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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 登録しない Y363742
管理番号 1151973 
審判番号 不服2005-18398 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-22 
確定日 2007-01-25 
事件の表示 商願2004- 75542拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1に表示するとおり、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」、第37類「建設工事」及び第42類「建築物の設計」を指定役務として、平成16年8月3日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は以下の15件である。
(1)第3356157号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に表示するとおり、平成4年9月29日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年10月31日に設定登録されているものである。
(2)第3358383号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3に表示するとおり、平成4年9月28日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されているものである。
(3)第3358384号商標(以下「引用商標3」という。)は、「東洋」の文字を横書きしてなり、平成4年9月28日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されているものである。
(4)第3358385号商標(以下「引用商標4」という。)は、「東洋の」の文字を横書きしてなり、平成4年9月28日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されているものである。
(5)第3358386号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲4に表示するとおり、平成4年9月28日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されているものである。
(6)第3358388号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲5に表示するとおり、平成4年9月28日登録出願、第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年11月14日に設定登録されているものである。
(7)第3306945号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲6に表示するとおり、平成4年9月7日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月16日に設定登録されているものである。
(8)第3308039号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲7に表示するとおり、平成4年9月11日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月16日に設定登録されているものである。
(9)第3308042号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲8に表示するとおり、平成4年9月21日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月16日に設定登録されているものである。
(10)第3311879号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲9に表示するとおり、平成4年9月30日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月23日に設定登録されているものである。
(11)第3311880号商標(以下「引用商標11」という。)は、「TOYO」の欧文字を書してなり、平成4年9月30日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月23日に設定登録されているものである。
(12)第3315194号商標(以下「引用商標12」という。)は、別掲10に表示するとおり、平成4年8月28日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年5月30日に設定登録されているものである。
(13)第3320780号商標(以下「引用商標13」という。)は、別掲11に表示するとおり、平成4年9月30日登録出願、第37類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年6月13日に設定登録されているものである。
(14)第3339176号商標(以下「引用商標14」という。)は、別掲12に表示するとおり、平成4年9月28日登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年8月15日に設定登録されているものである。
(15)第3339177号商標(以下「引用商標15」という。)は、別掲13に表示するとおり、平成4年9月28日登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同9年8月15日に設定登録されているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲1のとおり、図形と文字との組合せよりなるところ、その構成中、図形部分と文字部分は、視覚上分離して認識されるばかりでなく、これらを常に一体のものとしてのみ把握すべき特別の理由は見いだし難いものであるから、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、図形部分は直ちに特定の称呼、観念を生ずるともいい得ないものであるから、該商標に接する取引者、需要者は、見やすく読みやすい文字部分に着目し、該文字部分をもって取引にあたる場合がむしろ多いものとみるのが相当である。
また、その文字部分においては、「CO.,LTD」の文字部分が、我が国において「株式会社」又は「有限会社」を意味する外来語「company limited」に通ずる英語として広く親しまれ、商取引の場にあっては、企業名に付して法人形態を表す語として使用されており、該文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を果たしていないか、自他役務の識別標識としての機能を果たしていたとしても、その機能は極めて弱いものと認識されるとみるのが相当であるから、これに接する取引者、需要者は「TOYO」(ただし、「TOYO」は装飾的な字体であり、「O」の上に「?」が付されている。)の文字部分(以下「TOYO」と記載する。)に自他役務の識別標識としての機能を見いだし、該文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないものと認められる。
そうすると、本願商標からは、その文字部分の構成全体より「トーヨーシーオーエルティデイ」の称呼が生ずるとともに、上述のとおり、自他役務の識別標識としての機能を有すると認識される「TOYO」の文字部分に相応して「トーヨー」の称呼をも生ずるとするのが相当である
これに対して、引用商標1ないし同2、同5ないし同10及び同12ないし同15(以下、これらをまとめて「引用各商標1」という。)は、図形と文字との組合せよりなるところ、その構成中、図形部分と文字部分は、視覚上分離して認識されるばかりでなく、これらを常に一体のものとしてのみ把握すべき特別の理由は見いだし難いものであるから、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得る「TOYO」の文字部分をもって取引に資する場合も決して少なくないものと認められる。
そうとすると、上記引用各商標1は、その文字部分より「トーヨー」の称呼を生ずるものというべきである。
また、引用商標3は、「東洋」の文字、同4は「東洋の」の文字、同11は「TOYO」の欧文字をそれぞれ書してなるから、それぞれ「トーヨー」の称呼を生ずるものと認められる。(以下、これらをまとめて「引用各商標2」という。)
そうとすれば、引用各商標1及び同2は、その構成文字部分に相応して、それぞれ「トーヨー」の称呼を生ずるものというべきである。
してみれば、本願商標と引用各商標1及び同2とは、「ト-ヨ-」の称呼を共通にする類似の商標といわざるを得ない。
(2)請求人は、(a)本願商標は全体が一体として観察され、左側に配置された「T」の文字と家の図形を組合わせた部分は、常に視覚的に「TOYO」の文字と同時に看取され、見落とされる可能性はない。また、本願商標から生じる称呼は「トーヨーカンパニーリミテッド」「トーヨーコエルティーディー」「ティートーヨーカンパニーリミテッド」「ティートーヨーコエルティーディー」「ティーアイトーヨーカンパニーリミテッド」「ティーアイトーヨーコエルティーディー」「ティートーヨー」「ティーアイトーヨー」であり、全体として出願人のハウスマークを表示したロゴとして、一連の観念及び称呼を生ずるものであり、いずれの引用商標とも、外観上はもちろんのこと、観念上、称呼上も類似しない、旨主張している。
しかしながら、文字、図形、記号等の結合よりなる商標(いわゆる「結合商標」)の類否の判断に当たっては、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際において、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。(最高裁昭和37年(オ)953号 同38年12月5日判決)
そして、本願商標は、別掲1に表示するとおり、左側に図形を配し、「TOTO」の欧文字を中央に、その「TOYO」の文字の右下に小さく「CO.,LTD」の欧文字を書してなるものであり、該図形部分と文字部分とは、視覚上分離してみられるばかりでなく、これらを常に一体不可分のものとしてみるべき特別の事情を見いだせないものであり、また、「TOYO」の文字と「CO.,LTD」の文字とは、明らかに軽重の差が認められ、視覚上分離して認識される上、「CO.,LTD」の文字は、「株式会社」又は「有限会社」の意味を有する英語として知られ、商取引の場において、企業形態を表す語として使用されていることは公知の事実であるから、自他役務の識別標識としての機能は弱いものといわざるを得ず、本願商標を指定役務に使用した場合、これに接した取引者、需要者は、通常、「TOYO」の文字部分を自他役務の識別機能を果たすものとして認識するものというべきである。
そうすると、本願商標からは、「TOYO」と「CO.,LTD」を一連のものとしてとらえ「トーヨーシーオーエルティデイ」との称呼を生ずるということができるとしても、同時に、「TOYO」の文字部分に相応して「トーヨー」の称呼をも生ずるものと認めるのが相当であるから、原告の主張は採用することができない。
(b)また、「トーヨー」の称呼を生ずる商標については、ありふれた名称とも認識され得る状況であり、「TOYO」単独では識別力希釈化してきている状況である。「トーヨー」の称呼を生ずる商標、会社名が多い現状においては、需要者は「トーヨー」の称呼を生ずる文字部分のみに注目して商標を識別するのではなく、一体となっている他の文字にも着目して、識別すると考えられる。また、商標の類否判断に当たっては、比較されるべき商標をそれぞれ全体的に観察して行うのが原則であり、本願商標のように一体的に構成された商標を任意に分離して観察するのは、出願人の意思により有機的に一体として構成された一個の商標を第三者である観察者が解体する行為であり、商標本来の観察方法から外れたもので、出願人は本願商標の文字を一体的に使用することを意図して、本願商標全体について権利請求しているものであり、「TOYO」の部分のみの使用を意図しているわけではない、とも主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号は、先願登録主義を採用した我が国商標登録制度の基本規定として、先願に係る他人の登録と抵触する商標は、登録しない旨定めたものである。
そして、引用商標が登録されているものである以上、出所の混同のおそれが有り、かつ、本号の要件を満たすときは、本号が適用されるべきである。 すなわち、我が国商標制度は、先願登録主義を採用し、先願に係る他人の登録商標と抵触する同一又は類似の商標の登録を認めないものとし、そのことによって、登録商標につき商標権者の専用権、禁止権を保障しているものであり、それにもかかわらず、先願に係る他人の登録商標と抵触する同一又は類似の商標の登録を認めることは、登録商標の権利性を希釈化ないし弱体化することになり、上記商標制度の趣旨に反するというべきである。
そして、他人の先願に係る同一又は類似する登録商標が存在することが登録阻却事由となるのであるから、すでにそのような他人の登録商標が存在する場合に、これと抵触する後願の商標について登録をしないのは当然のことである。
また、本願商標の採択の意図が何であれ、これを商標として採択し使用したときに取引者、需要者がどのように認識するのかとの観点から審理するのが相当であって、かつ、本願商標に接する取引者、需要者に広く認識されていることを認めるに足りる事実は見いだせないものであり、本願商標については、上記認定のとおりであるから、請求人の主張は採用することができない。
なお、請求人は、登録例を挙げ種々述べてもいるが、請求人の挙げる登録例は、商標の具体的構成において、本願商標とは事案を異にするばかりでなく、その事例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは、必ずしも適当でない。そして、すでに説示したとおり、本願商標において、取引者、需要者は、通常、「TOYO」の文字部分を自他役務の識別機能を果たすものとして認識するものと解されるから、本願商標から「トーヨー」の称呼が生ずるとの判断を左右することになるものではない。
(3)以上のとおりであるから、本願商標と引用各商標1及び同2は、外観において相違し、観念において比較すべきところがないとしても、「トーヨー」の称呼を共通にし、類似する商標というべきであり、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標といわざるを得ない。また、本願商標の指定役務は引用各商標1及び同2の指定役務と同一又は類似のものを含むから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)

別掲2(引用商標1)

別掲3(引用商標2)

別掲4(引用商標5)

別掲5(引用商標6)

別掲6(引用商標7)

別掲7(引用商標8)

別掲8(引用商標9)

別掲9(引用商標10)

別掲10(引用商標12)

別掲11(引用商標13)

別掲12(引用商標14)

別掲13(引用商標15)


審理終結日 2006-11-24 
結審通知日 2006-11-28 
審決日 2006-12-13 
出願番号 商願2004-75542(T2004-75542) 
審決分類 T 1 8・ 26- Z (Y363742)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 根岸 克弘 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 堀内 仁子
小林 和男
商標の称呼 トーヨーカンパニーリミテッド、トーヨー、テイ 
代理人 峯岸 武司 

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