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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y121628
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y121628
管理番号 1152117 
審判番号 不服2004-65010 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-03 
確定日 2006-11-16 
事件の表示 国際登録第778996号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成(立体商標)よりなり、第12類「Vehicles and parts thereof.」、第16類「Stationery;office requisites(except furniture);advertising articles and advertising materials(included in this class);printed matter;articles made of paper(included in this class).」及び第28類「Games and toys;models of vehicles and parts thereof;playing cards.」を指定商品として、2002(平成14年)年2月15日に国際登録されたものである。
その後、その指定商品中第12類及び第16類については、平成15年9月19日付けの手続補正書をもって第12類「Aircraft,automobiles,bicycles,motorcycles,rolling stock for railways and ships,and their parts.」及び第16類「Stationery;office requisites(except furniture);advertising articles and advertising materials(included in this class);printed matter;boxes of paper;placards of paper;table linens of paper.」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は「本願商標は乗用車の立体的形状を5図面をもって表してなるところ、これよりは自動車の形状を容易に認識させるに過ぎないものであり、これを本願の指定商品中第12類「自動車並びにその部品及び付属品」及び第28類「乗物の模型おもちゃ及びその部品」について使用するときには、単に「自動車若しくは自動車おもちゃ」の一立体的形状を表すに過ぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、原則として商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
なお、商品等の立体的形状について、上記と同旨の判示をしたうえで、自他商品の識別力を有しない旨認定、判断をした以下の東京高等裁判所の判決がある。(平成13年(行ケ)第446号 判決言渡日 平成14年7月18日、平成14年(行ケ)第581号 判決言渡日 平成15年8月29日ほか)
(2)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、一見して自動車の一形態を表した立体的形状よりなるものと認められ、これをその指定商品中、第12類「自動車並びにその部品及び付属品」及び第28類「自動車の模型おもちゃ及びその部品」について使用しても、これに接する需要者・取引者は、商品の機能・美感等を発揮する目的で採択されたデザインとしての商品の形状の一形態を表示したものと理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないと判断するのが相当である。また、上記以外の商品について使用するときには、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものといわざるを得ない。
(3)なお、請求人は「本願商標は請求人が1938年9月から2003年7月まで65年間にわたり、2千万台以上生産された小型自動車(愛称:BEETLE(ビートル))の外形形状をモチーフとしており、該自動車は世界の自動車史上においても、最も高い評価と名声を得た大衆小型自動車の一つであり、その固有な外形形状を最大の特徴として我が国需要者一般の間においても広く認識・記憶されていることから、「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」には該当せず、その固有の外形的特徴から「普通に用いられる方法で表示する標章」にも当たらないので、本願商標は商標法第3条第1項第3号の適用を受ける余地はない。」旨を述べている。
(4)しかしながら、本願商標は自動車の一形態を表すものであることは前記のとおりであり、これが自動車及び自動車の模型おもちゃとして、予測し難いような特異な形状や特別の印象を与えるものであるということはできない。
また、出願された商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものに該当するというためには、使用にかかる商標及び商品は、原則として本願商標及びその指定商品と同一でなければならないところ(前記、平成14年(行ケ)581号)、請求人が1938年以来2003年まで、自動車に本願商標を使用しているとして提出した各証拠によれば、自動車の特性から、数回にわたりモデルチェンジが繰り返されている事実が窺われ、しかも、各モデルチェンジ時の形状、すなわち使用商標と本願商標とは、同一のものと認めることはできない。
さらに、本願商標の指定商品が使用した商品に限定されていないことは明らかである。
(5)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2006-05-23 
結審通知日 2006-05-25 
審決日 2006-07-06 
国際登録番号 0778996 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y121628)
T 1 8・ 13- Z (Y121628)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 亨子 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 矢澤 一幸
井岡 賢一
代理人 江崎 光史 
代理人 河原 正子 

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