を含む。)。
(ウ)また、上記(2)(ア)及び(イ)の広告等における使用態様からも明らかなように、商標の表示は、必ずしも顕著ではなく、小さく見にくい態様で表示されていることも多い。
かかる使用態様においては、本件商標の弧の描き方を厳密に見れば、引用商標とは異なっているとしても、その相違は視認しにくく、弧状の流線型の図形すなわち引用商標を2つ組み合わせた図形のように看取され得る。
よって、現実の使用態様を勘案すると、なおさら、本件商標の使用によって、申立人の商品と出所の混同が生ずるおそれがあるものといえる。
(4)著名な図形商標と近似した図形を含む商標
(ア)著名な図形商標と近似した図形を一部に含む商標は、たとえ、その図形部分が著名な図形商標と形状が同一であるとはいえないとしても、また、当該図形が単独で表示されていないとしても、当該著名商標を想起させるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するというべきである(甲第41号証ないし甲第43号証)。
(イ)本件商標の図形部分は、引用商標とは、その輪郭が正確には同一でなく、また、もう一つの構成要素を含むとしても、本件商標は、需要者の目に見慣れた引用商標を想起させるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当するというべきである。
(5)商標を回転させて、あるいは天地の別なく判断すべき場合
被服や運動用具に付される商標は、現実の使用態様においては、回転させた状態で、あるいは、左右上下の別なく観察されるものである。
よって、商標の類否判断や出所混同のおそれの判断においても、登録されたままの態様で他の商標と比較すべきものではなく、回転させた状態で、あるいは、左右上下の別なきものとして比較すべきである(甲第44号証ないし甲第46号証の2)。
(6)むすび
上述のとおり、本件商標は、申立人の商標として需要者の間に広く認識されている引用商標と近似する図形を2つ組合わせてなるものであるから、本件商標がその指定商品について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当し、登録を取消されるべきである。

4 当審の判断
本件商標は、下端を肉厚にして篭字風に表した平仮名の「し」の中程に、右端を肉厚にして篭字風に表した平仮名の「つ」の中程を重ね、全体として密接不可分に結合した一つの幾何図形を構成しているということができるから、これよりは特定の称呼及び観念を生じないとみるのが相当である。
これに対し、引用商標1ないし3,5及び6,11,13ないし17は、いずれも「レ点」の最後のハネの部分をやや下げてなる黒塗りの図形よりなるものであり、これよりは一義的に特段の称呼及び観念を生じないというのが相当と解し得るが、申立人の主張及び提出に係る証拠を勘案し、それらを参酌するとの前提に立つときには、「スウッシュ」の称呼及び「スウッシュ」マークの観念を生ずる場合があることを否定するものではない。
また、引用商標10及び12は、それを白抜きで表した図形よりなるものであり、これについても上記と同じ前提下に、「スウッシュ」の称呼及び「スウッシュ」マークの観念を生ずる場合があり得る。
さらに、引用商標4,7ないし9は、左上から左下にかけて肉厚にし、右端を細くしてなる偃月刀(えんげつとう)の切っ先の如き図形を白抜きで表したものであり、これよりは特定の称呼及び観念を生じないというのが相当である。
そして、本件商標が上述のとおり、平仮名の「し」と「つ」という2つの構成要素を密接不可分に結合した一つの幾何図形を構成しているのに対し、引用商標は、黒塗りか、白抜きかはともかく、いずれも単一の「レ点」ないしは、「偃月刀の切っ先」の如き構成要素の図形よりなるから、両商標の構成態様・印象が著しく異なることよりすれば、それぞれを類似の商標とは到底認め得ないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
してみると、商標権者が、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、それから、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は同人と経済的あるいは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について誤信し、混同を生ずるおそれはないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではないから、その登録を維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり、決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標



(2)引用商標1,2,3,5,6,11,13,14,15,16及び17



(3)引用商標10及び12



(4)引用商標4,7,8及び9

異議決定日 2007-02-23 
出願番号 商願2005-95437(T2005-95437) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 池田 佐代子 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 山口 烈
鈴木 新五
登録日 2006-06-16 
登録番号 商標登録第4960718号(T4960718) 
権利者 ビッグボーン株式会社
代理人 西村 雅子 
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