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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1825
管理番号 1146799 
審判番号 取消2004-31400 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-10-22 
確定日 2006-11-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4407925号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4407925号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4407925号商標(以下「本件商標」という。)は、平成10年2月17日に登録出願、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「ハンドバッグ,リュックサック,書類入れかばん,スーツケース,旅行用かばん,トランク,その他のかばん類,キーケース,その他の袋物,メモ帳用原皮,ブックカバー用原皮,インデックス用原皮,その他の皮革」及び第25類「スーツ,スポーツジャケット,革製ジャケット,その他のジャケット,ジーンズパンツ,スカート,オーバーコート,レインコート,セーター,パーカー,プルオーバーシャツ,ワイシャツ,ブラウス,ティーシャツ,その他の下着,バスローブ,ナイトガウン,スカーフ,手袋,帽子,サンバイザー,その他の被服,ベルト,バンド,短靴,オーバーシューズ,ハーフブーツ,長靴,スリッパ,その他の履物,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。) 」を指定商品として、同12年8月11日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第20号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用について
乙第3号証ないし乙第7号証によっては、本件商標に係る商品が日本国内に輸入されたものとは認められない。被請求人は、イタリアから被請求人に係る商品を輸出しているに過ぎない。当該商品の日本への「輸出」は、商標法第2条第3項に規定する「使用」に該当しないものであるから、商標権者による本件商標の使用の事実は認められない。
また、乙第3号証ないし乙第7号証により提出されたインボイスによると、「TOD’S JAPAN K.K」については、トッズ・ジャパン株式会社、「MITSUI & CO.LTD.」は、三井物産株式会社であると解される。しかしながら、商標登録原簿(甲第1号証)から明かな通り、トッズ・ジャパン株式会社及び三井物産株式会社の両社は、専用使用権者として登録されていないし、乙第1号証ないし乙第7号証の証拠書類によっては、同社が通常使用権者であることも証明されていない。
したがって、本件商標に係る専用使用権者及び通常使用権者の存在が証明されていない以上、本件商標が専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用されているという事実は認めることができない。
(2)日本国内における使用について
また、たとえ、被請求人がトッズ・ジャパン株式会社及び三井物産株式会社に本件商標の使用権を付与する意思を有していたとしても、乙第3号証ないし乙第7号証によっては、インボイスに記載されている商品が日本に輸入されているという事実は、商品代金の支払いを証明する書面、通関料、配達料、関税、輸入消費税又は航空運賃等の支払いを証明する書面等が提出されていないため、証明されていない。更には、もし日本国内にて、本件商標に係る商品が流通又は取引されているのであれば、それらに関する何らかの取引書類が存在しているはずであるが、被請求人は、日本国内におけるトッズ・ジャパン株式会社又は三井物産株式会社から日本国内の直営店又は販売店等に商品が流通又は取引されていることを証明する取引書類等も提出していない。
よって、本件商標に係る商品が日本国内にて流通又は取引されているという事実を認めることができない。
(3)インターネット上のウエブページの検索結果
請求人は、インターネットにより、本件商標に係る商品の使用の事実について調べたが、日本国内において、本件商標に係る商品が販売等されている事実を把握することはできなかった(甲第4号証ないし甲第17号証)。
(4)乙第1号証及び乙第2号証に係るカタログの頒布について
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証の商品カタログが日本の取引業者向けに頒布されている旨述べているが、商品カタログの表紙及び各頁の写のみを提出して、その存在を主張しているに過ぎず、その頒布の事実を証明していない。
よって、乙第1号証及び乙第2号証の商品カタログが日本国内において過去3年以内に頒布されたという事実を認めることができず、本件商標の使用の事実を認めることができない。
(5)本件商標との社会通念上の同一性について
本件商標と前記商品カタログに表されている商標とを比較して考察すると、犬の横顔、「EMA」の文字態様及び色調が異なり、それぞれ商標全体としても外観及び称呼が異なり、社会通念上同一の商標とは認めることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第7号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、商標権者により使用されていた事実がある。
(1)被請求人は、元々靴の製造販売から始まり、現在では靴やかばん等の革製品全般及び被服の製造販売も行っている。その製品は、日本を含む世界各国に輸出されている。被請求人の主要商標は「TOD’S(トッズ)」であるが、そのほかに「Fay(フェイ)」というブランドでも製品を製造販売しており、本件商標は、後者のブランドの製品について使用されている商標である。
本件商標は、被請求人が「Fay」ブランドで販売している「被服、かばん」等の商品に関するカタログの表紙及び各頁に付されている。証拠として、日本の取引業者向けに頒布されている「2003年秋冬」用及び「2004年秋冬」用の商品カタログを提出する(乙第1号証及び乙第2号証)。 この商品カタログには、商品が写真入りで掲載されており、掲載された各商品には被請求人が付した欧文字或いは数字から成る商品番号が付され、商品番号を以って商品が特定され、取引できるようになっている。なお、この商品カタログは英文で作成されているが、その理由は、このカタログが世界共通の取引業者向けのものであるため、格別の宣伝文句等は必要なく、商品のデザインと商品番号等が記載されていれば足りるからである。
商品カタログに表されている商標は、厳密には本件商標と同一ではない。即ち、商品カタログに表された商標は、黒地に灰色で図形及び文字が記載されている。また、犬の横顔の図形が本件商標に比してやや小さく、また多少相違しているが、輪郭は同じであり、舌を出した同じ犬の横顔であることは容易に判断できる。また、本件商標中の最下部に配された活字体の「EMA」の文字の大きさは、本件商標に比べて小さく記載されているが、「EMA」と判読することは容易である。
以上の通り、使用されている商標は、本件商標と多少外観が相違しているものの、そこから生ずる称呼及び観念は同一であるため、実質的に同一性の範囲にあるものである。
(2)次に、これらの商品カタログに掲載されている商品が日本に向けてイタリアから輸出されている事実を証明するため、被請求人が過去3年以内に発行したインボイスの中、幾つかの写を証拠として提出する(乙第3号証ないし乙第7号証)。乙第1号証及び乙第2号証として提出した商品カタログに掲載されている商品の商品番号は、インボイスに記載されており、それにより商品が特定できる。
(3)以上の通り、被請求人が作成した日本の取引業者向けの2003年及び2004年の商品カタログに本件商標が付されており、更に、その商品カタログに掲載されている被請求人製造の商品が過去3年以内に日本に輸入されているものである。
よって、請求人が主張するような本件商標の不使用の主張は失当であり、その請求は成り立たないものである。

第4 当審の判断
(1)商標法第50条第1項に規定する商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、使用していないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、その指定商品に係る商標登録の取り消しを免れない。
(2)そこで、被請求人が提出した乙各号証をみるに、乙第1号証及び乙第2号証は、いずれも、英文で書かれたカタログであり、乙第1号証は「LOOK BOOK AUTUMN/WINTER 2003」と題する商品カタログであり、乙第2号証は「LOOK BOOK AUTUMN/WINTER 2004」と題する商品カタログと認められるものである。そして、それらカタログには、各種被服や鞄が写真入りで商品番号とともに掲載されており、カタログの表紙及び各頁には、別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。
乙第3号証ないし乙第7号証は、インボイスの写しであり、乙第3号証は2003年8月5日付、乙第4号証は2003年9月1日付で、いずれも「TOD’S JAPAN K.K/IRIKI BUILDING,5-30 KITA AOYAMA 3CHOME,MINATO-KU,TOKYO(以下「トッズ・ジャパン株式会社」という。)」へ宛てたインボイスである。また、乙第5号証は2004年3月2日付、乙第6号証及び乙第7号証は2004年3月3日付で、いずれも「MITSUI & CO.LTD./2-1,OTHEMACHI,1-CHOME,CHIYODA-KU TOKYO 100-004,JAPAN(以下「三井物産株式会社」という。)」へ宛てたインボイスであり、上記各インボイスの商品コード欄の中には、乙第1号証あるいは乙第2号証のカタログに記載されている商品番号が記載されている事実を認めることができる。
(3)以上の証拠によれば、乙第1号証あるいは乙第2号証の商品カタログは、本件審判請求の登録(平成16年11月15日)前3年以内のものであり、使用商標とともに各種被服や鞄が写真入りで紹介されている。そして、使用商標は、仔細にみれば、本件商標と同一とはいえないが、全体として、本件商標と社会通念上同一と認め得る範囲内の商標が表示されているとみて差し支えない。また、乙第3号証ないし乙第7号証のインボイスに記載されている日付も本件審判の要証期間内のものであり、インボイスに記載されている商品番号は、乙第1号証あるいは乙第2号証の商品カタログに記載されている商品番号とも符合していることを認めることができる。
(4)しかしながら、乙第3号証ないし乙第7号証は、あくまでもインボイスに過ぎず、これらのインボイスにより、被請求人がトッズ・ジャパン株式会社及び三井物産株式会社宛てに、インボイスに記載の商品番号の商品について、その数量、価格等の明細をインボイスとして送付したことは認められるとしても、それらインボイスに記載の商品が現実に我が国に輸入された事実を確認することことはできない。そして、我が国に輸入された事実を裏付ける、例えば、商品代金の支払いを証明する書面、通関料、配達料、関税、輸入消費税又は航空運賃等の支払いを証明する書面等の証拠も提出されていない。
そうとすれば、乙第3号証ないし乙第7号証のインボイスのみをもってしては、該インボイスに記載の商品が現実に我が国に輸入されたことを証明したものとはいえない。
また、乙第1号証及び乙第2号証の商品カタログについても、これらが日本語で記載されたカタログであれば、要証期間内に我が国において頒布されたもの推認し得るが、被請求人の主張によれば、これらは世界共通の取引業者向けのものであるとのことであり、そうとすれば、乙第1号証及び乙第2号証のカタログの存在のみをもってしては、該カタログが現実に我が国の取引業者に頒布されたものであることを確認することことができず、これを裏付ける証拠も提出されていない。
そして、他に、トッズ・ジャパン株式会社又は三井物産株式会社によって、該カタログに記載の商品が日本国内において取引されていたことを認めるに足りる証拠も提出されていない。
(5)してみれば、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、本件商標の指定商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
(1)本件商標(登録第4407925号商標)

(色彩は原本参照)
(2)使用商標

(色彩は原本参照)

審理終結日 2005-10-11 
結審通知日 2005-10-17 
審決日 2005-10-31 
出願番号 商願平10-12431 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z1825)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 池田 光治
山本 良廣
登録日 2000-08-11 
登録番号 商標登録第4407925号(T4407925) 
商標の称呼 フェイ、ファイ、エマ、イーマ、エフエイワイ、イイエムエイ 
代理人 醍醐 邦弘 
代理人 菊池 桂子 
代理人 清水 徹男 
代理人 大西 育子 

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