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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない 014
管理番号 1148393 
審判番号 不服2002-12888 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-11 
確定日 2006-11-15 
事件の表示 平成8年商標登録願第113491号拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「GIOVANNI VALENTINO」の文字を横書きしてなり、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて」を指定商品として、平成8年10月9日登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、イタリア国ローマ市在住の「Valentino Garavani」(オランダ国在の関連企業「バレンチノ クローブ ベスローテン フェンノートシャップ社」)が「婦人・紳士物の衣料品」等に使用している著名な商標「Valentino」の文字を含むものであるから、これを出願人が指定商品に使用するときは需要者は上記会社もしくは上記会社と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、当審において証拠調べを行った結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、証拠調べの結果を通知し、意見書を提出する相当の期間を指定して、平成17年11月7日付けで請求人に通知した。

「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」「valentino garavani」「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の他、「ヴァレンティノ」「ヴァレンティーノ」「バレンチノ」「VALENTINO」「valentino」が使用されている事実。
(1)辞書類
(ア)「英和商品名辞典」(1990年研究社発行)「Valentino Garavani」の項において、「イタリア RomaのデザイナーValentino Garavani(1932-)のデザインした婦人・紳士物の衣料品・毛皮・革製バッグ・革小物・ベルト・ネクタイ・アクセサリー・婦人靴・香水・ライター・インテリア用品など。Roma,Firenze,Milanoなどにあるその店の名称はValentino(vは小文字でかくこともある)。… 」との記事及びデザイナーとしての紹介記事が掲載されていること。
(イ)「岩波=ケンブリッジ世界人名辞典」(1997年11月21日岩波書店発行)の「ガラヴァーニ」の項において「ヴァレンティノ Garavani,Valentino通称ヴァレンティノ Valentino(伊 1933-)服飾デザイナー…」との紹介記事が掲載されていること。
(ウ)「服飾辞典」(1981年4月25日同文書院発行)の、「ヴァレンチノ[Valentino]」の項に、「イタリアのデザイナー。若くして明るいデザインをすることで有名である。ローマに店があり、現在ローマになくてはならないデザイナーの一人。作品はアメリカにも多く輸出されていて、最近はもとアメリカ大統領夫人ジャクリーヌ・ケネディもお客の一人である。」との紹介記事が掲載されていること。
(2)書籍・雑誌類
(ア)「世界の一流品大図鑑'81年版」(昭和56年5月25日講談社発行)において、「…ヴァレンティノにとって、トータルファッションは欠くことのできない条件。ハンドバッグは…」との掲載が載されていること。
(イ)「世界の一流品大図鑑'85年版」(昭和60年5月25日講談社発行)において、「…魅惑的で優美な衣裳作りを心がけているというヴァレンティノ」「シーズン毎にカジュアルシューズも発表しているヴァレンティノ…」との掲載がされていること。
(ウ)「男の一流品大図鑑'85年版」(昭和59年12月1日講談社「…オフタイムこそ、ヴァレンティノで洒落てみたい」との掲載がされていること。
(エ)「EUROPE一流ブランドの本(講談社MOOK第二巻)」(昭和52年12月1日講談社発行)において、「ローマだけでもヴァレンティノの店は四店ある。」等の紹介と「ヴァレンティノ ガラバーニ」の簡単な経歴が商品「婦人服」と共に掲載されていること。
(オ)「ヴァンサンカン 25ans 1987年10月号」(昭和62年10月1日婦人画報社発行)において、「…ヴァレンティノの服は、…」との掲載がされていること。
(カ)「ヴァンサンカン 25ans 1994年4月号」(1994年4月1日婦人画報社発行)において、「…もうこれは芸術の域。さすがヴァレンティノです。…」との掲載がされていること。
(キ)「Miss[ミス]家庭画報 創刊号」(1989年5月1日世界文化社発行)において、「…<左>衿もとや袖口を飾るラッフルはヴァレンティノらしい遊び。…」との掲載がされていること。
(ク)「Miss[ミス]家庭画報 1990年5月号」(1990年5月1日世界文化社発行)において、「…ヴァレンティノが得意とする、着る人の知性をひきだす服づくり…」との掲載がされていること。
(ケ)「Miss[ミス]家庭画報 1994年6月号」(1994年6月1日世界文化社発行)において、「ウエストシェイプされたラインにヴァレンティノらしい格好よさが表現されています。」との掲載がされていること。
(コ)「ELLE(エル・ジャポン) 1997年8月号とじ込み付録'97-'98秋冬トレンド大辞典」(アシェット婦人画報社発行)において、婦人服及びバッグの写真に付された「VALENTINO」との表示が掲載がされていること。
(サ)「DONNA giappone 1998年4月号」(1998年4月1日ドンナジャポーネ社発行)において、「VALENTINO」の表示の下「…タイトなシルエットのスーツは、そんなヴァレンティノらしさを象徴している。スーツ¥930,000/ヴァレンティノ」との掲載がされていること。
(シ)「non-no」1989年 No.23号(平成元年12月5日集英社発行)において、「ヴァレンチノ、ソニア・リキエルから、若々しいbisブランドがデビュー。」の見出しの下「…この秋デビューしたヴァレンチノの「オリバー・ドンナ」…」との掲載がされていること。
(ス)「ヴァンテーヌ Vingtaine 1994年12月号」(1994年婦人画報社発行)において、「…ストッキングはいつもヴァレンティノなのよ…」との掲載がされていること。
(3)新聞記事
(ア)「繊研新聞」(昭和51年9月28日付)において「ヴァレンティノ秋冬ショー」の見出し記事の掲載がされていること。
(イ)「センイ・ジャァナル」(昭和51年9月29日付)において「ヴァレンティノ・コレクション」との見出しの下「…この秋のバレンティノの個性を強調したものと見うけられた。…」との記事の掲載がされていること。
(ウ)「読売新聞大阪版」(昭和51年9月30日付)において「ヴァレンティノのショーから」との見出しの掲載がされていること。
(エ)「朝日新聞」(昭和51年9月30日付、同年10月2日付及び同月5日付)において「バレンティノ・ショー」との見出しの下「…かつて、白一色だけのショーを開き、注目を浴びたバレンティノが…」、「…もっともバレンティノにいわせると…」との記事の各掲載がされていること。
(オ)「秋田さきがけ新聞」(昭和51年9月30日付)において「見事な色と素材/バレンチノ作品展から/エレガンスを創造」との見出し、「河北新報」(昭和51年10月1日付)において「バレンチノのトータルファッション/鮮やかな赤と黒/エレガンスな世界を創造」との見出し、「センイ・ジャァナル」(昭和51年10月1日付)において「(東京)イタリアのデザイナーヴァレンティノの…」との記事、「日刊ゲンダイ」(昭和51年10月2日付)において「ヴァレンティノ・コレクション発表」との見出し、「東奥日報」(昭和51年10月4日付)において「見事な色と素材/バレンチノの作品群」との見出し、「山陰中央日報」(昭和51年10月4日付)において「…惜しみなく絶賛!を贈れるバレンチノだった。…」との記事、「サンケイ新聞」(昭和51年10月5日付)において「ヴァレンティノ・コレクション」との見出し、「宮崎日日新聞」(昭和51年10月5日付)において「超一級の色と素材/見事なバレンチノ作品」との見出し、「日経産業新聞」(昭和51年10月6日付)において「伊の鬼才ヴァレンティノ」との見出し、「福島民友新聞」(昭和51年10月6日付)において「バレンチノの芸術」との見出し、「日経流通新聞」(昭和51年10月7日付)において「…来春からヴァレンティノブランドのインテリア小物を売り出す。…」との記事、「徳島新聞」(昭和51年10月12日付)において「見事な色と素材/バレンチノの作品群から」との見出し、「公明新聞」(昭和51年10月14日付)において「無地が売り物のヴァレンティノ」との見出しの下「欧州イタリアのヴァレンティノの秋冬物が公開されました。」との記事及び写真に付された「ヴァレンティノのスポーティー・ルック」との表示記載、「夕刊フクニチ」(昭和51年10月18日付)において「すばらしい色と素材/バレンチノの秋冬新作」との見出し、及び「千葉日報」(昭和51年11月3日付)において「みごとな色と素材/ファッション/バレンチノの作品群」との見出し等の掲載がされていること。
(カ)「報知新聞」(平成3年7月29日付)において「リズの花嫁衣装はバレンチノ」との見出しの下「…イタリアの有名デザイナー,バレンチノが作ることになった。…」等との掲載がされていること。
(4)以上の事実によれば、「VALENTINO」等の表示は,本願商標の出願日及び登録査定日の当時、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ又はそのデザインに係る商品群に使用されるブランドの略称を表すものとして、我が国の取引者及び需要者の間に広く認識されており、その状態が現在においても継続していると認められる。

4 請求人(出願人))は、上記3の証拠調べ通知に対し、所定の期間を経過するも何らの応答もない。

5 当審の判断
(1)上記3の証拠調べのとおり、「Valentino Garavani」(VALENTINO GARAVANI)「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」は、国際的なトップデザイナーとして、本願商標の登録出願時には既に、我が国において著名であったものと認められる。また、同氏の名前は、「Valentino Garavani」(VALENTINO GARAVANI)「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることも多いが、同時に辞書類、新聞、雑誌等に掲載された中には、単に「Valentino」(VALENTINO)「ヴァレンティノ」と略して採り上げられており、ファッション関連分野に関して「Valentino」(VALENTINO)「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。そして、同氏がデザインした婦人服、紳士服、アクセサリー、バック類、インテリア用品等のファッション関連商品は、「Valentino Garavani」(VALENTINO GARAVANI)「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及びその略称として「Valentino」(VALENTINO)「ヴァレンティノ」の商標をもって我が国の取引者、需要者の間に広く知られていたというべきであり、このことは、少なくとも本願商標の登録出願時である平成8年10月9日前において既に我が国の取引者、需要者間に広く認識せられていたものであり、また、その状況は現在に至るまで継続しているものとみて差し支えないものである。
(2)しかして、本願商標は「GIOVANNI VALENTINO」の文字を書してなるところ、「GIOVANNI」と「VALENTINO」と間に約1字程度の間隔を置いてなるものであり、かつ、両文字部分は視覚上分離して看取し得るばかりか、これより生ずる全体の称呼も比較的冗長に亘るものと言える。更に、該文字全体を以て親しまれた観念を生ずるとも認められない。
加えて、「VALENTINO GARAVANI」の略称「VALENTINO」は、「婦人服,紳士服,アクセサリー,バッグ,香水」等に使用して、本願商標の登録出願前より、取引者、需要者の間でデザイナーブランドとして広く一般に認識され、かつ、これらの商品と本願商標の指定商品中、例えば「身飾品」「時計」とは、共にファッション性を求められる商品同士でありトータルファッションのアイテムの一つとして密接な関係を有することも否定し得ない商品であり、また、需要者層を共通にする場合も少なくない。
したがって、上記の事情に照らせば、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、本願商標構成中の「VALENTINO」の文字部分に強い注意力が注がれ、「VALENTINO GARAVANI」を想起、連想するとともに、同人に係る一連のデザイナーブランドであるかの如く誤認し、或いは、同人と組織的、経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同(広義の混同)を生ずるおそれがあるのものといわなければならない。
また、請求人の主張する「Valentino」、「VALENTINO」が、イタリアではありふれた名前であるとしても、少なくとも我が国においては、「Valentino」、「VALENTINO」は、ありふれた氏又は名でなく、一定程度の独創性を備えたものといえるものであり、かつ、ファッション関連からみれば、上述のとおり国際的なトップデザイナー「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)」又はそのデザイナーズブランドないしはその作品群を容易に想起するものである。
さらに、請求人は、本願商標に係る諸外国の判例等及びわが国における登録例を挙げて本願商標登録の正当性について述べているが、審理に当たっては、諸外国の判例及びわが国の既登録例に何ら拘束されることなく客観的証拠に基づき個別具体的に判断するものであり、これをもって上記認定が左右されるものではない。
(3)なお、「VALENTINO」の文字をその構成中に有する登録商標に関して、本件と同様に審決又は異議決定をしたものに対する東京高等裁判所、知的財産高等裁判所における行政訴訟事件において、次のとおり判決されているところである。
(a)平成14年(行ケ)第201号事件(審判番号07-07234 商標登録第2699605号 商標「GIANNI VALENTINO」指定商品第19類「台所用品、日用品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(b)平成14年(行ケ)第354号事件(審判番号09-20430 商標登録第2614322号 商標「GIANNI VALENTINO」指定商品第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(c)平成14年(行ケ)第370号事件(審判番号08-20103 商標登録第2357409号 商標「RUDOLPH VALENTINO」指定商品第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された(なお、上告(平成15(行ノ)201、平成15(行サ)第182、平成15(行ツ)333、平成15(行ヒ)353)されたが平成17年7月11日に上告棄却。)。
(d)平成14年(行ケ)第402号事件(審判番号09-02833 商標登録第2715313号 商標「Rudolph Valentino/「V」図形」指定商品第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された(なお、上告(平成15(行ノ)202号、平成15(行サ)183、平成15(行ツ)334、平成15(行ヒ)354)されたが平成17年7月11日に上告棄却。)。
(e)平成14年(行ケ)第405号事件(審判番号11-35033 商標登録第2629700号 商標「valentino /orlandi」指定商品第17類「被服、布製身回品、寝具類」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(f)平成14年(行ケ)第421号事件(審判番号10-35465 商標登録第2582891号 商標「valentino /orlandi」指定商品第17類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(g)平成16年(行ケ)第335号事件(異議番号2003-90376 商標登録第4658091号 商標「「SとV」のモノグラム図形/SILVIO VALENTINO」指定商品第3類「せっけん類、薫料、つけづめ、つけまつ毛、歯磨き、靴クリーム、靴墨」)は、平成17年2月24日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(h)平成17年(行ケ)第10270号事件(異議番号平成10-92002号 商標登録第4161151号 商標 「モノグラム図形/GIOVANNI VALENTINO」指定商品第25類「被服、ガータ、靴下止め、ズボンツリ、バンド、ベルト、履物、運動用特殊衣服、運動用特殊靴」)は、平成17年9月28日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(i)平成17年(行ケ)第10491号事件(審判番号2002-12122号 商願2001-56565 商標 「図形/FEMMIO VALENTINO」指定商品第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。)、なべ類、その他」)は、平成17年12月20日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(4)以上のとおり、本願商標は、他人の業務に係る商品とその出所について混同を生ずるものというべきであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-20 
結審通知日 2006-06-20 
審決日 2006-07-04 
出願番号 商願平8-113491 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (014)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井岡 賢一深沢 美沙子 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 伊藤 三男
山本 良廣
商標の称呼 ジョバンニバレンティノ、ジョバンニバレンチノ 
代理人 石川 義雄 
代理人 小出 俊實 
代理人 鈴江 武彦 

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