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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43 |
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管理番号 | 1149980 |
審判番号 | 無効2005-89122 |
総通号数 | 86 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-02-23 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-09-14 |
確定日 | 2006-12-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4812173号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4812173号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4812173号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年2月2日に登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同16年10月22日に設定登録されたものである。 2 引用商標 請求人が本件商標の登録の無効の理由に引用した商標は、以下の4件である。 (ア)引用登録第506369号商標(以下「引用A商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和30年5月21日に登録出願、第43類「餅」を指定商品として、同32年8月7日に設定登録、その後、3回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 (イ)登録第4414148号商標(以下「引用B商標」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成11年6月22日に登録出願、第42類「茶・餅菓子の提供」を指定役務として、同12年9月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (ウ)登録第4415459号商標(以下「引用C商標」という。)は、「梅が枝」の文字を書してなり、平成6年6月1日に登録出願、第30類「餅菓子」を指定商品として、同12年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (エ)登録第4433991号商標(以下「引用D商標」という)は、「梅枝餅」の文字を書してなり、平成11年12月8日に登録出願、第30類「餅菓子」及び第42類「茶・餅菓子の提供」を指定商品及び指定役務として、同12年11月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)請求の利益について 請求人は、本件商標に基づき、その商品を販売している旨の平成17年7月10日付け通知書(甲第2号証)を受領した。 本件商標は、請求人の所有する周知商標である引用A商標、引用B商標、引用C商標及び引用D商標の商標と類似し、請求人の営業と混同を生じるので、本件審判請求に及んだ。 (2)無効理由 (ア)本件商標は、横向の太い枝に、2本の細い枝を間隔を介して上向に画き、2本の細い枝に複数の梅の花を画いた図形と、上記間隔の内部に右側に「元祖」と縦書し、その左側に「梅ヶ枝焼」と縦書してなり、「ガンソウメガエヤキ」、「ウメガエヤキ」、「ウメガエ」等と称呼し、「梅ヶ枝」を商標の要部とし、かつ「梅の枝」なる観念を生じ、「飲食物の提供」を指定役務とする「役務商標」である。 「梅ヶ枝焼」の文字部分「焼」は、「加工方法」として普通に使用されていたことからすれば、識別力は「梅ヶ枝」の部分にあり、これよりは「ウメガエ」の称呼をも生ずるものと認められる(甲第7号証の5)。 (イ)請求人は、昭和26年11月1日福岡県太宰府市に設立された太宰府梅ヶ枝餅協同組合であり、組合員の取り扱う「梅ヶ枝餅」に関する事業及びその附帯事業を九州は基より全国に亘って販売宣伝事業を行うものである(甲第8号証の1、2、3)。 奈良時代から平安時代にかけ九州の要衝として栄えてきた太宰府、今も当時を偲ばせる歴史と雅な文化が息づいている太宰府において、「菅公薨去の折、老女が梅の枝とともに棺に差し出した」を起源とした餅を「梅ヶ枝餅」と称し、上記門前町の参道両側の組合員の店先で観光客の前で焼かれ(甲第9号証の1)、店内で茶と共に提供され、客はこれを喫食するようになっている(甲第9号証の1)。 持ち帰り商品とする場合は、包装紙(甲第9号証の3)に包み、レッテル(甲第9号証の1、甲第9号証の2)を貼って手渡す。 上述のように太宰府では、店頭で焼いた商品「梅ヶ枝餅」を店頭で販売し、店内では茶と共に客に提供して喫食させるものであり、商品販売と役務の提供が同一の店で行われている(甲第9号証の1)。 太宰府天満宮では、初詣(三ヶ日)の参拝客が約300万人、1年を通じて約700万人の参拝客が全国から集まり、「東風吹かば匂いおこせよ梅の花、あるじなしとて春な忘れそ」という菅原道真公の歌は人口に膾炙され太宰府天満宮門前町には請求人の組合員によって「梅ヶ枝餅」を販売し、かつ食べさせる飲食店が多数軒を連ねている(甲第9号証の1)。 上記レッテル(甲第9号証の2)は甲第9号証の1に記載されているように古くから「梅ヶ枝餅」の商品商標として事実上「梅ヶ枝餅」の包装紙(甲第9号証の3)に貼付して用いられている。 そして、本件商標の図形部分、即ち「横向の太い枝に、2本の細い枝を間隔を置いて上向に画き、2本の細い枝に複数の梅の花を画いた図形」は、上記レッテル(甲第9号証の1、甲第9号証の2)及び上記包装紙(甲第9号証の3)に明記され古くから使用され、太宰府天満宮を訪れた九州就中福岡の人々は商標「梅ヶ枝餅」の商品包装の模様又は図形としてあまねく知るところであるし、商品と役務とが類似する本件商標の上記図形部分(甲第1号証の1)は、太宰府を訪れた全国の人々が「梅ヶ枝餅」を業務とする商標であることを広く認識していることは事実上明確である(甲第9号証の1、甲第9号証の2、甲第9号証の3)。 (ウ)請求人は、上記「梅ヶ枝餅」について、昭和30年5月21日付けで旧第43類「餅」について、団体標章の出願をし登録された。 その後、第42類「茶・餅菓子の提供」を指定役務として、「梅ヶ枝餅」を取得し、さらに、第30類「餅菓子」を指定商品として、「梅が枝」を取得し、さらに、第30類餅菓子、第42類茶・餅菓子の提供について、「梅枝餅」を取得している。 本願商標中の「焼」は、加工方法、引用B商標及引用D商標中の「餅」は、役務提供商品であるから、両者は、何れも「梅ヶ枝」を商標の要部とする同一又は類似の役務及び商標である。 すなわち、本件商標は、「梅ヶ枝」という周知商標及び上記図形において類似するから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 また、本件商標は、請求人所有の上記登録商標の後願であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (エ)よって、本件商標は、商標法第46条の規定により無効とされるべきである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第23号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第10号該当について 請求人の「梅ヶ枝」の商品は、甲第9号証の1?5に記載してあるように「餅」はあっても「梅ヶ枝」は一切ない。 また、「梅ヶ枝餅」も参道商店で販売しているだけである。 請求人は、餅の名称として「梅ヶ枝餅」の商標登録をし、この餅を、太宰府市内での営業地を限定した組合員45名に、各店独自の屋号の基で販売、飲食させているにすぎず、全国で著名になっているわけではない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当について 商願2002-52535号(商標「梅ヶ枝餅焼」)、商願2003-8602号(商標「元祖、梅ヶ枝餅焼、本舗」)及び商願2004-101059号(商標「元祖、梅ヶ枝焼」と図形との結合)は、構成中に「餅」「焼」を記載していて拒絶であった。 本件商標は、文字と図形の結合商標であり、一方、請求人の引用A商標ないし引用D商標は、文字商標であるから、両者は全く異なる。 別件の登録第4696850号商標と登録第4801841号商標は、構成中の文字は似ているが、図形が異なっているので登録されている。また、同じく、登録第4106221号商標と登録第4614798号商標の双方が、独立した商標として登録されていることからみても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号には該当しない。 よって、本件商標は、商標法第46条の規定には該当しない。 5 当審の判断 本件商標は、別掲(1)のとおり、横向の太い枝に2本の細い枝を間隔をあけて上向に画き、その2本の細い枝に複数の梅の花を配した図形と「元祖」及び「梅ヶ枝焼」の文字との組合せよりなるところ、その構成中の図形部分は、描かれた枝や花の形状から「梅の枝」を容易に認識し得るものといえる。そして、その構成文字のうち、「元祖」の文字は、「創始者」の語義を有し、例えば、「元祖○○そば」、「元祖○○焼」のように、飲食物を提供する者やその者が提供するものについて、創始者であること、提供するものの品質が優れたこと等を表わすために普通に用いられているものであり、また、「焼」の文字は、例えば、お好み焼の提供、焼肉の提供のように、役務の提供の対象となるもの(料理等)の種類や質を表すために普通に用いられているものであるから、両者は、何れも自他役務の識別力が弱いものといえる。 そうとすると、本件商標に接する需要者は、その構成中の「梅ヶ枝」の文字部分及び「梅の枝」の図形部分に着目し、その文字より生ずる「ウメガエ」の称呼及び、その文字及び図形より生ずる「梅の枝」の観念をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。 してみれば、本件商標は、その構成中の「梅ヶ枝」の文字及び「梅の枝」の図形に相応して「ウメガエ」の称呼及び「梅の枝」の観念をも生ずるものというべきである。 これに対し、引用B商標は、別掲(2)のとおり、「梅ヶ枝餅」の文字よりなるところ、その構成中の「餅」の文字は、引用商標に係る指定役務である「茶・餅菓子の提供」との関係において、役務の提供の対象となるもの(餅菓子の一種)を表すものであって、自他役務の識別力が弱いものといえるから、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、引用B商標に接する需要者は、「梅ヶ枝」の文字部分に着目して、これより生ずる「ウメガエ」の称呼及び「梅の枝」の観念をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。 してみれば、引用B商標は、その構成中の「梅ヶ枝」の文字に相応して「ウメガエ」の称呼及び「梅の枝」の観念をも生ずるものというべきである。 以上のとおり、本件商標と引用B商標とは、外観の相違について考慮するとしても、「ウメガエ」の称呼及び「梅の枝」の観念を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標に係る指定役務は、引用B商標に係る指定役務と同一又は類似のものを含むものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号について検討するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本件商標 別掲(2)引用A商標 別掲(3)引用B商標 別掲(3) |
審理終結日 | 2006-10-12 |
結審通知日 | 2006-10-18 |
審決日 | 2006-10-31 |
出願番号 | 商願2004-8444(T2004-8444) |
審決分類 |
T
1
11・
25-
Z
(Y43)
T 1 11・ 263- Z (Y43) T 1 11・ 262- Z (Y43) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 小林 由美子 |
登録日 | 2004-10-22 |
登録番号 | 商標登録第4812173号(T4812173) |
商標の称呼 | ガンソウメガエヤキ、ウメガエヤキ、ウメガエ、ウメガエダヤキ、ウメガエダ |
代理人 | 藤井 重男 |
代理人 | 藤井 信行 |
代理人 | 藤井 信孝 |