• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200290871 審決 商標
無効200689047 審決 商標
不服200628695 審決 商標
無効200035300 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y16
審判 一部無効 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 無効としない Y16
審判 一部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y16
審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y16
管理番号 1141502 
審判番号 無効2005-89053 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-04-21 
確定日 2006-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4821296号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4821296号商標(以下、「本件商標」という。)は、「THE LION THE WITCH AND THE WARDROBE」の文字を横書きしてなり、平成16年2月19日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」、第9類「全地球測位システム,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,時計,貴金属製喫煙用具」、第16類「模型又は塑像製作用の粘土,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,紙製コースター,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」、第20類「海泡石,こはく,荷役用パレット(金属製のものを除く。),養蜂用巣箱,美容院用いす,理髪店用いす,プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),輸送用コンテナ(金属製のものを除く。),カーテン金具,金属代用のプラスチック製締め金具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く。),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く。),錠(電気式又は金属製のものを除く。),クッション,座布団,まくら,マットレス,麦わらさなだ,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,ストロー,盆(金属製のものを除く。),ししゅう用枠,ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),旗ざお,うちわ,せんす,植物の茎支持具,愛玩動物用ベッド,犬小屋,小鳥用巣箱,きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),買物かご,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),ハンガーボード,工具箱(金属製のものを除く。),タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。),家具,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,つい立て,びょうぶ,ベンチ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板,食品見本模型,人工池,葬祭用具,揺りかご,幼児用歩行器,マネキン人形,洋服飾り型類,スリーピングバッグ,額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻,きょう木,しだ,竹,竹皮,つる,とう,木皮,あし,い,おにがや,すげ,すさ,麦わら,わら,きば,鯨のひげ,甲殻,人工角,ぞうげ,角,歯,べっこう,骨,さんご」、第21類「デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけ,家禽用リング,魚ぐし,おけ用ブラシ,金ブラシ,管用ブラシ,工業用はけ,船舶ブラシ,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,アイロン台,霧吹き,こて台,へら台,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,ろうそく消し及びろうそく立て(貴金属製のものを除く。),家庭用燃え殻ふるい,石炭入れ,はえたたき,ねずみ取り器,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,犬のおしゃぶり,小鳥かご,小鳥用水盤,洋服ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー,貯金箱(金属製のものを除く。),お守り,おみくじ,紙タオル取り出し用金属製箱,靴脱ぎ器,せっけん用ディスペンサー,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,ガラス製又は磁器製の立て看板,香炉,化粧用具,靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー,コッフェル,ブラシ用豚毛」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,布製ラベル」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」、第28類「シャボン玉おもちゃ,スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」及び第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定商品・役務として、同年11月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標
請求人の引用する登録第1773695号商標(以下、「引用商標」という。)は、「ザ・ライオン」と「THE LION」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和57年5月10日に登録出願、第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、同60年5月30日に設定登録されたものである。
3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中第16類「紙類,文房具類」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第19号証を提出した。
(1)請求の理由
ア 理由の要点
(ア)本件商標に係る標章は、児童文学作品に属し、わが国でも岩波書店から翻訳本が出版されている著名な小説の題名に酷似する。
その小説の題名とは、“THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE”(前記翻訳本では「ライオンと魔女」と記載)であり、その著作者は英国のClive Staples Lewise(前記翻訳本では「C.S.ルイス」と記載。)である。(甲2)
すなわち、この小説の題名の“THE LION”と“THE WITCH”との間にある“,”を落としたものが本件商標の標章である。この“,”は、この小説の題名では“and”の意味を有するものであるところ、本件商標の場合にあっては、故意又は過失によって、この“,”を欠落している。
すると、本件商標は、商標法4条1項7号に含まれる他人が有する著作権に係る小説の題名を無断で使用していることになる。
(イ)もし本件商標に係る標章の由来が前記小説の題名ではないとしても、その英文字表示はあまりにも長過ぎて、商標としては、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものである。
本件商標は、商標法3条1項6号に係る商標に該当する。
(ウ)本件商標に係る長すぎる英文字標章を、あえて業として商品又は役務について使用するとの観点から見ると、最初の「THE LION」 は 、 その後の「THE WITCH・・・」とは分離することが可能な、これ自体識別力を有する英文字と見ることができる。
すると、本件商標は、引用商標と、旧第25類「紙類、文房具類」に係る商品に関しては類似する商標といえるから、商標法4条1項11号に該当する。
イ 具体的理由
(ア)本件商標について
標章及び指定商品については、甲第1号証に示すとおりである。
(イ)著名小説の題名と著作者について
(a)“THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE”は、わが国では「ライオンと魔女」の題名に翻訳されて出版されている児童文学作品であり、著作者はケンブリッジ大学教授のC.S.ルイス(1898-1963)、訳者は瀬田貞二、出版者は株式会社岩波書店である。
「ライオンと魔女」は、「ナルニア国ものがたり」の第1巻として書かれたもので、主人公の4人きょうだいが衣装ダンスを通り抜けて出会う別世界で繰り広げる壮大な冒険ファンタジー物語であると紹介されている。そこに登場する「ライオン」は、ナルニア国の創造主で「アスラン」という偉大な王様であり、“THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE“ は、「ライオン」と「魔女」と「衣装ダンス」のナルニア国を連想する3つのキーワードに定冠詞をつけて羅列したものである。
「ナルニア国ものがたり」は、次の7巻にわたっている。
1950年「ライオンと魔女」、1951年「カスピアン王子のつのぶえ」、1952年「朝びらき丸 東の海へ」、1953年「銀のいす」、1954年「馬と少年」、1955年「魔術師のおい」、1956年「さいごの戦い」。
(b)前記のC.S.ルイスは1963年に死去しているが、彼の著作権は、わが国においては死後50年を経過していないから、まだ保護期間中である。そして、彼の前記小説は題名を含めて現在もわが国著作権法によって保護されているから、本件商標は4条1項7号に該当するものである。
ところで、出願人は、シンガポール国に住所を有するC.S.Lewis(ブライヴイット)Ltd.であるが、前記著作者の氏名を含んだ商号となっている。そこで、出願人は法人資格証明書を提出するとともに、前記小説の著作権者であるC.S.Lewisとの関係を証明すべきである。
(ウ)長すぎる英文字標章について
本件商標に係る標章は、あまりにも長過ぎるスローガンマークのようなものであるから、商標としては需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものに該当する。したがって、商標法3条1項6号に該当する識別力のない商標といわなければならない。
(エ)「THE LION」について
我が国において、標章「THE LION」は、請求人が旧第25類「紙類、文房具類」を指定商品として、昭和57年5月10日に出願し、昭和60年5月30日に設定登録され、現に有効に存続している登録商標である。
これに対し、本件商標に係る標章は、極端に長い英文字からなり、しかも最初に「THE LION」として、定冠詞付きで表示しているものであるから、実際上後続の英文字とは分離し易い標章である。
したがって、本件商標からは「THE LION」だけの文字標章が抽出されることも起こり得る以上、少なくとも「紙類」と「文房具類」に関しては、引用商標と外観、呼称及び観念において類似する商標といえるから、商標法4条1項11号に該当する。
しかも、これらの商品分野において、請求人の登録商標「LION」は著名かつ周知であり、引用商標はそれらの登録商標と連合商標の関係にあった事実を考慮するならば、本件商標は、少なくとも当該商品の範囲に関する限り、無効とされて然るべきものである。
(2)弁駁
ア (ア)商標審査基準によれば、類否の判断は、主たる需要者層(例えば、専門家、老人、子供、婦人等の違い)その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならない。
また、長い称呼を有するため、又は結合商標の一部が特に顕著であるため、その一部分によって簡略化される可能性がある商標は、原則として、簡略化される可能性がある部分のみからなる商標と類似する。
(イ)本件の類否判断は、紙類,文房具類の主たる需要者の通常有する注意力を基準とするところ、主たる需要者には子供や老人を含み、高等英語教育を受けた者に限られない。
しかし、本件商標中の「WITCH」「WARDROBE」の英単語は、高等英語教育を受けた者が辛うじて理解できる程度の日常生活では馴染みのないものである。「WITCH」「WARDROBE」 を、馴染みのある英単語とする被請求人の主張は、現実から遊離した認識である。
また、簡易・迅速を求める商取引環境において、一気一連に「ザライオンザウイッチアンドザワードローブ」と称呼し、商品を取引することは事実としてあり得ない。
本件商標は、それぞれの英単語に関連性はなく、全体で一つの観念を生じるものではない。「THE LION」以外は、英和辞典を引いて初めて意味を理解するのが通常の日本人である。また、本件商標は英文字が間隔をあげて配置されており、上記各文字の独立性は失われていない。
したがって、本件商標に接する需要者は、馴染みのある語頭の「THE LION」に注目し、「ザライオン」又は「ライオン」の称呼も生ずるとするのが相当である。
イ 被請求人は明治34年頃から商品「インキ」「スタンプ台」「鉛筆」等の文房具に「LION」を使用して以来今日まで、営々として継続使用をしており、紙類,文房具類を扱う文具界において周知、著名な商標となっている(甲4ないし甲10)。
ウ また、商品「紙類,文房具類」における「LION」関係商標が請求人の商標として、著名かつ周知である事実から、頭部に「THE LION」 を有する本件商標は、「ライオン」単独の称呼・観念も生じ、これを「紙類,文房具類」の商品に使用すれば、あたかも請求人会社と何らかの関係を有する商品であるかのごとく、需要者に混同を与えるものであり、商標法4条1項15号にも該当する。

4 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求め、答弁の理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
(1)商標法4条1項7号について
ア 確かに、本件商標とC.S.ルイスの著作に係る児童文学作品の題号とは類似している。また、C.S.ルイスの著作権は、わが国においてはまだ保護期間中である。しかし、商標権者は、C.S.ルイスの著作物に係る著作権を有しているので、他人が有する著作権に係る小説の題号を無断で使用していることにはあたらない。
請求人は、被請求人に法人資格証明書の提出及び被請求人と上記小説の著作権者との関係を証明することを求めている。
そこで、被請求人は、法人資格証明書を提出すると共に(乙第1号証)、被請求人がC.S.ルイスが有していた著作権を承継していることを、以下において説明する。
(ア)上記小説の作者C.S.ルイスは1963年に死去しており、彼の著作権を含む財産は、1951年2月11日の遺言に従い遺産管理人に帰属した。
(イ)1981年12月14日に、遺産管理人からトライデント ノミニーズ リミテッドに、遺産管理人が有する全ての著作権が譲渡された。
(ウ)1981年12月14日に、トライデント ノミニーズ リミテッドからシー・エス・ルイス・(プライヴィット)・リミテッドに、トライデント ノミニーズ リミテッドが有する著作権が譲渡された(乙第2号証)。
なお、商標権者は、C.S.ルイスの著作物に係る著作権を有しているが、そもそも小説の題号には著作権の保護は及ばないことはわが国における通説であり(乙第3号証)、小説の題号を商標登録出願することは、なんら著作権を侵害するものでない。
また、商標法においては、他人の著作権との抵触関係は規定されているが(商標法29条)、他人の著作権と抵触する商標登録出願が商標法4条1項7号に該当するものではないことも念のために申し添える。
イ 以上により、本件商標は他人の著作権を侵害していないことは明らかであり、本件商標は、いかなる意味においても、商標法4条1項7号に該当するものではない。
(2)商標法3条1項6号について
ア 本件商標はスローガンマークには該当せず、したがって、本件商標は、商標法3条1項6号に該当しない。
イ 請求人が述べている「スローガンマーク」とは、「スローガン」を表した「マーク(標章)」と思料される。「スローガン」とは、「Yahoo!辞典-大辞泉」によると、「団体や運動の主義・主張を簡潔に言い表した語句。標語。」を言う(乙第4号証)。
そして、標語に関しては、商標審査基準において、標語(例えば、キャッチフレーズ)は、原則として、商標法3条1項6号に該当するとされている。標語が商標法3条1項6号に該当する趣旨は、「『標語』とは主張等を簡明に表現した短い語句を言い(広辞苑)」、「商品又は役務の品質、特徴等を簡潔に表すものが多く単なる宣伝文句と理解され、これが商品又は役務に使用されても、特に看者の注意をひく特徴的な部分がなく、『標語』によっては自他の商品又は役務を識別できないので、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない」からである(乙第5号証)。
本件商標は、欧文字「THE LION THE WITCH AND THE WARDROBE」を横書したものであり、「ライオン・魔女・衣装ダンス」程の意味合いが看取されるとしても、それは決して主張等を簡明に表現した短い語句などではなく、また、指定商品は「第16類 紙類,文房具類」の品質、特徴等を簡潔に表しているものとも到底認められない。
ウ したがって、本件商標は「スローガンマーク」には該当せず、本件商標は、商標法3条1項6号に該当しない。
(3)商標法4条1項11号について
ア 以下に述べるように、本件商標と引用商標とは非類似な商標であるので、本件商標は、商標法4条1項11号に該当しない。
イ 本件商標における「THE LION」の部分は、その後の「THE WITCH」以下の部分とは分離して観察されるものではない。
(ア)本件商標は、「THE」、「LION」、「THE」、「WITCH」、「AND」、「THE」及び「WARDROBE」の英単語を組み合わせた、7個の英単語から成る商標であり、極端に長い英文字からなっているものではない。また、「THE(ザ)、「LION」(ライオン)、「WITCH」(ウィッチ)、「AND」(アンド)及び「WARDROBE」(ワードローブ)は日本人に馴染みのある英単語であること、及び、本件商標を構成する各文字が外観上まとまりよく一体的に表現されていることから、本件商標に接した需要者は、一気一連に「ザライオンザウイッチアンドザワードローブ」と、称呼できるものである。
(イ)また、仮に、本件商標が分離して観察され得るとしても、「THE LION」の部分と、その後の「THE WITCH」以下の部分とは分離して観察されるものではない。
本件商標は、欧文字「THE LION THE WITCH AND THE WARDROBE」を横書してなるものであるが、同商標中の単語「LION」(ライオン)及び「WITCH」(魔女)との組合せは珍しいものであり、本件商標に接する者の注意を引く部分である。インターネット検索エンジン「Yahoo!JAPAN」において、「LION」 及び「WITCH」をキーワードとして検索したところ、約22,200,000件がヒットし、そのうちの最初の2ページをみたところ、ほとんどがC.S.ルイスの著作に係る小説の題号 「 THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE」に関するものであり、これ以外に「LION」及び「WITCH」を結合させた表現は少ない(乙第6号証)。
前述のとおり、「THE LION」及び「THE WITCH」との組合せは珍しいものと認められるので、需要者は「THE LION」及び「THE WITCH」を組合せた部分に着目し、「THE LION」及び「THE WITCH」を常に一体として認識するものである。したがって、本件商標は、「THE LION」と「THE WITCH」以下の部分に分離して観察されることはない。
また、C.S.ルイスの著作に係る児童文学作品“ THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE”の邦訳の題号は、「ライオンと魔女」である。このことからも、仮に本件商標が分離観察されたとしても、「THE LION 」の部分と「THE WITCH」以下の部分に分離されるものではない旨の上記主張が裏付けられているものと思料する。
したがって、請求人は「本件商標からは『THE LION』だけの文字標章が抽出されることも起こり得る」と、述べているが、同見解は失当である。
以上により、本件商標からは「THE LION」の文字部分のみが抽出されないものであり、請求人の有する上記登録商標と本件商標とは非類似であることは明らかである。
ウ なお、請求人は、「登録商標『LION』は著名かつ周知の商標」である旨を述べているが、同事実を証明する証拠は提出されていない。
また、請求人は、「引用商標はそれらの登録商標と連合商標の関係にあった事実を考慮」すべき旨を述べるが、商標法4条1項11号の規定に該当するか否かの判断は、本件商標と上記引用商標との間で判断されるべきものである。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法4条1項7号、同法3条1項6号及び同法4条1項11号には該当しないものである。

5 当審の判断
(1)商標法4条1項7号該当について
ア 商標登録を受けようとする商標が、他人の著作物の題号ないしはそれと酷似するものであったとしても、そのことから、当該商標が商標法4条1項7号にいう公序良俗を害するおそれのある商標に直ちに該当するとすべきではなく、一方、当該商標の出願・登録の過程において、その登録が、他人の著作物をも考慮すれば社会的妥当性を著しく欠くといわざるを得ないようなときには、本号に該当するとすべき場合が存すると解するのが相当である。
イ 甲第2号証によれば、瀬田貞二訳による岩波書店発行の児童文学翻訳本「ライオンと魔女(ナルニア国ものがたり1)」の原題が「THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE」であり、その原作者はC.S.Lewis(C.S.ルイス)であること、ナルニア国ものがたりは全7巻であり、前記「ライオンと魔女」はその第1巻に当たるものであること、そして、C.S.ルイスは、イギリスのケンブリッジ大学元教授であり、評論家・作家であって、1963年に死亡したこと、が認められる。
また、乙第2号証によれば、1981年12月14日に、トライデント ノミニーズ リミテッドから被請求人に、トライデント ノミニーズ リミテッドが有するC.S.ルイスの著作権が譲渡されたこと、当該著作権には前記題号の著作物も含まれていることが認められる。
ウ そうしてみると、本件商標は、「THE LION THE WITCH AND THE WARDROBE」の文字からなるものであるから、前記著作物の題号「THE LION,THE WITCH AND THE WARDROBE」に酷似する標章というべきものである。
そして、当該著作物に係る著作権は、本件商標の出願前から被請求人に帰属していたものである。
してみれば、本件商標は、前記著作物の題号に酷似する標章からなるものと認められるけれども、本件商標を出願し登録を得たことについて、C.S.ルイスの著作物との関係で、社会的妥当性を欠くとすべき理由はない。その他、本件商標の構成等からみて公序良俗を害するおそれのあるものと認め得る証拠もない。
エ したがって、本件商標は、公序良俗を害するおそれのある商標とはいえないから、商標法4条1項7号に該当しない。
(2)商標法3条1項6号該当について
本件商標は、「THE LION THE WITCH AND THE WARDROBE」の文字からなるものであり、その構成からすれば、必ずしも簡素なものとはいえないとしても、全体のまとまりを欠き構成が極めて散漫であるともいえず、また、「紙類,文房具類」の品質、特徴等を簡潔に表した商品の宣伝文句の一として理解されると認めるべき的確な証拠は見出せない。
してみれば、本件商標を指定商品「紙類,文房具類」に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当であり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標に該当するとはいえない。
したがって、本件商標は、商標法3条1項6号に該当しない。
(3)商標法4条1項11号及び同15号該当について
ア 引用商標は、上記2のとおり「ザ・ライオン」及び「THE LION」の文字よりなるから、「ザライオン」の称呼を生ずるものであり、また、「(その)ライオン」の観念をもって把握されるものというべきである。
一方、本件商標は、その構成各文字が同じ書体及び同じ大きさで表してなるものであり、かかる構成中「THE LION」ないし「LION」のみが殊更に強く認識され印象・記憶されるとすべき特段の理由があるとは認められない。
そして、構成文字全体に相応して「ザライオンザウイッチアンドザワードローブ」の称呼が生ずるものであるが、やや冗長に亘るから、これを「ザライオンザウイッチ・・」と縮めて記憶する場合があるとしても、それに後続する音があるものとして把握され、端的に「ザライオン」ないし「ライオン」の称呼の商標として把握し記憶されるものではないというのが相当である。
また、本件商標は、前記の「ライオンと魔女」の観念をもって把握されるか、意味合いを特定し得ない一連の造語として把握されるものである。
してみると、本件と引用の両商標は、その構成が明らかに相違し外観から受ける印象を著しく異にしており、称呼上で共通する音を含むとしても、称呼を共通にするとまでいうことはできず、また、観念においては全く相違するものであるから、これらを同一又は類似する商品に使用しても、その出所について混同を生じさせるおそれはないとみるのが相当であり、本件商標は、引用商標に類似する商標とはいえないと判断される。
したがって、本件商標は、商標法4条1項11号に該当するものとはいえない。
イ 更に、請求人は、「LION」あるいは当該文字と図形とを結合した商標(以下「LION」商標という。)を文房具に使用し、本件商標の出願時には、周知・著名な商標となっていたから、頭部に「THE LION」 を有する本件商標を「紙類,文房具類」の商品に使用すれば、あたかも請求人会社と何らかの関係を有する商品であるかのごとく、需要者に混同を与えるものである旨主張している。
しかしながら、本件商標の構成文字中には「LION」の文字が含まれ、仮に「LION」商標が文房具の需要者間で広く認識されるに至っていたとしても、本件商標は、前記アのとおり、当該文字部分のみが殊更に印象・記憶されるとはいえないから、結局、本件商標は上記「LION」商標とは別異の出所を表示するものとして把握されるというべきである。
しかして、本件商標を商品「紙類,文房具類」に使用したとしても、その出願時に、需要者が請求人の「LION」商標を想起し連想して、請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関連を有する者の業務に係る商品と誤信し、その出所について混同するおそれはなかったと判断すべきである。
したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当するものとはいえない。
(4)以上のとおり、本件商標は、その指定商品「紙類,文房具類」について、商標法3条1項6号4条1項7号、同11号及び同15号に該当にするものではないから、同法46条1項により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-05-15 
結審通知日 2006-05-18 
審決日 2006-05-30 
出願番号 商願2004-14884(T2004-14884) 
審決分類 T 1 12・ 22- Y (Y16)
T 1 12・ 26- Y (Y16)
T 1 12・ 271- Y (Y16)
T 1 12・ 16- Y (Y16)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 米重 洋和 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 山本 良廣
伊藤 三男
登録日 2004-11-26 
登録番号 商標登録第4821296号(T4821296) 
商標の称呼 ザライオンザウイッチアンドザワードローブ、ライオンザウイッチアンドザワードローブ、ザライオンザウイッチ、ライオンザウイッチ、ザワードローブ、ワードローブ 
代理人 森下 夏樹 
代理人 安村 高明 
代理人 山本 秀策 
代理人 牛木 理一 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ