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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200630471 | 審決 | 商標 |
取消2008301195 | 審決 | 商標 |
取消2009300037 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 030 |
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管理番号 | 1149973 |
審判番号 | 取消2003-30606 |
総通号数 | 86 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-02-23 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2003-05-08 |
確定日 | 2006-12-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3199279号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成16年8月10日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成17年(行ケ)第10095号、平成17年12月20日判決言渡)がなされ、同判決が最高裁判所の決定(平成18年(行ヒ)第91号、平成18年5月30日決定)により確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第3199279号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第3199279号商標(以下「本件商標」という。)は、「PAPA JOHN’S」の文字を横書きしてなり、平成6年1月13日に登録出願、第30類「ピザ」を指定商品として、同8年9月30日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しない。また、本件商標の不使用について正当な理由もないものである。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。 本件商標は、指定商品「ピザ」について審判請求登録前3年以内に被請求人によって使用されている。仮に、被請求人による使用の事実が認められないとしても、本件商標を日本において使用していないことについては正当な理由がある。 また、請求人による本件取消審判請求は、権利濫用である。 第4 当審の判断 1.被請求人による本件商標の使用の有無 (1)本件商標を表示しての指定商品の提供 (ア)被請求人は、日本におけるフランチャイズ展開の協議のために関連業者が米国を訪れた際には、本件商標を表示した店舗に案内し、ピザ、販売促進品等を提供していると主張する。 (イ)被請求人は、1985年(昭和60年)に創業したピザ販売業者であり、1986年(昭和61年)からフランチャイズ店の展開を開始し、2002年(平成14年)12月29日の時点において、被請求人及びその加盟店のレストランは、被請求人によるものが、米国に585店舗、英国に9店舗、フランチャイズによるものが、米国(アラスカ及びハワイを除く。)2000店舗、アラスカに3店舗、カナダに7店舗、ハワイに15店舗等、合計2792店舗であること。 被請求人は、1994年(平成6年)から日本における業務拡大の計画を有し、日本の多数のフランチャイジー候補者に対し営業活動を行ってきたこと。これらの営業活動において、2001年(平成13年)1月11日から同月13日の間、伊藤忠商事の担当者がJETRO NYの担当者及び被請求人から日本におけるフランチャイズ先の紹介を依頼されたブローカーである尾尻啓介と共に米国ケンタッキー州ルイスビーレ所在の被請求人本社を訪問し、施設を見学して被請求人のピザを試食し、本件商標を付したティーシャツ、マグカップ等の販売促進品等の提供を受けたこと。 同年3月にも、伊藤忠商事及び日本企業の担当者らが上記被請求人本社を訪問し、同様に施設を見学し被請求人のピザを試食したこと。同年4月にも伊藤忠商事の担当者らが上記被請求人本社を訪問し、その際、被請求人ピザのサンプルの提供を受けたこと。 以上の事実を認めることができる。 (ウ)ところで、商標の不使用による登録取消しの審判において、商標法第50条第2項本文にいう「使用」とは日本国内における使用でなければならないと解されるところ、上記(イ)に認定した使用は、いずれも米国におけるものであり、日本国内における使用とは認められない。 被請求人は、これらの提供がなされたのは海外であるが、日本における事業展開に関するものであれば国内での使用と同視すべきであると主張するが、採用することができない。 (2)本件商標を付した取引書類の頒布 (ア)被請求人は、フランチャイジーの開拓営業過程において、下記(a)ないし(j)のとおり本件商標の付された指定商品のカタログを日本国内の取引先に手渡し、また、本件商標の付された年次報告書を、ピザ及び飲食物提供に関するフランチャイズの規模、状況及び業務方針の説明のために手渡したと主張する。 (a) JETRO NY(2000年10月) (b) 伊藤忠商事(2000年12月/2001年1月) (c) アリアケジャパン(2001年1月) (d) パシフィックアライアンス(2001年1月) (e) プラザクリエイト(2002年1月/2月) (f) アクアネット(2002年7月1日) (g) ジャストプランニング(2002年8月26日) (h) ストロベリーコーンズ(2002年10月18日) (i) 西洋フードシステム(2003年2月3日) (j) オリックスアルファ(2003年4月22日) (イ)被請求人は、日本におけるフランチャイズ展開のための営業活動として、上記(ア)(a)ないし(j)の時期に、上記(a)ないし(c)については米国を訪れた相手方に対し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の付された指定商品のカタログ、同商標の付された年次報告書を、ピザ及び飲食物提供に関するフランチャイズの規模、状況及び業務方針の説明のために手渡したことが認められる。 (ウ)しかし、上記(a)ないし(c)は、いずれも米国において手渡されたものであり、上記(1)(ウ)と同様の理由により、日本国内における使用とは認められない。また、上記(d)ないし(f)についても、これが日本国内において手渡されたことを認めるに足りる証拠はない。 加えて、上記(a)ないし(j)において頒布されたカタログ及び年次報告書は、日本におけるフランチャイズ展開のために行われたものであって、被請求人の会社自体の宣伝、フランチャイズ事業の方法・条件等の説明を行うものであると認められる。そして、被請求人は、日本国内において指定商品である「ピザ」を生産・販売したことはなく、日本の需要者は被請求人のピザの提供を受けることができないのであるから、上記カタログ及び年次報告書が商標法第2条第3項第8号の「取引書類」に該当するとしても、その頒布は、指定商品である「ピザ」に関するものであるとは認めることができない。 (3)ウェブページによる広告 (ア)被請求人は、平成8年12月20日から現在に至るまで、ウェブページによって指定商品であるピザ及びピザの提供に関する広告を行っていると主張する。 (イ)被請求人は、インターネットのウェブページにおいて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示してピザに関する広告を行い、フランチャイジーの募集を行っていること、上記ウェブページには日本からもアクセスが可能であること、上記ウェブページは、日本の検索エンジン「MSNサーチ」、「アップル・エキサイト」等において「papajohns」、「papa john’s」の語で検索した場合に直ちに検索できることが認められる。 (ウ)しかし、上記ウェブページは、米国サーバーに設けられたものである上、その内容もすべて英語で表示されたものであって、日本の需要者を対象としたものとは認められない。上記ウェブページは日本からもアクセス可能であり、日本の検索エンジンによっても検索可能であるが、このことは、インターネットのウェブページである以上当然のことであり、同事実によっては上記ウェブページによる広告を日本国内による使用に該当するものということはできない。 被請求人は、電磁的方法による広告に関する商標法改正は、商標の「使用」にこれが含まれることを明確にするためのものであり、同改正法施行前の広告行為にも当然に適用されると主張する。確かに、ウェブページによる広告は、平成14年法律第24号により改正された商標法第2条第3項第8号のいう、「広告」を「内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものということができる。しかし、同行為を日本国内による使用に該当するものということができないことは上記のとおりであるから、被請求人の上記主張は理由がない。 (4)雑誌による広告 (ア)被請求人は、ニューズ・ウィーク等の世界的に著名な雑誌に本件商標を付して商業広告を出しており、これらが日本において頒布されていることは明白であるから、これは、商品若しくは役務に関する広告に該当し、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当すると主張する。 (イ)被請求人は、ニューズ・ウィーク2003年3月3日号ほかに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示してピザに関する広告を行い、フランチャイジーの募集を行っていることが認められる。 (ウ)しかし、上記雑誌は、日本国内において頒布されたとしても、日本国内で発行されたものとは認められない上、その内容もすべて英語で表示されたものであって、日本の需要者を対象としたものとは認められない。 加えて、上記雑誌の広告は、フランチャイズ展開のために行われたものであって、被請求人会社自体の宣伝、フランチャイズ事業の広告であると認められる。そして、被請求人は、日本国内において指定商品であるピザを生産・販売したことはなく、日本の需要者は被請求人のピザの提供を受けることができないのであるから、上記雑誌の広告は、指定商品であるピザに関し日本国内においてなされた広告であるとは認めることはできない。 したがって、上記雑誌による広告は、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当するということはできない。 (5)以上に検討したところによれば、本件商標は、指定商品「ピザ」について審判請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人によって使用されたと認めることはできない。 2.「正当な理由」の有無 被請求人は、本件のように商標権者が外国人であり、かつ、世界第3位もの規模を誇る大規模フランチャイズチェーンである場合は、商標権者が日本人である場合、又は商標権者がフランチャイズ形式を前提としない企業である場合よりも、商標の使用に多大な困難の伴うことは明白であり、そのような場合には個別事情に応じた弾力的な基準が設けられるべきである。そして、被請求人は、少なくとも平成12年5月以降は、日本におけるマスター・フランチャイジーの発掘活動を熱心に行っており、それにもかかわらず、日本におけるマスター・フランチャイジーの発掘・契約に至らなかったのは、当時、米国をベースとする大規模ピザチェーン(「Pizza Hut」及び「Domino’s Pizza」)が既に日本市場に参入していたこと、被請求人のマスター・フランチャイジーとしてふさわしい経験・資力を有している日本企業の絶対数が少なかったこと等、被請求人の責めに帰すことのできない事情が存在した、などと主張する。 しかしながら、我が国の商標法は、商標権者による商標の現実的使用を重視している(第3条第1項柱書、第50条)ことからすると、同法第50条第2項にいう「正当な理由」とは、商標権者において登録商標を使用できなかったことが真にやむを得ないと認められる特別の事情がある場合に限られると解すべきところ、被請求人の上記主張は、企業たる被請求人の内部事情にすぎず(被請求人がその経営判断により本件商標を日本国内において使用することは十分に可能であった)、これをもって前記特別の事情と認めることはできない。 したがって、商標権者である被請求人が上記のように外国企業であっても、本件商標の指定商品である「ピザ」について本件商標を日本において使用していないことにつき、商標法第50条第2項ただし書きの「正当な理由」があったと認めることはできない。 3.権利濫用の有無 (1)被請求人は、請求人による本件取消審判請求は、被請求人を害することを目的としてなされたものであり、権利濫用に該当すると主張し、その理由として、(a)請求人は、本件取消審判請求と同日付けで本件商標と類似の商標について商標登録出願(商願2003-37222)を行っているが、請求人は、自らの登録商標の保全、自らの業務の維持、保全につき何ら積極的な利益をもたらさない本件取消審判請求を行っていること、(b)他方、請求人による本件取消審判請求及び上記新たな商標登録出願が認められれば、被請求人は多大な打撃を被ることが確実であること、(c)請求人がこれらのことを認識して本件取消審判請求・商標登録出願を同一日に行っていることからすれば、請求人に、被請求人の日本市場参入を不当に阻止しようとする目的があること、(d)したがって、請求人による本件取消審判請求の申立ては、被請求人が有する本件商標に化体された信用にただ乗りするフリーライドを意図したものであるといわざるを得ないこと、等を挙げる。 (2)(a)請求人は、昭和60年ころから、「PAPA Jon’s」の商標を使用してチーズケーキを製造・販売するようになり、昭和61年2月25日、京都市を本店所在地として、喫茶、欧風料理の飲食業、洋菓子及びサンドイッチ類の製造販売等を業とするカーメル社を設立し、京都市上京区烏丸通上立売東入ル相国寺門前町等の「PAPA Jon’s」の商標を使用する店舗でケーキ店を営んでいること、(b)カーメル社は、いずれも「PAPA Jon’s」の構成を含み、指定商品を第30類「菓子及びパン」とする登録第4251306号商標及び登録第4324338号商標、指定商品を第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,香辛料,即席菓子のもと」とする登録第4333124号商標及び登録第4368033号商標の各登録商標を有していること、(c)請求人は、本件取消審判請求と同日付けで前記の商標登録出願を行ったこと、以上の事実を認めることができる。 (3)上記認定の事実によれば、請求人による本件取消審判請求は、前記の商標登録出願の障害となる本件商標を排除するために行われたものと推認することができる。しかし、商標登録出願をする者が、その障害となる先行登録商標を排除するために、その不使用取消審判請求をすること自体は何ら違法ということはできず、また、商標登録出願の際に指定商品又は役務に係る使用を現実に行っていることを必要とするものでもないから、上記事実をもって本件取消審判請求を権利濫用に当たるとすることはできない。 そして、被請求人は日本国内において指定商品であるビザを生産・販売したことがないことは上記のとおりであるところ、本件商標が日本国内において取引者・需要者に広く知られ信用を獲得するに至っていたとは認めるに足りる証拠はないから、請求人による本件取消審判請求が被請求人が有する本件商標に化体された信用にただ乗りするフリーライドを意図したものであると認めることもできない。 したがって、請求人の本件取消審判請求を権利濫用ということはできない。 4.結論 以上のとおり、本件商標は、指定商品「ピザ」について審判請求登録前の3年以内に被請求人によって使用されていたとの事実を認めることはできず、被請求人が本件商標を日本国内において使用していないことについて正当な理由があるということもできず、また、請求人による本件審判の請求は権利濫用であるということもできない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録を取り消すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-07-12 |
結審通知日 | 2004-07-29 |
審決日 | 2004-08-10 |
出願番号 | 商願平6-2510 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(030)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小俣 克巳、長澤 祥子 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小川 有三 |
登録日 | 1996-09-30 |
登録番号 | 商標登録第3199279号(T3199279) |
商標の称呼 | パパジョンズ |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 野田 久登 |
代理人 | 熊谷 浩明 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 森川 邦子 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 廣中 太一 |
代理人 | 中村 哲朗 |
代理人 | 岡野 光男 |
代理人 | 伊郷 亜子 |
代理人 | 雨宮 正啓 |
代理人 | 中村 紀夫 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 深見 久郎 |