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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y15
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y15
審判 査定不服 商3条柱書 業務尾記載 登録しない Y15
管理番号 1141898 
審判番号 不服2003-13552 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-16 
確定日 2006-08-09 
事件の表示 商願2002- 90052拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲に表示したとおりの立体的形状からなり、第15類「鍵盤楽器用楽譜台,鍵盤楽器用譜面板,鍵盤楽器」を指定商品として平成14年10月24日に登録出願、その後、指定商品については、当審において平成15年10月16日付け手続補正書により、「鍵盤楽器」に補正したものである。

2 原査定の拒絶の理由及び当審においてした審尋(要旨)
(1)原査定の拒絶の理由(要旨)
(ア)本願商標は、「鍵盤楽器用楽譜台,鍵盤楽器用譜面板」との関係から、「譜面板・楽譜台」の一般的な一形状それ自体を表すものとして認識させることが明らかなものと認められ、その商品の形状たる傾斜した斜面板の横面図と扇形の形状からなる正面図を主にバーを附し譜面台(譜面板)の一般的な意匠構成程度に看取されるに止まるものであるから、これを上記商品に使用しても、自他商品の識別力を具備することなく、単に前記商品の形状を普通に用いられる方法で表示するに止まるものと認められ、本願商標の当該形状をもって自他商品識別標識としての機能を有するものとは認め難い。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品(傾斜した斜面板の鍵盤楽器用楽譜台・譜面板)以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
(イ)本願商標は、その立体的形状としての構成、輪郭、使用態様、3次元態様が特定し得ないものであり、立体商標と認められないから、本願商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しない。
(ウ)原査定において、上記のとおり認定、判断して、本願を拒絶したものである。
(2)当審においてした審尋(要旨)
当審において、要旨以下の審尋を発し、期間を定めて請求人に対し意見を述べる機会を与えた。
請求人は、当審において、手続補正書により、その指定商品を「鍵盤楽器」に補正しているところ、本願商標に係る形状が補正後の指定商品である「鍵盤楽器」の形状そのものを表示しているものでないことは、請求人の主張のとおりである。
しかしながら、鍵盤楽器の中でも、オルガンやピアノ、電子ピアノ等のような鍵盤楽器においては、装備の一構成要素として、楽譜台(板)を備えているのが通常であり、本願商標に係る形状は、上記のような鍵盤楽器の一部分である「楽譜台(板)」部分の類型的な一形状を表したにすぎないものと認められる。
そうとすれば、本願商標は、これを補正後の指定商品について使用しても、これに接する取引者・需要者をして、単に、電子ピアノ等の鍵盤楽器に用いられる楽譜台(板)部分の形状を表したものと理解・認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を発揮する商標を表したものとは認識し得ないというのが相当である。
この点について、請求人は、永年使用の結果、本願商標は自他商品の識別機能を有するに至っている旨主張しているが、提出された甲各号証には、いずれも、「楽譜台(板)」部分に「YAMAHA/Clavinova」等の商標が表示されており、本願商標に係る形状が「楽譜台(板)」部分の形状を表示するに過ぎないものであることからすれば、補正後の指定商品である「鍵盤楽器」は、「YAMAHA/Clavinova」等の商標により識別されているとものいうべきである。
また、本願商標は、上記のとおり、「鍵盤楽器用楽譜台(板)」の形状を表したにすぎないものであるから、これを「鍵盤楽器用楽譜台(板)」以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、結局、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の拒絶理由を解消していないものといわなければならない。

3 当審の判断
(1)まず、本願商標が商標法第3条第1項柱書の要件を具備するか否かについて判断するに、本願商標は、別掲のとおり、正面図のほか、側面図、斜視図等からなり、十分に立体的形状を表してなるものといえるから、本願商標が同法第3条第1項柱書の要件を具備しないということはできない。
(2)次に、本願商標が同法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて判断する。
(ア)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物のみならず、商品を構成する部品等商品の一部(以下「商品等」という。)の形状をも含むものといえるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。 そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは、前示したように、商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品の機能又は美感に関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(イ)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、請求人は、頂辺が扇形となっていること、底辺より頂辺が長くなっていることの2点において、極めて特徴的であり、普通に用いられる方法ではない、旨主張しているが、上記特徴を有するとしても、鍵盤楽器の譜面台、譜面板としては、さほど需要者に印象に残るほどの特徴を有するものとはいえないものとみるのが相当である。
このことは、たとえば、当審で職権調査したインターネット情報(http://www.gakkiyasan.com/sonota/kenbanbharmonica/)においても、鍵盤楽器の製造・販売会社である株式会社コルグ(KORG)、株式会社河合楽器製作所(KAWAI)、株式会社ローランド(Roland)等の各社商品と比較しても、これを首肯し得るものである。
してみれば、本願商標は、「鍵盤楽器」の楽譜台、楽譜板の一形状を表したものと認識するに止まり、これを本願指定商品「鍵盤楽器」に使用しても、かかる形状を有する楽譜台、楽譜板を有する鍵盤楽器であることを表すにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しないものと判断するのが相当である。
(ウ)請求人は、本願商標は指定商品「鍵盤楽器」の直接的機能又は美感と関係のない特異な形状であること、及び本願商標は請求人(出願人)の取り扱いに係る商品「鍵盤楽器」を表示するものとして、取引者、需要者に広く認識されている旨主張している(甲第1号証ないし甲第7号証)。
しかしながら、前記2(2)の当審においてした審尋で述べたように、確かに本願商標は指定商品である「鍵盤楽器」そのものの形状ではないが、該商品の構成部分の形状を表すものであるから、本願商標の形状をした楽譜台、楽譜板を有する鍵盤楽器を容易に認識させるものということができ、そうとすれば、この点に関する請求人の主張は採用できない。
また、請求人の取り扱いに係る商品として広く認識されているとして、甲各号証を提出しているが、前述のとおり、これらは、何れも「YAMAHA/Clavinova」等の文字を含むものであって、本願商標とはその構成態様を異にするものであるから、この点についての請求人の主張も採用できない。
さらに、本願商標をその指定商品に使用するときは、あたかも、「鍵盤楽器用楽譜台(板)」であるかのごとく商品の品質について誤認を生ずるおそれがあり、また、前記した形状の楽譜台(板)を有する鍵盤楽器以外の「鍵盤楽器」に使用するときは、商品の品質・形状について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
(エ)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり、審決する。
別掲 別掲 (本願商標)



審理終結日 2006-06-09 
結審通知日 2006-06-12 
審決日 2006-06-28 
出願番号 商願2002-90052(T2002-90052) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y15)
T 1 8・ 18- Z (Y15)
T 1 8・ 272- Z (Y15)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
代理人 高松 猛 
代理人 市川 利光 
代理人 小栗 昌平 
代理人 本多 弘徳 

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