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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y29
管理番号 1155628 
審判番号 不服2004-25414 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-13 
確定日 2007-03-28 
事件の表示 商願2004- 14618拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「開田高原バター」の文字を標準文字で表してなり、第29類「バター」を指定商品として、平成16年2月19日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『開田高原バター』の文字を横書きしてなるところ、1999年2月8日付け日本食糧新聞における『そば本来の風味「薮そば」「更科そば」「茶そば」発売(霧しな)』の見出し記事等の記載、および、三省堂編修所編者『コンサイス日本地名事典〈第3版〉』株式会社三省堂、1994年10月25日第8刷発行における『〈開田高原〉木曾郡開田村にある高原。王滝川支流の西野川上流に位置し、恩田原を中心にキャンプ場。御獄山登山口の一。キャンプ場から山頂まで三ノ池を経て6.00。北に西野峠,野麦峠があり,中央部を木曾街道が東西に貫く。〈開田村〉県西部、木曽郡。御獄山北東の山村。日本在来馬の『木曾駒』の産地。乳牛・肉牛飼育、高原野菜栽培を行なう。開田高原の別荘地化などの観光開発が進む。』の記載が認められることからすれば、本願商標である『開田高原バター』の文字よりは、開田高原において、乳牛・肉牛飼育が盛んに行われ、その乳牛・肉牛の加工食品が生産、販売されているものと理解・認識させるものであるから、これを本願の指定商品『バター』に使用するときは、単に、商品の生産地又は販売地を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、「開田高原バター」の文字を横書きしてなるものであるところ、該構成文字中「開田高原」の文字は、「木曾郡開田村にある高原」(「コンサイス日本地名事典」(株式会社三省堂、1989年12月15日第1刷発行)を表す地名(高原名)であるとの記載が認められ、さらに、平成17年11月1日に、町村合併により「開田村」の表示を「木曽町開田高原」の表示とする住所表示の変更がなされた(http://www.town-kiso.com/archives/2005/10/post_210.html))地名と認められるものである。
また、「バター」の文字は、「乳製品の一。遠心分離により牛乳からクリームを分離し、これを激しくかき回して得る。」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)を表すものであり、本願商標は、両文字を結合してなるものと理解されるものである。
そして、「開田高原」は、従来より「蕎麦」の産地として知られるほか、近年においては、観光地としても注目を集めている。
このことは、例えば、以下の新聞記事、インターネットのホームページ情報等に記載された記事からも窺い知ることができる。
1)「しなの百景:シラカバやカラマツ、紅葉のピーク鮮やか--木曽の開田高原 /長野」(2006.10.30 毎日新聞 地方版/長野)の見出しのもと「長野・岐阜県境に位置する御嶽山のふもとにある木曽町の開田高原。・・・道には県外ナンバーが行き交い、・・・多くのアマチュアカメラマンや観光客の姿が見られた。・・・観光案内所によると、観光客は今年2月の権兵衛トンネル開通により関東地方から足を運ぶ人が増え、例年に比べ多いという。」の記載が認められる。
2)「経済スコープ ながの イチゴ栽培に取り組む土木建設会社社長 圃中正法さん 夏場の需要に期待 本業縮小し構造転換へ」(2003.07.29 中日新聞 朝刊 長野総合版)の見出しのもと「-イチゴ栽培のきっかけは。・・・木曽郡内で観光客が多く、発展性がある開田高原で何かできないかと。二年ほど前から事業計画を立て、県やJAなどに相談に乗ってもらった。」の記載が認められる。
3)「るるぶ情報版 木曽伊那 ’06?’07」(発行所 JTBパブリッシング)において「開田高原 新緑で乗馬」、「開田高原で体験三昧」の見出しのもとに開田高原の見どころ、施設等が紹介されている。
4)「開田高原観光案内所」のホームページにおいて、開田高原の歴史・観光施設・宿泊施設等を紹介している記事が掲載されている。(http://www.kaidakogen.jp/)
5)(社)信州・長野県観光協会のホームページにおける「大人の小径 木曽路」の項に「開田高原 霊峰御岳に抱かれた別天地」等の記載(http://www.nagano-tabi.net/frame.asp?csc=1&fon_chk=2)、「すてきな旅の情報源 ライブラリー信州」の見出しのもと「木曽路の名所。そば畑で有名な開田高原から見る御嶽山のパノラマをお楽しみください。」の記載(http://lively-shinshu.com/)が認められる。
そして、一般に観光地や保養地においては、菓子、酒類等の食品をはじめとする各種商品が、名産品、土産品として販売されていて、当該地における取引商品であることを、その地名と販売する商品名とを商品に表示して取引に資されることは普通に行われているところである。
これらの実情よりすれば、本願商標構成中の「開田高原」の文字は、特定の地域であって、観光地として知られた地名の一つを表したものと認識されるものであり、構成中の「バター」の文字は、本願指定商品の商品名を表示するものであるから、これに接する需要者等は、本願商標全体から、バターの産地・販売地を表示したものと容易に認識するものといい得るものである。
ところで、商標法第3条第1項第3号の該当性の判断について、「商標法3条1項3号として掲げる商標が、登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として、なんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(最高裁判所昭和53年(行ツ)第129号)と判示されている。
そうすると、本願商標は、商品の産地・販売地を表示するものとし、取引に際し必要適切な表示として、何人もその使用を欲するものであり、また、これをその指定商品「バター」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「開田高原で製造あるいは販売された商品」であることを理解、認識するにとどまるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する需要者等は、自他商品の識別標識として認識することはなく、単に該商品の産地・販売地を表示したものと認識するにすぎないものといわざるを得ない。
なお、請求人(出願人)は、過去の登録例を挙げて、「開田高原」は、いまだ全国的に良く知られた地名とはいえず、アイスクリーム、ヨーグルト、チーズ、バター等の乳製品との結びつきを想起させる事実もないものであって、本願商標を付した商品は、出願人の製品であることが良く知られているものであるから、本願商標は、単に商品の産地又は販売地を表したものとは云えない旨主張している。
しかしながら、「開田高原」は、観光地として知られた地名の一つとして、需要者等に認識されていること上述のとおりであって、「商品の産地等を普通に用いられる方法で表示する商標であるというためには、必ずしも、その商品が当該商標の表示する土地において現実に生産等がなされていることを要せず、需要者又は取引者によって、その商品が当該商標の表示する土地において生産等がなされているであろうと一般に認識されることをもって足りる」と解されるべきものである(最高裁判所昭和60年(行ツ)第68号参照)。
また、商標登録出願に係る商標が上記条項に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品等の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた商標登録例の存在によってその認定は左右されないというべきである。
さらに、本願商標が、その指定商品に使用され、請求人の業務に係るものとして、取引者、需要者間に広く認識されるに至っていることについて、請求人(出願人)は、これを主張するにとどまるものであって、何らの証拠資料も提出していないから、請求人の上記の主張は、いずれも採用することができない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-01-23 
結審通知日 2007-01-26 
審決日 2007-02-06 
出願番号 商願2004-14618(T2004-14618) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
堀内 仁子
商標の称呼 カイダコーゲンバター、カイダコーゲン 
代理人 宇佐見 忠男 

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