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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z39 |
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管理番号 | 1151809 |
審判番号 | 無効2006-89054 |
総通号数 | 87 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-03-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2006-04-28 |
確定日 | 2007-01-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4303440号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4303440号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4303440商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成10年6月10日に登録出願、第39類「船舶による輸送,鉄道による輸送,車両による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の積卸し,貨物の輸送の媒介,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の引揚げ,水先案内,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,ガスの供給,電気の供給,熱の供給,水の供給,係留施設の提供,倉庫の提供,駐車場の提供,飛行場の提供,車いすの貸与,航空機の貸与,コンテナの貸与,自転車の貸与,自動車の貸与,船舶の貸与,パレットの貸与,包装用機械器具の貸与」を指定役務として、同11年8月6日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。 (1)本件商標登録を無効とすべき理由 本件商標は、被請求人が請求人とフランチャイズ契約の締結期間中に請求人に無断で商標登録を行ったものであり、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 (ア)請求人と被請求人は、本件商標の登録出願前の平成10年3月24日に、請求人をフランチャイザー、被請求人をフランチャイジーとして、日本国内における本件商標の指定役務の提供に係るフランチャイズ契約(甲第4号証)を締結しており、同契約は、平成17年7月31日に終了した(甲第5号証) (イ)フランチャイズ契約の有効期間中の平成10年6月10日に、被請求人は、請求人の承諾を得ることなく、請求人の保有する別掲(2)のとおりの構成よりなるベネルクス商標登録第616603号(甲第3号証、以下「引用商標」という。)と称呼が共通する本件商標を、引用商標の指定役務と類似の役務(第39類)を指定役務として登録出願を行い、平成11年8月6日に設定登録が行われた。 (ウ)甲第4号証のフランチャイズ契約の第7条には、本件商標のような知的財産権が請求人に帰属することが定められ、また、同契約第29条では、契約終了後のフランチャイジーの商標使用を禁止している。 (エ)本件商標は、被請求人がフランチャイズ契約に違反し請求人に無断で本件商標を登録出願し、その登録を受け、契約終了後も請求人に権利を移転せず無断で使用を続けているものである。 (2)結論 被請求人のかかる行為によって登録された本件商標は、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく国際信義に反し公の秩序を害するものであるので、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。 3 被請求人の主張 被請求人は、請求人の主張に対し、何らの答弁もしていない。 4 当審の判断 (1)本件商標を無効とすべき理由 (ア)本件商標及び引用商標 本件商標は、別掲(1)に示したとおり「ECU-LINE」の文字よりなるのに対し、引用商標のベネルクス商標登録第616603号商標は、別掲(2)に示したとおり、彩色された幾何図形に添うように「ECU」の文字と、その下部の約1文字ほど右にずらした位置に「LINE」の文字を表したものであり、その構成からみると、これら「ECU」と「LINE」の両文字は、一体不可分の構成よりなるもので、図形から独立しても自他役務の識別標識としての機能を果たすものと認められるものである。 そうすると、本件商標の「ECU-LINE」の文字と引用商標の「ECU LINE」の文字とは、ハイフン「-」を除き同一の文字構成よりなるものであり、両者とも「イーキューライン」の称呼を生ずるといえるから、本件商標は、引用商標と称呼において類似するものというのが相当である。 また、引用商標は、第6類に属する商品及び第36類に属する役務のほか第39類の「商品の保管・輸送及び配達,船舶の荷積み及び荷揚げ,船舶及びその貨物の救助,貨物の発送,海難救助(輸送),電気・ガス・熱及び水の輸送及び配給,気体状・液状及び固体状の材料の輸送(パイプラインを通すものも含む。),乗物・コンテナ・タンク及び倉庫の貸与,貨物業者により提供されるグループ分け及び輸送,貨物の輸送」を指定商品又は指定役務とするものであり(甲第3号証)、前記1のとおりの役務を指定役務とする本件商標は、引用商標と類似の役務について使用するものである。 (イ)フランチャイズ契約等 以上のとおり、本件商標は、請求人の引用商標と類似し、その指定役務も同一又は類似のものであるところ、1998年(平成10年)3月24日に、請求人をフランチャイザー、被請求人をフランチャイジーとするフランチャイズ契約が締結され、この契約は、2005年(平成17年)に終了した。 そして、本件商標の登録出願は、その契約の期間中の平成10年6月10日になされたことが認められる。 (a)該フランチャイズ契約は、フランチャイジーがEcu-Lineグループ(Ecu-Line Group of Companies)の国際的ネットワークに加盟し、Ecu-Lineジャパンの名前で営業を行うというものであり、その内容は、フランチャイジーはフランチャイザーの有するノウハウ、商標などが利用できるEcu-Lineグループの日本の単独代理店として行動でき、契約終了後は、フランチャイジーは、フランチャイザーの商号、商標、標章の使用を停止し、フランチャイザーに帰属するすべての物品を返却しなければならない、フランチャイザーの財産の限定的使用権は契約終了と同時に消滅する、フランチャイジーの使用の結果生み出された新しい、あるいは派生的な知的財産権はフランチャイザーに帰属するというものであった。 (b)請求人は、「被請求人は、フランチャイズ契約に違反し、請求人に無断で本件商標を登録出願し、その登録を受け、契約終了後も、請求人に権利を移転せず無断で使用を続けている」旨主張するところ、被請求人は、何ら答弁するところがない。 (ウ)まとめ してみれば、本件商標は、上述のとおり引用商標と類似のものであり、しかもフランチャイズ契約書に記載されている「Ecu-Lineグループ(Ecu-Line Group of Companies)」の主要部といい得る「Ecu-Line」の文字と一致するものであって、フランチャイズ契約から本件商標の登録出願、契約の終了から現在に至るまでの経緯に照らせば、被請求人は、引用商標及び「Ecu-Lineグループ(Ecu-Line Group of Companies)」の存在を知悉した上で、本件商標を請求人に無断で登録出願をして登録を受け、本件商標が請求人に帰属する旨の契約条項に違反して、契約終了後も、本件商標を請求人に引き渡さずに使用し続けているというべきであるから、かかる被請求人の行為は、商取引の信義則に悖り、公正な競業秩序を乱すおそれがあるばかりでなく国際信義にも反すると判断するのが相当である。 (2)結論 以上のとおり、本件商標は、国際信義に反し公の秩序を害するおそれがあるものといわなければならないから、その登録は、商標法第4条第1項第7号の違反してされたものである。 したがって、本件商標は、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標 別掲(2)引用商標 |
審理終結日 | 2006-11-09 |
結審通知日 | 2006-11-15 |
審決日 | 2006-11-28 |
出願番号 | 商願平10-49431 |
審決分類 |
T
1
11・
22-
Z
(Z39)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
小林 和男 久我 敬史 |
登録日 | 1999-08-06 |
登録番号 | 商標登録第4303440号(T4303440) |
商標の称呼 | エクライン、イイシイユウライン、エク、イイシイユウ |
代理人 | 狩野 彰 |