• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1151994 
審判番号 無効2005-89115 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-09-07 
確定日 2007-01-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4865303号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4865303号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4865303号商標(以下「本件商標」という。)は、「SUZUYA INTERNATIONAL」の文字を横書きしてなり、平成16年8月4日に登録出願、第25類「被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」を指定商品として、同17年5月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用した商標は、以下の12件である。
(ア)登録第4252518号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成10年2月12日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同11年3月19日に設定登録されたものである。
(イ)登録第4360076号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成10年11月24日に登録出願、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同12年2月10日に設定登録されたものである。
(ウ)登録第4317341号商標(以下「引用商標3」という。)は、「株式会社 鈴屋」の漢字と「SUZUYA CO LTD」の欧文字とを二段に書してなり、平成10年9月10日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同11年9月24日に設定登録されたものである。
(エ)登録第1293128号商標(以下「引用商標4」という)は、「鈴屋」の漢字を横書きしてなり、昭和49年1月16日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年8月15日に設定登録されたものである。
(オ)登録第1728553号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、昭和49年12月24日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年11月27日に設定登録されたものである。
(カ)登録第1247031号商標(以下「引用商標6」という)は、「鈴屋」の漢字を横書きしてなり、昭和49年1月16日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年2月7日に設定登録されたものである。
(キ)登録第1258851号商標(以下「引用商標7」という。)は、「鈴屋」の漢字を横書きしてなり、昭和49年1月16日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年3月14日に設定登録されたものである。
(ク)登録第4301647号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成10年2月12日に登録出願、第3類、第14類、第16類、第18類、第21類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年8月6日に設定登録されたものである。なお、指定商品については、商標権一部取消審判の請求が2件あった結果、指定商品中第21類「花瓶(貴金属製のものを除く。),水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴」及び第14類「貴金属製の花瓶・水盤」について登録を取り消す旨の審判の確定登録が平成15年1月15日及び同15年9月10日にそれぞれされたものである。
(ケ)登録第3141647号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成4年4月20日に登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同8年4月30日に設定登録されたものである。
(コ)登録第3102824号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成4年4月20日に登録出願、第40類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同7年12月26日に設定登録されたものである。
(サ)登録第3096565号商標(以下「引用商標11」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成4年4月20日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として同7年11月30日に設定登録されたものである。
(シ)登録第3310953号商標(以下「引用商標12」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成4年4月20日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同9年5月23日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第163号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)請求人及び引用各商標の著名性
請求人は、明治42年6月に鈴木房吉により、東京・上野で肌着の仕立て直しや雑貨販売の鈴木屋として創業された。昭和26年3月30日に「株式会社鈴屋」として法人化され、その後、業態を女性用被服、衣料用小物類などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするアパレルメーカーと転換し、商号の一部でもある「鈴屋」及び「SUZUYA」ブランドは、請求人の大手婦人服専門店を表示するものとして、また請求人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内において確固たる地位を築き上げてきた(甲第14号証及び甲第84号証)。また日本国内ばかりでなく、昭和46年5月のパリ・シャンゼリゼ店オープンの後、昭和48年のサンジェルマン店、香港店等のオープンにより、海外においても広く知られ、その商品には高い信用が形成されているものである(甲第14号証)。昭和51年には、請求人は東京・青山に複数店舗からなるファッションビル「青山ベルコモンズ」を開店(現在は第三者により所有されている)し、婦人服専門店として、ファッション業界をリードするポジションを維持し続けてきた(甲第15号証ないし甲第65号証)。そして、請求人の動向や請求人の当時代表取締役社長(現会長)であった鈴木義雄氏のコメントは、被服業界において常に注目されるものであり、日本繊維新聞、センイジャアナル、繊研新聞等の業界紙及び一般紙には、「鈴屋」の名前は絶え間なく掲載されていた(甲第30号証ないし甲第65号証)。
最盛期である平成5年の請求人の関連会社(「鈴屋」グループ)の年間売上高は約692億円、平成6年度においては、約649億円、平成7年度は約507億円と非常に高額であり、また、請求人は繊研新聞において毎年公表される衣料専門店ランキング上、第3位の地位を度々獲得する程の婦人服専門店のランキング常連企業であり(甲第15号証ないし甲第17号証)、長年に亘り婦人服専門店業界をリードし続け、請求人、鈴丹(愛知県名古屋市)及び三愛(東京都)の三社を「名門3S」又は「御三家」とする表現が存在するほどであった(甲第65号証及び甲第67号証)。その後、個人消費の低迷と海外製品の輸入増加などによる価格破壊現象と並行する形で、請求人の売上は減少傾向をたどることとなり、業績の悪化により、請求人は平成9年2月和議申請を行った。
婦人服専門店として需要者及び取引者に著名であった請求人が、和議申請を行ったという事実は広く報じられ、また、申請前においても、再建策について新聞記事に取り上げられるほど、請求人は注目を浴び続けた(甲第63号証ないし甲第67号証)。
また、平成9年以降は、老舗大手婦人服専門店の企業再編事例として注目を浴び続けることとなるが、平成9年以降も繊研新聞の全国専門店ランキングに請求人の名前は掲載され続け(甲第19号証ないし甲第26号証)、営業黒字に転換したことも新聞記事となった(甲第92号証)。そして請求人の継続した企業努力の結果、現在、請求人は日本全国に73店舗の店舗数を有し、売上高が約110億円(平成15年度、甲第24号証)と業績回復の路を辿るものである。すなわち、請求人の「鈴屋」及び「SUZUYA」ブランドは依然、被服業界においてその著名性を失ってはおらず、その商品にも高い信用が形成され続けているものである。
これらの事実は、本件商標出願前に刊行された各種刊行物により、請求人の動向や請求人に関する記事が数多く紹介されていることからも明らかであると思料する(甲第15号証ないし甲第94号証)。
また、請求人はこれら引用各商標の登録以前から、「鈴屋」若しくは「SUZUYA」に係る商標登録を有していたという事実がある(甲第95号証ないし第130号)。さらに、請求人は、引用各商標以外にも、「SUZUYA」の文字を含む商標を所有している(甲第131号証ないし甲第138号証)。
以上のことから、婦人服業界においては「鈴屋」若しくは「SUZUYA」関連の商標といえば、請求人を出所とする商品又は役務についての商標であると、需要者及び取引者において広く認識されていたものと言え、本件商標の出願当時2004(平成16)年においても、すでに請求人が自らのブランドとして婦人服等のファッションに関係する商品に使用する引用各商標「鈴屋」及び「SUZUYA」は、請求人の商標として極めて広く知られていた商標であるというべきである。
(2)本件商標と引用各商標の類否について
本件商標は、「SUZUYA INTERNATIONAL」というブロック体の欧文字により構成される外観を持ち、婦人服専門店として著名な請求人の引用各商標「SUZUYA」の文字部分をその構成に含む商標である。また、本件商標を構成する文字のうち「INTERNATIONAL」は、一般的に企業が国際的に業務を行っていることを示唆する言葉であって、商標としての識別性が弱い語であり、ともに構成される言葉(本件の場合「SUZUYA」)を要部として強調するものである。即ち、本件商標に含まれる「インターナショナル」という英語は、日本語で「国際」を意味することは一般的によく知られている(甲第139号証)。そして、本件商標の指定商品の分野である被服業界においては、もともと採用していた屋号に「インターナショナル」を付し、商号として使用している企業は少なくないのが事実であり、例えば「株式会社サンエーインターナショナル」「東レインターナショナル」「ナルミヤインターナショナル」等がある(甲第140号証)。また、「○○インターナショナル」若しくは「○○International」との構成の登録商標が、本件商標の指定商品と同一の区分(第25類)に多数登録されており(甲第141号証)、この事実からも、被服業界において「○○インターナショナル」という商標は多数使用される傾向にあることが看取できる。
よって、本件商標の指定商品の関連分野において「INTERNATIONAL」という言葉を含む商標を見て、「INTERNATIONAL」以外の部分についてが、その表示を他の表示と識別する部分(すなわち要部)となっていることが通例であるといわざるを得ない。
このような「INTERNATIONAL」という言葉を含む結合商標の、本件商標の指定商品である被服関連分野における上記事情を鑑みると、本件商標の要部は「SUZUYA」であるというべきである。そうすると、本件商標の「SUZUYA」部分からは、婦人服業界において著名な請求人若しくは引用各商標を想起させる観念が生ずることが必定である。
さらに本件商標の要部は上述のごとく「SUZUYA」部分であるといえるので、本件商標からは「スズヤインターナショナル」という称呼のほか、「スズヤ」の称呼をも生ずるというべきである。
一方、引用各商標は、その構成中の「鈴屋」、「SUZUYA」、「suzuya」等の文字部分より「スズヤ」の称呼を生じる商標である。
そして、引用各商標からは、上述のように、婦人服業界において老舗であり、著名な請求人を想起させる観念が生ずるものである。
したがって、需要者が時と所を異にして本件商標及び引用各商標に接する場合には、称呼上及び観念上相紛れるおそれがあって、外観においても「SUZUYA」という共通する文字を構成に含む商標であるので、両商標は互いに類似する商標であると言うことができる。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
(ア)本件商標と引用各商標の類似性の程度
本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」のうち「INTERNATIONAL」部分については、一般的に企業が国際的に業務を行っていることを示唆する言葉であって、商標としての識別性が弱い語であり、ともに構成される言葉(本件の場合「SUZUYA」)を要部とする商標である。一方、引用各商標は「鈴屋」又はその欧文字表記である「SUZUYA」の文字を有する商標であり、両商標からは「スズヤ」の称呼が生じ、外観においても「SUZUYA」と共通する文字を有する商標である。そして観念上においても、本件商標の要部及び引用各商標からは、婦人服専門店として著名な請求人を想起させるという共通の観念を有するというべきである。したがって、本件商標と引用各商標は互いに類似する商標であるというべきである。
(イ)引用各商標の周知著名性の程度
引用各商標の著名性については、上述に述べたとおりである。請求人は平成9年に和議申請をしたが、それ以後も、継続的な努力によって「鈴屋」及び「SUZUYA」ブランドの婦人服業界における著名性を維持しており、その商品にも高い信用が形成され続けている。
よってこのような著名な請求人の商号の一部を含む引用各商標が、本件商標の指定商品の分野において著名性を有することは明白な事実である。
(ウ)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との間の性質用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品は、第25類の「被服等」である。一方、引用各商標のうち、引用商標1ないし3は、本件商標と同一の指定商品を含むものである。また引用商標4ないし12においても、その指定商品又は役務は請求人の業務の範疇であり、請求人は、婦人服専門店の老舗として著名であるため、本件商標の指定商品である被服等と需要者及び取引者を共通にするものである。
また、被請求人は本件商標の他に、商標「鈴屋国際」(登録第4814800号)等も出願している(甲第145号証)。これら商標のうち、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」及び「SUZUYA ORIENTAL」について、今般発見された、被請求人が商標を実際に使用している商品(但し、実際に使用されている商標は、後述するとおり「SUZUYA」部分を強調する態様のもので、当該登録商標と実質的同一性が認められるものではない)は、婦人用スカート、婦人用袖なし(キャミソール型)ニット、及びその包装用袋であり(甲第146号証及び甲第147号証)、請求人の業務分野と重複することは明らかである。またこれら商品は、大型スーパーマーケットにおいて販売されていることが発見されており(甲第146号証及び甲第147号証)、近年の大型スーパーマーケットには、あらゆる年代の需要者が訪れ、買い物を楽しむことが通常であるといえる。すなわち、たとえ、これら被請求人の商品を実際に購入する需要者層の中に、現在の10代、20代の若年層が含まれているとしても、同時に、子供や孫等のために商品を購入する壮年層の需要者がいることも容易に想到しうるものである。そして、前述したことからすれば取引者のみならず、少なくともこのような壮年層の需要者においても、請求人が老舗の婦人服専門店であり、「名門3S」の一つであったことは十分に認知されている以上、本件商標の付された商品を見て、それが請求人、株式会社鈴屋の商品であるかのごとく理解し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは容易に想到しうると判断されるべきである。
よって本件商標と引用各商標の需要者及び取引者が共通することは明らかであり、本件商標がその指定商品に使用されると、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるものと言わざるを得ない。
(エ)小括
以上のように、本件商標は、我が国において「婦人服」等の商品に関して著名な引用各商標「SUZUYA」を含み、また引用各商標を容易に想起させるものというべきであり、指定商品の関連性等の具体的事情を考慮すると、本件商標がその指定商品に使用された際には、これに接する取引者・需要者は、恰も請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務にかかる商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
従って、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、無効にすべきものである。
(4)商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標登録出願前にはすでに、「鈴屋」及びその欧文字「SUZUYA」は、被服業界において、著名な老舗の請求人の商号「株式会社鈴屋」の略称として広く知れ渡っていたものであるといえる。
そして、本件商標は、その構成中に「SUZUYA」の文字を有しなるものであるから、他人の著名な略称を含む商標というべきでものある。
また、被請求人は、「SUZUYA」を含む商標を出願することについて、請求人である株式会社鈴屋本人の承諾を得ていない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、無効にすべきものである。
(5)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、上述のように、請求人が引用する商標「SUZUYA」(甲第2号証ないし甲第4号証)と類似する商標であって、被服業界において著名な請求人を表す「SUZUYA」の文字を含む商標である。そして本件商標は引用商標1ないし3と同一又は類似の指定商品を含むものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、無効にすべきものである。
(6)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、請求人が使用する著名な商標「SUZUYA」若しくは「鈴屋」と類似する商標であり、また同一又は類似の指定商品を含むものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第10号に該当し、無効にすべきものである。
(7)商標法第4条第1項第7号該当性について
(ア)公正な取引秩序に反する出願
本件商標の被請求人であるニューベルコモンズ(香港)カンパニーリミテッドは、岡田氏をDirectorとし、香港をその住所とする企業である(甲第148号証)。被請求人は、Suzuya International(H.K.)Company Limited(鈴屋国際有限公司、以下「Suzuya HK」とする)の株を12.5%所有する株主でもある(甲第149号証)。Suzuya HKは、もともと、請求人である株式会社鈴屋の現・代表取締役会長鈴木義雄氏が、同社の社長であった昭和46年に「鈴屋」の国際展開の発端となるパリ店の開業、及び翌47年のサンジェルマン店の開業に続けて、昭和47年4月22日に海外3番目の店舗として香港店をオープンさせたときの経営母体であった(甲第14号証)。このように、Suzuya HKは、日本を除く、香港における株式会社鈴屋の国際的経営の主体となりうるべく設立された会社であり、平成4年当時には、香港で15店舗の専門店を出店し、売上規模で20億円にも到達し、以後、フランチャイズチェーンの展開など、事業の多角化に乗り出し、取引業界においてその成功は注目を集めるものであった(甲第35号証及び甲第36号証)。そして香港においても請求人の名義で引用各商標と同一又は類似の商標について出願し、これら香港の登録商標について、Suzuya HKにライセンスを与え使用させていた(甲第150号証)。
しかしながら、これら商標は香港における登録商標であり、当然のことながら、Suzuya HKが、「鈴屋」及び「SUZUYA」商標を利用して日本でビジネスを行うことなど全く想定されていなかった。
一方、平成9年に請求人が所有していたSuzuya HKの株式は全て第三者に譲渡され、請求人である株式会社鈴屋との資本関係は完全に絶たれることとなった。そして現在もその状況に変わりはなく、ニューベルコモンズ(香港)カンパニーリミテッドのDirectorである岡田氏が、Suzuya HKのDirectorとして経営を行っている(甲第148号証及び甲第149号証)。このように、香港における請求人の子会社であったSuzuya HKが、請求人と組織的及び経済的に何ら関係がなくなったにも拘らず、請求人に何らの説明もなく、請求人の商標と混同を生ずるおそれのあるほど類似する商標を、Directorを共通にするニューベルコモンズ(香港)カンパニーリミテッドの名義で、日本国特許庁に出願したのが本件商標及び登録第4814800号等の商標である(甲第145号証)。
このような事情のもと出願された本件商標は、請求人及び引用各商標の著名性を知りながら、上記のように請求人と特別の関係にあった者が、請求人の「SUZUYA」及び「鈴屋」の持つ著名性にフリーライドすべく出願されたものであって、このような本件商標の出願の経緯は著しく社会的妥当性を欠くものであるといえる。
(イ)被請求人が実際に使用している商標の態様について
被請求人が、本件商標及び商標登録出願をした別件商標の実際の使用について、以下のような事実が存在する。
被請求人は、本件商標を、「被服等」上述に記載の第25類の商品を指定商品として、平成17年(2005)5月20日に登録されている(甲第142号証)。そして、本件商標に対しては、上記に記載のとおり、その出願係属中に、請求人の今般引用する引用商標1、2及び9に類似するものであるので、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶理由をうけた経緯があった。その後、被請求人は、平成17年3月31日付意見書において、「(略)本願商標から『SUZUYA』のみを抽出することは、自他商品識別性を喪失させるものであり、『SUZUYA INTERNATIONAL』と一連不可分と判断することではじめて自他商品識別力が発揮されます。」といった主張をしている(甲第143号証)。しかしながら、今回発見された実際に被請求人が使用している商標の態様は「Suzuya」の文字部分を著しく強調した態様であり、その上、請求人が今般引用する引用商標2及び5の図形部分に該当するカタバミの家紋からなる図形を太字の円からなる線で囲んだ図形と酷似する図形を、強調した「Suzuya」の文字の左隣に添付して使用しているものである(甲第147号証)。さらに、被請求人は、「SUZUYA」の文字を含む別件商標「SUZUYA ORIENTAL」を、第25類の商品を指定商品として、登録番号第4874771号として登録されているものである(甲第145号証)。請求人は、被請求人が当該商標を実際に使用している態様を発見した。これによると、出願商標は明らかに同書同大で横一連に「SUZUYA ORIENTAL」と書された商標であるにもかかわらず、実際の使用態様においては明らかに「SUZUYA」部分のみを強調した使用をしていることが判明した(甲第146号証)。
上述のとおり、被請求人が請求人の著名である引用各商標の存在、及び、請求人が婦人服専門店の老舗として著名であることについて知っていたことは、容易に推認でき、今般発見された被請求人の実際に使用している商標の態様は、請求人の名声にただ乗りする使用と言わざるを得ない。
(ウ)小括
このような事情のもと出願された本件商標は、請求人及び引用各商標の著名性を知りながら、請求人と特別の関係にあった者が、請求人の「SUZUYA」及び「鈴屋」の持つ著名性にフリーライドすべく出願されたものであり、請求人の「SUZUYA」及び「鈴屋」の自他商品識別機能を著しく稀釈化するものであって、このような本件商標の出願の経緯は著しく社会的妥当性を欠くものであるといえる。よって本件商標は、公正な取引秩序に反し、社会一般道徳に反する商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当し、無効にすべきものである。
(8)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標が不正の目的をもって使用するものであると請求人が考える理由は次のとおりである。
被請求人は、請求人と何ら組織的・経済的に関連のない香港法人であるが、そのDirectorの一人に、請求人の香港における事業展開に基づいて設立され、現在は請求人とは資本的に関係のないSuzuya HKのDirectorである岡田氏が含まれていることが確認された(甲第148号証)。岡田氏が請求人及び引用各商標の日本における著名性を知り得ていたことは、岡田氏がSuzuya HKのDirectorであることから容易に推認できる。そもそも、上述したように請求人の引用各商標は、本件商標の出願当時2004年には、すでに被服関連の取引界において極めて広く知られていたのであるから、被請求人が、その出願時に著名な「鈴屋」又は「SUZUYA」の存在を知らなかったとは到底言い難い。
しかも、上述したように、本件商標や「SUZUYA ORIENTAL」商標について、実際の使用態様において、明らかに「SUZUYA」部分のみを強調した使用をするといった行為を被請求人は実際に行っているのである。このような使用は、まさに「鈴屋」及び「SUZUYA」に化体した高い名声と信用にフリーライドする目的を持って使用するものに他ならない、信義則に反する不正の目的での使用であると言わざるを得ない。
したがって、本件商標は、請求人の取り扱い業務に係る商品を表示するものとして著名な引用各商標に表れる「SUZUYA」の文字を含み、その指定商品について識別力が弱い「INTERNATIONAL」の文字を結合させたにすぎない商標であり、本件商標及び被請求人が出願した別件商標「SUZUYA ORIENTAL」において、その実際の使用態様は「SUZUYA」部分を強調した使用をし、著名な「SUZUYA」を容易に想起させる態様で使用している事実から、本件商標の使用ついて著名な商標「SUZUYA」及び「鈴屋」に化体した業務上の信用にフリーライドする目的を持って使用するものというべきであるので、商標法第4条第1項第19号に該当し、無効にすべきものである。
(9)結び
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によって無効にすべきものである。
2 答弁に対する弁駁
A.商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用各商標との類否
(ア)審判請求書において詳述したように、当該意見書において被請求人が主張の根拠とした過去の審決2件については、ともに昭和52年という、請求人の業績が最盛期であってその伝統と名が広く知れ渡ることとなった平成5年頃から15年以上も前の審決である。従って、昭和52年当時の判断と、婦人服の専門店としての著名性を得た時期以降である現在とでは、取引の実情も異なり、当該審決の判断を本件審判において採用されることは妥当ではない。従って、本件商標の、出願時に請求人の登録商標を引用され拒絶されるも意見書を提出して反論し登録になったという経緯は、本件商標の登録が無効とされない根拠とはならない。
(イ)請求人が引用各商標について、商品等の出所を示す表示として周知・著名性を獲得していることは、明瞭な事実であり、そして請求人が被服等を指定商品とする登録商標(引用商標1ないし3)を所有していることも事実である。さらに請求人は、「婦人服専門店の御三家」、「しにせの鈴屋」、「婦人服大手の鈴屋」(甲第49号証、甲第54号証、甲第65号証及び甲第67号証ないし甲第72号証)とも呼ばれており、和議申請をしても「あの大手が」という印象を需要者等に与えることはあっても、それまでの請求人の商標に化体した業務上の信用が消えるということは到底ありえず、また現在も請求人は引用各商標を使用して業務を継続して行っている。したがって、被請求人が言う「国際的な鈴屋」の観念を想起させる本件商標を、その指定商品である被服等に使用されると、「婦人服大手の鈴屋の海外バージョン」若しくは「海外展開を見据えた婦人服大手の鈴屋の商標」であるかのように、あたかも請求人の業務に係る商品であるかの印象を需要者等に与え、商品の出所について混同を生ずるおそれは極めて高いものであるというべきである。
(2)引用各商標の周知著名性の程度について
(ア)当該記事(甲第15号証ないし甲第94号証)は請求人に関する新聞記事であり、請求人の引用各商標を付した商品を紹介する記事ではない。しかしながら、これら記事から、請求人がアパレルの一企業として、若しくは、少なくとも婦人服専門店として、取引者及び需要者に広く知れ渡っていることが看取できることは、否定し得ない事実である。そして、これら記事はいずれも請求人の業務が引用各商標の指定商品、特に被服について使用されるものであるからこそ、婦人服専門店の老舗として請求人について掲載されているものといえる。
被請求人は請求人のブランドについて記載し、その写真を添付している〔乙第20号証及び乙第21号証〕。しかしながら、請求人もまた同業他社が行っているように、被服そのものにそれぞれ個別のブランド名を採用し、被請求人が示したような使用(乙第20号証及び乙第21号証)をしているとしても、レシートや包装用袋において引用各商標の使用を行っている(甲第151号証)。そしてこれら使用は商標法2条第3項第1号及び2号又は8号にいう「商標の使用」に該当するものである。
(イ)被請求人は、請求人と経済的にも組織的にも何らかかわりのない第三者が「鈴屋」、「すずや」又は「スズヤ」を含む商号を採用しているとして乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。しかしながら、これらは重複したものを除くと23店舗に関する情報にすぎず、その半数以上が従業員5人以下の小規模な、いわゆる町の衣料品店である。従ってこれら証拠をもって、請求人と関係のない「鈴屋」、「すずや」又は「スズヤ」を含む商号が日本各地に多数存在するとの被請求人の主張は、到底認められるものではない。また、たとえこれら「鈴屋」、「すずや」又は「スズヤ」を店舗名として使用するものが日本国内に23店舗存在するという事実があるとしても、このことから請求人がこれまで蓄積した伝統と、被服業界、少なくとも婦人服専門店の「鈴屋」若しくは「SUZUYA」といえば、請求人のことであるというその著名性を否定できるものではない。
(ウ)さらに、請求人は、請求人の商標が周知・著名なものであることを立証するため、今般、アンケート方式による市場調査を行った(甲第154号証)。
調査を担当した株式会社インテージ・インタラクティブの作成の報告書(甲第154号証)によれば、請求人の商標を知っていると回答した者が、70.7%おり、そのうち、「具体的製品名」に被服(注:請求人は和服を提供していないため、和服と回答した者は誤答として処理)と回答したものが57.0%であった。かかる認知度は、同じアンケートで調査した海外著名ブランドである「フオートナム・メインン」や「フィスラー」の認知度を大きく上回っており、請求人の出所表示としてのSUZUYAブランドの著名性は明らかである。
さらに、請求人は、被服業界における請求人及び引用各商標の著名性について証明するために、同業者による陳述書を提出する(甲第155号証)。
(3)本件商標の指定商品と請求人の商品との関連性並びに需要者等の共通性について
(ア)請求人は、引用各商標を付した請求人の商品の需要者が壮年層のみだと主張したわけではない。また、仮に、壮年層が引用各商標を付した請求人の商品の需要者であるとしても、このことが、商品の出所について混同を生ずるおそれがないという主張の根拠とはなり得ない。すなわち、被請求人が「SUZUYAINTERNATIONAL」及び「SUZUYAORIENTAL」なる標章を付して商品を販売していた大型スーパーマーケット(甲第146号証及び甲第147号証)においては、様々な年齢層を需要者とした商品が同一店舗内において販売されているところ、被服という一般消費者を対象とする商品については、実際に自らが着用する目的で購入する者も、自ら着用しないが第三者に贈答する等の目的で購入する者も、全て需要者層に含まれるというべきである。
(イ)被請求人は請求人が審判請求書に添付した証拠(甲第146号証及び甲第147号証)について、「これらの証拠によって証明されるのは、単に本件商標が被請求人により実際に使用されているという事実である」と主張する。このことはすなわち、被請求人が本件商標をその指定商品である「被服等」に含まれる「婦人用スカート、婦人用袖なしニット」等及びその包装用袋に使用していると認識しているものといえる。そしてこれら「婦人用スカート、婦人用袖なしニット」は、指定商品の表記「被服」に包含される概念の商品であることは否定できないし、これら商品と引用商標1ないし3の指定商品とが互いに類似する商品であるということは否定できるものではない。従って、本件商標と引用各商標の類似については上記に述べたとおりであり、需要者並びに取引者をともにする同ー又は類似の商品について使用されるものであるので、本件商標が使用されると、商品の出所について混同を生じるおそれがあるものと言わざるを得ない。
(4)その他取引の実情
(ア)商標の類否判断は、特許庁が商標登録出願を適正かつ統一的に審査するための基準として作成された商標審査基準においてその一定の基準が示されているが、商標の有する外観、称呼及び観念といったそれぞれの判断要素を総合的に考察し、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層、その他商品又は役務の取引の実情を考慮しなければならない(甲第156号証)。
被請求人が列挙した併存登録例とする商標について検討すると、まず商標「ギヤロツプ」(登録第699148号、乙第7号証)(なお、被請求人は、当該商標につき「ギャロップ」と記載しているが、これは「ギヤロツプ」の誤りである。)と商標「GALOP INTERNATIONAL」(登録第2374861号、乙第8号証)の併存登録については、登録第699148号はそのカタカナから「ギヤロツプ」との五音からなる称呼が発生し、登録第2374861号からは「ガロップインターナショナル」若しくは「ギャロップインターナショナル」の称呼が生じるものである。そして商標「Web」(登録第4274044号、乙第13号証)と商標「ウェッブインターナショナル」(登録第4223231号、乙第14号証)については、登録第4274044号から生じる称呼は「ウェブ」又は「ウエブ」であり、登録第4223231号からは「ウェッブインターナショナル」の称呼が生じる。したがって、これら商標は、それぞれ「インターナショナル」以外の文字部分から生ずる称呼が同一ではなく、明らかに「スズヤ」という同一の称呼を含む、本件商標と引用各商標との関係とは異なる状況下における併存登録例である。
次に、商標「IDEA/イデア」(登録第2708629号、乙第9号証)と商標「イデアインターナショナル」(登録第4820121号、乙第10号証)は、確かに一部商品(登録第4820121号商標の指定商品中第9類の「事故防護用手袋、防じんマスク、防毒マスク、溶接マスク、防火被服」及び第21類の「家事用手袋」)については、登録第2708629号と類似する商品ではあるが、登録第2708629号が被服を中心とする旧第17類の商品を指定商品とする登録であるのに対して、登録第4820121号は被服等の区分である第25類をその指定商品には含まないものである。従って、両商標の使用する商品を比べると、需要者及び取引者層が異なり、商品の出所について混同を生ずるおそれがないものと考えられる。従って、本件商標と引用商標1ないし3のように、指定商品の区分も同じであって、商品自体も重複する関係とは異なる状況下における併存登録の例であるといえる。
また、商標「アン」(登録第1183077号、乙第11号証)と商標「アンインターナショナル/UN INTERNATIONAL」(登録第3046889号、乙第12号証)については、登録第3046889号商標を構成する文字のうち「UN」についてはアルファベット2文字にすぎず、アルファベット2文字の部分には、原則、単に商品等の記号・符号として使用されるにすぎないので、商標としての自他商品識別機能を有さないと判断される(従って、アルファベット2文字のみからなる商標は、商標法第3条第1項第5号違反として登録を受けることができない。但し、同法第3条2項の適用を受けられる場合を除く。)。よって、登録第3046889号商標は、商標全体としてのみ把握される商標であって、登録1183077号商標とは類似しない商標である。したがって、このような特殊な事情のない本件商標と引用各商標との関係では、これら商標の併存登録例は参考にすべきではない。
さらに、カタカナ「アール」と発音記号のようなアルファベット及び記号が5段併記で書されてなる登録第4753352号(乙第15号証)と、カタカナのみで構成される商標「アールインターナショナル」(登録第2390513号、乙第16号証)においては、登録第4753352号商標は、カタカナとアルファベット及び記号からなる全体で把握されるべきであって、登録第2390513号とは非類似であると考えられるし、また、本件商標と引用各商標との関係のように、共通する文字部分である「アール」(本件の場合「鈴屋」)が指定商品の分野において周知著名であるとの事情も見当たらない。よってこれら商標の併存登録例は、本件商標と引用各商標との類否判断において、事情が異なるため、採用されるべきではない。
また、「やまと/ヤマト/YAMATO」(登録第1697527号、乙第17号証)及び「ヤマトインターナショナル」(登録第1865933号、乙第18号証)の併存登録例については、登録第1865933号商標権者である株式会社ヤマトインターナショナルは、もともと「ヤマト」の称呼が生ずる登録第308691号の1商標を有しており(甲第157号証)、この登録商標の使用実績をもとに、登録第1865933号を出願し、登録されたものと思料する。そして登録第1697527号は、逆に登録第308691号の1より後願であるが、登録第308691号と類似しない商品のみ(「和服等」)を指定して出願し、登録になったものである。本件商標には、引用各商標の出願以前から日本において「鈴屋」の文字を含む登録商標を有していた経緯もなく、このような併存登録例とは事情が異なるため、当該併存登録の例は、本件商標と引用各商標との類否判断において参考にされるべきではない。
B.商標法第4条第1項第8号について
引用各商標について検討すると、請求人の商号の略称である「鈴屋」及び「SUZUYA」は、被服という至極一般的な日常生活の必需品に使用されるものであって、「一般人が購入するようなものである場合」に該当することは明らかであり、この場合には「当該他人の略称(「鈴屋」及び「SUZUYA」)が世間一般に広く知られて著名であるということができる」ものと思料する。従って、東京高裁における平成13年(行ケ)第387号審決取消請求事件(甲第158号証)の判決の一部分を根拠として、本件商標が商標法第4条第1項第8号違反という無効理由を有さないとする被請求人の主張は妥当ではない。
また、被請求人は上記裁判所の判断を「商標審査基準の解説(第3版)」より引用しているが、当該書籍は平成16年12月1日発行の第四版二刷が存在する。該第四版二刷における商標法第4条第1項第8号に関するページにおいて、上記平成13年(行ケ)第387号審決取消請求事件と、これより後に判断された事件として、「これに対して、著名な略称は当該指定商品の属する分野との関連で検討されて良いとする判決例がある。」と東京高裁における平成14年(行ケ)第150号について記載されている(甲第159号証)。これに従って本件商標について検討すると、本件商標は構成に「SUZUYA」の文字を含むものであるので、「他人」である請求人こと株式会社鈴屋が自然に想起され、そして本件商標が、請求人の主要業務である被服について使用されることを考えると、本件商標の使用によって、請求人が社会的、経済的に何らかの有形、無形の不利益を蒙る可能性があるということは否定できない。
C.商標法第4条第1項第11号について
(1)商標法第4条第1項第11号の審査基準(甲第156号証)に、本件商標と引用各商標についてあてはめると、引用各商標が「需要者の間に広く認識された登録商標」であることは上記に示すとおりであり、その周知・著名な「SUZUYA」と「INTERNATIONAL」の文字を結合した本件商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されている場合であっても、その他人の登録商標である引用各商標と類似するものと判断されるべきである。すなわち、本件商標が「SUZUYA INTERNATIONAL」とまとまりよく一体に表されているとしても、他人である被請求人の広く知られた引用各商標を含むものであって、引用商標1ないし3と同一又は類似する商品を指定するものであるので、商標法第4条第1項第11号に該当するという無効理由が存在することは否定することができない。
(2)「鈴屋」及び「SUZUYA」が被服業界において周知著名なことは上記に述べたとおりであり、被請求人が言う「国際的なスズヤ」の観念を想起させる本件商標を、その指定商品である被服等に使用された場合、「婦人服大手の鈴屋(スズヤ)の海外バージョン」若しくは「海外展開を見据えた婦人服大手の鈴屋(スズヤ)の商標」、又は提出した証拠にあるように、請求人の海外展開については過去にも報道されていたことから(甲第35号証、甲第36号証、甲第41号証及び甲第42号証)、「積極的に海外展開を行ってきた鈴屋の商標」であるかのように、取引者及び需要者は認識するおそれが極めて高いものと考えられ、この点でやはり本件商標の要部は「SUZUYA」であるといわざるを得ず、本件商標と引用商標1ないし3は類似する商標であるというべきである。
D.商標法第4条第1項第10号について
上記に述べたとおり、引用各商標は商標として使用されており、そして引用各商標が使用されることと相侯って請求人の商号の略称としての「鈴屋」及び「SUZUYA」も、引用各商標とともにその周知著名性を獲得しているこということは言うまでもない。
E.商標法第4条第1項第7号について
(1)被請求人が主張するように、鈴屋国際有限公司自体は、請求人である株式会社鈴屋の香港法人として設立されたものであり(甲第14号証)、そもそも請求人名義で登録された香港における商標権を譲渡した先は鈴屋国際有限公司であって(甲第160号証)、被請求人が主張する「被請求人ニューベルコモンズ(香港)株式会社が、株式会社鈴屋から鈴屋関連商標のアジア地域における一切の権利を譲り受けた」のではない。まして、「アジア地域」に「日本」が含まれることは断じてなく、この点については当時、請求人の代表取締役社長であって、現会長の鈴木義雄氏の陳述書及び商標権譲渡契約書からも明らかな事実であり(甲第160号証及び甲第161号証)、むしろ、あえて譲渡契約書に、譲渡する商標権について日本以外の国名や登録番号等を明記したということは、鈴屋国際(香港)有限公司が「鈴屋」関連の商標を日本では使用しないとの合意があったことを裏付けるものである。
また、被請求人は、請求人と資本関係を有さず、商品を共有している事実がないにもかかわらず、自己のホームページにおいて、請求人である株式会社鈴屋の歴史を紹介し、あたかも請求人と繋がりがあるかのような表示を行っている(甲第162号証)。このように自らのホームページにおいて請求人とのつながりがあるかのような記載をして自己の業務を行っているにも係らず、本件商標が、請求人の「鈴屋」及び「SUZUYA」商標と類似しないものであって、請求人を想起させないとの主張は全くをもって相容れない主張である。したがって、「海外での使用実績に基づいて日本へ商標出願するにあたって、請求人への説明や了承を得なければならない理由は存在しない」との被請求人の主張は、否定されるべき主張であるし、本件商標はその出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものといわざるを得ない。
さらに、被請求人も認めているように、鈴屋国際有限公司は、請求人である株式会社鈴屋の香港法人として設立されたものであって、そのことを自らのホームページで記載している以上、現在、資本関係等はなくとも、「SUZUYA INTERNATIONAL」という本件商標を目にした日本の取引者及び需要者にとっては、日本の株式会社鈴屋の香港法人の逆輸入商品若しくは、海外にある株式会社鈴屋の商品が国内に参入したかのような印象を与え、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあることは否定されようのない事実である。
(2)被請求人は「請求人に対してSUZUYAとカタバミ紋の図形からなる商標を沖縄県で使用してもよいと口頭で了解を得た経緯がある」と主張する。当該主張が事実に反することは、以下に述べるとおりであるが、そもそもこのような主張を被請求人が行うこと自体、事前に請求人の了解を得なければSUZUYA商標を日本では使用できないことを被請求人が十分に理解していたことを明らかに示すものである。よって「鈴屋」及び「SUZUYA」関連商標を被服等を指定商品として、被請求人が商標登録出願することができないことは当然であって、本件商標等の出願は請求人と被請求人との合意に明らかに反するものであると言わざるを得ない。
さらに、被請求人の上記主張については、請求人としては、このような事実はないと主張せざるを得ない。請求人の代表取締役社長である伊狩悟氏は、平成16年夏頃、被請求人の代表取締役である岡田氏から「沖縄で鈴屋国際(香港)の商品を販売したい。」という内容の電話を受けた。当時の岡田氏の説明は、鈴屋国際の香港で余った在庫商品の処理のため、というものであったので、ごく短期間に限って沖縄でバーゲンセールを行う程度のことと伊狩氏は解釈した。そして岡田氏から今後被請求人が日本において「鈴屋」及び「SUZUYA」に関連する商標を出願し、継続して事業を日本において展開するなどという説明は一切なかった。伊狩氏は、もしこのとき本件商標のような商標や、「SUZUYA ORIENTAL」といった看板や商標を使用して今後日本で事業展開をする予定であるという話を聞いていれば、当然のことながら、ごく短期間とはいえ、当該在庫処分を容認することはなかった(甲第163号証)。この沖縄におけるごく短期間に限った在庫処理の容認が、「SUZUYAとカタバミ紋の図形からなる商標を沖縄県で使用してもよい」ということにはなり得ないことは明らかである。さらに、平成17年5月末以降、岡田氏から、「SUZUYA ORIENTAL」ブランド等を利用した商品の日本展開を行っていきたい旨の意向が伝えられ、実際に、九州の都城等で「SUZUYA ORIENTAL」ブランドを利用した商品の販売が行われていること、及び、被請求人名義で本件商標他数件の商標が登録及び出願中であることが判明した。
これに対し、請求人は、口頭及び書面にて、SUZUYA関連の商標を使用して日本国内で事業を展開することは容認できないので、SUZUYA関連の商標の使用を中止することとSUZUYA関連商標の商標登録を放棄または請求人に譲渡することを再三にわたり要求してきたところ、被請求人は、平成17年9月15日の面談の際、漸く、沖縄を含め、全ての既存店舗及び今後出展予定の店舗において、鈴屋関連商標の使用をやめ、他のブランドに変更すること、及び、被請求人の名義で所有する鈴屋関連の商標は今後一切使用はしないことを約束するに至った。しかしながら、商標権の放棄や譲渡には同意できないとのことであったので、請求人は書面で再考を求めたが、現在に至るまで応じてもらえていない。(甲第163号証)。
従って、本審判請求は、上記のような経緯を経てなされたのであり、被請求人が主張する「沖縄でかかる商標を使用することに何の問題もない」ことの根拠は存在せず、その後、幾度もの書簡の送付や、電話及び面会において請求人は、その立場を被請求人に明確に表示し、本件商標等の使用を今後中止する旨の約束は取り付けたものの、当該商標権の帰属については、継続して争う姿勢を被請求人は見せている。このようなことからも、本件商標が公正な取引秩序及び社会一般道徳に反するものと言わざるを得ない。
F.商標法第4条第1項第19号について
(1)被請求人が否定する、本件商標と引用各商標との類似性と、引用各商標の著名性については、上記に述べたとおりであり、本件商標は「SUZUYA」を要部とし、また「SUZUYA」は被服について使用される場合は、請求人の商標又は商号の略称を示すものとして周知著名であるので、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」は引用各商標と類似するものといわざるを得ない。
(2)日本国内で周知な商標について上記のような信義則に反する不正の目的で出願され、請求人の業務にかかる商品等を表示するものとして、日本国内に広く認識されている引用各商標と類似の商標である本件商標が、仮に海外の一定国で知られた商標であるとしても、そのことによって本件商標が商標法第4条第1項第19号違反とする無効理由を有するという事実は否定されるものではない。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証を提出した。
A.商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人は、本件商標が請求人により使用される商標として著名な引用各商標「SUZUYA」等に、国際的な企業であることを示唆する意味で一般的に使用される英語「INTERNATIONAL」という語を結合したに過ぎないものと認められるから、本件商標の要部は「SUZUYA」であり、本件商標がその指定商品に使用されるときには、これに接する取引者・需要者は、恰も請求人又はその関連会社の取り扱い業務に係る商品であるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあると主張する。
(2)その根拠として、本件商標と引用各商標との類似性の程度、引用各商標の周知著名性の程度、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との間の性質用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性、その他取引の実情について種々述べているが、何れの主張も認めることができない。
(3)本件商標と引用各商標の類似性の程度について
本件商標を構成する文字部分のうち「INTERNATIONAL」の英語については、甲第139号証に示されるように「国際」の意味を有するものである。しかしながら、「○○インターナショナル」若しくは「○○International」との構成を備える登録商標が多数登録されている事実をもって、本件商標の要部が「SUZUYA」であるとし、当該「SUZUYA」から婦人服業界において著名な請求人若しくは引用各商標を想起させる観念が生じ、本件商標をその指定商品に使用すると、恰もその商品の出所が著名な請求人であるか若しくは請求人と経済的又は組織的関連性を有する者の商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ないとする請求人の主張には何ら根拠が無いものである。
つまり、本件商標を構成する「SUZUYA INTERNATIONAL」は、「SUZUYA」或いは「INTERNATIONAL」の夫々の自他商品識別力云々の問題ではなく、一連不可分に構成される商標「SUZUYA INTERNATIONAL」としてはじめて自他商品識別力を発揮するものであると認定されたものであり、何れか一方を切り離して、個別的に自他商品識別力について論議するものではないことは明らかである。
請求人は、引用商標3を除く各引用商標からは、いずれもその文字部分から「スズヤ」の称呼が生じるとしており、引用商標3の構成文字からは「カブシキカイシャスズヤ」及び「スズヤシーオーエルティーディー」の称呼が生じるとしていながらも、「株式会社」及び「CO LTD」の文字部分は、法人であることを示すに過ぎないから、「鈴屋」又は「SUZUYA」が要部であるとし、「スズヤ」の称呼をも生じるとしている。
そこで、改めて本件商標と引用各商標との類否を称呼、外観、観念について観察してみると、本件商標からはその構成文字「SUZUYA INTERNATIONAL」から「スズヤインターナショナル」の称呼が生じ、上記引用各商標からは「スズヤ」、「スズヤカブシキカイシャ」、「スズヤシーオーエルティーディー」の称呼が生じる。また、その外観においては比較するまでもなく一見して相違することが明らかであり、さらに、本件商標からは「国際的なスズヤ」といった特定の観念が生じるのに対し、引用各商標からは「鈴屋」又は「株式会社鈴屋」といった異なる観念が生じるものである。
したがって、本件商標と引用各商標とは、互いに称呼、外観、観念の何れにおいても相違することが明白であり、時と処を異にする離隔的観察を試みたとしても、両者は彼此相紛らわしく看取されることはなく、互いに非類似の商標である。
よって、本件商標と引用各商標とが互いに類似するという請求人の主張には妥当性がなく、これを認めることができない。
(4)引用各商標の周知著名性の程度について
請求人は、引用各商標の著名性の証拠として「繊研新聞」に掲載されている全国婦人服専門店ランキング(甲第15号証ないし甲第26号証)、「日経流通新聞」に掲載されている売上げランキング(甲第27号証ないし甲第29号証)、「日本経済新聞」に掲載されている「これからの専門店経営」と題されたコラム(甲第30号証ないし甲第34号証)、「日本繊維新聞」をはじめとする各種新聞紙面又は雑誌等の経済記事(甲第35号証ないし甲第94号証)を引用している。
しかしながら、甲第15号証ないし甲第94号証においては、「株式会社鈴屋」、その略称としての「鈴屋」又はその英文字表記である「SUZUYA」が商号又は商号の略称として使用されていることを証明するにすぎず、引用各商標が本件商標の指定商品の分野における商品の商標として使用されているという事実並びにその商標の著名性を何ら立証するものでなく、単に請求人の商号である「株式会社鈴屋」が取り上げられていることを示すだけである。つまり、上記甲第15号証ないし甲第94号証に基づいて、商標としての「株式会社鈴屋」、「鈴屋」又は「SUZUYA」の著名性を立証することはできず、単に商号「株式会社鈴屋」又はその略称としての「鈴屋」或いは「SUZUYA」が新聞や雑誌コラム等に掲載されたという事実を述べるに留まるものである。
また、請求人は、引用各商標の登録以前から多数の「鈴屋」若しくは「SUZUYA」に係る商標登録を有していたという事実を甲第95号証ないし甲第130号証で示し、「SUZUYA」の文字を含む商標登録を有していたという事実を甲第131号証ないし甲第138号証によって示すものであるが、上述したような過去の多数の請求人による商標登録の事実があるからといって、引用各商標である「鈴屋」若しくは「SUZUYA」が需要者及び取引者において広く認識された商標であるとは言えない。
また、一部において重複掲載されている商号を含むものであるが、乙第1号証の「レディスファッション店名鑑2004〔東日本編〕(ボイス情報株式会社)」には、法人であることを示す「株式会社」又は「有限会社」の表記以外に「鈴屋」、「スズヤ」又は「すずや」を含む請求人以外の商号が6件掲載され、同様に乙第2号証の「レディスファッション店名鑑2004〔西日本編〕(ボイス情報株式会社)」には4件、乙第3号証の「全国ブティック名鑑2005(ボイス情報株式会社)」には4件、乙第4号証の「メンズファッション店名鑑2005【西日本編】(ボイス情報株式会社)」には1件、乙第5号証の「西日本レディス専門店(株式会社日本繊維経済研究所)」には5件、乙第6号証の「日本ファッション小売店名簿(株式会社アパレルファッション)」には14件掲載されている。これらに掲載されている商標は、何れも請求人である「株式会社鈴屋」とは経済的にも組織的にも何ら関わりのないものである。
してみると、経済的にも組織的にも何ら関わりのない「鈴屋」、「スズヤ」又は「すずや」を含む請求人以外の商号が日本各地に多数存在することに鑑みれば、必ずしも引用各商標である「鈴屋」若しくは「SUZUYA」が需要者及び取引者において広く認識された商標であるとは言えず、また、「鈴屋」又は「SUZUYA」が一概に被服業界において請求人を指し示すものであるとは言えない。
(5)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との間の性質用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標と引用各商標とは、そもそも商標自体が類似するものではない。 つまり、本件商標と引用各商標とが非類似であるのだから、仮に需要者及び取引者が共通するものであったとしても、その指定商品が同一又は類似、或いは、請求人の業務の範疇に属するからといって商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるとする請求人の主張は成り立たない。さらに言えば、請求人の販売する商品の需要者が現在の10代、20代の若年層であるところ、子供や孫等のために商品を購入する壮年層の需要者が含まれていることが容易に想到され、少なくともこのような壮年層の需要者において、本件商標の付された商品を見て、それが請求人、株式会社鈴屋の商品であるかのごとく理解し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあると請求人は主張する。このような苦しい主張は、通常の需要者が本件商標を見ても株式会社鈴屋と出所混同しないことを請求人自ら暗に認める証左である。
また、本件商標以外に被請求人が出願中である又は登録を有する複数の商標を甲第145号証により示し、被請求人が実際に使用している商標の態様を甲第146号証及び甲第147号証により示している。
請求人は、甲第146号証及び甲第147号証をもって、被請求人により実際に販売されている商品が婦人用スカート、婦人用袖なし(キャミソール型)ニット、包装用袋に本件商標及び被請求人に係る他の商標が使用され、これらの商品が請求人の業務に重複することが明らかであると述べるものであるが、これらの証拠によって証明されるのは、単に本件商標が被請求人により実際に使用されているという事実である。
(6)その他取引の実情
「INTERNATIONAL」以外の部分がその表示を他の表示と識別する部分となっているのが通例であるとの主張に対し、どの程度をもって通例とされるのかという疑問がある。何故なら、本件商標の指定商品と同一又は類似する商品について、「INTERNATIONAL」又は「インターナショナル」を除く部分において共通する商標が並存して登録されているという事実があるからである(乙第7号証ないし乙第18号証)。
乙第7号証ないし乙第18号証に示される各登録商標は何れも有効な登録商標である。例えば、乙第7号証と乙第8号証とは、「INTERNATIONAL」を除く部分を構成する「ギャロップ」及び「GALOP」において共通の称呼「ギャロップ」を生ずる商標である。また、乙第9号証と乙第10号証とは、「インターナショナル」を除く部分を構成する「IDEA/イデア」及び「イデア」において共通の称呼「イデア」を生ずる商標である。以下、乙第11号証と乙第12号証は「アン」、乙第13号証と乙第14号証は「ウェブ」、乙第15号証と乙第16号証は「アール」、乙第17号証と乙第18号証は「ヤマト」、というように、「INTERNATIONAL」又は「インターナショナル」を除く部分を構成する文字より生ずる称呼が何れも共通するものであり、且つ、夫々の権利者が異なるものである。上記以外にも本件商標の指定商品とは異なる商品の分類において上記したような「INTERNATIONAL」又は「インターナショナル」を除く部分を構成する文字より生ずる称呼が共通する事例は多数存在する。
確かに、請求人の主張するとおり、被服業界において「国際」の英語として知られる「インターナショナル」又は「INTERNATIONAL」の文字と他の文字とを結合させた登録商標が多数存在している。
しかしながら、乙第7号証ないし乙第18号証に示すような並存登録例が多数存在するということは、必ずしも本件商標の指定商品の関連分野において、「INTERNATIONAL」以外の部分がその表示を他の表示と識別する部分となっていることが通例であるとは言えず、甲第141号証を示して「○○インターナショナル」若しくは「○○International」との構成からなる登録例が多数存在することに基づき、本件商標の要部が「SUZUYA」であり、婦人服業界において著名な請求人若しくは引用各商標を想起させる観念を生ずることは必定であるとは言えない。
また、取引の実情として、実際に取引が行われる商品又は製品につき、一般消費者が製品の品質を正しく認識し、その購入に不測の損失を被ることのないようにするため、家庭用品品質表示法(乙第19号証)には、販売に係る商品の製造又は加工につき責任を有する製造者、販売者又はこれらから表示の委託を受けて行う表示事業者が表示を行う義務があると定められている。
そこで実際に請求人が販売している商品を確認してみると、乙第20号証及び乙第21号証に示すように、製造者又は販売者として請求人の商号である「株式会社鈴屋」又はその略称表記と主張する「鈴屋」或いは「SUZUYA」といった表示は一切確認することができず、請求人により開発されたブランド名である「Jean Vertical」、「BELLE BOUDOIR」、「Ombrage」といった表示のみが確認できるものである。これより、取引の実情において請求人の主張する「鈴屋」又は「SUZUYA」といった商標が実際に商品又は製品に使用されているという事実は確認できない。
よって、これらの事実からは、本件商標の指定商品の関連分野において請求人である「株式会社鈴屋」が実際に販売している商品や製品が当該請求人により開発されたブランド名により取引され、当該ブランド名により自他商品が識別されているということである。
したがって、請求人の商標「鈴屋」及び「SUZUYA」が請求人の業務の範疇に属する商品に使用されておらず、周知・著名商標でもないため、婦人服業界において著名な請求人若しくは引用各商標を想起させる観念を生ずることは必定であり、本件商標をその指定商品に使用すると、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ないとする請求人の主張は、これを認めることができない。
(7)小括
以上の説明から明らかなように、本件商標である「SUZUYA INTERNATIONAL」は、一連不可分にして自他商品識別機能を発揮する商標であり、引用各商標とは称呼、外観、観念の何れにおいても明白に相違するもので、これに接する取引者・需要者が普通に支払われる注意力をもってすれば両者は十分に識別可能な互いに非類似の商標であり、且つ、引用各商標は著名商標でもないため、本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当せず、登録を維持すべき商標である。
B.商標法第4条第1項第8号について
そもそも、商標法第4条第1項第8号における「著名な略称」とは、社団法人発明協会発行の「商標審査基準の解説(第三版増補)」の第150頁中段以降には、特定の商品の取引者、需要者に広く知られているかどうかではなく、その略称が特定人を表示するものとして世間一般に広く知られているかどうかであることが記載されている(乙第22号証)。
してみると、請求人の主張する著名な略称とは、甲第15号証ないし甲第26号証に基づいて被服業界における請求人の商号である「株式会社鈴屋」及びその略称である「鈴屋」又は「SUZUYA」についての著名性であり、いわゆる特定の取引者間における著名性について言及するものであり、商標法第4条第1項第8号にいうところの世間一般に広く知られている「著名な略称」とは言い得ないものである。
よって、請求人の商号である「株式会社鈴屋」の略称としての「鈴屋」又はその欧文字表記である「SUZUYA」については、商標法4条第1項第8号に規定される「著名な略称」には該当せず、よって、本件商標の被請求人が本件商標登録出願以前の段階で請求人に対して「SUZUYA」を含む本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」を出願することにつき、何らの承諾を得る一切の義務はなく、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当し、無効にすべきであるとする請求人の主張には妥当性がなく、これを認めることができない。
C.商標法第4条第1項第11号について
既述のとおり、本件商標を構成する「SUZUYA INTERNATIONAL」は、「SUZUYA」又は「INTERNATIONAL」の夫々の自他商品識別力云々の問題ではなく、一連不可分に構成される商標「SUZUYA INTERNATIONAL」としてはじめて自他商品識別力を発揮するものである。故に、何れか一方を切り離して、個別的に自他商品識別力について議論するものではない。
敢えて引用商標1ないし3との対比を行うならば、引用商標1は、「鈴屋」の漢字及び「SUZUYA」の欧文字を2段書きにしてなり、引用商標2は、カタバミの家紋からなる図形を太字の円からなる線で囲み、さらにその外側に細線で四角の枠を施してなる図形部分と欧文字「SUZUYA」を細線で四角の枠を施してなる文字部分とを2段書きしてなり、引用商標3は、「株式会社鈴屋」の漢字と「SUZUYA CO LTD」の欧文字を2段書きしてなるものである。
その称呼について観察すると、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」からは、淀みなく一息に「スズヤインターナショナル」の称呼が生じるのに対し、引用商標3を除く引用商標1、2からは、いずれもその文字部分から「スズヤ」の称呼が生じるものであり、また、引用商標3の構成文字からは「カブシキカイシャスズヤ」及び「スズヤシーオーエルティーディー」の称呼が生じるものである。なお、「株式会社」及び「CO LTD」の文字部分は、法人であることを示すに過ぎないから、「鈴屋」又は「SUZUYA」が要部であるとし、引用商標3の構成からは「スズヤ」の称呼も生じるものである。よって、本件商標と引用商標1ないし3とは、明らかにその称呼を異にするものであり、両者は称呼において互いに非類似の商標である。
また、その外観について観察すると、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」は、欧文字を左横書きしてなるものであるのに対し、引用商標1ないし3の構成は上述の通りである。してみると、本件商標と引用商標1ないし3とは、詳細を検討するまでもなく明らかにその外観を異にするものであり、両者は外観において互いに非類似の商標である。
さらに、その観念について観察すると、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」からは、「国際的なスズヤ」又は「スズヤ国際」といった特定の観念が生ずるのに対し、引用商標1及び2からは「スズヤ」という観念が生じ、引用商標3からは「株式会社鈴屋」といった特定の観念が生じるものである。してみると、本件商標と引用商標1ないし3とは、互いに異なる観念が生じるものであり、両者が観念において互いに非類似の商標である。
これより、本件商標と引用商標1ないし3とは、称呼、外観、観念の何れにおいても相違することが明白であり、時と処を異にする離隔的観察を試みたとしても、両者は彼此相紛らわしく看取されることはなく、互いに非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当せず、登録を維持すべき商標である。
D.商標法第4条第1項第10号について
請求人提出の甲第19号証、甲第24号証ないし甲第26号証に記載されている「鈴屋」又は「SUZUYA」は商標として記載されているのではなく、単に請求人の商号「株式会社鈴屋」の略称表記として記載されているものであり、商標「SUZUYA」及び「鈴屋」の著名性を何ら立証するものではない。
さらに、上述の商標法第4条第1項第11号において被請求人の主張として具申したように、本件商標と引用各商標の「SUZUYA」又は「鈴屋」とは互いに非類似の商標であることは明白であり、同一又は類似の商品に使用されたとしても、その商品の出所について混同を生じるおそれはなく本条の適用外であり、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当し、無効にすべきであるとする請求人の主張は、これを認めることができない。
E.商標法第4条第1項第7号について
鈴屋国際有限公司は、もともと、昭和48年1月、株式会社鈴屋の香港現地法人として成立されたものであるが、現在の鈴屋国際有限公司が株式会社鈴屋と資本関係を有さないことは事実である。請求人である株式会社鈴屋が平成9年2月の和議申請したのと関連して、鈴屋国際有限公司の株主である被請求人ニューベルコモンズ(香港)株式会社(代表者:岡田)が、株式会社鈴屋から鈴屋関連商標のアジア地域における一切の権利を譲り受けたためである。被請求人ニューベルコモンズ(香港)株式会社と資本関係にある鈴屋国際有限公司が、アジア地域において「鈴屋国際有限公司」や「SUZUYA INTERNATIONAL」の商号および商標を使用することは正当な行為である。
鈴屋国際有限公司は、昭和48年の設立以来、アジア地域での「SUZUYA INTERNATIONAL」の商標を継続使用し、特に平成9年2月に被請求人に譲渡された以降も、そのブランドイメージを維持している。被請求人は、乙第23号証に示すように、香港(直営店35店舗)を拠点とし、マカオ(直営店6店舗)、中国(直営店10店舗、フランチャイズ店15店舗)、シンガポール(直営店2店舗)、マレーシア(直営店5店舗)、タイ(直営店4店舗、フランチャイズ店1店舗)、ベトナム(直営店1店舗、フランチャイズ店1店舗)、インドネシア(フランチャイズ店1店舗)というように、東南アジア地域において精力的に営業活動を行っているものである。また、2004年9月から2005年8月までの売上高も香港の直営店だけで164,470,053.8HKドル(日本円で約25億円)、他の直営店及びフランチャイズ店の売上高の合計が203,369,035.99HKドル(日本円で約31億円)に達するものである。本件商標は上記各国において十分に使用実績があり、本件商標は海外で既に被請求人により使用されている商標「SUZUYA INTERNATIONAL」を日本で展開しようとするものである。被請求人が請求人の有する商標と類似しない本件商標を、海外での使用実績に基づいて日本へ商標出願するにあたって、請求人への説明や了承を得なければならない理由は存在しない。
被請求人は過去に請求人との間で特別な関係にあった事実はあるものの、乙第20号証及び乙第21号証をもって示したように、請求人は実際に商標「鈴屋」又は「SUZUYA」を商品に使用しているものではなく、既述したように請求人による引用各商標が著名性を有するに至ったとする何らの根拠もないものである。
よって、本件商標が請求人の「SUZUYA」及び「鈴屋」の持つ著名性にフリーライドすべくなされた出願であり、請求人の商標「鈴屋」及び「SUZUYA」の自他商品識別機能を著しく希釈化させるもので、本件商標の出願の経緯が著しく社会的妥当性を欠くものであるという請求人の主張は、これを認めることができない。
甲第147号証は、「SUZUYA」と「INTERNATIONAL」とカタバミ紋の図形とからなる商標を付した商品がジャスコ那覇店(沖縄県)で販売されたことを示している。これには、本件無効審判請求事件が請求される以前に、被請求人が請求人に対して「SUZUYA」とカタバミ紋の図形からなる商標を沖縄県で使用してもよいと口頭で了解を得た経緯がある。沖縄でかかる商標を使用することに何の問題もない。ちなみに、甲146号証は、本件事件と関係のない「SUZUYA ORIENTAL」商標に関するものである。この商標は、請求人の所有する商標とは非類似であると確信しているが、今般の審判請求事件後、無用な嫌疑を払拭するためにその使用を止めている。
したがって、本件商標は、公正な取引秩序及び社会一般道徳に反するものでなく、商標法第4条第1項第7号に該当せず、登録を維持すべき商標である。
F.商標法第4条第1項第19号について
請求人が提出した証拠資料の甲第15号証ないし甲第94号証には、請求人の商号である「株式会社鈴屋」、その略称としての「鈴屋」又はその英文字表記である「SUZUYA」が商号又は商号の略称として使用されていることを示すものであり、引用各商標が本件商標の指定商品の分野における商標として使用されているという事実並びにその商標の著名性を何ら立証するものでなく、引用各商標である「鈴屋」若しくは「SUZUYA」が需要者及び取引者において広く認識された商標であるとは言えない。
また、乙第1号証ないし乙第6号証には、何れも請求人である「株式会社鈴屋」とは経済的にも組織的にも何ら関わりのない「鈴屋」、「スズヤ」又は「すずや」を含む請求人以外の商号が日本各地に多数存在することが示されており、引用各商標である「鈴屋」又は「SUZUYA」が一概に被服業界において請求人を指し示すものであるとは言えない。
さらに、本件商標は、乙第23号証に示すように、被請求人が香港を中心とする東南アジア諸地域における営業活動の結果、高い名声と信用を勝ち得ているものであり、既に顧客吸引力を十分に具備している商標による日本国内での展開である。
なお、商標法第4条第1項第11号の被請求人の主張において申し述べたとおり、本件商標と引用各商標である「鈴屋」及び「SUZUYA」とは互いに非類似の商標である。
よって、請求人の引用各商標が著名であるとは言えず、また、本件商標と引用各商標とは互いに非類似のものであるから、本件商標が請求人の商標である「鈴屋」及び「SUZUYA」に化体した業務上の信用にフリーライドするという不正な目的をもって使用するものであり、公正な取引秩序を乱すものであるという請求人の主張は、これを認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当せず、登録を維持すべき商標である。
G.結語
以上詳述したとおり、本件商標と引用各商標とは、称呼、外観及び観念上類似するものではなく、且つ、商品の出所につき誤認・混同を生ずるそれもない。また、請求人の「SUZUYA」及び「鈴屋」の持つ著名性にフリーライドするという不正な目的をもって出願されたものでなく、引用各商標である「鈴屋」及び「SUZUYA」の自他商品識別機能を著しく希釈化させるものでもない。さらには、本件商標の出願の際に、請求人の承諾を得る必要性は皆無であり、社会一般道徳に反するものでも公正な取引に反するものでもない。
よって、本件商標は、請求人が主張する商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定に違反するものではない。

第5 当審の判断
(1)商標「鈴屋」及び「SUZUYA」の著名性について
(ア)甲第14号証の「鈴屋65年史」(昭和50年6月10日発行)及び甲第84号証の「流通サービス新聞」(平成10年7月3日発行)によれば、請求人は、明治42年6月に、東京、上野で肌着の仕立て直しや雑貨販売の鈴木屋として創業された。昭和26年3月30日に「株式会社鈴屋」として法人化され、その後、業態を女性用被服、衣料用小物類などのデザイン、企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするアパレルメーカーに転換したことが認められる。
(イ)甲第15号証ないし甲第17号証の「繊研新聞」(平成6年7月26日、平成7年7月27日、平成8年7月24日発行)、甲第65号証の「日経流通新聞」(平成8年6月25日発行)及び甲第67号証の「流通サービス新聞」(平成9年2月7日発行)によれば、最盛期である平成5年の請求人の関連会社(「鈴屋」グループ)の年間売上高は約692億円、平成6年度においては、約649億円、平成7年度は約507億円と非常に高額であり、また、請求人は繊研新聞において毎年公表される衣料専門店ランキング上、第3位の地位を度々獲得する程の婦人服専門店のランキング常連企業であり、長年に亘り婦人服専門店業界をリードし続け、請求人、鈴丹(愛知県名古屋市)及び三愛(東京都)の三社を「名門3S」又は「御三家」とする表現が存在するほどであった事実を認めることができる。そして、上記「繊研新聞」等には、請求人を指称するものとして、「鈴屋」の名前が掲載されている。
(エ)甲第68号証ないし甲第80号証の「日経流通新聞、朝日新聞他の各紙」(平成9年2月25日ないし同2月27日発行)によれば、請求人は、業績の悪化により、平成9年2月和議申請を行ったことが報じられているが、甲第92号証の「日経流通新聞」(平成10年11月12日発行)によれば、和議決定後翌年には営業黒字に転換したこと、また、甲第19号証ないし甲第26号証の「繊研新聞」(平成10年8月7日ないし平成17年8月9日発行)によれば、和議申請後の平成9年以降も、同新聞の全国専門店ランキング(レディス部門売上高上位60社)に「鈴屋」の名前は掲載され続け、平成9年度から同16年度間のレディス部門の売上高ランキングにおいて第20位前後にランクされていることが認められる。
(オ)甲第47号証の「日経流通新聞」(平成6年9月15日発行)、甲第56号証の「日本繊維新聞」(平成8年5月1日発行)、甲第64号証の「流通サービス新聞」(平成8年6月21日発行)、甲第70号証の「繊研新聞」(平成9年2月26日)、甲第72号証の「毎日新聞」(平成9年2月25日)、甲第75号証の「日刊工業新聞」(平成9年2月25日)、甲第77号証の「産経新聞」(平成9年2月25日)及び甲第78号証の「東京新聞」(平成9年2月25日)には、請求人を指称するものとして、「鈴屋」の欧文字表記と認められる「SUZUYA」の文字が掲載されていることが認められる。
(カ)甲第151号証によれば、請求人が被服そのものにそれぞれ個別のブランド名を採用し、その被服の包装用袋又はレシートに、請求人を指称する「SUZUYA」の文字が表示されていることが認められる。
以上の甲各号証を含め、請求人提出の甲第14号証ないし甲第163号証を総合勘案すれば、商標「鈴屋」及び「SUZUYA」は、本件商標の登録出願時ないし査定時には、請求人を指称するものとして、また、請求人の業務に係る商品「婦人服」を表示する商標として、少なくもファッション関連商品を取り扱う取引者、需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものというべきであり、その状態は現在に至るまで継続しているものと認められる。
(2)本件商標について
本件商標は、上記のとおり「SUZUYA INTERNATIONAL」の文字よりなるところ、その構成中の「INTERNATIONAL」の語は、「国際」の意味を有する語としてよく知られており、ファッション業界はもとより、一般的に企業が国際的に業務を行っていることを示唆する語としてよく使用されるものであって、自他商品の識別力が弱い語であるといえるものである。
そうすると、当該文字に接する取引者、需要者が、これを常に一体不可分の商標として認識するとは到底いえないところであり、他にこれを一体のものとして把握しなければならない特段の事情は見あたらない。
そうとすれば、本件商標「SUZUYA INTERNATIONAL」の文字に接する取引者、需要者は、前半部にあって、かつ、請求人の使用する商標として著名な「SUZUYA」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼、観念をもって取引に資する場合が多いものと判断するのが相当である。
また、本件商標の指定商品は、上記のとおり請求人の業務に係る商品「婦人服」を含むファッションに関連する商品であると認められる。
(3)請求人と被請求人の関係について
甲第14号証の「鈴屋65年史」によれば、請求人は昭和46年にフランスに進出し、「スズヤ インターナショナル」を設立、昭和48年1月には、香港現地法人として「鈴屋国際有限公司」を設立した。甲第148号証及び甲第149号証の各Annual Returnによれば、被請求人は、岡田氏をDirectorとし、香港をその住所とする企業であり、被請求人は、鈴屋国際有限公司の株を所有する株主でもあり、また、答弁書においても鈴屋国際有限公司の株主であることを述べている。その鈴屋国際有限公司は、日本を除く、香港における請求人の国際的経営の主体となりうるべく設立された会社であったが、その後、平成9年に請求人が所有していた鈴屋国際有限公司の株式は全て第三者に譲渡され、請求人との資本関係は完全に絶たれることとなり、現在もその状況に変わりはなく、被請求人のDirectorである岡田氏が、鈴屋国際有限公司のDirectorとして経営を行っている事実を推認することができる。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、「本件商標は、一連不可分にして自他商品識別機能を発揮する商標であり、引用各商標とは称呼、外観、観念の何れにおいても明白に相違するもので、これに接する取引者・需要者が普通に支払われる注意力をもってすれば両者は十分に識別可能な互いに非類似の商標であり、且つ、引用各商標は著名商標でもないため、本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所について混同を生ずるおそれはない。」旨主張している。
しかしながら、上記のとおり本件商標の構成中の「INTERNATIONAL」の語は、「国際」の意味を有する語としてよく知られており、一般的に企業が国際的に業務を行っていることを示唆する語であって、自他商品の識別力が弱い語であり、また、商標「鈴屋」及び「SUZUYA」の著名性が認められることから、この点に関する被請求人の主張は採用の限りでない。
(5)結論
商標「鈴屋」及び「SUZUYA」の著名性が、上記(1)のとおり認められること、また、本件商標の構成及び指定商品が、上記(2)のとおり認められ、その指定商品には請求人の使用する商品が包含されており、それ以外の商品も、専らファションに関連する商品であること、さらに、請求人と被請求人の関係が、上記(3)のとおり認められることからすれば、「SUZUYA」の文字を含む本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これより容易に商標「鈴屋」及び「SUZUYA」を連想、想起し、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について誤認、混同を生ずるおそれがある商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)登録第4252518号商標

(2)登録第4360076号商標

(3)登録第1728553号商標

(4)登録第4301647号商標

(5)登録第3141647号商標 登録第3102824号商標
登録第3096565号商標 登録第3310953号商標

審理終結日 2006-08-22 
結審通知日 2006-08-25 
審決日 2006-09-12 
出願番号 商願2004-71867(T2004-71867) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Y25)
最終処分 成立 
前審関与審査官 飯塚 隆八木橋 正雄 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 山本 良廣
小林 由美子
登録日 2005-05-20 
登録番号 商標登録第4865303号(T4865303) 
商標の称呼 スズヤインターナショナル、スズヤ 
代理人 中村 勝彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 奥山 倫行 
代理人 石田 良子 
代理人 中嶋 伸介 
代理人 佐藤 真太郎 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ