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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200689005 審決 商標
取消200531284 審決 商標
取消200531219 審決 商標
取消200531245 審決 商標
取消200531601 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 観念類似 無効としない Z30
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Z30
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Z30
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z30
管理番号 1139684 
審判番号 無効2005-89128 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-09-29 
確定日 2006-06-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4421170号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4421170商標(以下「本件商標」という。)は、「かつりょくそ」の文字と「活緑素」の文字とを二段に書してなり、平成11年11月4日に登録出願、第30類「麦類若葉を主成分として打錠成形してなる加工食品,麦類若葉を主成分として粉末成形してなる加工食品」を指定商品として、同12年9月29日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1824278号商標(以下「引用商標1」という。)は、「活緑精」の文字を書してなり、昭和58年2月1日に登録出願、第32類「食肉、卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同60年11月29日に設定登録され、その後、平成8年4月26日及び同17年12月13日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。同じく登録第2710510号商標(以下「引用商標2」という。)は、「バクリョクソ」、「麦緑素」、「BAKURYOKUSO」の文字を三段に書してなり、昭和58年4月11日に登録出願、第32類「麦の葉またはその青汁を主成分とする加工食料品」を指定商品として、平成7年10月31日に設定登録され、その後、同17年11月1日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

3 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第24号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
ア 請求人及び利害関係について
請求人は、「グリーンマグマ」「麦緑素」等の健康食品、医薬品及び医薬部外品の製造・販売を主たる業務とする企業であり、本件商標と混同を生ずる引用商標2の所有者である。
また、被請求人は、引用商標2「麦緑素」の付された商品を請求人から購入していた経緯があり、請求人と被請求人の取引関係の終了後に本件商標が出願・登録されている。
よって、これらの事情から判断すれば、請求人が本件審判を請求することに関し利害関係を有していることは明らかである。
イ 商標法第4条第1項第11号について
本件商標「かつりょくそ/活緑素」からは、明らかに「カツリョクソ」の称呼が生ずるものである。
一方、引用商標1「活緑精」からは、「カツリョクセー」の称呼が生ずるものであり、両者は明らかに称呼上類似する商標である。
すなわち、両者は、称呼上最も弱く発音され、また最も聴別し難い末尾音において、同行音「ソ」と「セ(-)」の差異を有するのみであり、また観念的にも、前部「活緑」を共通にしていることから、観念においてこれを明確に識別すべき理由も見当たらない。
また、引用商標2「バクリョクソ/麦緑素/BAKURYOKUSO」からは「バクリョクソ」の称呼が生するものであり、差異を有する頭部の2音「カ」と「バ」、「ツ」と「ク」は共に同母音である。また後部「緑素」を共通にしていることから、観念的に混同が生じやすくなっていることは明確である。
したがって、本件商標に接した取引者及び一般需要者が、これを称呼・観念において引用商標1及び引用商標2と混同するおそれは十分にあることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第15号及び同第19号について
請求人は、昭和43年に創業され、麦の若葉エキスを搾汁して製造する青汁粉末「グリーンマグマ」を主力商品とする、青汁の分野では草分け的な企業である(昭和40年代に「麦類緑葉粉末の製法」の特許を取得している、甲第4号証)。
そして、昭和51年、「グリーンマグマ」を含む同社製造の麦の若葉エキスを「麦緑素」と命名し、商標「グリーンマグマ」「麦緑素」の付された商品を市場に提供し続けてきたものであり、さらに、平成7年頃には、キャッチフレーズ「活青汁」「活麦青汁」と共に当該商品の広告を行っていたものである(甲第5号証ないし同第17号証)。
その結果、請求人が所有する引用商標2が既に周知・著名となっていることは明らかである(甲第18号証「日本国周知・著名商標検索」参照)。
このような情況下で、平成5年から同7年まで、請求人と被請求人は前記「グリーンマグマ」等の商品を取引していたという経緯があり(甲第19号証及び同第20号証)、当然のことながら、被請求人は「グリーンマグマ」等に付された「麦緑素」の周知・著名性及び当該商品のキャッチフレーズが「活青汁」「活麦青汁」であることは十分認識していたと推認される。
しかるに、被請求人は、請求人との取引関係の終了後に本件商標を出願し、登録したものである。
しかも、被請求人が本件商標を使用する商品は、甲第8号証及び同第9号証の商品と同種・類似の商品であり(甲第21号証)、そのパッケージデザインは、緑地に白のラインにより構成されており、甲第8号証及び同第9号証の商品のパッケージデザインをイメージさせるものである。また、引用商標2と同様に、アルファベット表記「KATSURYOKUSO」もパッケージやスティックに付されている。
さらに、請求人は、いわゆる健康食品だけではなく、育毛剤も取り扱う企業であり(甲第22号証参照)、従来から被請求人とは取扱商品が重なっているという事情も存在する。
これらの情況から考察すれば、本件商標が、「活青汁」「活麦青汁」の「活」と「麦緑素」の「緑素」を結合させたものであることは容易に推認される。
そして、東京高裁平成16年(行ケ)第129号判決(甲第23号証)の考え方は、周知・著名商標である引用商標2と「りょくそ/緑素」が一致する本件商標にも類推適用されるべきものである。
以上、これらの事情を考慮すれば、被請求人が不正の目的をもって、本件商標を出願・登録したことは明らかであり、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
また、被請求人が本件商標を指定商品に使用すれば、商品の出所について誤認混同が生ずることは明らかであり、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
ア 周知・著名商標検索結果(甲第8号証)の根拠審決
被請求人は、日本国周知・著名商標検索結果の根拠となった審決が提出されていないと主張しているので、当該審決を提出する(甲第24号証)。
この審決は、本件商標の出願日には、引用商標2が周知・著名であったことを明確に示している。
なお、被請求人は、平成15年当時の著名商標集に「麦緑素」が掲載されていない旨の主張をしているが、日本著名商標集は、ブランドオーナーが申告していないブランドは掲載されていない。したがって、申告していない「麦緑素」が掲載されていないことは「麦緑素」の周知・著名性を否定する根拠とはなり得ない。
イ 請求人の使用商標
被請求人は、請求人のブランドは「麦緑素」ではなく「グリーンマグマ」「バーリィグリーン」であり、また、請求人以外の会社により「麦緑素 グリーンマグマ」(乙第20号証)が発売されていると主張する。
しかし、パッケージに複数のブランドを付すのは、業種を問わず一般的に行われている行為であり、文字の大きさによってブランドであるか否かが定まるものではない。
実際、請求人は「麦緑素」を大麦若葉エキス商品群のハウスマーク(統一ブランド)と位置付けており、「グリーンマグマ」「バーリィグリーン」等をペットマーク(個別ブランド)として販売しているものである。
また、被請求人が乙第20号証として提出している商品は、請求人により製造され、特定の販売会社を経て、発売元である杉沢薬品株式会社が販売しているものである。
したがって、「麦緑素」「グリーンマグマ」「バーリィグリーン」のいずれもが請求人のブランドであることは明らかであり、また、請求人以外の会社により「麦緑素 グリーンマグマ」が発売されている事実は、引用商標2の周知・著名性や両商標間の混同を否定する根拠とはならないことは明確である。
不正の目的
被請求人は、取引しているライフサイエンス社の設立にあたり、請求人の社員の何名かが設立に加わったという事情があり、当該会社から商品を購入することは、非難されるものではなく、商標法の不正の目的にも該当しないと主張する。
しかし、そういう事情であれば、請求人の元社員を通じ、請求人の内情やその当時から周知・著名と認定されている「麦緑素」を付記した「グリーンマグマゴールド」を被請求人が知らなかったはずはなく、商標選定の際に「麦緑素」を意識しなかったとすることは不自然である。
エ 請求人の商品のパッケージのデザイン
被請求人は、請求人の20年も前のパッケージなど見たことも聞いたこともないと主張している。
しかし、被請求人は平成5年から1年半程、請求人から「麦緑素」を付した「グリーンマグマゴールド」を購入していた事実があり、その当時のパッケージは甲第9号証に示したデザインのものである。
したがって、請求人の20年も前のパッケージなど見たことも聞いたこともないとの被請求人の主張は、明らかに誤りである。
オ むすび
請求人の製品は、インターネット上のみで販売しているものではなく、薬局、薬店、健康食品店、百貨店や、PB商品として取引会社を介して販売されており、甲第9号証とは幾分異なるデザインの商品も存在している。
しかし、請求人は、そのすべての大麦若葉エキス商品に商標「麦緑素」を付しており、周知・著名商標である「麦緑素」と類似する「活緑素」を被請求人が指定商品に使用すれば、取引者及び一般需要者に誤認・混同を生ずるおそれがあることは明確である。
(3)結論
上記各理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、商標法第46条第1項により、その登録は無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第29号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標の選定経緯
平成11年10月28日、本件被請求人より代理人に「活力素」についての調査依頼があった。命名の由来は、「活力の元になるような商品名を付けたい」とのことであった。また、その折、ライフエンスのパンフレット(乙第2号証の2及び3)で用いられている「グリーンメイト」商標も調査したが、登録・出願中の先願があり(乙第1号証、同第3号証及び同第4号証)、その結果、「活力素」をもじって「活緑素」が採用されたものである。
したがって、請求人の主張するように、故意に請求人の商標を意識したわけではなく、「活力素」と称呼は同一であるが文字を入れ替えた「活緑素」に決定しただけである。
そもそも、健康食品の類においては、「健」「活」「力」「精」「素」「命」などの漢字はよく用いられ多数のそれらを使用した商標が登録されているのが実情で、それらの文字を商標選定の折採用することはごく自然のことであり、特に他人に非難されるべきことではない。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2は非類似である。
本件商標と引用商標1の相違点は、末尾の「精」と「素」の違いであり、相違点である末尾の漢字は、全く異なる意味を有する漢字であり、外観、称呼も観念も全く異なるものである。
また、本件商標と引用商標2の相違点は、語頭の「活」と「麦」の違いであり、相違点である語頭の漢字は、全く異なる意味を有する漢字であり、外観、称呼も観念も全く異なるものである。
一般に、漢字3文字のみからなる商標においては、1文字のウエイトが非常に高く、両漢字が類似していないと全体としての商標も類似とはならない。本件商標と引用商標1の異なる漢字「素」「精」、及び本件商標と引用商標2の異なる漢字「活」と「麦」については、上記したように、全く同じ意味もなく、称呼も「ソ」と「セイ」あるいは「カツ」と「バク」の異なる音であり、外観も異なる。したがって本件商標と引用商標1及び引用商標2は明らかに相違する。
(3)他の登録、異議決定、審決例
請求人が類似と主張する本件商標と引用商標1及び引用商標2と同様の関係の商標が多数非類似として並存しており、また、異議決定や審決においても非類似と認定されている(乙第9号証ないし同第18号証)。
以上からも明らかなように、請求人の「活緑素」と「活緑精」及び「麦緑素」が類似であるという請求人の主張は正当性を欠くものであり、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、明らかに非類似であると考えられる。
(4)そもそも、請求人は商標「活緑精」を使用していない。
第1類に所有していた登録第1801029号「活緑精」については、平成17年8月29日に更新されずに権利抹消となっている。
これと同様に、第32類についても「活緑精」が請求人により使用されているかどうか調査したが、現在使用されている事実は発見できず、請求人のカタログを見ても、使用されている事実は発見できなかった。使用していないため、本来不使用取消審判で取り消される運命にあるであろう商標を根拠に商標法第4条第1項第11号を主張して、他人の登録商標に無効審判をかけるのは筋違いと思われる。
(5)商標法第4条第1項第15号について
ア 日本国周知・著名商標検索結果(甲第8号証)について
請求人提出の日本国周知・著名商標検索結果には、「審決・判決に基づくものです」との記載があるが、請求人は、その有力な証拠である審決・判決を本件審判に提出していない。「麦緑素」の登録に至る経緯をみると、「麦緑素」の審決による日本著名商標集への掲載は何かの間違いではないかと考えられる上、本件の登録出願日において著名であったことの証明にはなっていない。現に当所で保管の著名商標集には、平成15年当時上記商標は掲載されていない。
イ 「麦緑素」の著名性について
被請求人においては、平成5年当時の取引中においても現在においても、請求人の所有する「麦緑素」が著名であるという認識は一切もっていない。 そもそも請求人のブランドは、自ら提出しているパンフレットから明確に読み取れるように「グリーンマグマ」「バーリィグリーン」であり、「麦緑素」ではない。
「麦緑素」は、素材の名称そのものとして使用認識されていた事実がある。したがって、被請求人の社員の誰もがそのような認識であり、取引業者も同一の認識である上、著名性など感じたこともないのが実情である。
ウ 請求人以外の会社による「麦緑素」の商品について
現在においては、請求人以外の会社により「麦緑素 グリーンマグマ」が発売されている(乙第20号証)。
この会社の商品は、請求人の所有商標を使用しているのに、一般人は請求人の商品と混同せず、被請求人の商品「活緑素」については、商標がそもそも異なるにもかかわらず、一般人は請求人の商品と混同すると主張する。
このような請求人の主張は採用することができない。
(6)商標法第4条第1項第19号について
ア かって請求人と取引があり、取引が終了した後に出願し登録された商標「活緑素」に対して、不正の目的があるとの主張は、あまりにも一方的で、何らの根拠に基づかないものである。当然自社のブランドが必要となって請求人と非類似の商標を選択したまでである。
イ ライフエンス社との取引経緯
被請求人が取引しているライフエンス社の設立にあたり、請求人の社員が何名かライフエンス社の設立に加わったという事情があり、少なくとも平成9年頃からは、ライフエンス社との取引が始まった。
従来購入していた会社から独立した人達が新たな同業を始めた場合、新規会社から商品を購入するのはよくあることであり、自由競争の日本社会において、そのこと自体は何ら非難されるものでもなく、商標法にいう不正の目的にもあたらないことは明らかである。
被請求人がライフエンス社と取引が成立して以後、青汁関係商品名は、「
新緑清汁」から何度か変更されて「活緑素」となっており、販売数量は、乙第21号証ないし同第24号証に示すとおりである。
ウ 被請求人の著名性について
被請求人の「毛髪クリニックリーブ21」は、育毛関係で急成長を遂げ、今や請求人の会社より、一般人における認知度は高く、誰でもその名前を知っているほどである。この会社が販売している「活緑素」の販売数量も大量であり、顧客から日本薬品開発の「グリーンマグマ」と混同されたことも一度もない。
このような被請求人にとり、他社と差別化を図りたいのが本音であり、請求人の模倣をする必要性は全くない。
エ 請求人の20年前のパッケージについて
甲第9号証のパッケージは、昭和62年の会社案内に掲載されているのみで、その後には使用されていないパッケージである。最近20年間の会社案内には、甲第9号証の商品は掲載されていない。つまり、請求人は昭和62年以前には確かに甲第9号証の商品パッケージを採用していたかもしれないが、現在はもちろんこの20年は使用されていない上、過去の使用しなくなったパッケージの色が被請求人の商品のパッケージの色と似ているなどの主張は、時期の点だけに絞っても混同のしようがなく、そもそも的外れである。
単純に両パッケージを比較しても、被請求人のパッケージと請求人の箱のパッケージは全く異なる。特に、被請求人は、赤字に白抜きで「リーブ21」という記載が目立ち、一目で区別可能である。
そもそも、請求人の会社は、素材そのものをむしろ「麦緑素」として材料表示のように使用しているため、わずかに使用しているパッケージにあっても「グリーンマグマ」に比べごくわずかに小さく目立たないように記載されている。
甲第20号証の取引書類にあっても「麦緑素」の文字は1度も出てこない。まさに材料表示としての使用である。商品名は「グリーンマグマ」であって、これは全く「活緑素」と異なる構成の商標である。
エ 現在の請求人のパッケージについて
現在確認できる請求人の大麦若葉商品には、明確に「グリーンマグマ」あるいは「バーリィグリーン・ネオメイト」としか表示されていない(乙第26号証及び同第27号証)。被請求人の商品は、どちらかというと白やアルミの銀色で曲線の関係か丸いイメージであり(乙第28号証)、請求人のパッケージと全く異なるものである。
(7)結論
以上述べたように、いずれの主張についても、理由はなく、本件の登録は有効である。
被請求人の商品も大量に販売されており、乙第29号証において「活緑素」商品の平成14年8月以降の販売量を提出する。

5 当審の判断
(1)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類似性
本件商標は、「かつりょくそ」の文字と「活緑素」の文字よりなるに対し、引用商標1は、「活緑精」の文字、引用商標2は、「バクリョクソ」、「麦緑素」及び「BAKURYOKUSO」の文字よりなるものであり、これらの構成文字よりすれば、本件商標と各引用商標とは、時と処を異にして離隔的に観察しても、視覚上見誤るおそれはないというべきであり、外観において類似するものではないと認められる。
これらの商標を称呼の点についてみるに、それぞれの文字構成は上記のとおりであるから、それぞれの構成文字に相応して、本件商標は「カツリョクソ」、引用商標1は「カツリョクセイ」、また引用商標2は「バクリョクソ」の各称呼をそれぞれ生ずるものということができる。
そこで、これらの称呼を対比すると、まず、本件商標より生ずる「カツリョクソ」の称呼と引用商標1より生ずる「カツリョクセイ」の称呼とは、構成音数において5音と6音の相違があり、音構成においては、末尾の1音ないし2音において「ソ」と「セイ」の相違を有するものであり、これらの相違音は、音数、音質において明確に異なるものとして聴取されるものであって、これらの相違音が両称呼の全体の音調、音感に与える影響は大きいといわざるを得ず、これらをそれぞれ一連に称呼した場合、聞き誤るおそれはないというべきである。
次に、引用商標2より生ずる「バクリョクソ」との対比においては、両称呼は、称呼の識別上最も重要な語頭において「カツ」と「バク」の音の相違があり、これら相違する音の音質においても、調音位置、調音点を異にする異質の音であり、しかも両音とも力のはいる強い音として発音し聴取される音であるから、これらの相違音が両称呼の全体の音調、音感に与える影響は大きいといわざるを得ず、構成文字の「活」と「麦」がその有する意味においても、字形においても大きく異なることを併せ考慮すれば、これらをそれぞれ一連に称呼した場合、聞き誤るおそれはないというべきである。
また、観念についてみると、各商標のそれぞれの文字構成よりすれば、いずれも特定の観念を生じない造語商標といえるから、観念においては比較できないものである。
しれみれば、本件商標は、引用商標1及び引用商標2と外観、称呼、観念のいずれの点においても類似するものではないといわなければならない。
(2)引用商標の著名性
請求人は、「昭和51年、『グリーンマグマ』を含む請求人製造の麦の若葉エキスを『麦緑素』と命名し、商標『グリーンマグマ』『麦緑素』の付された商品を市場に提供し続けてきたものであり、平成7年頃には、キャッチフレーズ『活青汁』『活麦青汁』と共に当該商品の広告を行っていた。その結果、請求人が所有する引用商標2『バクリョクソ/麦緑素/BAKURYOKUSO』が既に周知・著名となっていることは明らかである」旨主張するので、以下検討する。
請求人の提出に係る甲第5号証ないし同第7号証は、請求人の「会社案内」であるところ、これらには発行年次が記載されていないものの、その内容のうち「会社の沿革」をみると、昭和62年4月まで、同55年6月まで、あるいは同59年10月まで記載されているものであって、一般の会社案内の体裁に照らせば、これらの会社案内は、昭和年間における会社の事情を示すに止まるものである。
また、甲第8号証の「商品パンフレット」及び同第9号証の「展開された包装箱のコピー」は、作成年月日などこれらの使用時期を特定すべき表示は見当たらないものであり、甲第10号証ないし同第15号証は、新聞あるいは雑誌の記事であるところ、その発行年は昭和51年及び同52年のものである。
そうすると、これら甲第5号証ないし同第15号証は、甲第8号証及び同第9号証を除き、少なくとも平成の年間における請求人の取引の実情を示すものということはできない。
甲第8号証及び同第9号証にしても、甲第8号証には東京支店の電話番号の局番が3桁で表示されており、また、甲第9号証については、被請求人が該パッケージは20年も前のものであると主張したのに対し、請求人は、平成5年からl年半程、被請求人と取引があり、その当時のパッケージは甲第9号証に示したデザインのものである旨主張するも、同時期に甲第9号証のパッケージであると認め得る証拠を提出しないから、これらの事情を勘案すると、これらの証拠も、少なくとも平成5年以降の事情を示すものとは認められないものである。
甲第16号証は、平成7年9月25日付け「ドラッグトピックス」に掲載された「活青汁 グリーンマグマ」の商品広告、甲第17号証は、同年10月21日付け「朝日新聞」に掲載された「活麦青汁」と記載された商品広告とそれぞれ認められるものである。また、甲第19号証「取引先カード」には、被請求人の略称が記載されており、及び同第20号証「得意先元帳」には、平成5年から同7年(平成8年2行、同13年1行有り【入金のみ】)にかけての被請求人を得意先とする取引数量、金額等が記載されているものである。
以上からすると、請求人の提出に係る証拠については、請求人が「麦緑素」を使用する麦の若葉エキスについて紹介した新聞、雑誌は、すべて昭和の年代のものである。平成1年以降の取引の実情、広告宣伝の実情を示すものは、平成5年から同7年にかけての被請求人を取引先とする事実を示す甲第19号証及び同第20号証、並びに、同7年に新聞に掲載した商品の広告の甲第16号証及び同第17号のみである。甲第8号証及び同第9号証を含めるにしても、これらは、包装箱の体裁を示すに止まるものである。
そうとすれば、請求人の提出に係る証拠では、販売の事実を示すものは、平成5年から同7年にかけての被請求人との間の取引の実情を示すもののみであって、年間の販売数料、販売高、商品シェア、取引の地域等を示す証拠はなく、また、商品の広告宣伝の実情を示すものは、平成7年の2度の新聞広告のみであり、他に新聞を含め雑誌、テレビなどマスメディアを通じての広告宣伝の事実、回数、期間などに関する実情を示すものもないから、請求人の提出に係る証拠では、「麦緑素」の文字からなる商標が本件商標の登録出願の時に、請求人が麦の若葉エキスに使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識され周知、著名であったものと認めることは困難であるといわなければならない。
請求人は、「麦緑素」の文字からなる商標が周知、著名であるとする証拠の一つに商標日本国周知・著名商標の根拠の審決例(甲第24号証)を挙げるが、商取引の実際にあっては、その実情が日々刻々変化していることは周知の事実であって、必ずしも過去の審査例、審決例に左右されるものではないというべきである。
本件にあっては、請求人は、平成8年以降の「麦緑素」の文字からなる商標の使用の事実を示す証拠を一切提出しておらず、上記事実関係を示すに止まる甲各号証のもと、本件商標の登録出願時における「麦緑素」の文字からなる商標の周知、著名性が認められない以上、甲第24号証の審決例は、上記判断を左右しないといわなければならない。
(3)出所の混同及び不正使用
以上を総合すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者がこれより直ちに「麦緑素」の文字からなる商標を連想、想起するものということはできないから、本件商標は、請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同するおそれはないものであり、かつ、被請求人は、本件商標を不正の目的をもって使用するものでもないといわなければならない。
(4)結論
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-04-27 
結審通知日 2006-05-02 
審決日 2006-05-15 
出願番号 商願平11-101288 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (Z30)
T 1 11・ 271- Y (Z30)
T 1 11・ 262- Y (Z30)
T 1 11・ 222- Y (Z30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 山内 周二 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 2000-09-29 
登録番号 商標登録第4421170号(T4421170) 
商標の称呼 カツリョクソ 
代理人 辻本 希世士 
代理人 内山 美奈子 
代理人 神吉 出 
代理人 辻本 一義 
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