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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y25
審判 全部申立て  登録を維持 Y25
管理番号 1148581 
異議申立番号 異議2006-90086 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-03-01 
確定日 2006-11-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第4913996号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4913996号商標の登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4913996号商標(以下「本件商標」という。)は、下に示すとおりの構成からなり、平成17年5月25日に登録出願され、第25類「履物,運動用特殊靴」を指定商品として平成17年12月9日に設定登録されたものである。



2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次に示す(A)ないし(I)のとおりの構成からなる登録商標である(以下、まとめていうときは、単に「引用商標」という。)。
(A)登録第2693722号商標及び登録第2671514号商標(以下「引用A商標」という。)



(B)登録第2708505号商標、登録第2593080号商標、登録第4025668号商標、登録第4180654号商標及び登録第3324363号商標(以下「引用B商標」という。)



(C)登録第4376378号商標、登録第4378318号商標、登録第4376377号商標及び登録第4399811号商標(以下「引用C商標」という。)



(D)登録第1587778号商標、登録第2609079号商標及び登録第1423465号商標(以下「引用D商標」という。)



(E)登録第2693723号商標及び登録第2704525号商標(以下「引用E商標」という。)



(F)登録第2693724号商標及び第2671515号商標(以下「引用商標F」という。)



(G)登録第2528490号商標(以下「引用G商標」という。)



(H)登録第2160863号商標、登録第2190105号商標、登録第2147023号商標及び登録第2199877号商標(以下「引用H商標」という。)



(I)登録第4522864号商標(以下「引用I商標」という。)



3 登録異議申立の理由(要点)
(1)引用A商標ないし引用G商標及び引用I商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして世界的に広く認識されていたものであり、これらの引用商標は、いずれも申立人の著名な「3本線」の図形を基調とするものである。
本件商標を構成する4本線の図形と引用A商標ないし引用F商標及び引用I商標の構成中の台形様図形とは、4本と3本の差異があるものの、いずれも台形様図形を仮想垂直線に対し、左方向にやや傾け、等間隔で複数本配置した点を共通にし、構成の軌を一にする。
本件商標の4本線の図柄は、その着色等の仕方によっては、3本線を基調とする商標として看取されるおそれがある。
加えて、本件商標権者は、その取扱いに係る商品「靴」について本件商標又は本件商標に類似する標章を靴の側面のサイドラインに表示して使用しており、これは申立人の周知な引用商標の使用態様と一致するものである。
かかる事情の下で、本件商標がその指定商品に使用されたときは、申立人又は同人と何らかの経済的・組織的関係を有する者の業務に係る商品と誤認され、出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
(2)本件商標は、申立人の長年の営業努力によって築かれた引用商標及び3本線の商標の信用力、顧客吸引力にフリーライドするものであり、また、本件商標が指定商品に使用されたときは、世界的に著名な引用商標等の3本線の商標の出所表示機能が希釈化され、申立人が経済的及び精神的損害を被ること必至である。よって、本件商標は、明らかに社会一般道徳及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがあるから、商標法第4条第1項第7号の規定に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、引用商標をはじめとする3本線を基調にした商標は、申立人の業務に係るスポーツシューズ等の各種スポーツ関連商品について使用する商標として、本件商標の登録出願前より取引者、需要者間に広く認識されていたものということはできる。
しかし、本件商標と引用商標とを対比するに、本件商標は、上掲のとおり、仮想垂直線に対し左方向に傾けた細長い4本の台形様図形を等間隔で、仮想底辺に対し右上がりに配置したものであり、それぞれの台形様図形は破線及び小さな丸点で装飾が施されているものである。
これに対し、上掲のとおりの引用A商標及び引用B商標中の図形部分及び引用C商標は、仮想垂直線に対し左方向に傾けた黒塗りの3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その3本の台形様図形の長さは、右から左に順次短く、とりわけ引用B商標及び引用C商標のそれは極端に短く表されている。同じく引用D商標は、仮想垂直線に対し左方向に僅かに傾けた波線の輪郭線による3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その3本の台形様図形の長さは、右から順次わずかに短く表されている。同じく引用E商標及び引用F商標における図形は、仮想垂直線に対し左方向に傾けた波形黒塗りの3本の長方形様の図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その3本の長方形様図形の長さは等しく表されている。同じく引用G商標は、仮想垂直線に対し右方向に傾けた二重輪郭線による3本の台形様図形を仮想底辺に沿うように配置したものであって、その3本の台形様図形の長さは、左から右に順次短く表されている。また、同じく引用I商標は、靴の全体を表した立体商標であるから、3本線のみを抽出して比較すべきものではない。
そして、本件商標と引用A商標ないし引用G商標中の図形部分及び引用I商標とは、それぞれの上記特徴の差異により、外観上明らかに異なった別異の印象を看者に与えるものというべきであって、それぞれを時と処を別にして観察しても彼此相紛れるおそれのないものである。また、本件商標と引用H商標とは、本件商標が図形のみからなり特定の称呼及び観念を生じないのに対し、引用H商標は、上掲のとおり、「THE BRAND WITH THE 3 STRIPES」の文字からなるものであって、外観が明らかに相違するばかりでなく、称呼及び観念については比較すべくもない。
申立人は、本件商標と引用A商標ないし引用G商標及び引用I商標における図形とは、構成の軌を一にし、図形の印象が酷似し極めて紛らわしいものである旨主張するが、それぞれの上記差異点に照らし、上記のとおり判断するのが相当であり、また、本件商標を指定商品に表示する場合を想定し、商品の地色と本件商標の着色の配色の仕方、両者のコントラストの程度によっては、本件商標が4本線よりも3本線の図形として視覚的に強調されるから、両者は紛らわしいものである旨主張するが、本件商標が故意に着色等して変更使用されて出所の混同を生じた場合には、別途争う余地があるとしても、本件においては上記のとおり願書記載の商標の下に判断せざるを得ないから、申立人の主張は採用することができない。
そうすると、引用商標が需要者間に広く認識されているとしても、本件商標をその指定商品に使用した場合に、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
(2)上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは別異のものであるばかりでなく、本件商標が引用商標を模倣したものとも直ちに認め難いから、本件商標が引用商標及び3本線の商標の信用力、顧客吸引力にフリーライドしたり、不正な目的によって採択使用されるものとは認められない。
したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、直ちに社会一般道徳及び国際信義に反するものではなく、公の秩序を害するおそれもないといわざるを得ない。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-11-01 
出願番号 商願2005-45772(T2005-45772) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (Y25)
T 1 651・ 22- Y (Y25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 山口 烈
井岡 賢一
登録日 2005-12-09 
登録番号 商標登録第4913996号(T4913996) 
権利者 株式会社ニッセン
代理人 中熊 眞由美 
代理人 柳田 征史 
代理人 柳田 征史 
代理人 福井 陽一 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 

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