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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 Y44 |
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管理番号 | 1145096 |
審判番号 | 不服2005-8308 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-05-06 |
確定日 | 2006-10-18 |
事件の表示 | 商願2004- 45968拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「分子栄養医学健康指導士」の文字を横書きしてなり、第44類「栄養摂取及び健康管理に関する助言・情報の提供,栄養の指導,栄養に関する助言・情報の提供,栄養の指導に関するコンサルティング,電子計算機端末による通信を利用した栄養に関する情報の提供」を指定役務として、平成16年5月19日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、特定の公的資格を有する者について付与される称号を表すものとして多数使用されている『○○士』といった構成よりなり、その構成中に『栄養上、医学上の指導に係る特定の有資格者』といった意味合いを認識させる『栄養』及び『医学』並びに『指導士』の文字を顕著に表示してなるところ、我国において、業として栄養や医学に関する指導の取り扱いができるのは、法の定めにより、栄養士や医師又は保健師とされており、このような文字からなる商標を登録することは、指定役務との関係からみて、これに接する者をして恰も栄養や医学に関する指導業務を行うことができる資格表示であるかのごとく誤認を生じさせるおそれがあり穏当ではない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、上記のとおり、「分子栄養医学健康指導士」の文字を書してなるところ、「分子栄養医学」の文字は、それ自体、成語としての辞書等への記載は発見できないが、当審において行った調査(下記インターネット検索事例参照。)によれば、いわゆる「分子整合栄養医学」(Orthomolecular Madicineの邦訳。ノーベル賞受賞学者である米国のライナス・ポーリング博士が提唱した医療の新しい分野で、十分な栄養素を摂取することで体の中の分子を至適濃度に保ち、その結果として様々な生体機能が向上し、自然治癒力を高めることで病体を改善する方法)と同義の語として、本願指定役務に関連する業界において使用され認識されているものと認めることができる。また、「健康指導」の文字は、「健康のための指導」の意味合いを生じさせるものである。 一方、「士」の文字は、他の文字と結合して、身分や資格等を示す名称として使用されており、例えば、博士、弁護士、弁理士、税理士等のように法律で規定され、その使用が規制されている資格名称も存在することから、一般国民が、末尾に「士」の文字を付された名称に接した場合、一定の国家資格を付与された者を表したものと理解することも少なくないということができるが、他方、このような法律には準拠しない、いわゆる民間資格として、「士」の文字を含む名称が使用されている事実も少なからず認められるところである。 そして、本願商標は、上述のとおり、「分子栄養医学に基づく健康指導を行う資格を有する者」の意味合いを認識させるとするのが相当であるが、「分子栄養医学健康指導士」の名称は、法律等により規定されたものではなく、かつ、その構成文字の一部を含め、その使用が制限されたものとはいえず、また、本願商標と誤認を生ずるおそれのある国家資格等も見出し得ないことから、本願商標は、国家若しくは公の機関が付与する資格や称号と紛らわしいものとはいい得ない(例えば、医学、栄養学、健康指導等に関する国家資格としては、「医師」、「看護師」、「栄養士」、「管理栄養士」、「作業療法士」などが存在し、それぞれ法律により、無資格者がこれらの名称及びこれらと紛らわしい名称を使用することを禁止しているが、本願商標が、これらの名称と紛らわしいものであるとはいい得ない)。また、当審において職権より調査するも、原審で説示する「我国において、業として栄養や医学に関する指導の取り扱いができるのは、法の定めにより、栄養士や医師又は保健師とされている」ことを証明する事実も発見できなかった。 してみれば、本願商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、国家資格若しくは公的資格を表す名称、称号等を表したものであるかのように誤信するおそれはないものというべきであるから、これが、直ちに国家資格等の制度に対する社会的信頼を失わせ、ひいては公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものということはできない。 さらに、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与えるものではなく、また、これを使用することが社会公共の利益に反する又は社会の一般的道徳観念に反するものでもない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は取消しを免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 (インターネット検索事例-平成18年8月17日実施。括弧内の表示は、当該サイトのタイトル。) ○http://www.white-lc.com/detox.html(診療案内/ホワイトレディースクリニック) ○http://www.yaesu-clinic.jp/(うつ病・統合失調症などの症状を治療/診療内科・精神科/東京メディカルケアセンター) ○http://www.kanja.jp/search/byoin.php?hosp_no=No017162(銀座四丁目クリニック東京都中央区(内科 診療内科/音響療法 栄養療法)) ○http://www.jacam.org/tiptreatment/01.html(JACAM-Japanese American College for Advancement in Medicine) ○http://www.clinica.jp/entry/59(中野司朗レディースクリニック) ○http://www.kknews.co.jp/kenko/kodomokokoro/050521.html([KKS]健康 子どもの心とからだの健康) ○http://www.futabakanpo.co.jp/kakinoki/index.htm(栄養療法) |
審決日 | 2006-09-11 |
出願番号 | 商願2004-45968(T2004-45968) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
WY
(Y44)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 青木 博文 |
商標の称呼 | ブンシエーヨーイガクケンコーシドーシ、ブンシエーヨーイガク、ケンコーシドーシ |
代理人 | 千葉 太一 |