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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1150137 
審判番号 無効2005-89044 
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-03-31 
確定日 2006-12-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4478459号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4478459号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4478459号商標(以下「本件商標」という。)は、「aimer feel エメ フィール」の文字を標準文字で書してなり、平成12年7月12日に登録出願、第25類「被服」を指定商品として、平成13年6月1日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第786934号商標(以下「引用商標」という。)は、「AIMER」の文字を横書きしてなり、昭和41年11月25日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和43年7月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第173号証を提出した。
1 請求の理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
(ア)請求人の使用に係る商標について
請求人は、昭和7年の創業後、昭和25年に設立され、現在まで和服、洋服等の被服、その関連商品の販売、貸与等を行っており、昭和54年(1979年)より現在まで、その主要な事業の一つに、フォーマルドレス、ブライダルドレス、ウェディングドレス、パーティードレス、ステージドレス等(これらの商品を以下「請求人商品」という。)の販売があり、日本国内に多数の店舗を展開している。請求人商品には、「AIMER」及び「エメ」の文字よりなる商標(これらの商標をまとめていうときは、以下「請求人商標」という。)を使用している(甲第1号証ないし甲第8号証、甲第19号証及び甲第20号証)。請求人商標のうち、「AIMER」は、引用商標をデザイン化したものであり、また、「エメ」は、フランス語の「AIMER」の発音を日本語表記したものである。
そして、請求人が展開する各店舗には、需要者に記憶されるように、請求人商標を大きく表示しているのみならず、請求人商標を表示した催し等を知らせるポスター類を展示したり、顧客に対し、取扱い商品等についてのチラシ、パンフレット類、店舗一覧表等、需要者向けの資料、展示会の招待状等を配布している(甲第21号証ないし甲第111号証)。
さらに、請求人は、多大な予算をかけて、各種ファッション雑誌やタウン紙への広告、記事取材への協力等にも積極的に力を入れている(甲第112号証ないし甲第166号証)。
上記のような多年にわたる使用実績の蓄積により、請求人商標は、本件商標の登録出願日(平成12年7月12日)には日本国内において、請求人商品を表示するものとして、需要者の間に広く知られた商標となるに至ったものである。
(イ)請求人商標と本件商標との類似性について
請求人商標中の「AIMER」はフランス語であり、「エメ」は、その日本語表記であるから、いずれも「エメ」の称呼及び「愛する」の観念を生じる。
一方、本件商標は、4つの語が互いに間隔をおいて並列され、その結合度が希薄である上、冗長でもある。また、本件商標に接する者は、これをフランス語若しくは造語と理解される「aimer」と英語「feel」を結合したものと理解するから、本件商標を一体不可分の語からなる商標として認識せず、周知となっている請求人商標と同一又は類似の部分である「aimer」及び「エメ」に注意が引かれる。
そして、本件商標中の「aimer」及び「エメ」の部分は、請求人商標中の「AIMER」と同じく「エメ」の称呼及び「愛する」の観念を生じる。
したがって、本件商標は、周知となっている請求人商標と称呼及び観念のみならず、外観においても同一又は類似の「aimer」及び「エメ」を含むものである。
しかも、本件商標の指定商品は、請求人商品を含んでいるから、両者が商品においても抵触することは明らかである。
(ウ)以上のように、本件商標は、その登録出願時に日本国内において周知となっていた請求人商標と類似し、かつ、同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
前記(1)のとおり、本件商標は、その構成中の「aimer」及び「エメ」の部分が分離され、認識されるものである。
一方、引用商標は、請求人商標中の「AIMER」と書体が異なるだけである。
したがって、本件商標は、請求人商標中の「AIMER」と同様に、引用商標と類似する商標であることは、明らかである。
また、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品であるから、本件商標をその指定商品について使用した場合は、引用商標と商品の出所について混同を生じることが必至である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、商品のネーミング実態について種々述べているが、本件で問題とする商品は、被請求人の主張するような「昨今の多種多様化する商品」、「予想外の機能やイメージを持った商品同士をコラボ化」した商品などというものでなく、従来から一般需要者に普通に提供されている被服であり、この被服について使用されネーミングを一般需要者がどのように受け取っているかという実態について考察すべきである。
(2)被請求人は、本件商標中の「feel」の文字部分が先ず認識され、構成全体でエメ的な何かを感じる商品として自然に認識できると判断するのが妥当である旨主張するが、その「エメ的な」ということ、すなわち、「aimer」又はその読みである「エメ」の部分がとりもなおさず、本件商標において自他商品識別のための特徴をなしているということである。このことは、被請求人が言うように、一般需要者からみて英語の「feel」が先ず認識されるとしても、何ら変わりはない。
(3)被請求人は、「AIMER」、「Aimer」の文字を含む登録商標(乙第1号証ないし甲第3号証)を挙げ、本件商標と引用商標は非類似である旨主張し、さらに、引用商標及び請求人商標の周知性を否定するが、これらの登録商標は、いずれもフランス語を組み合わせた熟語をなしているものであって、フランス語と英語とを組み合わせてなるものではないから、本件商標と同列には論じられないものである。また、商標審査基準に照らして、本件商標が引用商標及び請求人商標と非類似と判断されたというだけでは、何ら具体性、客観性がなく、机上の空論にすぎない形式論理であるといわざるを得ない。そもそも、審査官は市場の全てを知りつくしている万能の存在ではないから、当該商標が一般需要者に著名、周知であるといわれるような場合であっても、当該審査官がたまたまそれを知らなかった場合は当然あり、そうであるからこそ、登録異議申立て及び登録無効審判の制度が設けられ、著名、周知商標の所有者の保護、需要者の利益を保護するようになっているのである。
3 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その登録は無効にされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)請求人商標の周知性について
請求人は、請求人商標が周知である旨を主張するが、これを証明する証拠方法は、単に、過去の広告宣伝等が掲載された印刷物を多数添付するのみで、商標の使用開始時期、使用期間、使用地域などの証明、生産・譲渡の数量や営業規模の証明などが整理されておらず、きわめて不十分といわざるを得ない。
(2)請求人商標と本件商標の類似性について
請求人は、本件商標と請求人商標とが類似する根拠として、本件商標は、4つの語が明らかな間隔をおいて並列されていて、各語の結合度が希薄で冗長であると主張するが、商標審査基準からみて妥当ではない。すなわち、明らかな間隔をおいているから分離するとするのは、各語が著しく離れた場合であり、本件商標は、1文字分離しているだけで、常に分離して看取される程度ではない。また、冗長と指摘する点も、本件商標中の「aimer feel」は、読み仮名としての「エメ フィール」を連続させることによって、その称呼を「エメ フィール」と特定させているものである。商標審査基準にも「長い称呼」とは、どの程度の音構成からなる称呼をいうのかは、必ずしも明らかでないとしているが、一連に称呼した場合、よどみなく称呼できる範囲を超えるものと思われるとしている。この点、本件商標は、これより「エメ フィール」の繰り返し称呼が生じることになるが、読み仮名としての併記である「エメ フィール」については、あえて称呼しても全体で一連によどみなく称呼できる範囲を超えるものではない。
さらに、請求人は、本件商標が分離して認識される理由として、フランス語若しくは造語と理解される「aimer」と英語「feel」を結合したものとして、「aimer」の語の認識度を問題としている。
しかしながら、上記主張は、昨今の多種多様化する商品において、さらに予想外の機能やイメージを持った商品同士をコラボ化するといった開発形態と、それに伴う商品のネーミング実態を無視しているといわざるを得ないし、一般消費者の外来語に対する感覚の向上、特に、若者を中心とした購買動機における異種なるものの結合への期待やポップ的な言葉遊びへの関心といった面の考察が全く欠落しているといわざるを得ない。
請求人は、「aimer」はフランス語として認識の困難さ伴うと主張しながら、請求人商標中の「AIMER」については、フランス語として直ちに「エメ」の称呼と「愛する」という観念が生じるとしており、その主張は一貫性に欠ける。
本件商標は、一般需要者からみて、その構成中の英語「feel」が先ず認識され、商標全体として、エメ的な何かを感じる商品として自然に認識できると判断するのが妥当であるから、これを「aimer」、「エメ」と「feel」、「フィール」とに分離して認識されるものではなく、「almer feel エメ フィール」の結合商標として認識されるものである。
そうすると、本件商標と請求人商標とを全体観察により、商標を構成する全体文字等から生ずる外観、称呼、観念によって類否判断をすれば、明らかに非類似の商標であるといえる。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
前記1のとおり、本件商標は、一体不可分の商標として認識されるものであるから、引用商標とは、非類似の商標である。
本件商標が引用商標と類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するというのであれば、例えば、その構成中に「AIMER」、「Aimer」の文字を含む登録商標(乙第1号証ないし甲第3号証)は、引用商標の存在により拒絶されていたはずであるし、また、引用商標及び請求人商標が周知商標であるならば、上記登録商標は、商標法第4条第1項第10号にも該当し、登録されていないはずである。これらが登録されているということは、審査段階において商標審査基準に照らして、引用商標及び請求人商標とは、類似しないと判断されて登録されたものである。
したがって、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
3 結び
以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反してされたものではないから、請求人主張の無効の理由はないものである。

第4 当審の判断
1 本件商標について
(1)本件商標は、前記第1のとおり、標準文字で「aimer feel エメ フィール」と書してなるものであるところ、その構成中の後半の「エメ フィール」の文字部分は、前半の「aimer feel」の文字部分の読みを特定したものと理解されるというのが相当である。そして、本件商標中の「aimer feel」の文字部分と「エメ フィール」の文字部分は、いずれも親しまれた熟語的意味合いを想起させるものではなく、また、「aimer」、「エメ」と「feel」、「フィール」との間に1字程度の間隔を有するものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体の観念及び外観からみて、「aimer」、「エメ」と「feel」、「フィール」とを常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の理由は存しない。
(2)ところで、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第9号証ないし甲第17号証、甲第21号証ないし甲第143号証、甲第145号証ないし甲第152号証、甲第154号証ないし甲第156号証及び甲第161号証ないし甲第165号証によれば、請求人は、昭和54年より請求人商品の販売を開始し、請求人商品には、「AIMER」及び「エメ」の文字よりなる商標(請求人商標)を販売開始以来継続して使用していること、請求人は、請求人商品について、請求人商標を表示したパンフレット、催し物の案内状等を顧客に対し配布したり、ファッション雑誌等に掲載したりして、本件商標の登録出願前からその査定前を通して継続的に宣伝広告したことなどが認められる。
そうすると、請求人商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日である平成12年7月12日当時、フォーマルドレスの分野における取引者、需要者の間において、周知なものとなっていたと認め得るところであり、その周知性は、本件商標の査定時においても継続していたものといえる。
(3)上記(2)で認定した事実に、本件商標中の「aimer」、「エメ」と「feel」、「フィール」とを常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の理由が存しないことを合わせ考慮すると、本件商標に接する需要者は、請求人商品を表示するものとして、フォーマルドレスの分野において周知となっている請求人商標中の「AIMER」と同一の綴り字よりなる「aimer」の文字部分、及び請求人商標中の「エメ」と同一である「エメ」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当である。
したがって、本件商標は、構成全体より生ずる「エメフィール」の称呼のほか、「aimer」及び「エメ」の文字部分より、単に「エメ」の称呼をも生ずるものであって、「愛する」の観念を生ずるものといわなければならない。
2 引用商標について
引用商標は、前記第2のとおり、「AIMER」の文字を横書きしてなるものであるから、これより、「エメ」の称呼及び「愛する」の観念が生ずること明らかである。
3 結び
以上によれば、本件商標と引用商標は、「エメ」の称呼及び「愛する」の観念を共通にする場合がある類似する商標といわざるを得ない。
また、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品に含まれるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわなければならないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-02-09 
結審通知日 2006-02-15 
審決日 2006-03-01 
出願番号 商願2000-77736(T2000-77736) 
審決分類 T 1 11・ 252- Z (Z25)
T 1 11・ 251- Z (Z25)
最終処分 成立  
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 柳原 雪身
内山 進
登録日 2001-06-01 
登録番号 商標登録第4478459号(T4478459) 
商標の称呼 エメフィール、エーメフィール、エイマーフィール、アイマーフィール 
代理人 中井 信宏 
代理人 大菅 義之 

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