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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 Y29
審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 取り消して登録 Y29
管理番号 1143444 
審判番号 不服2004-16528 
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-06 
確定日 2006-09-22 
事件の表示 商願2003-74838拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第29類「肉製品,加工水産物,たまご・こんにゃく・だいこん・ちくわ・あつあげ等のおでん材料の詰め合わせ,おでん種として使用される牛すじ,卵,冷凍野菜,加工野菜,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆腐,加工卵,スープのもと」を指定商品として、平成15年8月29日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
(1)本願商標は、「おでん横丁」の文字を含んでなるが、例えば、2002年12月1日付け静岡新聞(朝刊9頁)には「静岡新聞社の本=『だもんで静岡おでん』―『なぜ』連発の異色味付け(BOOK GUIDE 読書) 出版物」の見出しの下に「おでん研究家として売り出し中の若手ライターが、静岡おでんの魅力に迫ったルポ。新潟在住の筆者は全国のおでんを訪ね、原付バイクで一万キロも走破した変わりダネで、わけても静岡おでんの多彩さに度肝を抜かれ執筆に及んだという。このところ、静岡おでんを全国にアピールしようという市民たちの動きが活発化している。この本はそうしたお国自慢と一味違った、他県人からのラブレターという形で、地元の人間が案外気づかない新たな魅力を引き出しているのがミソ。なぜ真っ黒い煮汁なのか、なぜはんぺんが黒いのか、なぜ青のりやだし粉をかけるのか、なぜこんなにおでん横丁が多いのか、なぜ夏のプールに付き物なのか、なぜかき氷と交互に食べたりするのか―静岡の人間には当たり前の光景に『なぜ』を連発して、丹念にそのなぞ解きを試みた。」と、同年11月3日付け静岡新聞(朝刊19頁)には「『静岡 府中宿・丸子宿寄り道』マップを発行-静岡市観光協など18街道の情報を充実 出版物」の見出しの下に「静岡市観光協会と静岡案内人『駿府ウエイブ』は『静岡 府中宿・丸子宿寄り道マップ』(街道にぎわい編)を一万五千部作成し、一日に開幕した「大道芸ワールドカップin静岡2002」に合わせて発行した。・・・マップでは博多ラーメンや広島のお好み焼きと並んで最近、話題となっている常磐公園周辺のおでん横丁に関した情報も充実させた。」と、2001年3月31日付け産経新聞(東京朝刊27頁)には「【ウイークエンド首都圏】町と味のストーリー 静岡市と黒はんぺん」の見出しの下に「青葉横丁、青葉おでん街、縄のれん街、いかずちおでん街、ちゃっきり横丁、青葉小路横丁…。日が暮れかかると、静岡市中心街の“おでん横丁”は仕事を終えたサラリーマンたちでにぎわい始める。静岡のおでんの名物は『黒はんぺん』だ。」と記載されているとおり、静岡県の静岡市内には「おでん横丁」と称されるおでん屋が並ぶ市街地があるところ、これと何らの関係を有さない一企業がこのような商標を採択、これを商標登録してその使用についての独占権となり得る商標権を取得することは、穏当でない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)本願商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年11月10日に登録出願、第29類「食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実」を指定商品として、同9年10月31日に設定登録された登録第4075433号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号について
本願商標は、別掲(1)のとおり、屋根と暖簾と土台の付いた黒色、藤色及び灰色からなる建造物と思しき図形と、該図形上に2行に縦書きされた「おでん横丁」の文字からなるものである。
そこで、該構成中の「おでん横丁」の文字について、当審において職権をもって調査した結果、この文字が、拒絶理由通知書で示した新聞記事情報にあるように、静岡県静岡市内のおでん屋が並ぶ市街地である「青葉横丁」、「青葉おでん街」、「縄のれん街」、「いかずちおでん街」、「ちゃっきり横丁」及び「青葉小路横丁」を称する際に用いられている旨が、新聞記事及びインターネット情報の記載において認められたが、その他に、例えば、以下の(a)ないし(f)の記載を発見することができた。
(a)2005年3月11日付け毎日新聞地方版/神奈川24頁「小田原おでんサミット:練り物のまちPR 第1回、銅門前会場に開催/神奈川」の見出しの下、「・・・6種類のおでんが味わえるおでん横丁をサミット会場に開設して・・・」
(b)2002年9月24日付け静岡新聞静岡中部朝刊19頁「みなと群舞でフィナーレー焼津で『オータムフェスト』55チームが軽快に表彰物」の見出しの下、「・・・おでんの味比べができる『おでん横丁』や、・・・」
(c)「笑う豚の生活BLOG」、「2005-10-30 06:04:54 おでん缶詰め」の見出しの下、「・・・撮影は、秋葉原おでん横丁で雑踏の中強行された」(http://ameblo.jp/warau-buta/entry-10005627642.html)
(d)「みんなのZAKKAN! みなさんのZAKKANを掲示します。」、「2005-12-05 試される味覚」の見出しの下、「・・・湘南おでん横丁の味や夜間屋台のおでんの味やらを・・・」(http://zakkankun.blog39.fc2.com/blog-entry-99.html)
(e)「社団法人因島観光協会」、「尾道市営長崎駐車場テナント情報」の見出しの下、「尾道市営長崎駐車場『零番地・おでん横丁』」「おでん横丁の常連さん・・・昭和を色濃くのこす、尾道市営長崎駐車場の『零番地・おでん横丁』名前のごとく、おでんやさんが多いのですが・・・」(http://innoshima.no-blog.jp/kanko/08/index.html)
(f)「■とことんおでん紀行[文庫版]」、「●目次」、「第12章 豚足とソーセージの歴史」の見出しの下、「・・・/那覇のおでん横丁」(http://www.odengaku.net/annex/odenkikou_b.html)
以上の(a)ないし(f)の記載内容からすると、「おでん横丁」と称されている横丁は、静岡県静岡市に限らないことを窺い知ることができるものである。
してみれば、本願商標がその構成中に「おでん横丁」の文字を含んでなるものであり、該文字が、静岡県静岡市のおでん屋が並ぶ市街地を称するものとして用いられているとしても、この文字が該市街地のみを指すものとして広く一般に知られているものとはいえず、むしろ、おでん屋が集中している横丁を指す場合に、俗称として普通に用いられているものと判断するのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、直ちに静岡県静岡市のおでん屋が並ぶ市街地を想起、認識するとはいい得ないものであるから、これを自己の商標として採択、使用することが、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものとはいえないものである。また、その構成自体が矯げき、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものでもなく、さらに、他の法律によって、その使用が禁止されているものとも認められない。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本願商標は、別掲(1)のとおり、屋根と暖簾と土台の付いた黒色と薄い桃色からなる建造物と思しき図形と、該図形上に2行に縦書きされた「おでん横丁」の文字からなるものであり、その構成中の「おでん横丁」の文字に相応して、「オデンヨコチョウ」の称呼を生じ、「おでん屋が集中している横丁」の観念を生じるものと認められる。
これに対し、引用商標は、別掲(2)のとおり、暖簾と思しき図形及び該図形上に2段に横書きされた「三河」の文字及び該文字に比べてやや大きく表された「おいでん横丁」の文字とからなるものであるから、該構成中の文字部分に相応して、「ミカワオイデンヨコチョウ」の称呼、「愛知県東部の『おいでなさい横丁』」の観念を生じるとともに、やや大きく表された「おいでん横丁」の文字部分に着目し、これより、「オイデンヨコチョウ」の称呼、「おいでなさい横丁」の観念をも生じるものと認められる。
そこで、本願商標より生ずる「オデンヨコチョウ」と、引用商標より生ずる「オイデンヨコチョウ」の称呼を比較するに、両者は中間において、「イ」の音の有無に差異を有し、他の構成音を共通にするものである。
しかして、両者は、該「イ」の音の有無によって、音調、音感が明らかに異なり、この差異が称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえず、それぞれを一連に称呼するときは、語調、語感が異なり、互いに相紛れるおそれはないものというべきである。
また、両者は、前記のとおりの構成よりなるものであるから、外観においても区別し得る差異を有するものであり、観念においても、明らかに異なるものであるから、外観及び観念上も互いに相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取り消しを免れない。
(3)その他、政令で定める期間内に、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 本願商標




別掲(2) 引用商標


審決日 2006-09-12 
出願番号 商願2003-74838(T2003-74838) 
審決分類 T 1 8・ 26- WY (Y29)
T 1 8・ 22- WY (Y29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 林 栄二 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 岩本 和雄
久我 敬史
商標の称呼 オデンヨコチョー、ヨコチョー 
代理人 榎本 一郎 

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