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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y16 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y16 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y16 審判 全部申立て 登録を取消(一部取消、一部維持) Y16 |
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管理番号 | 1152288 |
異議申立番号 | 異議2006-90132 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-03-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2006-03-31 |
確定日 | 2007-01-24 |
異議申立件数 | 5 |
事件の表示 | 登録第4925678号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4925678号商標の指定商品中「ファイル,バインダー」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4925678号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成17年5月26日に登録出願、第16類「文房具類」を指定商品として、同17年12月13日に登録査定され、同18年2月3日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要旨 (1)登録異議申立人・中村道夫の申立ての理由 本件商標は、「D‐RING」の欧文字を普通に用いられる方法で表示したに過ぎないから、指定商品中、「D型リングファイル、D型リングバインダー」に使用しても、ファイル・バインダー用金具の略称(普通名称)を表示したにすぎず、又は、D型のリング式金具を用いたファイル、バインダーのとじ金具の形状を表示するにすぎないので、これに接する取引者、需要者は、とじ金具がD型リングをしたファイル、バインダーであると認識するに止まるので自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号又は同第3号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきである。 (2)登録異議申立人・佐藤功の申立ての理由 本件商標は、「D‐RING」の文字を横書きしてなり、文房具業界では慣用的に使用されているファイル用品の名称である。また、証拠のとおり、「D‐RING」の語はファイル用品として周知に認知されている名称であるゆえ、指定商品内の事務用ファイル・文書ファイル以外に使用するときは、商品の機能・性質の誤認を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号及び同第2号、同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。 (3)登録異議申立人・コクヨS&T株式会社の申立ての理由 本件商標、「D‐RING」及びこれから生ずる「ディーリング」「Dリング」の表音・観念は、その指定商品に含まれる「ファイル」又は「バインダー」との関係で「綴じ具の形式がD型のもの」の意味合いに通じ、これを「リング式ファイル」又は「リング式バインダー」その他の「リング式結束具を採用する文房具」について使用する場合は、「D型リングを採用したファイル・バインダー・文房具」であることを表象するにすぎない。また、D型リングを採用していないファイルやバインダーとの関係では、商品の内容につき誤解を生じさせるおそれもある。よって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号又は同第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、その登録は取り消されるべきである。 (4)登録異議申立人・株式会社ライオン事務器の申立ての理由 本件商標は、「D‐RING」の欧文字を普通に用いられる方法で表示したに過ぎず、該文字は、ファイル又はバインダーの綴じ具であるD型リングを直感させる。したがって、本件商標を「D型リングを使用したファイル又はバインダー」に使用しても、D型リングを使用したファイル又はバインダーであることを示す品質表示に過ぎず、自他商品の識別機能を果し得ないものである。また、本件商標を、「D型リングを使用したファイル又はバインダー」以外の「ファイル又はバインダー」に使用すると、需要者は、その商品を「D型リングを使用したファイル又はバインダー」であると品質についての誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。 (5)登録異議申立人・鈴木章の申立ての理由 本件商標は、「リング式バインダー」との関係において直ちに「D型のリング」の観念を生じさせるとともに、現に「D型のリング」という綴じ具が存在していて同綴じ具が「Dリング」と一般に指称されている上、本件商標は単にこれを英語表記したに過ぎないものであり且つこの表記が使用されている例が現に散見されることからすると、これに接する需要者は、これを単に「リング式バインダー」の品質を表示するにすぎないものと認識する。よって、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、少なくとも「真円型」や「角型」のリングを採用する「リング式バインダー」について使用するときは、需要者において品質の誤認を生じさせることは自明であるから、同法第4条第1項第16号にも該当する。よって、その登録は取り消されるべきである。 3 取消理由通知 (1)登録異議申立人である鈴木章の提出に係る甲第2号証ないし甲第7号証及び甲第10号証(枝番のあるものについては、枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。 (ア)「ファイルとバインダーのしおり/種類と規格 Vol.10」(平成17年2月、日本ファイル・バインダー協会発行:甲第2号証)の「発刊にあたって」の項目(1頁)には、「日本ファイル・バインダー協会は、国内におけるファイル・バインダー製品及びそのとじ具などの部品を製造するメーカーの団体で、製品規格化推進を目的として、昭和31年に設立した」旨の記述があること。 「様式と名称」の項目(13頁)における「リングバインダー」には、「リングの形状により、ファイル・バインダーへの取付位置が変わります。」の記載のもと、「リング形式」として、「真円型」、「ダ円型」等と共に「D型」のリングのファイル・バインダーがあること。 なお、「定義」の項目(3頁)には、「ファイル」は、「おおむね記録済みの文書をとじ、又は、はさみ入れて整理・保管することのできる表紙」をいうのであって、「バインダー」は、「おおむね未記録のとじ穴のある用紙をそう入し、記録できる、とじ具付き表紙」をいうとの記載があり、これによれば、ファイルとバインダーは、商品形態上、実質的に同一の商品ということができる。 (イ)ファイル、バインダー等を取り扱う業界において、リング形式の綴じ具を使用したファイルであって、リングの形状が「D型」のものについて、本件商標の査定前より、「Dリングファイル」、「D-RING FILE」、「Dリングタイプ」等と表示され(甲第3号証の1ないし甲第7号証及び甲第10号証)、また、「ワンタッチ開閉が可能な金具とじ具(Dリング)採用」(甲第3号証の13)、「見開きのよいDリングとじ具を使用」(甲第4号証の1)、「書類の端をきれいにそろえるDリング」(甲第4号証の2ないし5)などの記載と共に取引に資されていたこと。 (2)前記(1)で認定した事実によれば、ファイル、バインダー等を取り扱う業界において、D型形状のリングの綴じ具を使用したファイル(バインダー)について、本件商標の登録査定時には既に、「Dリングファイル」、「D-RING FILE」等の語が普通に使用されていたと認めることができる。 (3)本件商標は、前記のとおり、「D-RING」の文字を書してなるものであるところ、上記ファイル、バインダー等を取り扱う業界における取引の実情からすると、本件商標をその指定商品中、「リング形式の綴じ具を使用したファイル、バインダー」について使用するときは、需要者をして、「リングの形状がD型のものを使用した商品」の意味をもって、商品の形式、品質を表示したものと認識されるにとどまるものというのが相当である。 したがって、本件商標は、これをその指定商品中、「リング形式の綴じ具を使用したファイル、バインダー」について使用しても、単に商品の形式、品質を表示するにすぎず、また、前記商品以外の「ファイル、バインダー」について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。 (4)以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、「ファイル、バインダー」について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものというべきである。 4 当審の判断 本件に関し、当合議体は、商標権者に対し、平成18年9月7日付けで、上記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。 そして、上記3の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の指定商品中「ファイル、バインダー」についての登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。 また、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、何ら証左はないことから、商品の普通名称、慣用商標、品質を表示するものとは認め難いものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものである。 したがって、本件登録異議の申立てに係る指定商品中の「ファイル、バインダー」以外の指定商品については、商標法第3条第1項第1号、同第2号、同第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものであるから、同第43条の3第4項の規定により登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2006-12-05 |
出願番号 | 商願2005-46287(T2005-46287) |
審決分類 |
T
1
651・
11-
ZC
(Y16)
T 1 651・ 12- ZC (Y16) T 1 651・ 272- ZC (Y16) T 1 651・ 13- ZC (Y16) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 前山 るり子 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
石田 清 澁谷 良雄 |
登録日 | 2006-02-03 |
登録番号 | 商標登録第4925678号(T4925678) |
権利者 | 株式会社リヒトラブ |
商標の称呼 | デイリング、リング |
代理人 | 藤田 雅彦 |
代理人 | 牛木 理一 |
代理人 | 香原 修也 |