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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y25
管理番号 1139828 
異議申立番号 異議2005-90142 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-03-25 
確定日 2006-05-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第4825823号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4825823号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4825823号商標(以下「本件商標」という。)は、「RITZY」の文字を書してなり、平成16年5月20日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年12月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同8号、同15号及び同16号に該当すると主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同34号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲に示した登録第2419501号及び「RITZ」の欧文字からなる登録第2492400号商標と商標が類似し、指定商品も同一又は類似する。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の経営する世界的に著名な「RITZ HOTEL」の略称である「RITZ」を含むものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の経営する「RITZ HOTEL/リッツホテル」は、世界的な超一流ホテルであり、単に「リッツ」という略称で呼ばれている。
しかして、かかる事実は古くから我が国において確立されており、少なくとも、本件商標の出願前から我が国において周知・著名なものとなっていたことは明らかである。
また、申立人は、提出した証拠からも明らかなとおり、幅広い分野における商品を販売している。本件商標は、「被服」等を指定商品とするのに対し、申立人はこれらの商品と抵触する「バスローブ、ネクタイ、スカーフ」等を販売し、これら商品は、ホテルのサービスの一環として部屋に備え付けられて使用されるものであり、今日では、これらの商品を実際に販売している。
したがって、かかる事実に鑑みれば、申立人の周知・著名な略称及び商標である「RITZ」、「リッツ」と類似し、あるいは「RITZ」の文字を含む本件商標がその指定商品に使用されたときは、需要者、取引者は、当該商品が、申立人あるいは同人と何らかの関係がある者によって製造、販売された商品であるかの如く、商品の出所について誤認、混同を生ずる可能性が高いというべきである。
(4)商標法第4条第1項第16号について
申立人は、世界的屈指の超高級ホテル「RITZ HOTEL」であるから、これと類似する本件商標が、指定商品に使用された場合、需要者・取引者は、当該商品が、あたかも高級品であるかの如く、商品の品質について誤認するおそれがある。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成17年12月26日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。
(1)申立人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、1898年にパリに設立された「RITZ HOTEL」を経営する者であり、同ホテルは、建物や調度品の優雅さや豪華さもあってオープン当初から高い評価を受け、また、その顧客には王候貴族・大富豪・有力政治家・著名作家・有名映画俳優等々の世界的に著名人が名を連ねている。ちなみに、昭和天皇も昭和46年秋に同ホテルに宿泊されている。
同ホテルは、「昼下がりの情事」ほかの著名な映画の舞台としてしばしば使用され、さらに、日本においても、旅行案内等で、世界的な高級ホテルとして頻繁に紹介されており、また、英語の辞書には、「みせびらかし、誇示」を意味する英語「ritz」が同ホテルに由来する旨記載されていることが認められる。
しかして、前記ホテルの略称である「RITZ」又は「リッツ」(以下、これらを「引用商標」という。)は、申立人の営業及び商品表示として、昭和年代の我が国において既に、ホテル関係者、ホテル利用者等の間において広く知られるに至っていたものである。また、申立人が、本件商標の登録出願日以前から、「バスローブ、ネクタイ、スカーフ」等の衣料品の他、各種商品について販売活動を継続して行っており、引用商標が、申立人の商品表示又は営業表示として、ホテル関係者に止まることなく、広く一般の需要者に知られているということができる。
してみると、引用商標は、本件商標の登録出願前において既に、本件商標の指定商品に係る需要者の間において広く認識され、著名な表示となっていたと認められる。
(2)本件商標と引用商標についてみると、本件商標は、「RITZY」の文字からなるものであるところ、その末尾文字「Y」を除く「RITZ」の4文字が、引用商標「RITZ」とその綴り字を全く同一にするものである。また、本件商標から生ずる「リッツィ」の称呼と引用商標の称呼「リッツ」を比較すると、両者は、語尾で「ツィ」と「ツ」の差異を有するものである。
しかして、両者の称呼は、中間に促音「ッ」が伴うことにより、当該促音の前後の音の「リ」と「ツ」の音が強く発音されることから、引用商標の語尾音「ィ」が比較的弱く発音、聴取され易いものとなり、両者の最後に残る母音「u」と「i」の識別、すなわち、「ツ」と「ツィ」との識別は必ずしも容易とは言い難いものであって、両者の称呼全体としては相当に近似した音感を与え、彼此相紛らわしいものである。
そして、本件商標は、引用商標と明確に区別し得るほどの観念を生ずるものとは認められず、むしろ、「リッツ(ホテル)のような」の観念が生ずる場合も少なくないところである。
そうとすれば、本件商標と引用商標は、類似性の高い商標というべきである。
(3)さらに、本件商標の指定商品は、日常的に用いられる消費材であり、ホテル営業と無縁でない商品を含むばかりでなく、申立人は、現に「バスローブ、ネクタイ、スカーフ」等の商品をも取り扱っているから、本件商標の指定商品と使用商品との間で関連性を有するものである。また、引用商標は上記のとおり、本件商標の指定商品の分野においても使用されており、その需要者を共通にしているものというべきである。
(4)以上により、引用商標の著名性、商標の類似の程度、商品等の関連性の程度、需要者の共通性等を併せ勘案すると、本件商標の登録時はもとより、その出願時において、本件商標をその指定商品に使用したときには、これに接する需要者が、前記著名な引用商標を想起、連想し、当該商品を申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品と誤信し、商品の出所について混同するおそれがあったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対して、何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本件商標の登録は、上記3の取消理由により、商標法第4条第1項第15号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】登録第2419501号商標


異議決定日 2006-03-28 
出願番号 商願2004-50743(T2004-50743) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小畑 恵一 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 水茎 弥
山本 良廣
登録日 2004-12-17 
登録番号 商標登録第4825823号(T4825823) 
権利者 リョーマ株式会社
商標の称呼 リッツイー 
代理人 大島 厚 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 井滝 裕敬 

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